キックオフまでの、静かな時間── ラグビー観戦記|12/28(日)三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ
試合前のウォーミングアップの時間が、好きだ。
まだ何も始まっていない、その手前の時間。
スタジアムの周りの賑やかなイベントや、キッチンカーの列を横目に、少し早めに席に着く。
グラウンドを眺め、まだ誰もいないことに、ほっとする。
選手たちが、アップのためにグラウンドに姿を現す、あの瞬間を見逃したくないのだ。
まだ誰も主役ではなく、名前も背番号も、練習用のジャージに溶け込んでいる。
意外にも、真っ先にグラウンドに出てくるのは、スター選手だったりする。
地味なストレッチを、黙々と、念入りに。
基本練習を、丁寧に。
その姿を見ていると、「強さ」は気合や勢いではなく、
準備と確認の積み重ねなのだと、あらためて思う。
アップを観るのが好きな理由は、そこにある。
筋肉のラインが、呼吸とともに伸び縮みし、身体が少しずつ目を覚ましていく。
試合中の激しさとは違う、静かな躍動感。
鍛え抜かれた身体の美しさと、今日の一戦に向き合う真摯さが、まだ言葉にならないかたちで伝わってくる。
選手たちがグラウンドに散っていくなかで、目は自然と「お気に入り」を探している。
歩き方、立ち止まる癖、ストレッチの仕方。
プレーではなく、その人の“在り方”を見つける時間も、ひそかな楽しみだ。
ノーサイドで敵味方なく称え合う姿が印象的なラグビーだけれど、
試合前のアップの時間にも、その気配はすでにある。
相手チームの選手同士が、にこやかに挨拶したり、軽く言葉を交わしたりする。
始まる前の、美しい光景だ。
やがてアップが終わり、選手たちが引き上げると、スタジアムは一瞬、静かになる。
あれほど人がいた場所に、ぽっかりと余白が生まれる。
その静けさを受け止めてから、キックオフの瞬間を迎える。
そして、わたしの観戦が、はじまる。
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