磯野貴志のAM2研黎明記・第4回【サターン版バーチャコップ開発史その3】東京おもちゃショー出展とメディア展開
『Beep21』による往年の名作の開発者自身による回顧録シリーズ。セガサターン版「バーチャコップ」を担当していた磯野貴志氏が30年前の当時開発秘話を明かします。ぜひご覧ください。

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皆さん、こんにちは。元セガAM2研の磯野です。
前回の配信から半年以上の時間が過ぎてしまいました。相変わらずの遅筆で申し訳ございません。実は前回のコラムを脱稿した後、バーチャガン開発者の戸崎(健司)さんから追加寄稿をいただきました(戸崎さん、ありがとうございます)。そこでバーチャガンには別の回路で設計し直したバージョンが存在したという衝撃の事実を知りました。初耳です。30年間まったく知りませんでした(汗)。たしかにソフトウェアはコピーすればいくらでも増産可能ですが、ハードウェアには部品調達が必要です。数を揃えるために、そのようなご苦労もあったのですね。今さらながら当時のハードウェア部隊に感謝感激です。自分は実に恵まれた環境で仕事をしていたのだなと改めて思った次第です。
お披露目のはじまり─東京おもちゃショー出展─
さて。慌ただしくも粛々と開発を進めていたセガサターン版「バーチャコップ」(以下SVCと略すことがあります)チームに次なる試練が立ちはだかります。そう「'95東京おもちゃショー出展」という、アーケードゲームを専門に開発していたAM2研には無縁の、開発中のゲームを一般のお客様にお披露目するという(私たちにとっては)想定外のイベントです。今回は、おもちゃショー出展時のお話とSVCのメディア展開についてお伝えしたいと思います。
余談ですが、現在における「ゲームソフトお披露目の場」と言えば東京ゲームショウですよね。世界中からゲーム開発者やゲームファンが集まる一大イベントですが、当時はまだ存在しなかったのです(第1回は翌1996年8月に開催)。AM2研におけるイベント出展と言えば、業務用のAMショーかAOUエキスポ(2013年に統合されたとのこと)だったので、私をはじめチームメンバーは誰もおもちゃショーの存在を意識していませんでした。最初は「映像出展する」という話を聞いただけで、特に開発側で対応する必要もなさそうだなぁ~くらいに考えていました。ところが...ガンコンが用意できるということが分かって以降(戸崎さんってば仕事早すぎぃ!)なんと事態は急変します!
寝耳に水の開発スタッフ─プレイアブル出展という名の罠─
「バーチャコップはプレイアブルで出展するから」...寝耳に水です。プレイアブルとはつまりお客さんが遊べる状態ということ。映像出展であれば、多少画面が乱れてもポリゴンが欠けてもUIが完全でなくとも、まぁ開発中の映像だしね、で済むかもしれません。最悪、見られたくない画面はカットしてしまえば良いのです。が、プレイアブルとなるとそうはいきません。少なくともプレイに支障が出ないレベルでUIを用意しなければなりませんし、テクスチャを貼っていないとかポリゴンが欠けるなんて、恥ずかしくて許容できません。タイトル画面も用意したいですし、ステージの途中でプッツリ終わらせる訳にも参りません。例え途中であっても、それっぽく終了プロセスを作る必要があります。当然チームからも「そんなん聞いてませんよぉ~」と抗議のひとつもあがってくる訳です。いや私も同じ気持ちです。聞いてませんよぉ~と言いたい。でも決定事項です。仕方ありません。開発スケジュールに支障をきたすのは重々承知の上で、おもちゃショー出展バージョン(通称トイショー版)を急遽制作することになりました。
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伝説のゲーム誌『Beep』が2021年に21世紀仕様になって5年目に突入! 『Beep21』は他では読めない独自取材記事と当時の関係者によ…
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