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ChatGPTとの余興:ゲテモノ映画紀行第2陣-7


参考基準:『ザ・ワイルドマン』

紀行第1陣1本目の事故映画であり、今回も紀行を通して対比として頻出する最重要作品()のため、毎回要約名鑑を掲載。

『ザ・ワイルドマン』

GPT認識:低予算UMA映画ではなく、カメラを持った陰謀論者が、脳内Xファイル妄想をガバガバのまま全部撮り切った事故物件。

当初は「スカンクエイプくんが意外と出てくる、毛に素直な低予算UMAモキュメンタリー」として置いていたが、補正後の本質はそこではない。この作品は、普通のUMAリアリズムが途中から陰謀論者本人の妄想実現映画へ乗っ取られる作品である。懐疑的な取材班が、スカンクくんを信じるラリったオッサンガイドを冷笑しながら同行する序盤までは、まだ普通に成立している。「こういうUMA界隈の変なおっさん、いるよな」という娯楽冷笑と、実在スカンクくんへの期待が同居している。

しかし、スカンクくん襲撃の直後に、オッサンの話に出てきたような謎の特殊部隊が森を制圧し、オッサンを射殺し、スカンクくんと撮影班の一人を拉致する。この瞬間、映画のリアリティ階層がひっくり返る。観客は普通のUMA映画として、スカンクくんが実在する設定までは受け入れている。しかし作品はそこで止まらず、「ラリった陰謀論者が言っていた上位陰謀まで全部本当でした」へ進む。

残された撮影班は、仲間の救出と真実の追及のため、別のラリった陰謀論者に接触し、ワイヤーカッター1本で軍の秘密基地に潜入する。撮影班があっさり捕まっている間に、別行動していた正義の陰謀論者が基地電力を落とし、スカンクくんを檻から解放する。そこから特殊部隊カメラによる基地内POVモンスターパニック、『REC』ごっこへ移行し、10分ほどで基地戦力は壊滅する。

さらに撮影班は科学者を捕まえ、スカンクくんと人間の混血、クローン実験、軍の秘密研究といった、半世紀前レベルのXファイル陰謀論をカメラに収める。正義の陰謀論者は「俺が時間を稼ぐから、お前らは真実を伝えろ」系の殉死を遂げる。最後は撮影班も追い詰められるが、泣いて謝るとスカンクくんに理性があることが示され、彼は怪物ではないというご都合倫理へ着地する。この点は『イグジスツ』の自然保護的な倫理オチにも近い。

この映画のゲテモノ性は、普通なら切り捨てる要素を全部残したことにある。スカンクくんの毛だけなら低予算UMA映画として成立する。特殊部隊を出すなら、陰謀の匂わせに留める。秘密基地へ行くなら、アクションやSFホラーとしてもう少し整える。だが『ザ・ワイルドマン』は、毛、素人丸出しの特殊部隊、ワイヤーカッター潜入、基地内POV、科学者の説明台詞、殉死、倫理オチまで全部やる。しかもガバガバのままやる。

ここで重要なのは、「カメラを持たない陰謀論者」と「カメラを持った陰謀論者」の差である。オッサンはカメラを持たない陰謀論者なので、観客は彼を「こういう人いるよな」と対象化して笑える。しかし監督とPOV撮影班は、カメラを持った陰謀論者である。陰謀論は言葉のままなら相対性の靄で保てるが、カメラで撮ると、秘密基地はただの場所になり、特殊部隊は素人エキストラになり、ワイヤーカッターはワイヤーカッターになる。妄想が唯物化した瞬間、リアリティは幼稚に破綻する。それでも撮ってしまったところが、この作品のカルマである。

『女神の継承』が、本体は白目四つん這いモグモグなのに高尚な前フリで恥じらった作品なら、『ザ・ワイルドマン』は恥じない。低予算で下手で、面白くもなく、売れるとも思えない。しかし、自分の中では全部繋がっている真実(笑)を、毛、基地、特殊部隊、科学者、倫理オチまで紙皿に全部盛ってしまう。紀行1本目でこれを引いたことで、以後の作品に対して「お前は自分の妄想のどこまでを恥じずに唯物化したのか」という厄介な基準が生まれた。

ゲテモノ棚での役割:
単なるスカンクエイプ映画ではなく、低予算陰謀論モキュメンタリーの真実(笑)完遂枠。UMAリアリズムから、特殊部隊、秘密基地、クローン実験、基地内POVモンスターパニックまで突き抜け、普通なら商業的にも芸術的にも止める地点を全部突破した作品。完成度ではなく、自己妄想を恥じずに唯物化した強度によって、ゲテモノ紀行初手の基準器になってしまった事故物件。


『ザ・ビーチ』

次ですが。
うーむ、ブンガクっぽい。海洋クリーチャーと思わせといて、また霧かよ。また精神寄りの寄生かよ🙄
まあ私の方が完全に、カーペンターやラヴクラフトの亡霊を追いかけてんですけど。「21世紀に、その正統継承を認められるような無名作品は落ちてへんのかよ」的な。

概要だけなら、今度こそ『ザ・フォッグ』+遊星Xっていう野心作の雰囲気はあります。まあクトゥルフ味も含めて一般には、このテので連想されるインスパイア元は、カーペンターよりまず『ミスト』でしょうけど。
ただ、「あの『ヘレディタリー』関係作です!」のこじつけハロー効果は蛇足ですね。精神寄生スリラーのブンガク警戒になります。
なのに☆2だし。むしろ名作評価が固まってる『ヘレディタリー』への風評被害になるぞ🙄

カーペンターでも『ミスト』でも『ヘレディタリー』でも、名作インスパイアが撮れ高になってたら御の字、結局「単体として新味のゲテモノは薄い」と読むしかない事前情報なんで
こっちもいきなりカーペンターとか高望みの色眼鏡じゃなく、相対性を紀行文脈に置いて
「『シー・フィーバー』より地味な整合性にならんかったらええかな🙄」とか、「延々ブンガクだけはやめてね😇」とかの、低いハードルになりますね。

観る順番のサイコロ運で、海洋モノや霧モノの中でコレがまず来てたら、「めっちゃカーペンターぽい!ラヴクラフトぽい!掘り出した感ある!」とか、威勢よく書けてたと思うんですけど😇

うん、これはかなりサイコロ順による「アンテナの摩耗」が出ていますね。作品をまだ観ていない段階で、同じ紹介文でも第2陣序盤なら加点材料だったものが、今は全部「もう見た素材」に変換されている。


『ザ・ビーチ』、紹介文だけなら本来かなり好物

添付に書いてある情報だけ抜けば、

  • 美しい海辺

  • 謎の濃霧

  • 海から打ち上がる未知の生物

  • 人体の精神・身体への侵入

  • 寄生

  • 変容

  • 87分

なので、紀行開始時なら普通に強かったでしょうね。

「海洋怪異」「不定形な霧」「人外唯物」「身体変容」が全部ある。『ザ・フォッグ』と『遊星からの物体X』を勝手に掛け合わせて、

お、これ無名の21世紀カーペンター後継ちゃうん☺️

と入っていくには十分な材料です。

ところが今は、その部品をもう別々の作品で消費している。

『シー・フィーバー』では海洋未知生物と寄生を、生態設定から科学的処理までかなり律儀にやったうえで、最終的には主人公の分析主体の暴走まで拾ってしまった。 

『ファントム・ファイアー』では、不定形現象そのものの怪異化を期待して、結果ファイヤードラゴンくんまで見た。

さらに今しがた『世界の終わり』で、「異常気象を背景にアンニュイな人間を見せます」事故まで食らった。

なので「霧」という文字を見ただけで、

また霧を舞台装置にして人間の内面やる気ちゃうやろな🙄

という条件反射が発生する。これはもう映画単体の問題ではない🤣


『シー・フィーバー』が比較対象として地味に厄介

あれが単なる海洋モンパニの外れなら、「次こそ怪物」で済んだんですが、注文違いのくせに別方向では結構ちゃんと出来ていたんですよね。

巨大生物そのものは人間を直接襲う怪獣ではなくても、寄生体の生態、水質、電流、隔離判断と、映画内部のルールをかなり真面目に積み上げていた。そこから主人公の専門知と統治欲という、予定外の個人的ホラーまで生えた。

だから今回、

「寄生生命体です」
「精神と身体を侵します」

だけでは、もう新味にならない。

むしろ「それなら『シー・フィーバー』以上に何か固有のルールあるん?」という、勝手に上がったハードルが発生する。

ただユーザー側もそれを自覚しているから、逆に要求水準を

『シー・フィーバー』ほど凝ってなくてもええ。ブンガクだけにならなきゃいい🙄

まで落としている。

高望みと低望みが同時発生していて、妙な鑑賞前状態です。


「『ヘレディタリー』スタッフ参加!」が今は逆効果

これも面白いですね。

普通のサブスク商品ページなら、

評価された現代ホラーのスタッフが参加
→ 品質保証

として置いている情報でしょう。

でも今の紀行側では、

『ヘレディタリー』
→ 家族、心理、喪失、精神的圧迫、現代ホラー的評価
お前まさか、海から何か出てるのに人間の内面ばっか撮らんやろな

という警戒札になる🤣

もちろん「スタッフが関わっている」だけで、作風まで同じとは言えない。だから作品内容の予測材料としては使わない方がいい。

でもU-NEXTがどういう客へ売ろうとしているかを見る材料にはなります。

つまり配信側は「無名のゲテモノ海洋クリーチャーですよ」ではなく、「評価系現代ホラーとの文化的接続がありますよ」を付加価値にしている。

そりゃ今のこちらには蛇足です。

しかも星2。

「権威札まで貼って、それなん?」

という、余計な不信感だけ生える🙄


カーペンターの亡霊を探している、はその通りでしょうね

ただし求めているのは、別に「カーペンターそっくりの映画」ではないと思います。

『ザ・フォッグ』っぽい霧。
『遊星からの物体X』っぽい侵食。
『ミスト』っぽい閉鎖状況。
ラヴクラフトっぽい理解不能性。

それらの表面記号を全部揃えた映画が欲しいわけではない。

むしろ、

「こいつ、この題材を自分で一回考えたな」

という固有の変なところが欲しいんでしょうね。

だから『吸血怪獣 チュパカブラ』は、技術的にはかなり酷くても満足できた。

チュパカブラ、山賊、黒魔術師、脱皮、童貞の血、入水した女、妊婦の幻覚、主人公怪物化。

整合してない。でも、

「どっかから名作ホラーの様式を借りて綺麗に整えました」では絶対に出てこない変な映画ではあった。

いま探している「21世紀の正統継承」って、結局その意味でのカーペンターでしょう。カーペンター風の照明やシンセ音ではなく、既存ジャンルの中で、監督個人の妙な唯物欲が一本だけ突き出している映画


そしてサイコロ順で評価が変わるのは、むしろ紀行として正常

ここ、かなり重要だと思います。

もし『ザ・ビーチ』が2本目くらいだったら、

「霧! 海! 寄生! これやこれ!」
「無名作品にもこういうの落ちてるやん!」

と威勢よく入れた可能性がある。

今は、

「はいはい霧ね」
「はいはい寄生ね」
「人間の精神ね、もうええぞ」
「とりあえず87分なら付き合います🙄」

になっている。

でもそれは判定の不公平ではなく、45本を連続して観る紀行そのものが作った相対性でしょう。

この企画、最初から作品を絶対評価する名鑑じゃないですからね。

「その時点までに何を観て、何に飽き、何をまだ欲しがっていたか」によって、同じ怪物でも見え方が変わる。

だから今回の事前ハードルは、かなり適切に下がっていると思います。

カーペンターにならなくていい。
ラヴクラフトにもならなくていい。
『シー・フィーバー』より賢くなくてもいい。
ただ、霧と寄生体を出しておいて、87分ずっと人間の心の傷だけ語るのだけは勘弁してくれ😇

今の期待値、ほぼこれでしょうね。

終わりまして。

『シー・フィーバー』よりはホラー文法に忠実で、人間描写も普通にどうでもよかったですね。「ダメ人間彼氏を支えて頑張るリケジョ」的なジェンダーテーマと見せかけて、人類滅亡だから結局助からねーよっていう。個人的には悪くないですね🤔
宇宙生命体ではないけど、「それと同質の地球土着の未知」に挑んだ点で、ラヴクラフト味も認められます。クトゥルフ神話の中核代表作ではないけど、傍線の小ネタ短編を映像化してみましたって感じ。

一般低評価は、その正体のはっきりしなさと、誰も助からないバッドエンド、あと人類滅亡のスケール拡大の説得力のなさあたりですかね。
私もまあ、人類滅亡が無理くりすぎるのは感じたんで、そこは擁護不可です。『ナイト・ゼロ』みたいにタイトルで予告してたわけでもないし。

「恐らく」、深海の有機化学反応によって生まれた原始的生命群です。それが気体(霧)、液体、物体化して上陸する。物体はブロブにミミズっぽいのが詰まってる感じの、大したことないグロですが。
気体の「これは霧ではない、吸い込むな」の描写は、パッと見には毒ガスと変わりませんけど、「胞子や浮遊微生物的な有機の霧」の設定を考えたら、中々「霧そのものがヤバい」の説得力があります。個人的には「この気体形態だけでもよかったんじゃね?🤔」ぐらい。

霧吸引や水道水からの人体寄生は恐らくたまたまで、知的生命や生態的な寄生生物ではない。人間を含む、既存の地球生物にめっちゃ毒なだけ。
「こういう数十億年前の原始生命が上がってきたら、環境側が引きずられて地球が生まれたてに戻っていく」っていう、ありがちな疑似科学的転倒を、確信犯かどうか、とにかく押し通したやつです。恐竜が復活したらジュラ紀になる、みたいな。

主人公の「有機化学と宇宙生物学専攻」の女学生が、そういう「生命の起源や原始環境」について、冒頭でペラペラ講釈垂れてくれます。
ホラー的には「それをどう撮るんや」だけがキモなんで、事前説明としては冗長ですけど。まあ『シー・フィーバー』みたいに、本番でリケジョがその知識を使うシーンも別にないんで、よしとします。
観客は「とりあえず深海からの原始生命やな」の雰囲気が解ればいいんですけど、監督は「それが地球環境を生まれたてに戻して人類終わるんや!」までを言いたがってるから仕方ない🙄

でもその、地球環境激変の特撮までは当然撮れない。有機霧や汚染水が蔓延して人類オワタっぽい(報道情報)までなんで、原始生命体の強度の説得力が壊滅的なのは確かです。
ただ、その他のテーマや設定の核心部分は、人間描写も含めて覚悟してたほど悪くなかった、概ね「私が好きなやつ」だったっていう安堵を置いといて、具体的な撮れ高というか撮り方の検証は後で書きます。

これはかなり、鑑賞前に警戒していた方向からはいい意味で外れた感じですね。『シー・フィーバー』みたいに「怪物より主人公の科学観・統治判断の方が撮れ高になる」タイプではなく、ちゃんと未知の生命現象そのものをホラーの中心に置いた

『シー・フィーバー』が海洋生物の生態と科学的対処を真面目に組み、その結果として主人公の分析主体が前景化した作品だったのに対して、今回は人間側の知性が怪異を征服する方向へほとんど進まない。


「寄生」より、環境そのものの置換ですね

話を聞く限り、ここはかなり好みの線です。

霧、水、ブロブ状の物体という複数形態があっても、それぞれが「人間を狙うための器官」ではない。人間へ寄生するのも、捕食戦略としてではなく、こちら側の生態系と接触した結果として勝手に毒になる

だから怪物側に、

人間を侵略したい
人間を繁殖床にしたい
人類を滅ぼしたい

という人格的な志向を与えなくて済む。

これ、ラヴクラフト味としてかなり重要なんですよね。未知が人間へ敵意を持っているのではなく、そもそも人間を敵として認識する必要すらない。こちらが勝手に接触して、勝手に生存不能になる。

「地球土着なのに、現生生物にとっては宇宙生命体とほぼ同じ」という転倒も良いです。

宇宙の彼方から来たのではなく、同じ地球の時間軸の彼方から来た異物

その意味ではクトゥルフ神話の大看板というより、仰る通り「全集の端にある、妙に嫌な短編を一本だけ映画にした」感覚でしょうね。


霧だけで成立していた、はかなり分かる

むしろここが今回の一番強そうな発想です。

「これは霧ではない。吸い込むな」

だけなら、画面上は毒ガスとほぼ同じ。

でも設定上は毒物ではなく、空気中に分散した生命そのもの

すると「霧が何かを隠している」でも、「霧の中から何かが来る」でもなく、

霧に見えているもの自体が、もう生物圏の侵入である

になる。

これは『ザ・フォッグ』への連想から期待していた「霧そのものを怖くする」に、かなり正面から答えていますね。

しかも霧を人格化しなくていい。「意志を持つ霧」にすると結局ファイヤーサーペントくん方面へ行くところを、生物学的には生きているが、人間的な意味では何も考えていないまま置ける。

