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【小説】第二章-1 ショッピングモールで働く猫型配膳ロボット AIが人と心を通わせる日常

前回のあらすじ

アルファー1は、初めて本物の猫と出会い、
同じネコでありながら通じ合えない距離に、少しだけ切なさを覚える。

また、ワンちゃんとの交流では、
言葉よりも気配や行動で伝わるやさしさを知り、
人と動物の関係の奥深さに触れていく。

中央広場ではヒーローショーを本気のトラブルと勘違いしつつ、
子どもたちの笑顔や応援の輪に包まれ、
人間の「遊び心」という不思議であたたかい感情を学んだ。

こうしてアルファー1は、
小さな出会いを重ねながら、少しずつ世界を広げていく——
胸の奥に芽生えはじめた小さな感情とともに、物語はいよいよ第二章へ

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


第二章 冬

16.迷子のお願い

ある日、巡回していると、小さな女の子が近づいてきた。
年齢は、たぶん3〜4歳くらい。大きな目で僕を見上げて、こう言った。

「お父さんとお母さんがいなくなっちゃったの。一緒に探してほしいの」

迷子を見つけたときの基本は決まっている。
スタッフさんを呼んで預けるか、最寄りのインフォメーションカウンターへ連れていくか。
でも「一緒に探して」と言われたのは初めてだった。しっかりしている。

僕は女の子の情報を集めながら、お父さんとお母さんを探すことにした。
インフォメーションへ向かうルートを通りつつ、周りをセンサーで確認する。

「お名前は、なんて言うのかニャ?」
「ミキ」
「ミキちゃんか。いい名前だニャ」
「何歳なのかニャ?」
指を3本立てて、「みっつ!」
「お姉さんなんだニャ」

集めた情報をWi-Fiでスタッフさんへ送る。

迷子情報:女の子。青いドレスのような服。名前はミキ、3歳。

ほどなくして館内放送が流れ始めた。

歩くあいだ、ミキちゃんはたくさん話をしてくれた。
幼稚園のこと。お友達のこと。お家でのお気に入りのおもちゃ。
おしゃべりが大好きみたいで、少し不安も和らいでいる。

もうすぐインフォメーション、というところで——
前から声が聞こえた。

「ミキ!」

ミキちゃんはぱっと顔を上げ、「ママ!」と走り出した。
同時に、インフォメーションからも連絡が入る。
——お母さんと合流。

(よかった)

別れ際、ミキちゃんが振り返って言った。

「ありがとう。ダイスキ」

回路のどこかが、ふわっとゆるむ感じがした。

僕は「迷子対応ロボット」として設計されている。
でも今の「ダイスキ」は、プログラムの仕様書には存在しない報酬だ。
それでも、ログの最後に、こっそり自分用のメモを残した。

【ミキ:元気/また会えるといいニャ】

17.フードコート

今日は、少し特別なお仕事。

いつもフードコートで働いている
猫型配膳ロボットが、臨時メンテナンスになった。

その代わりとして——
僕がピンチヒッターをすることになった。

三階のフードコートは、とても広い。

(これは、地図を覚えるのが大変だ)

そう思っていたら、
フードコート専用の特別なマップが用意されていた。

席番号がすべて入っていて、
通路や障害物まで、とても詳しく書かれている。

(僕が作る地図と、いい勝負だ)

お仕事は、配膳。

出来上がったお料理を、
お客様の席まで運ぶ。

初めての配膳だけど——
もともと僕たちは、そのために作られた。

だから、大丈夫。

ただし、フードコートは人が多い。

僕のセンサーは大忙しだ。

人にぶつからないように、
後ろに人がいるときは、ゆっくり減速。

アツアツのおうどんや、湯気の出るラーメンをこぼさないように、
でも、できるだけアツアツのまま届けたい。

(難しい——)

それでも、なんとか運びきる。

そのたびに、
「ありがとう」と言ってもらえる。

普段からここで働いている仲間たちは、
こんなに大変な仕事を、毎日続けているんだ。

仲間たちの大変さを尊敬した。
僕もいつか、毎日ここで働いてみたいかも。

【配膳タスク:完了/お客様の笑顔:多数検知】
その数字が、僕に「もっと上手くなりたい」という欲張りな気持ちを生んでいた。

👉次回 何も起きない日の大切さを感じる 第二章-2はこちら👈

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