第8回 事例に見るDXの真実DX相談室「AIを導入したのに成果が出ない」─DXが失敗する企業に共通する3つの理由─
AIPAへ寄せられるDX相談の中で、ここ1~2年特に増えているのが、このような相談です。
「生成AIを導入したのですが、期待した効果が出ません。」
「社員がAIを使ってくれません。」
「DXに取り組んでいるつもりですが、会社が変わった実感がありません。」
実は、このような企業は決して少なくありません。
ChatGPTをはじめとする生成AIの普及によって、多くの企業がAIを導入するようになりました。しかし、導入しただけで成果が出るほどDXは単純ではありません。
AIPAが数多くの企業を支援してきた中で感じるのは、DXがうまくいかない企業には共通した特徴があるということです。
一つ目は、「AIを導入すること」が目的になっていることです。
本来、AIは経営課題を解決するための手段です。
しかし、「他社も導入しているから」「AIが流行しているから」という理由だけで導入すると、現場では何に使えば良いのか分からず、結果として誰も使わなくなります。
まず考えるべきなのは、「会社のどの課題を解決したいのか」です。
営業力を高めたいのか。
品質を向上させたいのか。
人手不足を解消したいのか。
その目的が明確になって初めて、AIをどのように活用するかが見えてきます。
二つ目は、「現場を見ないDX」です。
経営者や情報システム部門だけでDXを進めてしまう企業も少なくありません。
しかし、実際に仕事をしているのは現場の社員です。
製造現場には製造現場の課題があります。
営業には営業の課題があります。
物流には物流の課題があります。
現場を理解せずにシステムだけを導入しても、「仕事が増えただけ」「入力が面倒になっただけ」という結果になりかねません。
DXは、現場の困りごとを解決することから始まります。
だからこそAIPAでは、まず現場を見て、現場の声を聞くことを何より大切にしています。
三つ目は、「AIだけで解決しよう」と考えてしまうことです。
AIは非常に優れた技術ですが、AIだけで会社は変わりません。
例えば製造業であれば、設備の状態を把握するためにはIoTが必要です。
物流では車両や荷物の位置情報を取得するためにIoTが欠かせません。
現場の単純作業を減らすにはロボティクス・オートメーションが必要になります。
そして、それらを支えるのがITシステムです。
つまり、本当のDXとは、
ITで業務を効率化する。
IoTで現場を見える化する。
AIで分析・判断を支援する。
ロボティクス・オートメーションで人の作業を支援する。
この4つを組み合わせて初めて、大きな成果につながるのです。
AIだけを導入しても、現場のデータがなければAIは十分に機能しません。
IoTだけ導入しても、データを分析するAIがなければ改善には結び付きません。
ロボットだけ導入しても、業務全体を見直さなければ生産性は上がりません。
重要なのは、それぞれを目的に応じて組み合わせることです。
DXとは、システム導入ではありません。
企業変革です。
その変革を実現するためには、経営者、管理職、現場社員が同じ目標を共有し、デジタル技術を経営戦略の一部として活用していくことが重要です。
AIPAでは、「AIを導入する支援」ではなく、「企業が変わるためのDX支援」を行っています。
技術を導入することではなく、その技術で現場がどう変わるのか、社員がどう働きやすくなるのか、お客様へどのような価値を提供できるのかを一緒に考え、実現することが私たちの役割です。
DXが進まない理由は、技術不足ではありません。
「目的」と「現場」が見えていないことです。
その2つを結び付けることこそが、本当のDXであり、「事例に見るDXの真実」なのです。
次回は「DX人材がいない会社は、どこから始めればよいのか?」をテーマに、中小企業でも実践できるDX推進の第一歩について解説します。
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