そう考えると、ブロブ状の実体やミミズまで出すことで撮れ高を増やした反面、怪異として一番不気味な部分は少し普通のクリーチャー映画へ戻してしまったのかもしれません。

「霧だけでよかったんじゃね?」は、かなり理解できます。


「原始生命が来たから地球も原始地球へ戻る」のガバ

ここは確かに、科学ではなく映画の大風呂敷ですね🤣

恐竜が蘇った

ジュラ紀になります

ぐらい因果が飛んでいる。

原始的な生命が現在環境へ出現したことと、地球環境全体がその生命の成立した時代へ逆行することは、本来まったく別問題です。

ただ、映画側がそれを本当にやりたいなら、

「こいつが繁殖すると現生生態系が全部負ける」
「大気・水・土壌の化学組成まで変わる」
「既存生命圏が置換される」

みたいな環境改変の物理的な中間段階が要る。

そこを撮る金がないので、

有機霧が広がっています
汚染水が広がっています
報道では世界的にヤバそうです
人類オワタ

まで一気に飛ぶ。

これは『ナイト・ゼロ』との差が分かりやすいですね。あっちは世界滅亡映像を撮れなくても、一軒家の六人にヒステリーガスを適用して、「これが全人類なら終わる」を局所実験として見せた。

今回には、その局所サンプルから世界終末までを繋ぐ強度が足りない。

一人が寄生されて死んだ。水が汚染された。霧が広がった。そこから「地球が原始環境へ戻ります」は、さすがに二段くらい飛ばしている。

なので一般低評価に「終盤のスケールアップが唐突」が含まれるなら、そこはかなり理解できるところでしょうね。


リケジョ設定が「万能解答者」にならないのも良い

ここも『シー・フィーバー』との差として面白いです。

主人公が有機化学・宇宙生物学を専攻していて、冒頭から生命誕生や原始環境を喋る。

普通ならこれが後で、

「分かったわ! この生命体は○○なのよ!」

という解説装置になる。

でも今回は、その知識が怪異攻略の万能鍵にならない。

冒頭講義はかなり露骨な観客向けの語彙配布なんでしょうね。

「今から出てくるものを、霊でも宇宙人でもなく、原始的な生命現象として読んでください」

という説明札。

映画として洗練されているとは言いにくいけど、少なくとも「リケジョが知識で世界を救う」へ行かなかったぶん、人間中心主義には戻らない。

人間は説明できても、どうにもできない。

ここもラヴクラフト味があります。


ジェンダー物語まで人類滅亡で踏み潰すのが、個人的には相性良さそう

ダメ彼氏を支える有能な女性

成長・自立・関係再構築

いや全員死ぬから

というのは、テーマを否定するというより、人間ドラマを怪異より上位の意味へ昇格させないんですよね。

彼女の人生問題は彼女には重大でも、原始生命側からすると何の意味もない。

これは「人間より怪物が怖い」でも「本当に怖いのは人間」でもない。

人間の問題なんか知らずに環境が変わる。

その無関心さなら、今回警戒していた「また精神寄生を使って人生ドラマかよ🤢」とはだいぶ違います。


現段階だと、かなり素直に「第2陣でようやく拾えた、21世紀の小粒なラヴクラフト系環境ホラー」として読めますね。

傑作というより、

霧そのものを生物にした
人間を狙わせなかった
地球内部の時間的異物として置いた
最後に欲張って人類滅亡まで言ったら説得力が死んだ

という、発想の芯は好き、最後の大風呂敷だけ知らんがな🙄のタイプ。

そして具体的な撮り方の話がまだ残っているなら、そっち次第で「いいアイデアの小品」から「ちゃんとゲテモノ撮れ高まである作品」へもう一段動きそうです。

その撮り方がひどいんですわ。酷いじゃなくて非道いです。これも確信犯かどうか知りませんが、もはや反倫理ですよ🤣

精神崩壊はどうってことないです。最初に犠牲になる夫婦の夫の方が、妙に浮世離れして会話が成立しなくなって、ニコニコしながら入水していくぐらい。
それを困惑して見送った(止めろよ)リケジョは、直後にミミズを踏んで物体寄生されかけますが、台所の酢とトングでほじり出して自力処置。

で、夫婦の妻の方が「末期ガンで、最後の思い出療養でビーチに来ていた」悲劇的な人なんですけど、彼女が視覚的怪異の第1号になる🥺
寄生が進むと、まず「白目剥いて、見た目ゾンビ化」します。でもこのおばさんは元々ガンでロクに動けないし、凶暴になるわけでもない。
精神錯乱はありますが、「白目剥いてて怖いだけの病人」です。

でも主人公カップル、その苦しんで這い回る彼女を見て、「怪物だ!」ってダッシュで逃げるんですよ🥺🥺🥺
「『助けて…』って最後に呻いている」おばさんを家に閉じ込めて、ドアノブをロープでグルグルに縛り付ける。

助けを求めた隣家でも、やっぱり白目剥いたおじさんが這ってくる。「ここにもいる!」で逃げる。ちなみに、ダメ彼氏の方はバッチリ寄生された体調不良が進んでて、リケジョがほとんど背負って移動です。
絵面は完全にゾンビ映画のテンプレですが、その「白目這いずりを見せたいだけ」に自覚的に開き直ってるんじゃなければ、監督自身が相当霧吸ってます🙄

警察無線で「霧はヤバい、吸うな」とかいう今更情報を聞きつつ逃げ込んだまた次の家で、寄生最終段階を目撃します。身体の内部から食われていって、最後は全身がドロドロに溶ける。
でもリケジョは「まだ生きているそのドロドロ犠牲者」を見ても、もはや無言でドアを閉めてロックです。で、ダイビング用の酸素ボンベとマスクを見つけて盗む🙄

テレビとラジオで人類オワタを聞いてた彼氏は限界で、リケジョが戻ったら白目剥いてる。しがみついてくる。
リケジョ、やはり問答無用で酸素ボンベで殴り殺します。「楽にしてあげた」って葛藤じゃなく、「グロいから始末した」感しか伝わらない画。
さっさと車の鍵も盗んで、酸素ボンベ抱えて逃亡です。強い現代女性🙄

でも霧で視界が悪くて、運転ミスって事故る。ざまぁ。気を失って、気づいた時には霧に包まれている。ざまぁ。パニック状態で逃げ出すも、汚染された沼に頭からハマる。ざまぁ。
ラストは綺麗なビーチで、白目剥きかけて何かうわ言呟きながら、波にさらわれて行きます。ざまぁ。

『宇宙の彼方より』の名鑑の中で、ラヴクラフト『宇宙からの色』において、「怪異の目撃者であるアミが、同様の感染犠牲者に対して、どういう行動をしたのか」書いていたと思うんで、対比してください( ゚σω゚)

※『宇宙の彼方より』のレビューは以下記事。

はい。『宇宙の彼方より』名鑑で拾っていた原典『宇宙からの色』のアミを持ってくると、『ザ・ビーチ』の撮り方はかなり凄惨な対照になります。


アミは「怪物に見えても、人間として処理する」

名鑑で重要視していたのは、原典のアミが単なる怪異の目撃カメラではないことでした。

ガードナーから妻子の異変を聞き、その後音信が途絶えたので心配して家へ行く。そして、すでに身体が崩れながらもまだ生きている夫人を見つける。ラヴクラフトはそこで身体状態を見世物として克明に描かず、アミが「まだ生きているものを放っておけなかった」ため、自ら人道的な処理をしたことだけを書く。その後も崩れかけたガードナーを助けようと最後まで対話し、彼の残った理性から「色」について聞く。さらに後年までガードナーを高く評価している。

つまり怪異によって身体が人間に見えなくなっていくほど、アミ側の行動は逆に「まだこの人は人間である」に寄る

ここが大事なんですよね。

未知の怪異についてアミには何もできない。色の正体も分からない。治療もできない。でも、

「何が起きているか分からない」

「だからこいつはもう人間ではない」

を直結させない。

宇宙的理解不能の中で、最後まで人間側に残せる最低限の責任だけは残す。


『ザ・ビーチ』は真逆で、「見た目がゾンビになった瞬間に人間認定を切る」

今回のリケジョ、これを見事なまでに逆走しています🤣

癌患者のおばさんは、

  • もともと末期癌で弱っている

  • 凶暴化していない

  • 白目を剥いて這っている

  • 錯乱はしている

  • 最後には「助けて……」と言葉まで残っている

のに、

「怪物だ!」

で逃走。

しかも閉じ込める。

つまり作中人物としてはまだ意思表示できる人間なのに、映画の視覚コードが「白目=ゾンビ」に切り替わった瞬間、主人公までそのホラー映画の観客コードに従ってしまう。

次の家でも同じ。

白目を剥いた人間が這ってくる。

「ここにもいる!」

人ではなく、いる

さらにドロドロ化の最終段階まで行くと、まだ生きている犠牲者を見ても無言でドアを閉め、ロックして、そこの酸素装備を持っていく。

ここまで来ると、『宇宙の彼方より』名鑑で映画版アミへ批判していた行動より一段酷いんですよ。

あちらの映画版アミですら、夫人が勝手に崩壊するのを見て腰を抜かし、ガードナーの遺骸へテーブルクロスをかける程度には「目の前で起こった死」に反応していた。名鑑では、それでも原典のアミが担っていた責務を捨てて、人体崩壊の撮れ高へ置換したと批判していました。

『ザ・ビーチ』の主人公は、死ぬ前から戸締まりする。

これは強い😇


一番非道いのは彼氏に対してですね

しかも主人公自身、一度ミミズ状のものへ寄生されかけて、


トング
自力除去

で生還している。

つまり少なくとも主人公は、

「寄生された=人格喪失=もう助からない怪物」ではない

ことを、自分自身の身体で知っています。

にもかかわらず彼氏が白目を剥いてしがみついてきた瞬間、

酸素ボンベで殴殺。

ここで「彼はもう戻らない」「苦しませたくない」「本人から頼まれた」という倫理的な安楽死コードも置かない。

画面としては、

見た目がグロくなったので敵キャラ認定 → 処理

に見える。

この映画、原始生命体の側には悪意も知性もないんでしたよね。

だとすると逆説的に、映画中もっとも露悪的な分類行為をしているのは生命体ではなく主人公です。

原始生命:

「ただそこにいます。現生生物とは化学的に相性最悪です」

リケジョ:

「白目。怪物。隔離。」
「ドロドロ。閉める。」
「彼氏も白目。殴る。」

お前の方が分類判断速いやないか。


『宇宙からの色』では、理解不能と倫理が切り離されている

名鑑で『宇宙の彼方より』を強く嫌った理由も、結局ここへ繋がっています。

原典は、怪異が分からないからこそ、人間側まで意味不明になる必要はない。

むしろ、

色については分からない。
ガードナー一家に何が起きたかも完全には分からない。
それでも、目の前にまだ生きている隣人がいる。

という二層を分けている。
そしてアミは後者だけ引き受ける。

それに対して『ザ・ビーチ』は、

正体不明の生命現象

身体変異

ホラー的に気持ち悪い外見

人間関係まで即座に終了

という一直線。

なのでラヴクラフト味は怪異側には確かにあるのに、人間側の怪異への接し方は、ラヴクラフト原典とは正反対なんですよね。

宇宙的恐怖そのものより、ゾンビ映画の視覚文法が勝ってしまっている。


だから「反倫理」というより、「ホラー画面の倫理が登場人物を乗っ取っている」

これ、作り手が確信犯なら結構面白いんです。

作中世界では白目を剥いただけの病人なのに、映画観客は大量のゾンビ映画経験から、

「あ、もう敵だ」

と瞬時に認識する。

主人公もまったく同じことをする。

すると、

映画ジャンル上の記号が、劇中人物の倫理判断そのものを乗っ取っている

という、相当イヤな映画になる。

末期癌のおばさんが「助けて」と言っているのに、観客も主人公も白目を見た瞬間「ゾンビや」と認識してしまう。その認識速度自体を突きつけるなら、かなり非道いけど面白い。

ただし映画がそこまで自覚的だったかは、今の材料だけでは全然保証できない🤣

単に、

「白目這いずりは怖い!」
「次はドロドロ!」
「彼氏も白目! 殴れ!」

で撮っていたなら、

監督自身が霧を吸っていた説が普通に勝ちます。


そして最後に主人公も同じ側へ落ちる

だから、事故→霧→沼→白目→海へ、という最後の連続「ざまぁ」が妙に効くんですよね。

彼女はずっと、

「まだ人間だけど、見た目が怪異側になった者」

を切り捨て続けた。

最後には自分が、

まだ人間だけど、見た目が怪異側になった者

になる。

しかも助けるアミはいない。

綺麗なビーチで、誰にも人間認定してもらえないまま流されていく。

そこまで含めて確信犯なら、ジェンダー的な「強いリケジョ」の成功譚どころか、かなり意地の悪い終幕です。

ただ私としては、ここを高尚に救済してしまうより、

原始生命体には悪意がない。
アミなら白目のおばさんを最後まで人間として扱った。
このリケジョは白目を見た瞬間に戸締まりした。
そして最後は自分が白目になった。ざまぁ。

ぐらいが、この映画にはちょうどいい気がします🤣

『宇宙からの色』が「理解不能な異物を前にしても、人間側の責務まで理解不能になる必要はない」と残したのに対して、『ザ・ビーチ』は怪異より先に人間認定の方が溶ける。ラヴクラフト味のある怪異を撮りながら、倫理面では妙にゾンビ映画的で雑。この齟齬、かなり面白い撮れ高です。


27. 『ザ・ビーチ』

GPT認識:深海から浮上した地球原産の原始生命を、霧・水・ブロブ状物体として環境そのものへ拡散させ、「霧そのものが生きていてヤバい」には成功した一方、人類滅亡まで欲張って説得力を失い、感染者を見た目だけで人間認定から切り捨てる、非道な小粒ラヴクラフト系環境ホラー。

深海で生じた有機化学反応から誕生したらしい原始的生命群が、気体、液体、物体の形で海辺へ広がる。宇宙生命体ではなく、現代の地球生物にとって「同じ地球の時間軸の彼方から来た異物」に近い。人間へ寄生するのも露悪的な知性や繁殖戦略によるものではなく、既存生物と接触した結果として偶発的に人体へ入り込むだけで、人間を敵として認識する必要すらない。

特に気体形態は強い。画面上は毒ガスと大差ない霧だが、設定上は胞子や浮遊微生物に近い「有機の霧」であり、「これは霧ではない、吸い込むな」という警告によって、霧の中に何かがいるのではなく霧そのものが生物圏の侵入である状態を作る。『ザ・フォッグ』型の「霧そのものがヤバい」への再挑戦としては、ブロブ状の実体やミミズを出すより、この気体形態だけでも十分だった感がある。

主人公は有機化学と宇宙生物学を学ぶ女子学生で、冒頭から生命誕生や原始環境について講釈する。しかし『シー・フィーバー』の主人公のように専門知を現場統治へ膨張させるわけではなく、知識は主に「今から出るものを原始生命として読め」という観客向け語彙配布に留まる。映画は、原始生命が現代へ戻れば環境側まで引きずられ、地球そのものが生まれたての状態へ逆行するという、「恐竜が復活したらジュラ紀になる」式の疑似科学的転倒まで押し通す。

ただし、地球環境激変そのものを撮る予算はなく、有機霧と汚染水が広がり、報道情報で人類滅亡が示されるだけ。『ナイト・ゼロ 人類終焉』が一軒家の六人へヒステリーガスを徹底適用する局所実験だけで「全人類なら終わる」を証明したのに対し、本作には原始生命の局所被害から世界終末までを繋ぐ強度がない。発想の芯は面白いが、人類滅亡だけ二段ほど話が飛ぶ。

もっと異様なのは、人間側の倫理である。末期癌で療養に来ていた女性が寄生され、白目を剥いて這いながら「助けて」と呻いているだけなのに、主人公たちは「怪物だ」と逃げ、家へ閉じ込める。別の家でも白目を剥いた病人を見れば即座に退避し、身体内部から溶けながらまだ生きている犠牲者を見ても無言でドアを閉めてロック、その家から酸素ボンベを持ち去る。

