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金子工業 高難度なボイラー溶接で活躍 「溶接技能は個性と自由をくれた」

多くの溶接士の背中押す
金子大介さん

「頼れる兄貴分」は、映画や漫画の世界だけでなく、溶接の世界にも実在する。その一人が、多くの溶接士の相談に応じ、背中を押してきた金子工業(長崎県島原市)の代表を務める金子大介さんだ。

2023年度に全国溶接技術競技会で優勝して日本一に輝いた石井智裕さんも師として仰いでいる金子さんは、ボイラー溶接の世界でその名を轟かせている。そんな金子さんに、ボイラー溶接事業と溶接の魅力を訪ねた。

ボイラー溶接について説明する金子さん

溶接技能で個性と自由を手に

「溶接は私に個性を、後には名刺、そして自由をくれた」と話すのは金子工業で代表を務める金子大介さんだ。そんな金子さんは現在、溶接技能を宿した腕一本で、ボイラーの建設・修理などの難易度の高い溶接工程に悩む顧客相手に腕を振るい、日本全国を渡り歩いている。

金子さんが手掛けるボイラー溶接の依頼は、4・5ミリ~10ミリ程度の板厚、径40ミリ~60ミリの素材に対するティグ溶接が多い。

高難度な溶接が多いボイラー溶接

ボイラー分野の溶接が高難度とされるのは、ボイラーチューブなどの耐圧部には高い圧力がかかるため、小さな欠陥から噴破といった大事故を招くことがある。そのため全溶接工程にレントゲンなど、厳しい検査を合格する技術が求められる。また、「据え付けの具合」「足場の組み方」といった作業環境が現場によって都度異なり同じシチュエーションがない。

つまり、金子さんが日々行う現場溶接は工場内での溶接と異なり、対応する溶接士が現場に到着するまで作業環境がわからず、溶接姿勢を選ぶこともできない。どのようなシチュエーションでも、高精度な溶接を求められ、これを実現できるのは、限られた技能者だけだ。

溶接技能について語る金子さん

金子さんに、「特に難易度が高いと感じる場面」を尋ねると、「いざ現場に行くと、溶接箇所が見えづらいことや溶接トーチが入りにくいといった場面も多い。時には、肉眼では視認できないような箇所を、難易度の高い上向き姿勢を保ちつつ、勘所を頼りに溶接するといった複数の困難な条件が重なり合う場面も少なくない」と話す。

目では見えない箇所を溶接する場合などは、鏡を設置して、鏡に反射した溶接トーチの様子を観察しながら作業にあたるといった工夫で解決する場合も多く、「その場で何とかする方法」を常に考え、見つけ、実践することが求められる。

総合的な対応力が求められる溶接現場

そんな超高難度なボイラー溶接の依頼が数多く舞い込む金子さんも、始めから凄腕溶接士として知名度があったわけではないという。「新卒でメーカーに就職し、各種の溶接技能を習得していき、2018年に大阪府の溶接競技会で優勝した。自分の溶接技能に少しずつ自信が湧き、21年に思い切って独立。溶接の技術力と幅、知識の広さが現場をまわるごとに認められていき、多くの依頼が寄せられるようになった」と振り返る。

金子さんは、どうせならば最難関とされるボイラー溶接を生業にすることを決意し、現在はスケジュールが埋まりきるほどの依頼が舞い込むようになったという。

溶接技能を指導する金子さん

金子さんに溶接の魅力を訪ねると、「溶接士の手でしか達成できない領域がこれからも残り続けること」だと語る。また、溶接技能は金子さんに多くをもたらしたという。

「何もなかった高校生の時に、たまたま出場した高校生溶接競技会で3位になり、周囲から『溶接がうまい』と褒められるようになった。競技会の成績が評価されたことで就職が決まり、同様に大阪府の溶接競技会で優勝した結果、『大阪で1番溶接がうまい人』として、溶接の相談などを受けることが増えた。そして、独立を決意した後は、時間・場所に縛られない自由を与えてくれた」(金子さん)

大阪の溶接競技会を制した時のトロフィー

今では溶接技能が名刺代わりになった金子さんは、「私のSNSを見て、同じ高校(島原工業高等学校)の後輩が溶接士を目指すといった事例を耳にすることが増えてきた」という。

学生に溶接技能について説明する金子さん

また、「同じように溶接の世界で生きていくことを選んだ人の背中を押せる存在でありたい。私自身もさらにレベルを高めるとともに、ボイラーや石油タンク、鉄骨といった分野の枠を超えた、真の意味での溶接技能者でありたい」と話す。

頼れる溶接の兄貴分の活躍は、これからも多くの人を巻き込み、広がっていきそうだ。

【金子さんの気になる溶接技能者はいますか?】
「(株)ホリイの堀井貴博さんです。技能者としての総合的な力では、誰が見ても超一流。溶接をはじめ、ストイックに仕事に打ち込む姿を見てきました。堀井さんを紹介してください。」

金子工業(株)ホリイ

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