磯野貴志のAM2研黎明記・第3回【サターン版バーチャコップ開発史その2】バーチャガン開発秘話と30年目の懺悔
『Beep21』による往年の名作の開発者自身による回顧録シリーズ。セガサターン版「バーチャコップ」を担当していた磯野貴志氏が30周年を迎えた本作の当時開発秘話を明かします。ぜひお楽しみください。

セガサターン版「バーチャコップ」が30周年を迎えました!
皆さん、こんにちは。元セガAM2研の磯野です。
実は30年前の今日2025年11月24日は、なんとサターン版「バーチャコップ」の発売日だそうです。30周年!...そんなに経つのですね。おめでとう「バーチャコップ」! おめでとう30周年! そんな節目の年に回顧録を書く機会に恵まれたことに感謝しつつ...。
さて。前回はAM2研の片隅でひっそりと、まるで放置されているかのようにノンビリと開発を進めていた「バーチャコップ」に、どうにかサターン移植の可能性が見えてきたところまでお話しました。今回はチームに突然スポットが当たった結果、私があたふたする話です。
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茶番の代償─乖離する2つのバージョン─
当時AM2研の部長だった鈴木裕さんは常に現状の一歩先を追い求める方でした。その【部長対策】として、実装段階の少し前のバージョンを残しておいて、先にそれを見せるという姑息な手段を用意していた私たちでしたが、待てど暮らせど部長はチェックに来ません。そうこうしているうちに実装は進み、チェックのために用意しておいた古いバージョンと、最新実装状態の乖離が進みます。もう敵にカーソルを当てて撃つこともできます。スタッフからは「この古いやつ、いつまで残すんですか?」などと言われる始末。至極真っ当なご意見。それこそ自ら部長に申し出てチェックをお願いすれば良かったのですが、当時の私はそんな当たり前のことすら頭に浮かばないポンコツでした。そんな折、ようやく裕さんがやって来ました。満を持して「今こんな感じです」と古いバージョンを見せる私。茶番も甚だしい(笑)。
「おー! なんかイイ感じじゃん」ニコニコする裕さん。そして「これ、敵はいつ頃に出せそう?」キター! その言葉を待ってました! 「ええっと、1週間もあれば、たぶん...」今すぐにも出せますと言いそうになるのをグッと堪えて茶番を続ける私「そう? じゃあ出せたら見せてよ」そう言うと裕さんは部屋を出ていきました。ふー。緊張感から解放されるスタッフたち。そして「なんか分からんけど上手く行きましたね。この後どうします?」と微笑むスタッフに「んー。3日後くらいに最新バージョンを見せようか」と告げます。少々早い気もしますが、実装されている最新状態と裕さんの頭の中の「バーチャコップ」が乖離したままなのはマズそうに思えたのと、なんとなく今後は細々とチェックに来ないだろうと思ったのと(実際、次にチェックが入ったのはマスターアップ後でした。これが大事件を引き起こすのですが、それは後の話)それに...自分でやっておいてナンですが、こんな茶番はもう懲り懲りだったのです。
鮮やかさを封じる─MODEL2らしさの追求─
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『Beep21』セガサターン30周年記念臨時増刊号
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