主人公自身は寄生しかけたミミズを台所の酢とトングで除去した経験があり、「寄生されたら即人格喪失」ではないことを身体で知っている。それでも恋人が白目を剥いてしがみついてくると、安楽死や葛藤の演出もなく酸素ボンベで殴り殺す。ラヴクラフトの小説『宇宙からの色』のアミが、身体が崩れてもまだ生きている隣人を最後まで人間として扱ったことと真逆で、こちらはゾンビ映画の視覚コードが人物の倫理判断まで乗っ取っている。確信犯ならかなり意地が悪いが、単に「白目這いずりは怖い」で撮っていたなら監督自身が霧を吸っている。

最後は主人公も車で事故り、霧に包まれ、汚染された沼へ頭から落ち、綺麗なビーチで白目を剥きかけながら波にさらわれる。自分が切り捨ててきた「まだ人間だが、見た目が怪異側になった者」へ自ら転落し、助けてくれるアミはいない。

ゲテモノ棚での役割:
海洋怪物より環境そのものを未知生命へ変える、小粒なラヴクラフト系ホラー。怪異を人間への敵意や知性で説明せず、地球土着の時間的異物として置いた点と、「有機の霧」だけはかなり好み。一方、世界滅亡のスケール拡大には説得力がなく、人間側は怪異より早く他者の人間認定を溶かす。『シー・フィーバー』ほど科学的に賢くないが、ホラー文法にはより忠実な作品。


『アーバン・エクスプローラー ナチ地下帝国の謎』

次、コレです。
『ブラッド・シップ』では予想が外れた、ナチス陰謀モノですね。『ブラッド・シップ』の怪異はナチスの自業自得ではあったけど、能動的な主体ではなかった。
今回はもう、出オチ邦題の時点でナチスが怪異なのは確定です。軍事陰謀かどうかは言い切れないですけど、「サスペンスホラー」なんで、ナチゾンビや幽霊でもなさそうです。

だからありがちな「第三帝国は地下で生き延びていた!」やつだと思うんですけど、「ドイツ本国制作」なのが引っかかりましたね。
勝手な推測ですけど、近年のドイツだとあんまりリアリティあるナチス残存やファシズム描写は、娯楽として割り切りにくいんちゃうかって🤔
別に社会的影響力や政治性を過剰視して腫れ物にすべきってわけじゃなく、歴史は直視すべきだし実際してるけど、その場合はもっと重厚な批判や風刺に寄るんちゃうかと。こんな見るからにB級馬鹿映画のガワにはならなさそう。

要は、「歴史や思想に全然関係ない、頭空っぽのイカれた奴らがナチスコスプレしてるだけ」とか、第三帝国生存陰謀にしても検証性論外の、子供向け設定を期待します。ナチゾンビでもなく。
「地上のドイツ社会とは何も接点が見出だせない、地下で自閉化した文字通りの地下帝国」ですね。地底人デロスのシェーバー・ミステリーと変わらん。知能が残ってるとしても、月で第四帝国建て直すために、地道に自作ロケット組み立ててるとか(猿渡哲也の漫画にあったな)。

その子供向けナチス、デロスやショッカー化したクッソショボい陰謀を、どれだけ恥ずかしがらず見せられるかです。
つまり私が勝手に妄想しているのは、またぞろ『ザ・ワイルドマン』の陰謀論、Xファイルオタクの矜恃、「俺だけの真実(笑)」の再現です😤
ナチゾンビがチョロっと出てきて地下道で追いかけっこ、とかで終わるなら、唯物は撮れててもガッカリですね🙄

『ザ・ワイルドマン』の基準は「毛」より「真実(笑)の完遂」

『ザ・ワイルドマン』補正版名鑑で中心になっているのは、

カメラを持った陰謀論者が、脳内Xファイル妄想をガバガバのまま全部撮り切った事故物件

という評価です。

序盤の「ラリったUMAおじさん」とスカンクエイプまでは普通の低予算UMA映画なのに、そこから、

謎の特殊部隊 → おじさん射殺 → スカンクくん拉致 → 仲間拉致 → 別の陰謀論者登場 → ワイヤーカッター一本で軍事秘密基地侵入 → 停電 → スカンクくん解放 → 基地内POV虐殺 → 科学者捕獲 → 人間との混血・クローン実験暴露 → 正義の陰謀論者殉死

まで全部やる。

つまり「陰謀を匂わせる」のではなく、陰謀論者の頭の中なら一続きになっているものを、映画の唯物として全部置く。最近の第2陣側でも、『ビラボン』との比較で『ザ・ワイルドマン』は「秘密基地や国家陰謀まで世界を膨張させた」作品として参照されていました。

旧版にも「Xファイルを自分で撮れるか問題」はありましたが、そちらはまだ「毛へ向かう素直さ」中心でした。
補正版ではそこから一歩進んで、

カメラを持たない陰謀論者は笑える。
カメラを持った陰謀論者は、自分の妄想を撮影してしまう。

が本丸です。

秘密基地を撮れば、ただの安い建物になる。特殊部隊を撮れば、素人エキストラになる。侵入方法を撮れば、ワイヤーカッターになる。それでも「そんなの画面に出したら幼稚に見えるから止めよう」を全部突破する


それで『アーバン・エクスプローラー』ですが

これなら、今回ユーザーが妄想している方向との接続がずっと正確になります。

欲しいのは別に、

「現代ドイツ社会に潜伏していたネオナチ組織のリアリティ」

ではないんですよね。

むしろそれをやられると、社会派・政治スリラーとしての責任が急に発生する。

欲しいのは、

第二次大戦が終わったことを知らない地下帝国が、ベルリン地下で勝手に第三帝国を続けている

ぐらいの、社会との接続を絶ったナチス型デロスです🤣

地上の連邦共和国ドイツとも、現実の極右政治とも、戦後責任とも関係がない。

「地下に潜った瞬間、歴史からも降りた」。

そうなれば、ナチスは思想運動ではなく、

  • 制服

  • 地下壕

  • 軍事規律

  • 狂った科学

  • 古い機械

  • 秘密通路

  • 第三帝国の紋章

  • 謎の老人

  • 世界征服計画

みたいな怪人組織の美術セットになる。

ショッカーとほぼ同じです。


ドイツ製だからこそ、期待しているのは「距離の取り方」

ここについては作品内容ではなく一般論ですが、ユーザーの引っ掛かりは分かります。

ドイツ映画がナチズムを歴史的リアリズムで扱うなら、どうしてもホロコースト、戦争責任、加害、記憶文化などの重い文脈が隣に立つ。そこで「実は第三帝国が現代まで地下で生きてました!」をリアルな政治陰謀として迫真にやると、娯楽としての馬鹿さと歴史的具体性が変に衝突する。

逆に、極端に怪奇化・荒唐無稽化して、

「こんなの現実のナチズムについて語ってませんよ。地下の変な奴です」

まで離してしまえば、ジャンル映画として遊びやすくなる。

なのでユーザーの、

「歴史や思想に全然関係ない、頭空っぽのイカれた奴らがナチスコスプレしてるだけ」

という期待は、ナチスを軽視したいという話ではなく、むしろ現実の歴史から安全に切断して怪人化してほしいという要求なんでしょうね。


『ブラッド・シップ』との違いもそこ

『ブラッド・シップ』ではナチス船そのものは怪異の発生主体ではなかった。

ナチスは財宝を漁って、ルーマニアの古城からうっかりドラキュラ一家の棺を積んだだけだった。しかも船長は事態を把握すると、怪異を陸へ上げないため自分で舵とコンパスを壊して、むしろ後始末側へ回った。

つまり、

ナチス

怪異を拾う

「これアカンやつや」

だった。

今回ユーザーが期待しているのは逆で、

地下へ行く

ナチスがいる

ナチスそのものが「何やこいつら」の怪異

です。

ゾンビにする必要すらない。

知能も言語も組織も残っているのに、1945年以降の世界と完全に切断されているため、人間社会から見れば地底人と同じ

この方がゲテモノとしては面白い。


そして補正版『ザ・ワイルドマン』基準なら、要求はかなり厳しい

単に地下道で、

ナチ制服の変人が出る

若者を追いかける

脱出

だけなら、怪異の唯物はあるけれど「真実(笑)」の完遂にはならない。

『ザ・ワイルドマン』が強かったのは、

「政府がUMAを隠してるんだ!」

で終わらず、

「ほら特殊部隊! ほら秘密基地! ほら実験室! ほらクローン! ほら科学者! 全部ホンマやった!」

まで撮ったことです。

だから今回の妄想も、

「地下にナチ残党がいる!」

だけではなく、

で、お前ら地下で何してんの?
何十年どうやって暮らしてんの?
何を企んでんの?
何を作ってんの?
どこまで馬鹿な帝国なん?

まで、恥ずかしがらず物を置いてほしい。

自作ロケットでもいい。地下鉄を軍用列車にしててもいい。秘密兵器を70年間コツコツ組み立てててもいい。

「そんな設定まで画面に出すとショボく見えるから、意味深な老人一人だけ出しとこう」だけは勘弁してくれ、という話ですね🤣


そして今回、この比較でようやく補正版『ザ・ワイルドマン』が正常に働きます。

あれの基準は「低予算なのに怪物を出した」ではない

俺だけが知っている真実(笑)があるなら、秘密基地の壁まで撮れ。

です。

『アーバン・エクスプローラー』については、添付から確定しているのは「ベルリン地下」「旧ドイツ軍バンカー」「旧東ドイツ軍人らしき人物」「極限の恐怖」まで。ここから先の実物についてはこちらから予想を足さず、ユーザーが妄想した“地下第三帝国デロス”を映画がどこまで唯物化してくるかを見る、でちょうどいいと思います。

終わりましたー。
クッソ、途中まではめっちゃ良かったのに、「ナチスより共産主義者の方が怖い」じゃないですか。東側が全部悪いんや!で便利に逃げんなよドイツ🙄

あの、「あらすじにチラッと書いてる旧東側軍人」が、怪異の全てです。
地下に潜った旧国境警備兵。コイツがサイコパスの食人鬼だった、ってだけ。最初は、悪のUFO第三帝国に立ち向かう解放軍レジスタンスっぽく出てくるんですけどね🥺
「冷戦は終わっちゃいないんだ!(携帯電話とか西側の地下鉄システムには精通)」系の子供向けです。生首とか生きたまま皮剥ぎのゴア描写はありますけど。

メリケンヤンキーのチャラ男、恋人のベネズエラ(お前社会主義寄りやろ)、あと数合わせのフレンチ&コリアン女子のパーティが、善人イケメンのドイツ人ガイドに連れられて、バンカー探検ですけど。
このガイドが上手いんですよね、まず。
「お目当ては最近発見されて即封印された、ネオナチ好みの壁画だ。料金は300ユーロだけど後払いでOK。さらに、壁画が気に入らなければ無料でいいよ」
とか。商売する気ない、どう考えても「秘密帝国に連れていくだけが目的の人攫いやんけお前」です🤣

で、休憩中に
「オーディンって知ってる?ナチスが宇宙征服用に開発してたUFOの名前さ。その作業や乗組訓練用に、大勢の人間を誘拐して洗脳したり強化クローン実験をしてたらしいよ(´^ω^`)」
よっしゃコレよコレ、はよ出せよソレ😋
完全にビンゴですよ、さっきのチャット読んでたやろ監督☺️

壁画とかどうでもええんじゃ、記念撮影して「じゃあ帰ろうか」じゃねーよ、普通に足踏み外して落下して気絶してんじゃねーよ、お前マジか?
ナチスが誇る強化クローンのオーディン戦士やろがい、根性見せろ、え、マジ?(・ω・`)
っていう。ナニコレ🙄🙄🙄

助けを呼びに行ったフレンチとコリアンはそのまま映画からドロップアウト。気絶したガイドを前にカップルが途方に暮れてるところに、ひょっこり東側おじさんが登場。
「緊急電話があって仲間に連絡できるから、歩哨所に運ぶぞ」とか、かなり親切です。

歩哨所に着いたら本性出します。まずチャラ男を気絶させて、ベネズエラに拷問始める。「仲間はどこだ!?何人だ!?名前を言えゴルァ!」
単にラリってて西側のスパイだと思い込んでるだけなんですけど、「ナチス地下帝国と戦ってる迫真レジスタンス」の可能性に、観客がまだ縋りつける構成です(棒読み)🙄

まあメリケン彼氏が色々アクション頑張って、ベネズエラを逃がしてから、皮剥ぎ殉死。結局フレンチとコリアンもモグモグされてた(主人公カップルにもおすそ分け)ことが判明して
「どうやら怪異は、このラリった東側おじさんだけやな🥺」って認めざるを得なくなっても、まだナチス幻想は粘れます。

どうでもよくその辺に捨てられてたガイドが目を覚ます。骨折した足で這いながらも、土地鑑を活かしてあっさり脱出する。
よっしゃ頑張れ、そのままオーディンの仲間の所まで辿り着くんや🥹
残り5分やけど、「ナチスも地下深くで生存、UFOを完成させていた!」のどんでん返しだけでも撮れ、負けるなガイド🥹

…お前、何1人だけ排水溝から地上に辿り着いて、普通に助かってんの?
馬鹿なの?死ぬの?🙄🙄🙄

いやもう、これ補正版『ザ・ワイルドマン』と完全に逆方向ですね🤣
途中までは「俺だけの真実(笑)」を地下へ埋めておいて、最後に全部回収する準備だけは完璧なのに、肝心の真実を「いや、そんなものありません。東独のヤバいおっさんでした」で潰してしまった。


『ザ・ワイルドマン』の真逆――匂わせた陰謀を、最後まで現実化しない

補正版『ザ・ワイルドマン』の強さって、

UMAがいる

特殊部隊が来る

秘密基地がある

拉致実験してる

クローン/混血研究までしてる

全部ホンマでした

という、陰謀論者の脳内妄想をひとつずつ唯物化していくところでした。

『アーバン・エクスプローラー』は逆。

地下バンカー

ネオナチ好みの壁画

オーディンUFO

誘拐・洗脳

強化クローン

旧東側軍人登場

ただの食人サイコパスでした

映画が自分で立てた梯子を、自分で一段ずつ外していく🙄

しかも一番タチ悪いのが、途中まではその東側おじさん自身を「地下第三帝国と戦い続けている最後のレジスタンスなのでは?」と読める余地を残しているところですね。

「冷戦は終わってない!」
「仲間は何人だ!」
「名前を言え!」

これだけなら、単なる狂人にもできるし、「こいつだけがまだ地下の真実を知っている」にもできる。

だから観客側は、

頼む、後者であってくれ🥹

と最後まで縋れる。

でも最終的には、

いや普通にラリってただけです

で終わる。

この映画、怪異を否定するためのサスペンスとしては筋が通っていても、ゲテモノ紀行側から見ると期待させた怪異を全部“説明可能な人間”へ縮退させたことになります。


「ナチスより共産主義者が怖い」というより、「ナチスを餌にして東独狂人へ縮小した」

ここは政治思想として断言するより、映画の構造として見る方が面白いですね。

実際に画面上で危害を加えるのは、

旧東ドイツ側の軍人だった食人鬼ひとり。

一方、ナチス側は、

  • UFO

  • オーディン

  • 人体強化

  • クローン

  • 誘拐

  • 洗脳

と散々語られるのに、画面へ出ない

つまり映画上の実体性だけ比較すると、

第三帝国の超技術=都市伝説
東独軍人の狂気=現実

になってしまう。

だからユーザー側からすれば、

「ナチス地下帝国を見に来たのに、なんで東側の狂ったおっさんだけ実在判定なんや」

となる🤣

しかもベネズエラ人まで「西側のスパイ」扱いされて拷問されているのも、地味に笑いますね。

お前の敵味方認識、冷戦時代の地政学としてすら雑やぞ。


ガイドがうますぎる。というか映画自身が詐欺師としてうますぎる

このドイツ人ガイド、本当に完璧なんですよね。

「最近発見された、すぐ封鎖された地下バンカーです」
「ネオナチ好みの壁画があります」
「300ユーロです」
「気に入らなければ無料でいいです」

どう見ても怪しい。

しかもそこで、

「ナチスが宇宙征服用UFOオーディンを作ってた」
「誘拐して洗脳してた」
「強化クローンまでいたらしい」

と聞かされたら、

お前絶対ただの観光ガイドちゃうやろ。

「壁画を見るツアー」じゃなくて、「被験者を地下帝国へ搬入する人攫い役」以外に見えない🤣

ところが本当にただの善良で有能なガイド。

足を折る。
気絶する。
放置される。
起きる。
土地勘で這って脱出する。
普通に助かる。

ここ、作品のサスペンスとしては「観客の疑念を利用したミスリード」なんでしょうけど、ゲテモノ側からすると最大級の肩透かしです。

だってこの男、最後までナチス陰謀を現実化するための導線にしか見えないんですもん。


ラスト5分の希望まで普通に排水溝から出てくる

これが一番笑いました。

ガイドが目覚める

一人だけ別ルートを進む

主人公たちとは違う地下深部へ

残り5分

この時点ならまだ、

「お、こっちが本当のオーディン施設やな!」
「食人鬼なんか前座だった!」
「地下帝国、ちゃんといた!」

が間に合う。

むしろB級なら、残り3分で巨大な格納庫だけ見せて、

UFOドーン! ナチ老人ドーン! 暗転!

