AI関連株急落の裏でNISAとiDeCoが揺れた日
9月14日、世界の株式市場でAI関連株が急落し、ソフトバンクグループは10%を超える急落でした。
先週まで含み益だった数字が、今週は含み損に変わっていた人も少なくないはずです。
証券口座を開くたびに、そう感じている人もいるでしょう。
AIを作っている当人たちが「このままのペースは危ない」と言い出したことが引き金になりました。
積立の設定を変えた覚えがない人ほど、今回の下落がなぜ自分の資産に響いたのか、実感がわきにくいと思います。
半導体は5.9%安なのになぜソフトバンクGは10%超急落したのか
フィラデルフィア半導体株指数は5.9%下落しました。
エヌビディアは3.4%安、AMDは4.4%安、マイクロン・テクノロジーは5.3%安です。
半導体製造装置のラムリサーチは8.3%、アプライド・マテリアルズは7.1%、ハイテク向け電力供給のブルーム・エナジーは6.8%、それぞれ下げています。
今回のAI関連株急落は、半導体本体よりむしろ周辺企業を大きく巻き込みました。
アジア市場ではさらに極端で、ソフトバンクグループは10%を超える急落でした。
台湾積体電路製造(TSMC)やSKハイニックスも下落しています。

オルカンやS&P500の積立にAI関連株が紛れ込む仕組み
NISAやiDeCoでオルカンやS&P500型の投資信託を買っている人は、自分がAI関連株に投資しているという自覚がないことが多いと思います。
時価総額加重型の指数は、大きくなった銘柄ほど比率が上がる仕組みです。
エヌビディアのような銘柄が指数の上位に食い込めば、指数全体がその値動きに引っ張られます。
これは、レビューを実質的に回している人数が少ないリポジトリに似ています。
私が普段見ているリポジトリはPRが月に30〜40件出ますが、実際にレビューを回しているのは2人だけです。
指数も同じで、数百銘柄に分散しているはずが、値動きを決めているのは上位のごく一部です。
アモデイ氏の「このままのペースは危ない」が引き金になった
アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは12日、AIの悪用への懸念から各社に開発ペースを遅らせるよう呼びかけました。
xAIのイーロン・マスク氏とオープンAIのサム・アルトマンCEOはこれに同意すると表明しています。
アルトマン氏はさらに、安全性への懸念を理由にオープンAIが年内は新規株式公開をしないと明らかにしました。
背景には、アンソロピックの研究者ジェイコブ・コクソン氏が今月、AI大手は「われわれの命を懸けたギャンブル」をしていると述べて退社した件や、同社が10日に公表した脅威インテリジェンスリポートがあります。
クロードが兵器開発やサイバー活動、詐欺などに悪用されていた実態が明らかになりました。
この記事では、その警鐘が妥当かどうかの検証には立ち入りません。
ここで見たいのは、発言のあとに市場で何が起きたかです。
広瀬隆雄氏が指摘する「ソロバンが狂う」現場
この急落を市場の動きとして具体的に整理しているのが、広瀬隆雄氏の記事です。
半導体や演算資源に関わる企業への短期的な悪影響を分析した内容で、AIブームを支えてきた計算が急に狂い始めたという指摘は、今回の下落の速さと重なります。
私が気になったのは、この下落が一日で終わる調整なのか、それとも数週間かけて資金の配置そのものを組み替える動きなのかという点です。
前者なら積立を止める理由にはなりませんが、後者なら話は変わってきます。
エミン・ユルマズ氏とバーリ氏が口をそろえる「手のひら返し」への懐疑
もう一つ参考にしたのが、エミン・ユルマズ氏の記事です。
AI企業の姿勢の変化を「手のひら返し」と表現し、バブル崩壊の始まりかどうかを検討しています。
これは、2008年の住宅市場で空売りを的中させたマイケル・バーリ氏の見方とも重なります。
バーリ氏は今回の警告について、「誇大宣伝と虚勢」であり、実質的に制御できない成長鈍化を覆い隠すためのものだとXに投稿しました。
一方でモルガン・スタンレーは、AI関連投資が2027年までに1兆3000億ドルを超えると予測しています。
ドイツ銀行も、企業間・国家間の競争が激しい以上、どこかの企業が自主的に足を止める姿は想像しにくいと見ています。
減速を呼びかける声と、記録的な投資が続くという予測が同時に存在しています。
積立を止めるかどうかを決める前に見る数字
読者として一番知りたいのは、積立を止めるべきかどうかだと思います。
私はここで即答はできません。
ただ、判断材料にする数字は決められます。
それは「AI関連投資への予測がどれだけ動いたか」です。
見積もりというのは、外れるときは大きく外れます。
私自身、「調査だけなら1日」と言った作業が3日かかったことがあります。
モルガン・スタンレーの1兆3000億ドルという予測も、来月には数字が変わっているかもしれません。
予測の数字そのものより、その数字が上がり続けるか下がり始めるかの向きを見た方が、積立を続けるかどうかの判断には役立ちます。
開発が本当に減速したらNISAに何が起きるか
ここからは確定した未来の話ではなく、仮定のシナリオです。
もしAI各社が本当に開発ペースを落とし、モルガン・スタンレーが見込む1兆3000億ドル規模の投資が計画通りに積み上がらなかったらどうなるでしょうか。
まず半導体やデータセンターへの需要が市場の予想を下回ります。
次に、オルカンやS&P500型のインデックスファンドが、AI関連銘柄の比率を落とすリバランスを迫られます。
その結果、NISAやiDeCoの基準価額が連鎖的に下がり、積立の停止や解約が広がる可能性があります。
皮肉なのは、最初に警鐘を鳴らした当事者が最も影響を受けかねないことです。
アンソロピックは10月にも上場する見通しで、エヌビディアをアンカー投資家として迎える交渉を進めています。
この位置関係だけは、仮定ではなく事実です。
私が積立で見る数字をひとつに決めた理由
仕事でも、監視するダッシュボードを増やすと結局誰も見なくなります。
私は数字を一つだけ決めて、それだけは毎日確認するようにしています。
今回の件で決めたのは、自分の積立ファンドの月次レポートに載っている「上位組入銘柄」の欄です。
エヌビディアや関連銘柄がどれだけの比率を占めているか、今のうちに一度確認しておこうと思います。
10月にアンソロピックの上場が実際に動いたら、上位組入銘柄の欄をもう一度開いて、比率がどう変わったかを見るつもりです。

