(株)ホリイ 「溶接は厳しいけれど誇り高い仕事」 正直に伝えれば届く人には魅力が届く
20250725
凄腕技能者が寄ってくる
(株)ホリイ
近年、溶接産業は慢性的な人手不足を課題としており、それは、高度経済成長時期に根付いた「きつい・汚い」のイメージが原因だとされている。
そんな中、「溶接事業所の中でも当社はきつい仕事が多い」と話すのが宮崎県日向市の溶接事業所ホリイの堀井貴博社長だ。しかし、堀井社長は常に習熟した溶接技能者に囲まれており、人手不足に悩まされたことはないという。
今回のARC MASTERS(アークマスターズ)では、そんな同社の溶接事業と、人が集まる理由を取材した。

(株)ホリイの溶接事業
ホリイは食品工場で使用される産業用機械を手掛けており、製缶分野の溶接事業所となる。
1ミリ未満~170ミリ程度まで幅広い板厚の、鋼・ステンレス・銅・アルミの溶接依頼が舞い込み、22×18メートルの製缶定盤を設置している同社では大型を手掛けることが多い。
薄板から極厚板まで幅広い依頼が絶えない理由は、どれだけ短納期でも、他社では対応が叶わなかった製作途中の特注品でも、「必ず何とかする」と返答し、取り組んできたからだ。

また、その最前線にいるのが同社の堀井貴博社長だ。
堀井社長は誰もが認めるストイックな性格で、「2日間寝ないで溶接していたこともある」というほど。さらに、同社の技能者は一枚岩で仕事にあたる社風が知られている。
つまり、従業員も厳しい作業条件を、ものともしない柔軟性で作業にあたっているのだ。
結果的に、現在の同社は、ものづくりへの情熱をたぎらせた少数精鋭の技能者集団として注目されるに至った。

超技能特化である同社では、依頼を受注した時から溶接しやすい姿勢で作業を施せるように段取りを組んで進めていくため、「溶接工程の難易度で苦戦することは少ない」と話す。
しかし、同社に在籍する熟練の溶接士でも苦戦するのは、素材がさまざまで1点物であること。つまり、厚板鋼の後、薄板の銅溶接といった具合に、素材も工法も様々な対応が求められる。
大入熱の厚板鋼溶接の後に、熱伝導性が非常に高く細やかな入熱調整が必要な銅を溶接すると混乱するため、同社ではそんな時は、溶接条件を、従業員同士が確かめ合い作業に臨むという。

「例えば、銅は予熱温度・層間温度によって溶接性能や作業性が著しく変化する。溶接は、母材のもつ特性によって、溶接棒を選定し、工法を考え留意して作業に臨む必要がある(堀井社長)」。
だからこそ同社では、熟練者が全員で一斉に作業に取り掛かり、一枚岩として動くことで、混乱を防いでいるのだ。

混乱を避けるのも大切
近年、慢性的な人手不足を課題としている溶接産業でありながら、ストイックで習熟した技能者が堀井社長の周りに集まる理由について尋ねると、「どんな仕事でも製造業には一定量厳しさはある。隠さずに厳しさを伝えることで離れる人もいるだろうが、正直に発信することで集まる人も多い」と話す。

堀井社長のもとに集まった人は、溶接はきついと回答する。しかし、「誇り高い仕事であり、容姿も、学歴も、生まれも、関係なく、腕一本が評価される」とも迷わず回答するという。
目を輝かせながら金属と睨めっこする堀井社長と、同社の従業員を見ていると、仕事を選ぶ基準が「コストパフォーマンス」だけではないのだと思い出させる。

【堀井社長の気になる溶接技能者はいますか?】
「(株)高田工業所の小林和樹さんを勧めます。溶接競技会で日本一になったこともある腕の確かな溶接士ですが、気さくで話しやすく、良い友人でもあります」