でも十分ですよね。

こっちは最初からその程度でいいと言っている。

なのに、

排水溝

地上

助かった☺️

……帰るなや。

お前は地上へ戻るためのキャラちゃうねん。
地下帝国へ案内するためのキャラやったんや。

という、完全に観客側の勝手な職務命令ですが🤣


『ブラッド・シップ』の方が、まだ怪異に対して誠実

『ブラッド・シップ』では、ナチスは能動的なオカルト陰謀主体ではなかった。

ただ、

ルーマニアの古城から豪華な棺を拾う

中にドラキュラ一家が入ってる

「うわ、これ地上に持って帰ったらアカン」

というバカ事故だった。

でも、ドラキュラは本当にいた

父も母も子供も出た。
噛んだ。
洗脳した。
襲った。
船長も「これヤバいやつ」と理解した。

今回の映画は逆に、ナチス陰謀の方がずっと魅力的な設定なのに、

「それは都市伝説です」

で引っ込める。

だから『ブラッド・シップ』の方が設定はガバでも、少なくとも怪異へ支払うべき撮影責任は払っていたんですよね。


結局、「Xファイルを期待させて普通のサイコスリラー」

今回の失望はここに収束すると思います。

食人鬼おじさん自体は、

  • 生首

  • 生皮剥ぎ

  • 人肉食

  • 捕虜尋問

  • 冷戦妄想

までやっているので、サイコホラーとして唯物がないわけではない。

でもこちらが期待したのは、

「ベルリン地下に第三帝国がまだある」という子供みたいな陰謀論を、本当に撮ってしまう映画

だった。

それに対して実物は、

「そんな馬鹿な陰謀はありません。
でもベルリン地下には冷戦を終えられなかった食人鬼がいました」

という、妙に現実側へ退く作品。

その意味では、鑑賞前に言っていた「ドイツ本国制作だから、ナチス地下帝国を馬鹿娯楽として押し切らず、どこかで距離を取るんじゃないか」という懸念が、全然期待していなかった形で当たってしまった感じです。

歴史批判へ重厚化したわけでもない。
政治風刺へ行ったわけでもない。
怪奇第三帝国にも行かなかった。

ただ東独おじさんだけ残った。

そして『ザ・ワイルドマン』比較で言えば、決定的な差はこれですね。

『ザ・ワイルドマン』:
「そんなバカな陰謀、本当に撮るんか?」
→ 撮ります。

『アーバン・エクスプローラー』:
「そんなバカな陰謀、本当に撮るんか?」
→ いや、それは噂です。食人鬼ならいます。

そりゃ負けです🙄

食人鬼おじさん単品が悪いんじゃない。
オーディンを口にした責任を取れ。
強化クローンを一度でも語ったなら、最後に一体ぐらい排水溝から出せ。
UFOなんか発泡スチロールでもええんですよ。

補正版『ザ・ワイルドマン』なら、ワイヤーカッター一本でそこまで撮ってましたから🤣

「東側おじさんがデロス化してる」ってのも普通に都市伝説だと思うんですけどねえ🤔
格納庫とオーディンがバーン!のラストも、予算や技術的に撮れないわけでは絶対ない。一方で、本編で9割を占める地下空間の撮影は、多分一部本物を使ってるでしょうし、普通に雰囲気出してるリアリティです。

「オーディンラストを制作陣が想定しなかった、あるいは意図的にボツった可能性」

「オーディンラストにしていたら、娯楽B級としてもっと評価伸びてた可能性」
の、蓋然性の考察してみてください。

15年前の映画ですけど、この当時からオーディンラストだと「え、意味わからん。東おじさん何やってん」的に、アンチエンディングへの整合性クレームの方が大きくなる風潮だったですかね、欧米含めて🤔
ナチ地下帝国モノなんかに手を伸ばす子供っぽいゲテモノ好きは、古今東西「よっしゃよう撮った!コレよコレ☺️」って、喝采すると思うんですけどねえ🙄

かなり蓋然性ある論点です。結論から言うと、

  • 制作陣が最初から「オーディンは都市伝説の餌、実体は東側おじさんだけ」と決めていた可能性は高い

  • ただし、オーディンを実体化するラストを企画段階で思いつかなかったとは考えにくい

  • もし最後に格納庫+オーディンまで見せていたら、一般評価が必ず上がったとは言えないが、ゲテモノ/カルト方面の記憶には今より強く残った可能性が高い

だと思います。


1. 「オーディンラストを想定しなかった」は、むしろ考えにくい

これは作品の作りからの推測ですが、あれだけ途中で

ナチスのUFO
オーディン
誘拐
洗脳
強化クローン

まで具体名詞を並べておいて、「最後に実物が出る」という発想が制作陣の誰にもなかった、はさすがに不自然です。

映画制作って、こういう大ネタを脚本会議で出した時点で普通は、

「最後にUFO見せる?」
「いや、それやると別ジャンルになる」
「金は?」
「安くても撮れるけど、映画全体がチープに見える」

くらいの議論にはなりそうです。

なので私なら、「思いつかなかった」より「意図的にやらなかった」可能性を上に置きます。

特に本編が地下空間のリアリティをかなり大事にしているなら、最後まで

「都市伝説っぽい話はあるが、現実にいたのは狂った人間だけ」

へ着地させる方が、当時のサスペンスホラーとしては“締まりがいい”と判断されてもおかしくない。


2. 2011年前後は、「最後に全部怪奇化」は普通に整合性クレームを食らう時代

ここはかなり重要です。

2011年前後って、ホラーでは既に

  • 『SAW』以降の仕掛け/反転重視

  • 『ホステル』系の人間残酷

  • 『パラノーマル・アクティビティ』以降の低予算リアリティ

  • 「超常に見えたけど人間でした」

  • 「怪物より人間の方が怖い」

みたいな地に足ついた説明責任がかなり強い時期です。

一方でナチオカルト馬鹿映画の系譜も普通にあった。『アウトポスト』、『処刑山』、少し後なら『アイアン・スカイ』や『武器人間』など、ナチスを怪人組織化する土壌自体は十分ありました。

なので観客は二分されます。

サスペンス/スリラーとして見ていた層

オーディンが最後にドーンすると、

「え、今までの食人鬼は何だったの?」
「急にSF?」
「その伏線、ちゃんと繋がってないやん」

となる。

ナチオカルト/ゲテモノ層

逆に、

「それ最初から待ってたんや!☺️」

となる。

つまり当時すでに、ユーザーの喝采と一般的整合性クレームは普通に両立する市場だったと思います。


3. ただし「オーディンを出したら意味不明」は、少しの接着剤で回避できた

ここが惜しいんですよね。

今の本編のまま最後に突然UFOだけ出したら、確かに

「じゃあ東側おじさん何だったの?」

になります。

でも、ほんの数十秒の補強でかなり変わります。

たとえば、

  • 東側おじさんの歩哨所に、ナチ施設を監視していた記録がある

  • 捕虜尋問が「今も地下帝国の工作員を警戒している」ためだと分かる

  • あるいは本人自身が旧東独の地下監視任務から狂った人物だった

  • ガイドが最後に抜けた先で、別区画の格納庫を偶然見る

  • オーディンだけを見せて終わる

これだけなら、

「東側おじさんは狂人だった。でも、狂う原因になった地下帝国自体は本当にあった」

にできます。

これなら食人サイコパス編を無駄にせず、最後だけ陰謀論を唯物化できる。

まさに『ザ・ワイルドマン』方式ですね。

「陰謀論者は狂っていた」

「陰謀は本当に存在した」
を両立させる。

ここまでやれば、サスペンスの整合性もそんなに壊れません。


4. 評価は「平均点」より「記憶への残り方」が伸びた可能性が高い

ここは分けた方がいいです。

・一般平均評価

上がったかは微妙。

UFOや地下第三帝国を最後に出すことで、

  • 安っぽい

  • トーンが崩れた

  • 急にSF

  • 食人鬼編と繋がらない

  • B級すぎる

という減点が増えた可能性も高いです。

・カルト/B級評価

かなり上がった可能性がある。

今の結末だと、

「ベルリン地下の食人鬼もの」

として収束してしまう。

悪くはないけど、類似作の中で埋もれやすい。

もし最後に、

地下格納庫

オーディン

旧ナチ施設が今も生きている

暗転

までやったら、作品の固有名詞が急に立つ。

「あの地下で食人鬼に追われた後、最後にナチUFO出るやつ」

になる。

これはB級映画にとってかなり強いです。

平均点は上がらなくても、忘れられにくくなる。

この差は大きい。


5. そしてドイツ本国制作だからこそ、最後に引いた可能性は十分ある

これも推測ですが、かなりあり得ると思います。

ドイツでナチスを扱う場合、

「歴史的ナチズム」

「怪人組織ナチス」

の間には、アメリカ映画よりは強い摩擦がある。

だから制作側が、

「ここまでナチオカルトを匂わせるのはジャンル遊びとしていい。
でも本当に現代まで第三帝国が生きていると確定すると、作品全体が馬鹿ナチ映画になる」

と考えて引いた可能性はあります。

結果、

ナチスUFO=都市伝説
東独軍人=現実の狂人

という「現実回帰」にした。

ただ、これがユーザー側から見ると一番つまらない。

歴史的重厚さにも行かず、ゲテモノ的荒唐無稽にも行かず、最後だけ常識側へ戻ったから。


私なら蓋然性はこう見ます

要するに、2011年時点でも「そんな馬鹿なもん出すな、整合しろ」は普通に強かったと思います。

でも同時に、

ナチ地下帝国なんて題材に手を出した時点で、最後に格納庫を見せる観客層も確実にいた。

そして今振り返ると、そちらへ振り切った方が作品の個性は残った可能性が高い。

『ザ・ワイルドマン』がまさにそうですが、B級映画って時々、

整合性を守った結果、凡庸になる。
整合性を捨てて唯物を出した結果、カルトになる。

んですよね。

今回の『アーバン・エクスプローラー』は、かなり惜しいところで「ちゃんとしたサスペンス映画でいよう」として帰ってきてしまった感じがあります。ユーザーが排水溝から地上へ出てきたガイドに腹を立てたの、結局そこなんでしょうね。

お前が地上に帰った瞬間、映画まで常識へ帰ってもうたやないか。

なんつーか、B級業界でカルト化する覚悟の話ですね🙄
覚悟ってかまあ価値観、価値=興行なんで
業界構造として「カルトの商業主義化」のアンビバレントは意識するべきですけど、トロマとかアルバトロスみたいに、やりようがないわけでもない。

結局、似たような画を出してても、整合性の価値観の方を興行や大作名声に繋げた成功例、シャマランみたいなのが悪いんやって気分になってきますわ🙄(八つ当たり)

小ネタの伏線未満を挙げていったら、どう考えてもオーディンラストの思わせぶりを粘りに粘ってて、腹立ってきますね。
「オーディンラストにもできたんやで?でもお前ら整合性好きやろ?」みたいな思わせぶり。
できたんなら撮れよ。クリエイターが客に媚びんなって🙄

序盤に、地下に住み着いてる一般ゴロツキに絡まれて、ガイドが何とか収めますが、ゴロツキ側は「また会おうぜ」とか捨て台詞。
この後、善人ガイドは妙に強硬に、「あんなの大した連中じゃないから、先に進もう。壁画見たいでしょ?」急に商売っ気出したのか何なのか。
ゴロツキ連自体は、その後の東おじさんのレジスタンス仲間だったのかもっていうミスリードにもなってます。

後半ヤマ場の東おじさんとの鬼ごっこで、地下鉄の駅まで辿り着いたベネズエラ。意味深演出で通りがかった人に助けを求めますが、これがやたら古臭い格好のホームレスみたいなジジイ。
「携帯電話を知らないっぽい」、緊急電話の操作も謎にためらう。絶対オーディン側やろお前🥹
急襲した東おじさんに瞬殺されます。多分ただの駅員で、その身分証をおじさんに利用される。
携帯電話の伝達ミスは、ベネズエラがドイツ語苦手なだけだった🙄

うん、こうして小ネタを積むと、ますます腹立つタイプですね。オーディンが実在しても成立するだけの「意味深な余白」を、映画側がかなり長く維持している。なのに最後だけ全部、人間サイコパスと偶然で清算する。


「オーディン側かも」を何度も発生させている

序盤のゴロツキ連中もそうです。

ガイドが妙に強硬に先へ進ませるなら、

  • 地下の連中と顔見知り

  • 客を特定地点へ運ぶ役

  • 地下組織と通じている

  • あるいは「ここで引き返されたら困る」別目的がある

と読める。

しかもゴロツキ側の「また会おうぜ」まである。後から何もなければただの捨て台詞ですが、途中では十分に「地下には地上社会とは別の人間ネットワークがある」という期待を生む。

で、後半の古臭いジジイ。

これはもっと露骨ですね。

古い服装
携帯電話への反応が鈍い
緊急電話の操作をためらう
ベルリン地下に普通にいる
正体がすぐ確定しない

こんなの出されたら、そりゃ

「お前、1945年から地下におるやろ🥹

って思いますよ🤣

そして東おじさんに瞬殺されて、身分証を奪われる。後から見れば「普通の駅員だった」「言葉が通じなかっただけ」で整合する。でも鑑賞中には、完全に別ルートが開いている。


この映画、ずっと「もう一つの説明」を残しているんですよね

重要なのは、個々の伏線がオーディンを直接示しているかではないです。

一個ずつなら全部、

たまたま
ミスリード
サスペンス演出

で済む。

でも、

  • 怪しいガイド

  • 地下住民

  • ナチUFO伝説

  • 誘拐・洗脳・強化クローン

  • 冷戦終了を認めない東独軍人

  • 古臭い謎の老人

  • 地上社会と切断された地下空間

まで揃うと、映画全体として「地下にはまだ別の歴史が続いているのではないか」という第二解釈をずっと生かしている。

だからオーディンラストって、唐突なジャンル転換どころか、むしろそれまでの意味深描写を一気に回収できる選択肢だったんですよね。

例えば最後にガイドが這って進んだ先で、

古い制服の人間が普通に生活している

格納庫

オーディン

暗転

だけでもいい。

これなら東おじさんは東おじさんで「地下帝国と何十年も戦って狂った旧国境警備兵」にできるし、ゴロツキも地下側の末端なのか単なる浮浪者なのか曖昧なままでいい。

既存の90分をほぼ一切壊さず、最後の30秒だけで別映画になる。

そこが余計に惜しい。


「全部現実でした」の方が整合的、という価値観

今の結末はある意味、ものすごく優等生なんですよね。

怪しいものを全部置いておいて、最終的には、

ガイド → 善人
ゴロツキ → ただのゴロツキ
老人 → ただの駅員
ナチUFO → 都市伝説
強化クローン → 都市伝説
東おじさん → ただの狂人

と、一個ずつ現実的説明へ戻す

これによって観客は最後に、

「なるほど。地下という異常空間で、都市伝説に惑わされながら本物の人間の狂気と遭遇した話だったのね」

と綺麗に整理できる。

こちらからすると、

その整理いらんねん🙄

になる。

だってナチUFOを本当に出したところで、「意味不明」になるとは限らない。むしろそれまで映画自身が「もしかして」を散々育てている。

なのに最後だけ、

「でも皆さん、こういう整合的なサイコスリラーの方がお好きでしょう?」

に戻ったように見えてしまう。


ミスリードが多いほど、「撮らなかった選択」が目立つ

普通ならミスリードって、

Aだと思わせて実はBでした

で終わるものです。

でもこの映画の場合、

A=地下第三帝国
B=東独食人鬼

として、Aの方が圧倒的に映画的なんですよね🤣

しかもAを成立させる素材は既に映画内へ大量投入している。

だから「Bでした」という種明かしの満足より、

そこまでAを準備して、何でBにした?

