この夏の、旅と読書
先日まで、7月下旬に行ったひとり旅日記を書き綴っていました。
とりあえず完結できてよかった…
毎度毎度長文になってしまいましたが、読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
でも、まだ引っ張ります(笑)
本当はひとり旅日記の中に入れこもうと思っていたけれど、文章が長くなりすぎるので割愛した「旅と読書」の記録です。
旅と読書の関係
旅行に行くとき、どの服を持っていくかあれこれ考えて選ぶのと同様に、どの本を持っていくかも大事な要素。
わたしの中で旅と本は不可分なものです。
飛行機や新幹線などの移動中。
滞在先のホテル。
それは、積読派のわたしがなぜか集中して本に向き合うことのできる時間。
そして本は旅先でも増えていきます。
普段行く本屋さんでは手に取ることのないような本にも、不思議と手が伸びる。(当たり外れもありますが、それもまた旅の醍醐味)
さらに旅から帰ってきて、改めて本を読む。
旅先で買った本を読んだり、旅先で見た・感じたものからつながるような本を読むのもまた、旅の続き、旅の一部なのだと思います。
旅のお供 の2冊
積読本の中から選んだこの2冊が旅のお供。

たゆたえども沈ます/原田マハ(幻冬社文庫)
旅の短編集 春夏/原田宗典(角川文庫)
旅の2日目、最初に観に行く美術展が「大ゴッホ展」だったので、積読本の中から『たゆたえども沈まず』を旅のお供に選びました。
この本のおかげで長崎ー東京間の飛行機は本当にあっという間でした。
夜にホテルで続きを読み終えて、激しく感情を揺さぶられた結果、全然寝付けない(笑)
フィンセントとテオ、固い絆で結ばれつつも、それゆえに悲劇的な結末を迎えたこの兄弟に、せめて誰かを寄り添わせたい、という想いが創作を通じて伝わってきます。
存命中にフィンセントの絵を認めてくれる人がいたら…
兄を亡くしたテオに寄り添う人がいてくれたら…
でも不思議と、実際にゴッホの絵を見ている時には小説のことは思い浮かびませんでした。それだけ、絵自体にものすごい強さがあって、心を揺さぶられたということなのでしょう。
もう1冊『旅の短編集 春夏』は、ひとり旅に行こうと決めた頃に購入した本。原田宗典の本を読むのはかなり久しぶりです。
新幹線移動の間にあっという間に読み終え、秋冬編も買っておけばよかった!と思いました。
旅先で買った本たち
①彼女たちの「戦後」――12人の肖像/山本昭宏(岩波新書)

旅の初日、神保町ブックセンターで購入し、文庫ソーダを飲みつつ読んだ本。

旅の初日だったので自重しましたが、他にも何冊か買っておけばよかったな。もったいないことをしました。わたしが普段行ける範囲の本屋には、岩波の本が全然売っていないので…
②ぐるぐる♡博物館/三浦しをん(実業之日本社文庫)
旅の2日目、東京国立博物館のミュージアムショップで購入。
気になる本がたくさんあって迷いましたが、直感でこれに決めました。

ひとり旅日記 Day.4にこの本にまつわるちょっとしたエピソードを書きました。
この本で紹介されているような知られざる博物館もいつか巡ってみたいなぁ。
③気になる日本地理/宇田川勝司(角川ソフィア文庫)
④オノマトペの現象学/鷲田清一(角川ソフィア文庫)

5日目、京都で3時間だけ観光した際に、京都駅地下のくまざわ書店で購入した2冊。
地理の本は、旅先で自分の地理の弱さを痛感したから手が伸びたのかも。
オノマトペの本はもともと興味のあるジャンル。
鷲田先生がオノマトペについて語っている?それは読まねば…!と反射的に購入。まだ読みかけですが、言語の専門家とはまた少し違う臨床哲学者の言語論というものを大変興味深く読んでいます。
⑤近代美術史テキストー印象派からポスト・ヘタうま・イラストレーションまでー/中ザワヒデキ(トムズボックス)
⑥わかりたい!現代アート/布施英利(光文社知恵の森文庫)

7日目の国際近代美術館で購入した2冊。
「もっと現代アートを知りたい、わかりたい!」という切実な思いが現れまくった選書です(笑)
ずっと「得体のしれない、理解しがたいもの」として避けて来た現代アート。それが今は、もっと知りたい!に変わってきている。
きっと、本から先に読むのではダメだったんだろうと思います。
作品を観て、圧倒されて、
「何かよくわからないけれど、すごい気がする」
という気持ちになって初めて知りたいと思う。
わたしにとってはこれが正しい順番だったんだろうな。
旅から帰って読んだ本たち
①空海の風景 上・下/司馬遼太郎(中公文庫)

旅の2日目、東京国立博物館で「空海と真言の宝物」展を観たことがきっかけで、帰宅後に再読したのがこの本。上下巻通しで読んだのは十数年ぶり。
内容を思い出しながら読み進めていったのですが、一番びっくりしたのはこの一文。
いまさらあらためていうようだが、この稿は小説である。
えっ!?
これ、小説だったの?
と十数年越しにびっくりしました。
司馬遼太郎の小説は、物語色の強いものでもしばしば作中に筆者が登場します。『空海の風景』に至っては、かなり出ずっぱり。
東大寺の住職であった上司海雲氏の葬儀に参列した後の挿話として、こんな描写が出てきます。
たまたま道連れになった書家の榊莫山氏が、空海の書は写真うつりがいい、といわれた。粉雪の中でのことだけに、その言葉がひどく印象的だった。
榊莫山さんの書とは、旅の6日目、滋賀県の三井寺で出会っていることもあり、再読した際にとても印象に残りました。

莫山さんの字が味わい深い
②沙門空海唐の国にて鬼と宴す/夢枕獏(徳間文庫)

空海熱(?)が冷めやらず、この小説も久しぶりに全4巻一気読み。
染谷将太さん主演で映画化もされたけど、そちらは未見。
③シュナの旅/宮崎駿(アニメージュ文庫)

旅の2日目、東洋文庫ミュージアムで読んだ、チベットの民話をもとにした絵本『犬になった王子』。

『シュナの旅』は同じ民話を元に宮崎駿が描いた漫画です。(※シュナは犬にはなりませんが)
旅の最初に観た大ゴッホ展で、ゴッホが「種まく人」や「掘る人」を描く際に込めた思いにも通ずるものを感じました。
本を読むことは好き。(漫画も含めて)
でも本を読むことだけではきっと何かが足りない。
旅に行くことや、美術館や博物館を巡って自分の目で見たり体験したりすることは、読書の質も深めてくれる。
旅をより豊かにするために読書したいし、読書をさらに豊かにするためにまた旅をしたい。
そう感じた、2026年夏のひとり旅でした。
