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【海外競馬】フランケルに会いに行く【牧場訪問レポ】

このたび、Discover Newmarketの提供するFrankel Tourに参加してきたので、その思い出を書き記します。ツアーパッケージ以外にも何か所か散策しましたが、今回はNational Studには伺わなかったので、そのあたりは先人のnoteを参照いただければと思います。


ツアーの流れ

フランケルツアーは2025年、2種類が提供されており、14時開始で牧場と博物館を訪れる半日コース(110GBP)と、9時開始で競馬場・調教施設・牧場をめぐる一日コース(210GBP)があります。今回は後者の方に参加しました。

ニューマーケット競馬場

朝8時45分、ニューマーケット競馬場(ロウリーマイルコース)の入口に集合。ガイドさんが持っている参加者リストが、2枚以上に分けて印刷されているであろう紙の1枚目のみであり、私の名前がなかったのですが、特段領収書等を見せるまでもなく「ああ、わかった。一人だよね?」と勝手にリストに追加されていましたので、言い張れば予約していなくとも参加できたのかもしれません笑。
そんなガイドさんと、ジェーン・セシル元調教師とに競馬場内の施設を案内してもらいました。ジェーン氏は、フランケルを調教したヘンリー・セシル師の妻であり、彼女自身、フランケル全弟のNoble Missionの調教をヘンリー氏から引き継ぎ、英愛仏3か国のGI制覇に導いた御仁で、それなりに緊張していましたが、非常に気さくな方でした。
集合直後、アイスブレイクみたいな形で、「一番遠くから来た方はどなた?」というありきたりな質問がされました。平日開催ということもあり、他の参加者はヨーロッパに長く住んでいそうな白人の紳士淑女ばかりで、誰がどう見ても明らかに異邦人なのは私だけなのですが、目立ちたくもない(目立って話しかけられてもちゃんと返せない)ので、「俺はアイルランドから」「遠いなあ」みたいな茶番を静かに見守っていました。そうしたら「日本とかオーストラリアはいないのかしら」とキラーパスを出してきて、「日本からですぅ」と答えざるを得ない空気にしたのがセシル女史でした。

閑話休題。その後ガイドに連れられてニューマーケット競馬場内を案内してもらいました。こんなツアーにお金を注ぎ込むような酔狂な競馬ファンに、普段の競馬開催日に入ることができる施設を見させても面白くないだろうということか、ロイヤルボックスや、検量室を見せてもらうことができました。

高貴な方々が座るお椅子
馬主席。ジュドモントとクールモアとが隣り合っているのは興味深いです
馬主用観戦スペース。イメージに反して治安が悪いですが、負けて暴れたのでしょうか、単に風に煽られないように倒してあるのでしょうか
男性騎手用の検量室。国際単位系原理主義者の方は閲覧注意

エドワード・ダンロップ厩舎

続いて、スノーフェアリー号(2010年・2011年のエリザベス女王杯覇者)の調教を手掛けたダンロップ師が管理する馬房を訪問。この場所はかなり歴史があるようで、セントサイモンが負かした相手として有名なTristan等も管理されていたようです。
そのためか、いくつかある馬房は、建設タイミングが同じだったらこうはならないだろうな、というくらいデザインが異なっていました。厩務員さんに、どの馬をどの馬房に割り当てるか決まりはあるのか、と尋ねたところ、「基本的に空いているところにいれるが、暑がりな馬は材質上暑くなりやすい馬房を避けるなどの配慮をすることもある」とおっしゃっていました。
なお、どこの厩舎を見に行くかは日によって変わるようですので、次のフランケルツアーではまた違った厩舎が見られるかもしれません

Saxon Warrior産駒のEmma's Letter(2歳)
スノーフェアリーの子のDon Simon(4歳)

調教見学

その後、実際に調教が実施されているエリアに移動し、調教を見学したり、空になっているコースに足を踏み入れたりしました。
この日は雨が降ったりやんだりの天気だったのですが、ニューマーケットの土壌はチョーク質で水はけがよく、また英国比で乾燥した気候であることもあり、足元はそこまでぬかるんではいませんでした。競馬適地として発展してきただけのことはありますね。

ガイド曰く、ハガス厩舎の調教らしい。厩舎ごとにコースの縄張りがあるとは思えませんが、オレンジ色の帽子で見分けているのでしょうか
フランケルやエネイブルといった名馬も走った調教コースの一つ。欧州遠征中の日本馬の調教でみるような、一面緑のパターン

ランチ

ノンネイティブかつソロ参加者の私にとってここは最大の鬼門です。一人席という反社会的な席は用意されておらず、ツアー参加者やセシル女史と談笑しながらご飯を食べなければならない、このツアー中最もタフなアクティビティでした
そもそも、席をどこに座ろうかというところで不安げにキョロキョロしていたのですが、いかにもな英国のおっちゃんがニコニコで手招きしてくれて、その方と相席することになりました。ありがとう、おっちゃん。
私の英語力が拙いために、向こうからすると、たまに見当違いの回答を吐く生成AIを相手にしているような感覚だったと思いますが、そのおっちゃんを含め様々な方に随時フォローいただきながら、どこの競馬場に行ったか、とか、日本競馬の血統が云々、とかいろいろお話して何とか切り抜けることができました。本当にありがとう、おっちゃん。