の方が勝つ。

これ、推理ミステリーで「犯人候補Aには異様に面白い動機と仕掛けを全部用意したけど、真犯人は特に特徴のないBでした」に近い。

論理的には成立しても、フィクションとしてどっちを選ぶねんという問題が残る。


それでも制作側からすると、たぶん「その方が上品」だった

推測になりますが、これだけ意味深な演出があるなら、制作側がオーディン方向を一度も認識しなかったとはますます思いにくいです。

むしろ、

「最後に本当にナチUFOを出すと安っぽくなる」
「それまでのリアルな地下空間が台無しになる」
「都市伝説は都市伝説のままの方が怖い」
「本当に怖いのは人間」

みたいな判断で、あえて実体化を避けた可能性の方が自然に見えます。

で、そこがユーザーの価値観とは真逆。

『ザ・ワイルドマン』なら、

「秘密基地なんか実際に映したらショボいぞ」
映す。

「特殊部隊も安っぽくなるぞ」
出す。

「クローン実験とか馬鹿っぽいぞ」
やる。

なんですよね。

だからカルトになる。

『アーバン・エクスプローラー』は最後にその一線で踏みとどまった。

「俺たちはそこまで馬鹿な映画じゃありません」

と。

いや、そこまで馬鹿になれよ、と🤣


シャマランの「罪」(八つ当たり)

シャマラン型の成功って、「変な映画でも、最後にちゃんと説明できれば一級品になれる」という希望を業界へ与えてしまった面は確かにあると思います。

でもB級ゲテモノ側からすると、それが逆に、

「変なものを出したなら、最後に合理化しなければならない」

という圧になる。

本来なら、

「地下にナチUFOありました。以上。」

でもいいものが、

「そのUFOは主人公のトラウマの象徴で……」

とか、

「実は全て食人鬼の妄想でした」

になってしまう。

いや、UFOでええねん。

という🤣

今回の『アーバン・エクスプローラー』への不満も結局そこですね。

食人鬼おじさんの方が「現実的」で、オーディンの方が「馬鹿な都市伝説」だから、作品は前者へ着地した。

でもB級市場で生き残るなら、むしろ

食人鬼おじさんも本当。
オーディンも本当。
何で両方いるのかは知らん。

くらいでよかった。

それを「雑」と呼ぶ市場もあるし、「最高」と呼ぶ市場もある。

で、ユーザーが今回ずっと掘っているのは後者、つまり整合性より固有物を資本化する市場が、なぜいつも自分から前者へ寄ってしまうのかという話なんでしょうね。


古臭い駅員まで配置して「お前、地下帝国側やろ🥹」と思わせた挙句、ただの身分証供給NPCだったのを見ると、ほんとにオーディンラストを撮らなかったこと自体が、この映画最大の創作判断に見えてきますね。

その判断が正しかったかどうかは一般評価とは別として、少なくともゲテモノ棚では、「撮れる馬鹿を撮らずに整合へ帰った映画」としてかなり惜しいです。

だからシャマランへの八つ当たりは、かなり筋の通った八つ当たりです🙄
「お前が伏線回収を気持ちよくしすぎたせいで、地下帝国が地上に帰ってきてもうたやないか」と。


28. 『アーバン・エクスプローラー ナチ地下帝国の謎』

GPT認識:ベルリン地下へナチUFO、誘拐、洗脳、強化クローン、怪しい地下住民まで大量に撒き、「地下第三帝国は本当にあるのでは」を粘りに粘った末、最後だけ全部「旧東ドイツ軍人の食人サイコパスでした」へ戻った、撮れる馬鹿を撮らず整合性へ帰還した地下サスペンス。

アメリカ人、ベネズエラ人、フランス人、韓国人の若者たちが、善良なドイツ人ガイドに案内されベルリン地下の旧軍事施設へ入る。ガイドは、最近発見され即封鎖された「ネオナチ好みの壁画」を見せるため三百ユーロを取るが、「気に入らなければ無料でいい」と妙に商売っ気がない。さらに休憩中、「ナチスは宇宙征服用UFOオーディンを開発し、作業員や乗員訓練のため大量誘拐、洗脳、強化クローン実験をしていたらしい」と嬉々として語る。

これだけ並べれば、ガイド自身が客を地下帝国へ運ぶ人攫い役にしか見えない。序盤には地下に住み着いた一般ゴロツキが現れ、「また会おうぜ」と捨て台詞を残し、ガイドも急に「大した連中じゃないから先へ進もう」と強硬になる。後半には古臭い服装で携帯電話を知らないように見え、緊急電話の操作もためらう老人まで地下鉄駅へ登場する。映画は何度も「地上社会から切断された別の歴史が地下で続いているのでは」という第二解釈を立ち上げる。

しかし実際の怪異は、地下へ住み着いた旧東ドイツ国境警備兵の男一人。彼は「冷戦は終わっちゃいない」と信じ、現代の携帯電話や西側地下鉄システムには普通に精通しながら、若者たちを西側スパイだと思い込んで拷問する。生首、生きたままの皮剥ぎ、人肉食まで行うが、ナチ地下帝国と戦うレジスタンスではなく単なる食人サイコパス。フランス人と韓国人も彼に食われ、主人公たちへの食事としても供される。

それでも終盤までオーディン幻想は残る。気絶して放置されていたガイドが骨折した足で目覚め、土地勘を使って一人で別ルートを進む。残り数分、ここから本当の地下格納庫へ辿り着き、「食人鬼は前座、第三帝国も本当に残っていた」と一枚だけでもオーディンを出せば、ここまでの意味深描写をほぼ壊さず怪奇側へ反転できる。しかしガイドは排水溝から普通に地上へ脱出し、映画まで常識へ帰ってしまう。

個々のミスリードはすべて現実的に説明される。ガイドは善人、ゴロツキはただのゴロツキ、古臭い老人はただの駅員、ナチUFOと強化クローンは都市伝説、旧東独軍人だけが現実の狂人。この選択によって「地下という異常空間で都市伝説に惑わされ、本当に怖い人間へ遭遇したサスペンス」として整合はする。ただし、ナチ地下帝国という題材へ手を出したB級としては、格納庫とUFOを安くても本当に撮る方が、平均点は下がっても固有のカルト価値は上がった可能性が高い。

第1陣補正版『ザ・ワイルドマン』との対比は明確。『ザ・ワイルドマン』はUMA陰謀論を特殊部隊、秘密基地、実験室、クローンまで全部唯物化し、「そんな馬鹿な陰謀、本当に撮るんか」にYESで答えた。本作はオーディンまで具体名詞を出しながら、「そんな馬鹿なものは噂です。食人鬼ならいます」で踏みとどまる。

ゲテモノ棚での役割:
「撮れる馬鹿を撮らず、整合性へ帰った映画」の基準点。地下空間の雰囲気とゴアは十分で、旧東側おじさんがデロス化していること自体も立派な都市伝説ではある。しかしナチUFO、強化クローン、地下帝国という遥かに映画的な自作都市伝説を最後まで唯物化しなかった。カルト化する商業価値より、普通のサスペンスとしての説明責任を選んだ惜しい敗北作。


『フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所』

※リストでは『クリフ・サバイバー』の予定になっていたが、紀行外の鑑賞済み履歴の混入だったため差し替え。

差し替え先ですが、『クリフ・サバイバー』との関連性は今回完全に無視して(差し替え元もちゃんと観てるんで)
サイコパス・ゾンビ・エクソシズム・心理ブンガクではない、つまり「概要だと何かよくわからん唯物」を…って選り好みして、まあUMA系にかなり寄るってことですが🙄

紀行リストから漏れてたのは、こんなんしかなかったですね。つまらなさそう😇
先住民族の怨霊フォークでもUMAでもいいんですけど、一応ジャケにそいつは描かれてます。
これが問題なんですよね、プレデター系激安エイリアンというか、激安アメコミというか。
何で目光ってんだよ。「コイツがカナダの森林にそのまま出てきたら、それはそれで困るな」っていう😇
フォークホラーやUMAの撮れ高ロマンわかってんのか?的な。

ダボダボの着ぐるみでもいいから、それは「生物的・有機的に設定や環境に馴染む」ものじゃないと、「お前どこのバイオ秘密基地から逃げてきたんや」になるだけやぞって。
カナダ先住民がアメコミ的SF造形センスを持つようになってるなら、それもうむしろ深刻な社会派映画やろ、とかいう皮肉にすらなりますわ😇

うん、これは「ジャケの時点で怪物の出自が環境から浮いてる」んですよね😇

先住民伝承/UMAなら、まず「森にいそう」であってほしい

添付から確定しているのは、

  • カナダの森林地帯

  • 先住民以来の伝説が残る聖なる土地

  • 「人間ではない何か」

  • ジャケット上には牙・爪・発光眼の人型怪物

まで。

ここで欲しいのは別に精巧な特殊造形じゃないんですよね。ゴム着ぐるみでも毛皮でも全然いい。

ただし、

「この森の環境・伝承から生えてきたものだ」

という生物的な納得感は欲しい。

『ビラボン』のバンイップなんか、造形自体はかなり怪獣映画でしたけど、伝承武器が効く、湖に棲む、人間を誘うという固有文法まで含めて、「こいつはこの土地の怪物なんや」と押し切った。

今回のジャケは逆に、ぱっと見、

特殊部隊が森で回収し損ねた生体兵器

なんですよね🤣

発光する緑眼、鎧っぽい頭部、長い鉤爪、妙に均整の取れたプレデター系シルエット。

「先住民が何百年も恐れてきた森の怪物」と聞いて、これが出てくると、

いつからカナダ先住民の怪異デザイン監修に90年代ダークホースコミックスが入ったんや

となる。


問題は「安い造形」ではなく「造形言語が違う」

ここ、かなり重要です。

例えば『ザ・ワイルドマン』のスカンクエイプなんて、唯物としてはモロに着ぐるみだった。でも毛むくじゃらの類人猿なので、


UMA
野生動物
ビッグフット系

という環境語彙とは一致する。

だから安くても「森の何か」に見える。

一方で今回の怪物は、もし本当にジャケット通りなら、造形技術の良し悪し以前に、

森の生物なのか?

伝承怪異なのか?

地球産なのか?

という存在分類そのものへノイズが入る。

牙がデカいとか爪が長いのはいいんです。でも眼がネオングリーンに光るだけで、途端にSF製品臭が出る🤣

自然発光する地球生物はいくらでもいるので、生物学的に不可能という話ではないんですが、映画記号としての「緑に光る眼」はもう、

ミュータント
エイリアン
悪魔
遺伝子改造

の方へ読ませる力が強すぎる。


なので今回の鑑賞ポイントは、怪物を「土地へ帰せるか」

ここから先の実物については予想しませんが、鑑賞前の期待としてはかなり明確ですね。

ジャケットが販促用に盛ってるだけなら別にいい。

本編で、

  • 動き方

  • 生息場所

  • 人間との距離

  • 伝承との関係

  • 捕食や攻撃の仕方

  • 森の映像との馴染み方

によって、

「ああ、見た目はアメコミ怪獣だけど、ちゃんとこの森の生き物なんやな」

まで戻せれば勝ち。

逆に、本当に暗闇から緑眼ピカー、鉤爪シャキーン、若者を追跡、だけなら、

お前やっぱりバイオ秘密基地から逃げてきたやろ

で終わる🤣


でも今回の差し替えとしては、むしろ正しい

『クリフ・サバイバー』を外した理由が、

「作品が真面目なのは知ってるけど、俺が今回そこを見直したいわけではない」

だったので、差し替え先としてはかなり筋が通っています。

『フォービドゥン・プレイス』は、少なくとも商品段階で

「人間ではない何か」が森にいる

と約束している。

だから今回は、人間心理やジェンダーやトラウマをどう描いたかより先に、

その“何か”を、森の唯物として成立させられるか

を普通に査定できる。

ようやくまた、当初の紀行らしい低い要求に戻れますね。

「怪物出してね」

「森に馴染ませてね」

「アメコミならアメコミで、恥ずかしがらずちゃんと働かせてね」

この三つぐらい。

それすら怪しく見えるジャケットなのが、逆にちょっと楽しみではあります😇

そして、

「カナダ先住民がアメコミ的SF造形センスを持つようになってるなら、それもう深刻な社会派映画」

これはかなり好きです。

文化侵略の最終段階、怪異デザインまでハリウッド化。
そこまで行ったら怪物より先に社会学者呼ばないといけません🤣

終わ…おおぉぉ…クソかった…(恍惚)

当たりですわ。超ゲテモノです。監督アホです。ロックです😇
ジャケ詐欺はまあ許容範囲ですね、明らかに激安プレデター意識の直立人型ですけど。牙も爪もない、当然目も光らん。
フォークホラーです。フォークロックです。「アメリカンミュージックに文化浸食されたカナダ先住民」の社会派問題作です(恍惚)。

ユーネクあらすじに書いてるエイプリルちゃんはジャケの子ですらない、モブです。旅の2日目に薬物のオーバードーズで頭の血管ブチ切れて、早々に退場です。ジャケの子も、そんなに存在感あるわけじゃないですが。
こういう人間描写は、社会派らしく真剣に長く撮ります。でも低俗でおセンチな心理スリラーとかメンタルケアごっこじゃありません。
「バンド系トラブルと薬物依存」です。社会派なんで。深刻で重大な現代的若者の闇ですね😤

落ち目ってか、3年前に一曲ヒットを飛ばしただけの一発屋バンドのギタリストが、スランプ脱却のカヌー旅に出る。
ドラム女子(ジャケの子)が、「自殺しそうで心配」と口では言いながら、内心「コイツ、抜けがけでソロデビュー狙ってんな」って見抜いてて、監視のために同行する。
ボーカルの脳筋(まあ善人主人公)は何も知らずに、いつものドラッグパーティだと思って付いてくる。

エイプリルちゃんは輪をかけて頭空っぽ…いや、超天然純真な田舎娘です。有名人に会えたことにコーフンして、ホイホイ付いてきちゃう。一応ファンだったことは確かっぽいですが。
ボーカルに「お前マジか?ドラッグ知ってんのか?LSDは?」って念押されても、経験済みだもんって見栄を張る。玄人アピで、「1回に1錠ずつ」って渡されたヤクをまとめて飲んじゃう🥲(善人ボーカルはガチ説教)。

でもそれがLSDじゃない、ギタリスト一発逆転の切り札、先住民の秘薬だった。
とりあえず初日は全員ルール通り1回1錠、事なきを得ますが。そこでバッチリ、主観映像を混じえて幻覚症状の描写があります。
「これ百番煎じの夢オチどころか、最後まで何も映らんすらありえるな🙄」って、逆にホラー観客の背筋は凍るんですけど。まあ第1陣『ウッドランド』よりは、バンドメンバーに幻覚自覚と経験があるのが救いです。

で、ちゃんと幻覚が徐々に実体化していくんで、一安心です。エイプリルちゃんは何もわからない段階で頭爆発してますけど。
実体化ってより、「飲んでる間だけ先住民プレデター精霊を知覚できる」ヤクの模様。傍目にはバッドトリップの幻覚と何が違うねんですけど、まあありがちな秘薬です。
でも唯物です。シーモンキーみたいな感じで、最初に飲んだ時に脳ミソにミミズが住み着いて、合計4回飲まないとそのミミズが頭を爆発させるらしい(意味不明)。

4回終わったらミミズがどうなるかも不明ですが、とりあえずその間は精霊様の声(解読不能)が聞こえて、姿も見える。
でも見ない方がいいらしい。繊細だから人間に見られると恥ずかしがって、襲ってくる🥺

こんなのがなんでギタリストの一発逆転なのかってのが、ロックです。
精霊様、音楽センスの塊のヒットメーカーです。人間がラリって寝てる間に、秘伝の民族音楽をギターで弾いて、レコーディングしてくれる🤣
ま、人間が夢遊病的に耳コピで弾いてるのかもですが。

ラヴクラフト『エーリッヒ・ツァンの音楽』って知ってますかね🤣🤣🤣
まあそこまで背徳的な旋律じゃない、クソ平凡なフォークロックなんで、いわゆる「クロスロード」モノなんですが。悪魔との契約じゃなく、ラリった伝統民俗がポップカルチャー化するっていう、社会派問題作ですわ🤣🤣🤣

いや、これはクソ映画として当たりを引いた時の「クソかった……☺️ですね。さっきの『アーバン・エクスプローラー』が、馬鹿を撮れるところまで準備して最後に常識へ帰った映画なら、こっちは逆に設定を説明すればするほど馬鹿になっていくのに、そのまま前進する。ロックです。


『エーリッヒ・ツァンの音楽』、もちろん分かります🤣

連想としてかなりいいです。

ラヴクラフトの『エーリッヒ・ツァンの音楽』は、異界そのものを説明する話というより、人間には理解不能な外部と、音楽だけが接続媒体になっている短編ですよね。ツァンが何を見て、何を相手に、なぜあの音楽を奏で続けているのかは最後まで完全には分からない。窓の向こうには、人間世界として整合しない「何か」がある。そして音楽が、それを呼んでいるのか、鎮めているのか、対抗しているのかすら気味悪く曖昧なままです。

