新規事業の会議で、毎回同じ話をしてしまう理由
新規事業の会議では、同じ話が何度も出ることがあります。
この顧客は本当に困っているのか。
自社がやる意味はあるのか。
今やるべきなのか。
現場は回せるのか。
いくらなら成立するのか。
どこまで検証できたら次に進むのか。
一度話したはずなのに、次の会議でもまた同じ論点に戻る。
これは、会議の進め方が悪いというより、判断の記録が残っていないことが原因になっていることがあります。
新規事業は、不確実なことが多い仕事です。
だから、議論が揺れるのは当然です。
ただ、毎回同じところに戻ってしまうと、検討が前に進みません。
大事なのは、会議で正解を出すことではなく、その時点で何をどう判断したのかを残すことだと思っています。
会議で話したことと、決まったことは違う
会議では、いろいろな意見が出ます。
可能性がある。
リスクがある。
現場が大変そう。
もう少し調べた方がいい。
一度試してみてもいい。
今は優先順位が低いかもしれない。
こうした話が出ること自体は大事です。
ただ、話しただけで終わると、次の会議でまた同じ論点が戻ってきます。
重要なのは、「何を話したか」ではなく、「何を決めたか」です。
この課題は強いと見ているのか。
まだ課題の強さは判断できていないのか。
自社がやる意味はあると判断したのか。
今はやらないと判断したのか。
次に確認すべきことは何なのか。
ここが残っていないと、会議のたびに議論がリセットされます。
新規事業の会議では、議論の内容よりも、判断の状態を残すことが大事だと思っています。
決まっていないことも残す
会議の記録というと、決まったことだけを残しがちです。
次に誰が何をやるのか。
いつまでに何を調べるのか。
どの資料を作るのか。
もちろん、それも必要です。
ただ、新規事業では「まだ決まっていないこと」を残すことも大事です。
顧客の課題はまだ確認できていない。
価格の妥当性はまだ分からない。
現場負荷はまだ見えていない。
今やる理由はもう少し整理が必要。
継続する条件はまだ決まっていない。
こうした未決事項が残っていないと、次の会議で何を判断すべきかが分からなくなります。
新規事業では、分からないことがあるのは問題ではありません。
問題なのは、何が分かっていないのかが分からない状態です。
決まったことだけでなく、決まっていないことも残す。
それだけで、次に進めるための論点がかなり整理されます。
仮説を会議の中心に置く
新規事業の会議では、意見が多くなりやすいです。
売れそう。
難しそう。
顧客に刺さりそう。
現場が嫌がりそう。
競合が出てきそう。
利益が残らなさそう。
どれも大事な意見ですが、意見だけで議論すると、話が散らかります。
そこで必要なのが、仮説です。
この顧客は、この課題に困っているのではないか。
この価格なら選ばれるのではないか。
この導線なら利用されるのではないか。
この運用なら現場で回せるのではないか。
この条件を満たせば、次に進めるのではないか。
仮説があると、会議の目的が変わります。
誰の意見が正しいかを話すのではなく、どの仮説を確認すべきかを話せるようになります。
感覚のぶつけ合いではなく、検証すべき前提の整理になる。
新規事業の会議では、アイデアを議論するだけでなく、そのアイデアの前提になっている仮説を明確にすることが大事だと思っています。
宿題ではなく、判断条件を決める
会議の最後に、宿題だけが決まることがあります。
市場規模を調べる。
競合を調べる。
顧客に聞く。
収支を作る。
現場に確認する。
これ自体は必要です。
ただ、宿題だけ決めても、次の判断につながらないことがあります。
大事なのは、その宿題によって何を判断するのかを決めておくことです。
顧客に聞くなら、何が分かれば課題が強いと判断するのか。
価格を確認するなら、どの反応なら成立可能性があると見るのか。
現場に確認するなら、どの負荷なら許容できるのか。
収支を見るなら、どの条件なら次に進むのか。
ここがないと、調べたあとにまた議論が始まります。
調べました。
結果はこうでした。
では、どう判断しますか。
これでは、会議がまた最初に戻ります。
だから、宿題を決めるときは、同時に判断条件も決める。
何を確認するのか。
何が分かれば進むのか。
何が分かれば見直すのか。
何が分かれば止めるのか。
ここまで決めておくと、次の会議が進みやすくなります。
会議のゴールは、結論を急ぐことではない
新規事業の会議では、毎回きれいな結論が出るとは限りません。
むしろ、すぐに結論が出ないことの方が多いです。
顧客の反応がまだ分からない。
数字の前提がまだ粗い。
現場負荷が見えていない。
競合の状況をもう少し確認したい。
今やるべきか判断しきれない。
こういう状態は普通にあります。
だから、会議のゴールは、無理に結論を出すことではありません。
その時点で何が分かっていて、何が分かっていないのか。
どの仮説を確認すべきなのか。
次の判断に必要な材料は何なのか。
ここを整理することです。
結論が出ない会議でも、次に確認すべきことが明確になれば前に進んでいます。
逆に、結論らしきものが出ても、前提が曖昧なままだと、後でまた戻ります。
新規事業では、無理に決めることより、次の判断に必要な情報を明確にすることの方が大事な場面があります。
判断ログがあると、議論が積み上がる
新規事業の会議では、議事録よりも判断ログが大事だと思っています。
議事録は、何を話したかを残すものです。
判断ログは、何をどう判断したかを残すものです。
なぜ進めるのか。
なぜ見送るのか。
どの仮説を確認するのか。
何が分かれば次に進むのか。
どの条件ならやめるのか。
今はやらないなら、何が変われば再検討するのか。
こうした判断が残っていれば、次の会議はそこから始められます。
前回はここまで決めた。
ここはまだ未確認。
今回はこの仮説を確認した。
その結果、この前提は合っていそう。
一方で、この前提は見直す必要がある。
このように議論が積み上がります。
毎回ゼロから話すのではなく、前回の判断の上に次の判断を重ねる。
これができると、新規事業の検討スピードは上がります。
同じ話をしているなら、記録の仕方を見直す
新規事業の会議で毎回同じ話をしてしまうとき、会議時間を短くするだけでは解決しません。
発言者を絞っても、本質的には変わらないことがあります。
見直すべきなのは、会議の記録の仕方です。
何を話したかではなく、何を判断したのか。
何が決まっていないのか。
どの仮説を確認するのか。
何が分かれば次に進むのか。
どの条件なら止めるのか。
ここを残すだけで、会議の質は変わります。
新規事業では、議論が揺れること自体は悪くありません。
ただ、毎回同じ場所に戻るのはもったいない。
判断のログを残せば、失敗も、見送りも、途中の迷いも、次の判断材料になります。
会議で大事なのは、きれいに話すことではありません。
判断を積み上げることです。
新規事業の会議で同じ話を繰り返しているなら、まず記録すべきものを変える。
議事録ではなく、判断ログを残す。
それが、新規事業を前に進めるために必要なことだと思っています。
