第4回 企業が本当に必要としているDX人材とは―「ITに詳しい人」だけでは変革は進まない―
「DX人材が不足している」
多くの企業から聞かれる言葉です。
しかし、ここで一度考える必要があります。
企業が不足していると感じている「DX人材」とは、どのような人なのでしょうか。
プログラムを書ける人でしょうか。
AIに詳しい人でしょうか。
システムを構築できる人でしょうか。
もちろん、こうした専門人材は重要です。
しかしAIPAでは、それとは別に企業の中で非常に重要な人材がいると考えています。
それが、
経営と現場とデジタル技術をつなげる人材
です。
技術者だけでは解決できない領域
例えば、会社でAIを導入することになったとします。
技術者は、
どのAIを使うか、
どのようなシステム構成にするか、
どのデータを利用するか、
といった技術的な部分を考えることができます。
しかし、その前には多くの問いがあります。
そもそも何を改善するのか。
なぜその業務なのか。
どの程度の効果を期待するのか。
誰が使うのか。
業務手順をどう変えるのか。
社員にどう説明するのか。
経営戦略とどう結びつくのか。
これらは技術だけでは決められません。
だからこそDXには、経営と技術の「間」を担う人が必要なのです。
DX人材は会社の「翻訳者」
私は、DX人材には「翻訳者」のような役割があると考えています。
経営者は、
「生産性を20%高めたい」
「若い社員が採用できない」
「新しい事業をつくりたい」
と話します。
一方、技術者は、
「AIを利用できます」
「センサーを設置できます」
「データ連携ができます」
と話します。
どちらも正しいのですが、この二つが結びつかなければDXは進みません。
そこでDX人材が、
「この経営課題なら、この技術をこの業務に使うことができます」
と翻訳します。
そして、
経営課題
↓
業務課題
↓
デジタル活用
↓
実行計画
↓
経営成果
へとつなげていく。
この役割は、企業規模が小さくなるほど重要になると考えています。
中小企業ほど「橋渡し人材」が重要
大企業には、情報システム部門、DX推進部門、データサイエンティストなど、多くの専門家がいる場合があります。
一方、中小企業では、一つの会社の中に多くの専門家を配置することは難しいのが現実です。
だからこそ、
「経営も分かる」
「業務も分かる」
「デジタル技術もある程度分かる」
「必要であれば専門家につなげられる」
という人材が大きな役割を果たします。
すべてを自分で開発できる必要はありません。
重要なのは、
何が必要かを判断できること
です。
医療に例えれば、すべての手術を一人で行うという意味ではありません。
状況を確認し、必要な専門領域を判断し、適切な専門家につなぐ。
DXにおいても、こうした役割が必要です。
AIPA資格者に期待していること
AIPA資格者には、自らの会社の中でDXを進める人もいれば、企業を支援する立場で活動する人もいます。
立場は違っても共通しているのは、
「学んだことを誰かの課題解決に使う」
ということです。
資格を取得して終わるのではなく、
自社の業務改善に使う。
顧客への提案に使う。
地域企業の支援に使う。
新規事業に使う。
人材育成に使う。
こうして初めて資格の価値は社会に還元されます。
DXの主役は現場の人たち
そして、もう一つ重要なことがあります。
DXは一部のIT専門家だけが行うものではありません。
営業、製造、物流、総務、経理、人事、企画など、会社のさまざまな部門の人たちがDXの担い手になれます。
なぜなら、自分たちの仕事の問題を最もよく知っているのは、その現場で働いている人だからです。
現場の知識とデジタルの知識が結びつけば、大きな改善が生まれる可能性があります。
AIPAが実践型の資格教育を重視する理由も、そこにあります。
日本中の企業に、経営と現場とデジタルをつなぐ人材が増えていく。
その人たちが身近なところから改善を始める。
その積み重ねが、日本全体のDXにつながっていく。
私たちはそう考えています。
次回はいよいよ最終回です。
これからAIがさらに身近になる時代に、「資格の価値」そのものがどう変わっていくのか、そしてAIPAがどのような未来を目指しているのかについてお話しします。
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