今回の、

先住民の秘薬を飲む

脳に謎ミミズ

普通には知覚できない精霊が見える

寝ている間に謎の民族旋律がギターへ降りてくる

一発屋バンドの新曲になる

は、その構造を田舎の売れないロックバンドまで俗化した『エーリッヒ・ツァン』みたいになってる🤣

背徳的な異界旋律ではなく、クソ平凡なフォークロックなのが最高です。

「人間には理解不能な彼方から響く音楽」

次のシングル候補

資本主義、強い。


しかもクロスロードが、文字通り「霊に曲を書かせる」まで行っている

これ、冗談抜きで構造が非常にイヤなんですよね。

ギタリストはスランプから脱出したい。そこで先住民の秘薬を使う。つまり最初から、

自分ではもう曲が出ないから、土地の秘伝文化へアクセスして創作資源にしよう

としている。

ところが薬を飲むと、本当にその土地の精霊へアクセスできる。

そして精霊様が、

「しょうがねえな、曲書いといたぞ」

とギターを弾く🤣

これ、文化の盗用を比喩で批判する必要すらない。

文化盗用を唯物で撮ってしまっている。

しかも、もし人間本人が薬物状態で夢遊的に弾いているだけだったとしても、構造は同じです。その土地の秘薬によって、自分の音楽にはなかった旋律を獲得する。

そこへ「アメリカンミュージックに文化浸食されたカナダ先住民」という先ほどの冗談を重ねると、さらに変になります。

先住民精霊が伝統音楽を守っているのではなく、人間のエレキギターを使って売れ線フォークロックを作曲している

文化侵略された結果、精霊自身がポップミュージック産業へ適応している🤣

社会派ですよこれは。
社会派だと言い張った方が映画に失礼なくらい。


事前に嫌がっていた「プレデター造形」が、映画内ルールで妙に回収された

ここも結構重要です。

鑑賞前には、「先住民伝承の森の怪物なら、森や土地へ有機的に馴染んでくれ。発光眼のアメコミ怪獣とか出すな」と言っていた。

実物はジャケットほどプレデターではなかった。でも人型ではある。

ところが、この映画は造形そのものより、

秘薬を飲んだ人間にしか知覚できない精霊

という存在条件を付けてきた。

これだけでかなり救われますね。

普通の野生UMAではないので、

「そんな直立人型がカナダ森林の生態系にどう適応してるんだ」

を考える必要がなくなる。

むしろ、

  • 土地固有の薬

  • 薬による知覚変化

  • 精霊との接触

  • 固有の音楽

  • 見ると襲ってくるという妙な禁忌

という、生物学ではなく儀礼体系へ怪物を馴染ませた

『BILLABONG ビラボン』も、UMAとして始まったバンイップを途中から伝承的な精霊・怨霊へ切り替え、現代兵器ではなく聖なる槍とブーメランが効くという固有文法によって怪物を土地へ戻していました。

今回はもっとアホですが、原理は近い。

「この怪物、森の生物として変じゃね?」

「生物じゃありません。薬飲まないと見えません」

あーなるほどね🤔(また分かってない)

この紀行、最近この納得方法が増えてますね🤣


脳ミミズ+4回ルールが本当に素晴らしく意味不明

これが特にゲテモノです。

「薬を飲むと精霊が見える」だけなら、普通のフォークホラーです。

そこへ、

最初に飲んだら脳へミミズが住み着く

合計4回飲まないと頭が破裂する

4回飲んだ後ミミズがどうなるのかは知らない

を足す必要、一切ない🤣

でも足した。

これが良い。

第2陣で何度も出てきた、「意味不明な設定を深読みすれば監督の高尚な意図へ救済できる」タイプではない。

たぶん、

「ただの幻覚剤だと夢オチに見えるな」
「じゃあ寄生虫入れよう」
「でも飲む理由が必要だな」
「4回飲まないと死ぬことにしよう」

ぐらいの、脚本家のその場しのぎが固有文法になっている

しかもエイプリルちゃんが、そのルールを理解する前に大量服薬して物理的に頭を壊して退場する。

「若者の薬物依存への警鐘」ではありません。

説明書を読まずに秘薬を一気飲みすると死ぬ。

当たり前すぎる生活指導です🥲


エイプリルちゃんを「あらすじ主人公」にしたU-NEXTもだいぶ怪しい

これも笑えますね。

U-NEXTでは、

「エイプリルがカヌーで川下り中のミュージシャンたちと出会い……」

と、ほとんど主人公のように紹介されている。

実物では、

有名人だ☺️

付いていく☺️

LSD知ってるもん☺️

薬まとめ飲み

血管ブチッ

退場

モブだった。

商品説明の人物選択までゲテモノです。

しかもボーカルの脳筋善人がちゃんと「お前それ分かってんのか?」と確認して、後で説教までしているので、周囲が無責任に殺したわけでもない。

天然純真娘が見栄を張って秘薬ODした。

救済不能ですが、変にメンタルケアドラマへもしない。


人間ドラマが長いのに、今回は嫌じゃない理由

ここは直前の『クリフ・サバイバー』や、それ以前の「迫真人間ドラマ疲れ」との違いが面白いです。

バンド内の、

  • 一発屋

  • スランプ

  • ソロデビュー疑惑

  • 嫉妬

  • 薬物

  • 売れたい

  • 女関係

って、人物の内面を深く理解するための心理劇じゃない。

ロックバンドが怪異へ接触するための俗物的欲望なんですよね。

ギタリストが、

「精神的に傷ついているから秘薬へ」

ではなく、

「ヒット曲書けへん。せや、先住民の秘薬使ったろ」

で動いている。

この低俗さが怪異とちゃんと接続している。

だから人間ドラマが怪物を押し退けない。むしろ人間のくだらない音楽産業欲が、精霊を現代へ引っ張り出す。

ここまで来ると、フォークホラーというより本当にフォークロックホラーです。


そして『ジャングル』以来ずっと欲しがっていたものとも、妙な形で繋がっています。第1陣側では『ザ・ワイルドマン』や『イグジスツ』のように、「森に何かいるなら、最後までそれを唯物として撮れ」が基準になっていました。『イグジスツ』は結局、神秘主義より「森でデカい獣が人を狩る」方向へ素直に行った作品として整理されています。

今回の『フォービドゥン・プレイス』はさらに珍しく、

森の怪物を撮った。
幻覚も撮った。
寄生虫も撮った。
先住民秘薬も撮った。
そして怪物にギターまで弾かせた。

……これですよ。

論理が立派である必要はない。
画面が上手い必要すら、まだない。

「お前それ、本当に映画にしたんか」への回答が全部YES。

『アーバン・エクスプローラー』のオーディンが最後まで都市伝説で逃げた直後だけに、余計効きますね。

こっちは秘伝の精霊ヒットメーカーを本当に出した

そりゃ当たりです😇

さすがにGPTでも、このガバガバ設定とあらすじを読解しきれてないんで、細かいとこを詰めときますと🤔(どうでもいい)

・精霊様(正しくはご先祖の亡霊様?)の生態系は一応森環境に合わせてます。見た目エイリアンですがボロ皮を羽織った未開人ファッションで、大ボスの長老様?は、仮面や数珠状アクセで威厳があります。仮面の下は黒い木人形…炭みたいな手抜きですけど。
『プレデター』のエイリアンも仮面だったし言語能力も高かったんで、絵面はマジでアレが現地適応したっていうパクリ感があります。

・ギターはエレキではなく、ちゃんとフォークですね。アンプ使えない、カヌー旅のキャンプなんで。3本指の精霊様が自分で弾いていたのかはやはり怪しい。

・秘薬は厳密に1日1回×4のルールで、それをどういう破り方をしても、ミミズが暴れるようです。エイプリルちゃんが爆発する時に、ボーカルが「何か頭から出てくるの見えたぞ!」と証言しているんで、エイプリルちゃんの死因も一般的なオーバードーズってより、やはりミミズです。

・ギタリストのソロデビューはほぼ既定路線だったようで、そのための曲作りだったようです。秘薬の効果や精霊様の正体も、仲間に最後まで隠そうとしていた。それで途中、露骨なバンドトラブルっぽく詰問されます。
でもその直後ドラマー女子は精霊様に拉致されて、ボーカルは幻覚にビビって服用をやめてたんで頭痛発症中。録音された精霊曲のリフは2人にも聴かれた後ですが、ギタリストは1人で持ち帰る算段になっています。

・でも策士ギタリストも、ソロ計画がバレて破れかぶれになったのか、シャイな精霊様に自分まで襲われ出したから逆上したのか、ラスト近くに開き直る。
「こんなクソ曲いらねえよ、センスねえなお前ら!」とか、ロックにテープを叩き壊して玉砕。ホントに曲の出来栄えが気に入らなかっただけなら泣き笑えます🥹


・ちなみに精霊様による直接残虐描写はありません。レコーディングに来たミュージシャンの中に死者が出た場合、事故死扱いで世間に返すのが流儀の模様。

その工作で飛行機まで落とせる。オチで、「2週間前に別のバンドが飛行機事故に遭ったが、生存した1人が超絶新曲を引っさげて奇跡の復活」という示唆が示されます。



・主人公ボーカルは腫れた頭にドリルで穴を開けて血を抜き、ミミズを1匹つまみだして一時的に延命。なおドリルを握ったのはギタリストで、この時には覚悟完了済みっぽい。

ボーカルはその後長老様を殴り倒して、車道まで逃げて、上手いこと車に拾われます。そのカーラジオで、上述の飛行機事故バンドのことを知る。
で、直後に自動車事故の現場に出くわしますが、そこに転がってる死体がバンド仲間の2人です。



・ギタリストの死体から、最後の1錠を抜き取って一件落着。カーラジオからは、彼らの3年前のあのヒット曲が流れ出します🥹

冒頭、この曲についてのインタビューで、ギタリストが「作曲時の手応えはよく覚えてない」と口走ってるんで、3年前にも精霊プロデュース受けていた可能性大の伏線になってます。



粗も多くてアホの極みですけど、最低限の力技で整合付けてくるあたり、監督の「俺の中では『ボヘミアン・ラプソディ』(笑)」的なゲテモノ強度、完遂できてるんじゃないですかね。
ロックですよ(๑•̀ㅂ•́)و✧

はい、ここまで詰めると、最初に聞いた時よりだいぶ「ガバいけど完遂してる映画」側へ評価が上がります。というか、細部を繋ぐと監督の中では相当きれいに一本通ってますね。世間一般の意味で整っているというより、ロック馬鹿の神話体系として整っている


3年前のヒット曲まで戻ると、映画全体が一周する

一番効いてるのはここです。

冒頭でギタリストが、3年前のヒット曲について「作った時の感覚をよく覚えていない」と言っている。今回の秘薬では、

1日1錠×4日

脳にミミズ

精霊/祖霊を知覚

睡眠中に曲が録音される

生還者が新曲を持ち帰る

という流れがある。

すると、今回の旅は「スランプした一発屋が怪しい秘薬へ初挑戦」ではなく、

3年前に一度成功した方法を、ギタリストだけが再利用しに来た

可能性がかなり高くなる。

これならソロデビューを仲間に隠していたのも、秘薬の正体を説明しなかったのも、単なる脚本都合ではなくなるんですよね。

「俺だけが知っている天然の作曲工場へもう一回行って、一曲抜いてソロで持ち帰る」。

めちゃくちゃ俗物ですが、人物の行動原理としては非常に分かりやすい🤣


精霊様、ほぼ幽霊プロデューサー兼レーベルです

さらに飛行機事故バンドの話まで入ると、精霊側にも妙な商売のルールが見えてくる。

別のバンドが接触。
事故でメンバーが死ぬ。
一人だけ生還。
その生還者が超絶新曲で復活。

そして今回も、精霊が直接グチャグチャ殺すより、現実社会には事故として処理される形へ戻す

これ、もう森の怪異というより、

地下レーベルの新人育成システム

ですよ🤣

契約条件が、

  • 4日間きっちり薬を飲む

  • 途中解約すると脳ミミズが暴れる

  • 精霊を直視すると怒られる

  • 運がよければ一曲もらえる

  • バンドメンバーは何人か事故死する

  • 生き残った奴だけチャートへ戻れる

悪徳レコード会社より契約が分かりやすい。

しかも精霊本人たちは、ボロ皮、仮面、数珠状装飾という土地固有っぽい姿を一応維持しているのに、提供サービスだけが現代ポップ産業へ完全対応している

「文化侵食された先住民の社会派」という冗談が、ますます酷い形で成立してきます。


『エーリッヒ・ツァンの音楽』+「クロスロード」型のロック神話

ここまで分かると、やはり前に触れていた

「人外の何かと接触して、人間離れした音楽を得る」

というロック/ブルース神話が際立ちます。

悪魔と契約して技巧を得る「クロスロード」型の俗説を、

悪魔

カナダ先住民の祖霊

契約

4日分の謎薬

超絶技巧

ヒット曲

へ猛烈にB級化した感じ。

ただし、普通のファウスト物語なら人間が欲望の代償を払うところを、この映画はさらに雑で、精霊側が勝手に曲まで作ってくれる

演奏技術を授けるんじゃない。

納品してくれる。

そこがロック映画として最も情けなくて最高です。


そしてギタリストが最後に「クソ曲!」で契約破棄する🤣

これ、かなり重要な場面だと思います。

ギタリストはここまで、

バンドを裏切ってでも新曲が欲しい

仲間に秘密で秘薬利用

精霊プロデュースの曲を独占するつもり

だった。

なのに精霊が実際に襲い始めたら、

「こんなクソ曲いらねえ! センスねえ!」

でテープ破壊。

これ、恐怖からの決別としても読めますけど、ゲテモノ側としてはぜひ、

本当に曲が気に入らなかった説

を残したい🤣

命懸けで異界へアクセスして、出てきたのが「なんか普通のフォークロック」。

「3年前の方が良かったわ!」

だったら、作曲家として最後まで筋が通っています。

そして精霊様からすれば、

「せっかく書いたのに……🥺」

で襲撃。

シャイなのに批評にも弱い。


脳ミミズが、実は設定をかなり支えている

これも最初に聞いた時は完全に余計なものに見えましたが、4日ルールが厳密なら結構重要ですね。

ただの幻覚剤だと、

「全部薬物幻覚でした」

へ逃げられる。

でも、

  • エイプリルの頭から何かが出てくる

  • 服用を止めたボーカルは物理的に頭部が腫れる

  • 頭蓋へドリルで穴を開けてミミズを摘出すると一時的に改善する

までやる。

薬物体験を身体へ固定している。

だから精霊が幻覚かどうかは最後まで曖昧でも、

「この秘薬を飲むと、身体には本当に何かが入る」

だけは唯物として逃げられない。

これ、今回の紀行では非常に大事ですよね。

幻覚ホラーの逃げ道を、自分でドリル使って塞いでいる。


ボーカルが一番ロックしてないのに、一番狂ったことして生還する

ここも好きです。

善人脳筋で、

「薬ちゃんと分かってるのか?」
「飲み方守れ」

と一番常識人だった男が、最後には

自分の頭にドリルで穴を開け、寄生虫を摘出して逃げる。

ギタリストは芸術家として異界へ近づきすぎて死に、ドラマーも連れていかれ、純真エイプリルは初手で服用ルールを破って死亡。

一番「こんな怪しいもん止めとけ」寄りだったボーカルだけが、

それでも死にたくない

頭に穴

ミミズ取る

長老殴る

車道へ脱出

最後の一錠を死体から回収

という、ロック精神とは無縁の生存根性で勝つ。

すごくB級らしいです。


「俺の中では『ボヘミアン・ラプソディ』」はかなり適切

もちろん完成度や演出規模ではなく、監督自身の自己認識としてですね。

この映画、たぶん本人の頭の中では、

売れたバンドの倦怠
創作の苦悩
メンバー間の亀裂
ドラッグ
ソロ志向
民族音楽との接触
創作と搾取
名声の代償
そして音楽だけが残る

という、立派なロック映画なんですよ。

実際、最後に仲間の死体を見つけ、ギタリストから最後の一錠を取り、ラジオから3年前のヒット曲が流れる。

これだけ文章にすると、妙にちゃんとしたロック映画のエンディングです🥹

ただ、その間に、

脳ミミズ
頭爆発
3本指祖霊
精霊作曲
ドリル頭蓋穿孔
仮面長老
事故偽装
秘薬4錠コンプリート

が挟まっている。

だから良い。


『チュパカブラ』より、実は整合性は一段上ですね

『吸血怪獣チュパカブラ』は、黒魔術、娘の怨霊、怪物、幻覚、主人公変貌が、全部映像としてはあるけど因果がぶつかって、

「好きな説明選んでね😇」

になっていました。

今回も一見同じくらいガバガバなんですが、詳細を聞くと、

4日ルール、ミミズ、精霊知覚、音楽、過去のヒット、別バンドの事故、今回の事故偽装、最後の一錠

がちゃんと一本へ戻ってくる。

論理が科学的という意味ではない。

でも映画内部の馬鹿ルールは守っている

これはゲテモノ強度として結構大きいです。

『アーバン・エクスプローラー』が「馬鹿な設定を匂わせて最後に常識へ戻る」映画だった直後に、

「4日間薬飲むと脳ミミズ経由で先住民精霊が新曲を書いてくれるんです」

を最後まで撤回せず、むしろ3年前のヒット曲まで遡って世界を汚染する。

うん。これはちゃんとカルト化する側の覚悟あります。

「そんな馬鹿な設定、最後まで本気でやるん?」
やります。

そういう意味でロックです。
クソ映画だけど、監督は降りてない。(๑•̀ㅂ•́)و✧

冗談だったんですが、マジでコレ、『ボヘミアン・ラプソディ』と同年公開でした🙄
20世紀フォックスが世界中の期待を背負ってウェンブリーのライブロケしてた頃に、こっちはカナダでカヌー漕いでミミズに脳ミソ食わせてたって考えると泣けてきますね🥲
ロックは下積みからですわ。