ソーセージ&マッシュポテト。きれいに食べることに意識が持っていかれて味は覚えていない
トフィープディング。アイスが冷たかった

バンステッドマナースタッド

さていよいよ本命のフランケルが繋養されている、バンステッドマナースタッドを訪れました。ここでは、種牡馬のいる馬房と種付場(撮影禁止)とを案内してもらいました。
この日見ることができた種牡馬は3頭。フランケルのほか、Kingman(シュネルマイスターやField Of Goldの父)、Bated Breathと会うことができました。
クールモアのときもそうでしたが、これらの種牡馬たちはよく訓練されているようで、馬房から出されたときに種付のタイミングかと勘違いして、ピルサドっていました笑。

牧場の担当者から「何でも質問してください。質問しないのは馬鹿(stupid)です」と言われていたのですが、時間の都合で事前に用意していた質問ができなかったので、供養しておきます。もし私の意志を継いでくれる方がいらっしゃったら、回答を共有いただけると嬉しいです

Q. This looks like a really tough job, and it seems like you also need a lot of special knowledge to do it well. How do you manage to find and keep such skilled people?
(どのように人材を確保しているのでしょうか。)

Q. How do you keep Frankel healthy and happy at this stage of his life? Do you try to make things easier for him, like giving him fewer mares to cover?
(フランケルのような高齢馬について、健康管理の観点から、種付け数の制限を試みたことはありますか。)

Q. Does Frankel show any particular preferences for mares? For example, does he tend to favour chestnut mares or anything like that?
(フランケルは牝馬の好みなどあるのでしょうか。)

短距離GIでの2着が4回と善戦マンだったBated Breath
一人でいることを好むらしいKingman。急に親近感が湧いてきました
セシル女史からニンジンをもらうFrankel

ツアー以外の観光

National Horseracing Museum

ニューマーケット市街にある博物館で、王室所縁の品も含め様々な資料が展示されています。上掲リンクでも訪問されているので、個人的な見どころだけ紹介しておきます。写真撮影が禁止されていたものでは、パーシモンの頭部剥製も必見です。

現存するサラブレッドの9割以上の直系父祖であり、珍名馬としても有名なPotoooooooo、かもしれない馬の骨格。1990年の嵐がきっかけで、Hare Park(彼が繋養されていた場所)から発掘されたようです
ミルリーフの手術において摘出された管骨の破片

The Gallops(ツアー外で再訪)

調教コースの中にも入ることができるツアーよりは、馬との距離が遠くなってしまいますが、市街中心部とコースとが隣接しているため、道路脇から調教を眺めることができます。自分のペースで満足いくまで調教を見ることができるので、ツアー翌日、帰りの電車までの暇つぶしに最適でした。
フランケルツアー参加者に配付される記念品の帽子を被って眺めていたので、調教関係者と思しき方に「良い帽子だね」と声をかけていただきました。

坂路調教のようなものでしょうか

その他

英国の主要な競馬場の多くを所有するジョッキークラブの関連施設
セリ会場、Tattersalls

予約の仕方

最後に、フランケルツアーに関しては予約のハードルが高いので、アナウンスしておきます。夏~秋の間に不定期で開かれ、毎年4月末ころに以下のHPで具体的な日程が公表されるのですが、5月頭の時点で安い半日コースは完売一日コースも5月末までにはSold Outの表示が出ていたように記憶しています。
特に現在日本で働いているような人にとってはハードルがかなり高いように感じます。4月末にHPで日程を確認、有休がとれる前提でさっさと予約を取ってしまうほかないと思いますので、フランケルを一目見てみたい方はその覚悟が必要です。

言語のハードルはどうしてもありましたが、そもそも結構高額なツアーであることもあり、参加者の社会階級は高く(馬主?らしき方もいました)、それに伴って"品"が良いので、差別とか疎外感とかは気にしなくて良さそうです。ガイドのおじいちゃんからも「理解できてるか、若造」と気にかけていただき、あたたかい雰囲気でした。
フランケルクラスの馬はそうポンポン出てくるものでもありませんし、彼自身大分高齢になりつつあるので、歴史的な名馬の生きている姿を拝むことができたのは一生の思い出です。
クールモアとは比べ物にならない予約の困難さを踏まえると、万人におすすめできる代物ではありませんが、欧州駐在の方で、海外競馬に強い関心があるのであれば、検討する価値があると思います。フランケルツアー以外のツアーであれば、予約はそこまで難しくありませんので、そちらはもっと気軽に参加できると思います。(フランケルツアーもカービィカフェよろしく回線戦争というほどのものではないと思います)