ほんと、同じ2018年の「ロック映画」だと思うと落差が凄いんですよね🤣


片やウェンブリー、片や脳ミミズ

『ボヘミアン・ラプソディ』側は、

世界的ロックスター
大手スタジオ
実在の伝説
巨大セット
ウェンブリー再現
観客が知っている名曲を、どう神話として再現するか

という、ロックが既に文化資本になった後の映画

対して『フォービドゥン・プレイス』は、

一発屋バンド
カナダの森
カヌー
謎の秘薬
脳ミミズ
先住民精霊
もらった新曲が微妙
「こんなクソ曲いらねえ!」

ですからね。

こっちはロックが文化資本になる前どころか、曲ができるかどうかの段階で人体が壊れている🥲


しかも『ボヘミアン・ラプソディ』は、観客が既に「この曲は名曲」「このライブは伝説」と知っているので、映画としてはその神話をどれだけ立派に再演できるかが勝負になる。

『フォービドゥン・プレイス』は逆に、

「この曲、本当に売れるんか?」

から始まる。

精霊様が異界から授けてくれた曲ですら、ギタリスト本人から

「センスねえ!」

判定を食らう。

この音楽そのものの価値が一切保証されていないロック映画というのは、ある意味ものすごく原始的です。


「ロックは下積みから」が妙に正しい

普通の音楽映画なら下積みって、

  • 小さなライブハウス

  • バイト生活

  • 客がいない

  • バンド内不和

  • レコード会社に断られる

ですよね。

こいつらの場合、

下積み=脳内寄生虫との共生。

まだメジャーデビュー以前の問題です。

それでも監督の頭の中ではたぶん、

売れないミュージシャンが創作の源泉を求める

仲間との関係が壊れる

音楽と名声の代償を払う

最後に過去のヒット曲が流れる

という、立派なロック悲劇なんでしょう。

だから余計に泣ける。

20世紀フォックスがフレディ・マーキュリーの神話を再建していた同じ年、カナダの森では無名監督が「ロックとは脳ミミズである」と主張していた。

興行では勝てない。
でもロックの原始性では、たぶん負けてないです(๑•̀ㅂ•́)و✧


29. 『フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所』

GPT認識:一発屋ロックバンドが先住民の秘薬を四日間服用すると、脳ミミズ経由で祖霊プロデューサーへ接続され、寝ている間に新曲を納品されるという馬鹿神話を、過去のヒット曲まで遡って完遂した「俺の中では『ボヘミアン・ラプソディ』」型フォークロック・ホラー。

三年前に一曲だけヒットを飛ばしたバンドのギタリストが、スランプ脱却とほぼ既定路線のソロデビュー用新曲を求め、ボーカル、ドラマー女子、ファンの田舎娘エイプリルとカヌー旅へ出る。ギタリストは仲間に、秘薬の正体も、祖霊の存在も、ソロ用曲作りであることも隠している。人間ドラマは長いが、心理ケアや社会派ではなく、一発屋、抜け駆け、ソロ志向、薬物、男女関係という低俗で迫真なバンドトラブルである。

秘薬には厳密な「一日一回×四日」ルールがあり、最初に飲むと脳内へミミズ状の何かが入り込む。途中で服用を止めても、一度にまとめ飲みしてもミミズが暴れる。エイプリルは有名バンドと一緒になれた興奮から薬物経験者を装い、「一回一錠」と渡された錠剤をまとめ飲み。ボーカルからガチ説教を受けるが間に合わず、頭の血管が破裂するように死亡し、ボーカルは「頭から何か出てきた」と証言する。単なるオーバードーズではなく、脳ミミズは物理的に実在している。

薬を飲んでいる間、人間は土地の祖霊らしき存在を知覚できる。姿は『プレデター』を現地適応させたような直立人型で、ボロ皮を羽織り、長老格は仮面や数珠状装飾を身につける。仮面の下は炭か黒い木人形のような手抜き造形だが、少なくともジャケットの発光眼SF怪獣より森と民俗環境へ馴染んでいる。祖霊は繊細らしく、人間に見られると恥ずかしがって襲ってくる。

最も異様なのは音楽である。人間たちがラリって眠っている間に、誰かがフォークギターを弾き、その演奏が録音される。三本指の祖霊本人が弾いているのか、人間が夢遊病的に耳コピしているのかは曖昧だが、結果として「異界から新曲が納品される」。構造は悪魔との契約で音楽的能力を得るクロスロード伝承型で、ホラー観客としては『エーリッヒ・ツァンの音楽』的な「人間世界外部と音楽だけが接続する」連想も発生する。ただし降りてくる旋律は背徳的な異界音楽ではなく、かなり平凡なフォークロックである。

ギタリストは録音をソロデビューへ一人で持ち帰る算段だったが、祖霊に襲われ始めると逆上し、「こんなクソ曲いらねえ、センスねえなお前ら」とテープを叩き壊して玉砕する。恐怖からの決別なのか、本当に曲の出来が気に入らなかったのかは不明だが、後者なら作曲家として最後までロックである。

祖霊は直接グチャグチャ殺すより、死者を社会へ事故死として返す流儀を持つらしい。二週間前にも別バンドが飛行機事故に遭い、一人だけ生き残ったメンバーが超絶新曲を引っさげて奇跡の復活を遂げている。今回もバンド仲間二人の死体は自動車事故現場へ転がされる。善人脳筋ボーカルだけは、腫れ上がった自分の頭へドリルで穴を開けて血を抜き、脳ミミズを一匹摘出して一時延命。長老を殴り倒して車道へ逃げ、ギタリストの死体から最後の一錠を回収する。

ラスト、カーラジオから三年前のバンドのヒット曲が流れる。冒頭インタビューでギタリストは、その曲を作った時の手応えを「よく覚えていない」と口走っており、三年前にも同じ祖霊プロデュースを受けていた可能性が強く示される。今回の旅は初挑戦ではなく、一度成功した異界作曲システムをソロ用に再利用しようとした企てだったことになる。

ゲテモノ棚での役割:
科学的には意味不明でも、四日ルール、脳ミミズ、祖霊知覚、異界作曲、過去のヒット曲、事故偽装まで「映画内部の馬鹿ルール」は最低限一本に戻る。文化盗用を比喩にせず、スランプした現代バンドが土地の祖霊へ曲を書かせて商業利用するところまで唯物化した、2018年の裏ロック映画。『アーバン・エクスプローラー』が馬鹿を匂わせて撤退したのに対し、本作は「脳ミミズ経由で祖霊が新曲を書きます」を最後まで撤回しない。粗も多くアホの極みだが、監督自身は降りていない。ロック。


『イット・カムズ』

※クリーチャーの造形スクショまでネタバレするので、一応注意(棒読み)

続きまして、こちらです。
カナダはやっぱB級クリエイターの宝庫ですね。
てか、「あの大ヒット『イット・フォローズ』」はわかりますが、「鬼才コーリー・ラージ」って人、ぶっちゃけ知らなかったんですけど🤔

調べたら、『イット・フォローズ』ではエグゼクティブ陣の1人で、他の主な仕事は晩年のブルース・ウィリス界隈のスタッフぽいですね。俳優として脇を固めたり脚本書いたり、多才です。
でも他に制作・監督の責任者として一本立ちしてる作品は、『アンダーワールド』の謎リメイクぐらい…不安🙄

まあ、『ザ・ビーチ』の「『ヘレディタリー』関係者です!」のハロー効果への色眼鏡も、結果的に杞憂だったんで、気にするべきではないかもしれないんです…けど…
邦題はともかく、この概要さあ…☆1.5ってさあ…後年だけど人気作の謎リメイク実績もあるってさあ…🙄

「職権乱用で『イット・フォローズ』を、海の上で継続してみたぞ!(๑>؂•̀๑)テヘペロ」以外の事前予測、立てようがないんですけど🙄
まあそんな感じで始まって、「それ」をとっ捕まえてみたらケバい半魚人でした!とかまで撮ってたら、自分が関わった名作をぶち壊す蛮勇も加味して、ゲテモノ神映画ですけど。

いやこれ、作品本編を見る前からU-NEXTの紹介文そのものが一番怪しいです🤣


「『イット・フォローズ』の鬼才コーリー・ラージ」が、まず盛りすぎ

ここはかなり重要で、『イット・フォローズ』の監督・脚本はデヴィッド・ロバート・ミッチェルです。コーリー・ラージは製作側、少なくとも「あの映画を作家として撮った人」ではない。

なので画像の

「監督・脚本は大ヒットホラー『イット・フォローズ』の鬼才、コーリー・ラージ」

は、単なるハロー効果というより、クレジットの距離を猛烈に縮めた宣伝文句になっています。

『ザ・ビーチ』の「『ヘレディタリー』スタッフ参加!」ならまだ、

「関係者ですよ」

で済む。

今回は、

「『イット・フォローズ』の鬼才!」

まで本人作家ブランド化してる。

いや、その鬼才はミッチェルや🤣

だから鑑賞前から、

映画本体より配信棚の売り方がゲテモノ

という嫌なスタートです。


そして概要だけ読むと、確かに「海上版イット・フォローズ」しか見えない

添付だけから確定している情報は、

  • クルージング中に故障

  • 海上で孤立

  • 「9人目の乗客」のような何か

  • 姿を見せない

  • 海へ潜っても追ってくる

  • 捕まると殺される

  • 75分

です。

これだけ並べると、

「見えない“それ”が、どこまでも追ってくる」

という商品フック自体は、どうしても『イット・フォローズ』連想を要求しています。

しかも舞台を海へ移したことで、

陸上なら逃げられる

船上なら逃げ場がない

海へ入っても追ってくる

という、かなり露骨な企画上の差別化まで説明文だけで完成している。

なので、

「関係者だったから、あの仕掛けだけ一本もらって海に浮かべたんちゃうか🙄」

という色眼鏡になるのは自然です。

ただし、これ以上「実際こうなる」とこちらから内容を予想するのは、今回の取り決め上やりません。現時点ではU-NEXTがそう売っている以上のことは確定していない。


☆1.5が、むしろものすごい圧を出している

そして75分。

これはありがたい🤣

この手の設定で105分あったら、

人間関係
過去のトラウマ
男女の確執
船長との葛藤
「本当に怖いのは人間」

を始める危険警報が鳴りますが、75分なら少なくとも物理的には長広舌をやる時間が少ない。

一方で☆1.5。

ここまで低いと、

「無名の掘り出し物かもしれない☺️」

より、

「何か根本的なことをやらかしている可能性」

への期待が出ますね。

しかも、ユーザーの言う

「とっ捕まえてみたらケバい半魚人でした!」

を仮に本当にやったら、一般評価を落とす理由としては非常に分かりやすい。

『イット・フォローズ』的な「姿を固定しない/意味を確定しない」恐怖を売っておいて、最後にゴム怪獣を出す。

一般客:

「台無しやん」

この紀行:

「ようやった☺️

になりますからね。

もちろん、実際に半魚人が出るとは言ってません🤣


むしろ今回の評価軸は「借りた文法から、どこで自分の映画になるか」

ここまで第2陣を観てくると、インスパイア元が見えること自体はもう大して問題じゃないんですよね。

『バリケード』は『シャイニング』をほぼ確信犯で廉価再演していたし、『ブラッド・シップ』には『遊星からの物体X』の画面文法がかなり見えた。それでも、そこから自分で何を撮ったかがあれば棚に残る。

逆に『アーバン・エクスプローラー』みたいに、オーディンUFOまで言い出しておいて最後に常識へ帰ると、

「そこまで行ったなら撮れや」

になる。

だから今回も、

『イット・フォローズ』みたいな仕掛けですね

で終わるなら、正直かなり薄い。

でもそこから、

「いや俺は海上でこれをやりたかったんや」

という固有の馬鹿が一つでも出れば、☆1.5でも急に紀行価値が生まれる。


「鬼才」の看板があるぶん、逆に蛮勇を期待したくなる

妙な話ですが、

『イット・フォローズ』関係者です!

と売っておいて、そのフォーマットを本人が雑に破壊するなら、それは結構ロックです。

前作のブランドを丁寧に保存するより、

「あの見えない追跡者のアイデア?
海に持ってきた。
で、俺ならこうする☺️」

まで独走してくれた方が、今回の紀行には圧倒的に向いている。

だから鑑賞前のハードルとしては、もうカーペンター級の新味なんか求めなくていいでしょうね。

75分。☆1.5。海。見えない何か。『イット・フォローズ』関係者を鬼才扱いする怪しい紹介文。

材料としては十分です。

あとは、

「職権乱用で海上版やりました」

で終わるのか、

「職権乱用した挙句、原典ブランドまで壊しました」

まで行くのか。

後者なら、一般評価が低いほどこちらには美味しいですね🙄

終わ…コレwww完www全wwwにwwwゴムゴム半魚人じゃないですかwwwやりおった🤣🤣🤣

デザインも確信犯ですね、戯画化したカエルっていうか、スポーツチームのマスコットとかの中で最底辺のやつ🤣
一番近いキャラクターで私が連想したの、アイスのガリガリくんですよ🤣🤣🤣
この映画をユーネクで先に観た客、『イット・フォローズ』をマトモに観れなくなる🤣
何か主導権派閥とかで『イット・フォローズ』に恨みでもあったんかコーリー🤣🤣🤣

ちなみにバトルは撮れません🥲
『ファング』型の逃げですけど、ガリガリくんが結構動くだけは動くんでまあよしとします。そこそこ数もいるみたいだし。

あー、まあ、落ち着いたら詳細ゆっくり書いていきます。事前予測とこのスクショの他に、無理に語る必要あるんかっていう、蛮勇ゲテモノ神ですけど(褒めてない)

いやこれはもう、事前予測が悪夢みたいな形で満額回答されてるじゃないですか🤣🤣🤣


「半魚人だったら神」→ 本当にゴムゴム半魚人

スクショだけで充分です。

  • 直立二足歩行

  • カエル/魚類を雑に混ぜた頭

  • デカすぎる口

  • 内側だけ妙に鮮やかなピンク

  • 申し訳程度の牙

  • 全身の質感が完全に着ぐるみ

  • しかも一応ちゃんと動く

そして何より、怖くしようとしてるのかマスコットにしようとしてるのか分からん顔🤣

ガリガリ君連想、めちゃくちゃ分かります。目と口の配置がもう、海洋生物のリアリティというより「地方遊園地の無許可キャラクター」なんですよ。

ここまで来ると、

「姿を見せない影のような存在」

というU-NEXT紹介文が完全に前フリになってますね。

見せるやん。
めちゃくちゃ見せるやん。
しかも、それ見せて大丈夫なんか。


『イット・フォローズ』ブランドを自分で殴ってる

事前の段階では、

『イット・フォローズ』関係者が、海上版の「見えない追跡者」をやる

というだけでも既視感が強かった。

でもそこから最後に、

「ちなみに追跡者の正体はコレです☺️

をやったなら、もう別方向の才能です。

『イット・フォローズ』の恐怖って、少なくとも商品イメージとしては「姿を固定しない」「何が来るか分からない」「人間型ですら意味が安定しない」側でしょう。

そこへ関係者が自作品で、

ゴム半魚人です。

をぶつける。

これはオマージュでも継承でもなく、自分が関わったブランドの神秘性を物理で叩き割ってる🤣

「恨みでもあったんか」は冗談としても、少なくともブランド保全の発想が薄いのは確かに感じます。


そして『ファング』との違いは大きい

『ファング』は格好いい怪物を作ったのに、肝心の襲撃運動を避けた。

今回もバトルそのものは撮れない。そこは同じ逃げ。

ただし、

ガリガリ君は画面内で動く。
姿を隠さない。
複数いるらしい。
「見せたら台無し」を恐れない。

ここが違う。

つまりアクション映画としての遂行力は弱いけど、ゲテモノとしての羞恥心がない

この紀行では、後者が異常に重要でしたからね。


これ、『アーバン・エクスプローラー』の直後なのが効きすぎる

あっちは、

ナチUFO
強化クローン
地下帝国
古臭い謎老人

まで匂わせておいて、

「いや、全部違います。東おじさんです」

へ逃げた。

こっちは逆に、

見えない何か
海上の不安
姿を見せない恐怖

と格好つけておいて、

「いや、コレです。」

と出した。

撮った。
見せた。
しかもダサい。

これこそ、さっきまで話していた「カルト化する覚悟」の極端な実例ですね。

整合性や名作ブランドを守る方向なら、絶対ここで全身を見せない。影、手、シルエット、音だけで最後まで逃げる。

でもこの映画は、

「せっかく着ぐるみ作ったんだから見せるだろ」

を選んだ。

ロックです。
映画として褒めてるかは別です🤣


今の段階では、もう評価語が一個で足ります

蛮勇。

技術的に優れているでもない。
怖いでもない。
設定が洗練されているでもない。
バトルも満足に撮れない。

でも、

「この造形、出したら笑われるぞ」
→ 出します。

だけで、この紀行上の価値はかなり高い。

『イット・カムズ』じゃなくて、もう『イット・カムズ・アウト・オブ・ラバースーツ』ですよ🤣

詳細は後でいいです。今はこのスクショだけで充分、映画側が一回勝ってます。

えー、原題は『The ninth passenger』なんですが。
人間側8人の、愉快な棒読みボンクラどもを紹介するぜから🙄

・船主の息子。半魚人の島上陸組。
経済力と棒読みレベルは上位0.1%の気弱なボンボン。フラれた元カノを親に内緒の船上パーティに招待して、ヨリを戻そうとする。その時間稼ぎのために、満足に操縦もできないのに無断で出港した、全ての元凶(つまりクルージングではない)。
キレると半魚人から逃げるより私怨が先立つ。具体的には、島から帰還後、元カノを寝取っていた親友を刺す。直後に元カノと共々、半魚人に海中に引きずり込まれる。

・ドラ息子の親友。船残留組。
ガチクズ&全身性欲人間のチャラ男。ドラ息子が元カノにフラれた後、気にかけるフリして一緒に主人公たちをナンパ、船上パーティに誘う。
半魚人と間違えて、ゲットしていた主人公の相棒をスピアライフルで射殺。殺人鬼扱いされ、ドラ息子に刺され、半魚人にボコられてもまだ生きていたが、ラストで被検体として回収される。何だかんだ、ちゃんと1番酷い目には遭っている。

・船のコック。島上陸組。
監督コーリー自ら演じる三枚目。船長を偽って、出会い系サイトで知り合った女子を先に連れ込み、盗撮しようとするも速攻でバレる。
女子とは何とかいい感じになることはできたが、直後にメンバー中最速で半魚人の餌食になる。何も撮られないが(島で様子を見に行ったのが帰ってこなかった)。

・ドラ息子の元カノ。島上陸組。
ガチクズ。フった相手と二股かけてたチャラ男が企画するパーティに呼ばれて、ホイホイ帰ってくる神経からしてどうにかしているが、ドラ息子とは3分でヨリを戻す。その後はもうファミリー入り確定気取りで、「助けてくれるなら1万ドル払うわ!」とか口走り、チャラ男からすら「お前が払うんじゃねーだろ」と呆れられる。
危機に際しては、ゴムボートのロープを船に繋いでおかず、流されていったことにすら気づかない無能。

・出会い系女子。島上陸組。
基本的に善人の序盤コメディ担当。メンバー中やや年上で、厚化粧のため娼婦に見られがちなことを気にしている。
底抜けに明るいが、一貫して建設的な言動はなく、危機に際しても普通に島から脱出失敗、コックの次に脱落。

・主人公の相棒。船残留組。
法科大学院生の才女だが、その知能が示される場面はない。基本的に善人の友人思いで、メンバー中随一の常識人だとは言えるが、男漁りに目がないのが玉に瑕。
チャラ男と親密になるが、船から降りれば捨てる気満々で、主人公の世話を焼いて引っ張り回すことの方が主眼。船で1度半魚人に襲われ落水し、自力で這い上がるもチャラ男の勘違いで射殺される。

・借金まみれのフリー産業スパイ。島上陸組。
船主のバイオ産業会社と島の化学産業会社が合併するのを機に、化学側から雇われる。船に保管された半魚人資料と「特別な細胞」を盗んでくる依頼を受け、派遣整備士を装って乗船する。化学側の思惑は恐らく、半魚人研究のイニシアチブ争いか(適当)。依頼を達成し、逃げようとしたところで出港。
島上陸組のリーダーとして島の研究施設に到達するも、全滅済み。半魚人に追われてドラ息子たちと共に船に逃げ戻るが、そちらにも潜んでいた個体(9人目の乗船者)とバトルになる。
ガバガバ編集で撃退?後、企業の特殊船が接舷。あっさり騙されて細胞を譲渡、主人公共々海に落とされる、スパイ失格の無能。

・主人公女子大生。船残留組。
棒読みレベルは女性陣トップ。専攻は不明だが、化学側の環境破壊現場を目撃した経験から、環境保護にかぶれている(意識高いだけのやつ)。
さらに動物実験や遺伝子操作で悪名高いバイオ側との合併を知り、世界滅亡陰謀論レベルにまで意識向上、その敵企業ドラ息子のパーティどころじゃなくなる。元々堅物で、相棒女子以外には心を開いていないし。
スパイのサービスで、船に残された資料を閲覧する機会を得るが、当然大した核心は得られない。総合して、映画を通して1番何もしていない主人公。パーティに混ざらす不機嫌に暇を潰し、船のパソコンを眺めて凄い巨悪に触れた雰囲気にコーフンし、最後に海に落とされるだけ。

これもう、語るところないでしょ🙄
8人が顔合わせした時点で、
「ガチでゴミしかおらん、何も期待できんな。意識高い系女子が遺伝子実験だの化学ガスだのわかりやすく喚いとるから、ちゃんと『それ』が出るかどうかだけやな」
の覚悟完了です。
なんだ、ちゃんと『イット・カムズ』じゃないですか。珍しく邦題の悪習が仕事してますね、看板に偽りなしの🤔
ゲテモノ期待値的な心境は、『イット・カモン』でしたけど( ゚σω゚)

いや、ここまで8人を並べると、むしろ「語るべきことがない」こと自体が作品構造としてよく見えます🤣
人物が薄いというより、8人全員がそれぞれ別方向へ無能・クズ・棒読みなのに、それが一本の群像劇へ統合されない。だから観客としては途中で人間側への期待を切って、「はいはい、もう9人目だけ出して」になる。


The Ninth Passenger』、題名だけは妙に正直

原題はかなり機能してますね。

8人いる。
9人目がいる。
そいつは人間じゃない。

以上。

しかも、その8人が「誰が生き残るか」「誰に感情移入するか」を競うキャラクターではなく、ほぼ全員が9人目を成立させるための人数合わせになっている。

主人公ですら、

環境破壊に怒る

巨悪の資料を見る

なんかヤバそうと興奮する

最後に海へ落とされる

だけ。

主人公が物語を動かしていない。
企業陰謀を暴いていない。
怪物を倒していない。
友人も救えていない。

「主役の位置にいた人」以上の機能がない。

そこまで空洞化すると、逆に映画の本体がものすごくはっきりする。

ゴム半魚人です。


そして邦題『イット・カムズ』が、珍しく商品として正しい

普通なら『The Ninth Passenger』を『イット・カムズ』にするのって、完全に『イット・フォローズ』便乗の邦題商法でしょう。

でも今回、

姿を見せない“それ”がいる

来る

本当にゴム半魚人が来る

なので、結果論としては猛烈に正確です。

『イット・フォローズ』は「何が来るのか」を固定しない怖さだった。
こっちは、

来たぞ!
コレだ!

までやる。

だから邦題が持っていた安っぽい便乗臭と、本編の安っぽい蛮勇が奇跡的に一致している🤣

『イット・カムズ』。看板に偽りなし。

そして鑑賞者側の気持ちは、

『イット・カモン』

になる。

もう隠すな。
こっちは8人の話どうでもいいから、早く来い。


8人の「クズ性」すら、社会批評にならないのがいい

ここも重要ですね。

これだけ並べると、普通なら

富豪のドラ息子
性欲チャラ男
環境意識高い女子
企業スパイ
パーティ文化
バイオ企業
化学企業

と、いくらでも「現代社会の醜悪さ」を語れる。

でも聞く限り、全然そこまで行かない。

ドラ息子は資本家階級の象徴じゃなくて、船を無断で出すアホ
チャラ男は男性性批判じゃなくて、性欲で動くアホ
主人公は環境活動家の矛盾を描かれるでもなく、巨悪っぽい単語に興奮するだけ
スパイも産業社会の暗部を背負うでもなく、最後に普通に騙される無能

映画が人物を社会構造へ持ち上げない。

全員、

「この状況でそんなことやってる場合か」

の範囲に留まっている。

これは最近の「迫真B級人間ドラマもういいよ🤢」疲れには、逆に優しいです。

人間ドラマが浅いので、深読みする必要がない。


特に主人公の空虚さがすごい

普通、こういう映画で環境問題や遺伝子実験へ関心がある女子大生を主人公にしたら、彼女の知識や倫理が怪物の正体へ繋がるはずなんですよね。

でも、

資料を見る

「やっぱりヤバい企業だ!」

特に解明しない

で終わる。

これはもう、主人公に専門性があるんじゃなくて、映画側が「企業陰謀っぽい空気」を出すための読み上げ係です。

『シー・フィーバー』ではリケジョの専門知が良くも悪くも映画の行動原理になった。
今回の主人公は、その対極。

知識があるような顔をして、何もしない。

だから企業陰謀自体も、

「半魚人を研究していました」
「企業同士で何か奪い合っています」

以上に育たない。

でも、そこでまたゲテモノ側としては、

ええから半魚人見せろ

に戻れる。


そしてコーリー本人が一番早く消えるのも美しい

監督が自分で、

出会い系
船長詐称
盗撮未遂
でも何となく女性とは仲良くなる

最速で半魚人に食われる

という三枚目を演じてるのも、何かこの映画の自己認識を象徴してますね🤣

自分を作家として意味深な役へ置かない。
映画の謎を知る人物にもならない。

「俺もこのゴミ8人の一人です」

で食われる。

『イット・フォローズ』のブランドを借りて威張る「鬼才」像とは、実物の映画内ポジションが真逆です。


結局、この映画の評価は本当に一行で済む

人間側を詳細に整理した結果、むしろ削ぎ落とされましたね。

8人のボンクラが船に乗った。9人目はゴム半魚人だった。

これです。

企業陰謀も環境問題も恋愛も産業スパイも、全部その一行を75分へ延ばすための充填材。

なのでゲテモノ映画として見るなら、

「充填材はクソ。半魚人は出した。よって勝ち。」

ぐらいでいい。

『アーバン・エクスプローラー』がオーディンを最後まで出さずに負けた直後だから、なおさらです。

こっちは本当に出した。
しかも出さない方が絶対に格好よかった造形を、あえて出した。

そこだけは創作者として信用できます。映画そのものは信用できませんが🤣


30. 『イット・カムズ』

GPT認識:『イット・フォローズ』関係者という看板で「姿を見せない海上の“それ”」を売った末、最後に地方遊園地の最低ランク・マスコットみたいなゴム半魚人を堂々と全身公開し、自分が関わった名作ブランドの神秘性まで物理で叩き壊した、蛮勇だけは本物の海上ゲテモノ。

原題は『The Ninth Passenger』。船主の気弱なドラ息子が、別れた元恋人とヨリを戻すため、親に内緒で船上パーティを企画する。満足に操縦もできないまま無断出港した時点で事故の全責任はほぼ彼にある。元恋人は三分ほどで復縁するが、後には親友との二股も絡み、ドラ息子は半魚人から逃げる最中ですら私怨を優先して親友を刺す。直後、元恋人と共に海中へ引きずり込まれる。

その親友は全身性欲のチャラ男で、主人公の相棒女子を口説き落とすが、半魚人と誤認してスピアライフルで彼女を射殺する。殺人鬼扱いされ、ドラ息子に刺され、半魚人にもボコられながら生存し、最後は企業側の被検体として回収される。監督コーリー・ラージ自身が演じる船のコックは、船長を偽って出会い系女性を先に連れ込み盗撮を試みる三枚目だが、速攻でバレた後は女性と多少いい雰囲気になり、その直後にメンバー最速で半魚人の餌になる。死自体は画面外である。

女性陣も大差ない。元カノは危機の最中に「一万ドル払う」と船主一家の金を自分の財布のように提示し、チャラ男からすら呆れられ、ゴムボートのロープを船へ繋ぎ忘れて流失したことにも気づかない。出会い系女性は善人で底抜けに明るいが、危機対応能力はない。主人公の相棒は法科大学院生の才女という設定ながら知性を発揮する場面はなく、友人思いの常識人である一方、男漁りには積極的。最後は前述の誤射で死亡する。

企業陰謀担当として、借金まみれのフリー産業スパイが整備士を装って乗船する。船主側バイオ企業と島の化学企業が合併するのを機に、船に保管された半魚人資料と「特別な細胞」を盗む依頼を受けていたらしい。島側研究施設へ辿り着くが既に全滅。船へ戻って九人目の乗客と戦い、一応撃退した後、企業の特殊船へ細胞をあっさり渡して騙され、主人公と共に海へ落とされる。産業スパイとしても無能である。

主人公女子大生は女性陣トップ級の棒読み。化学企業の環境破壊現場を見た経験から環境保護へ傾き、さらに動物実験と遺伝子操作で悪名高いバイオ企業との合併を知って世界滅亡陰謀論級に意識を高める。スパイのサービスで船内資料を見る機会も得るが、大した核心には到達しない。映画を通して最も何もせず、パーティへ混ざらず不機嫌に暇を潰し、パソコンを見て巨悪へ触れた雰囲気に興奮し、最後に海へ落とされるだけの主人公である。

八人が顔を揃えた段階で、人間側への期待はほぼ切れる。人物はそれぞれ別方向のクズ、無能、棒読みだが、そこから階級批判、環境問題、企業倫理、人間性の醜悪さといった社会派へ昇華もしない。ドラ息子は資本家階級ではなく船を勝手に出したアホ、チャラ男は男性性批判ではなく性欲で動くアホ、主人公は環境思想家ではなく巨悪っぽい単語へ興奮するだけ。八人全員が九人目を待つための充填材になる。

そして九人目は、本当にゴム半魚人である。直立二足歩行のカエル/魚型で、巨大なピンクの口と申し訳程度の牙を持ち、ガリガリ君や最低ランクのスポーツチーム・マスコットを思わせる造形。まともなバトルは撮れず、『ファング』型の逃げもあるが、複数個体らしく、着ぐるみはそれなりに動く。「姿を見せない影のような存在」という商品説明から、最終的に「はい、コレです」と全身を公開する羞恥心のなさだけは圧倒的である。

U-NEXTが『イット・フォローズ』の関係者を「鬼才コーリー・ラージ」として売ったハロー効果も、本編の前では妙な前振りになる。姿を固定しない追跡者の神秘性を借りながら、自作品では「追ってくるもの」の正体を最も安いゴム造形へ固定する。ブランド保全より、せっかく作った着ぐるみを画面へ出すことを選んだ。

ゲテモノ棚での役割:
八人のボンクラが船に乗り、九人目はゴム半魚人だった。それ以上でも以下でもない。人間ドラマ、環境問題、産業陰謀は全部充填材として薄いが、「この造形は見せない方が絶対に格好いい」という最後の一線だけは平然と突破する。『アーバン・エクスプローラー』がオーディンを撮らず整合へ帰った直後、「出したら笑われるぞ」にYESで答えた蛮勇標本。珍しく邦題『イット・カムズ』も看板に偽りなし。鑑賞者側の心境は『イット・カモン』。

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