68 文法できる子、文の顔を見つける
時間の旅から帰ってきた
久しぶりのラボ。
クッキーくんは、
リュックを机の横に置いた。
時間の旅で使ったカードを、
一枚ずつ机に並べる。
アスペクト。
テンス。
ル形。
タ形。
🍪「けっこう増えたなぁ。」
最後に、
研究ノートを開いた。
そこには、
ずっと前に書いた図があった。
文 = 命題 + モダリティ
🍪「……これ。」
見たことはある。
でも、
あのときはまだ、
「文の外側についているもの」
くらいにしか思っていなかった。
クッキーくんは、
いまココくんの最後の言葉を思い出した。
次に見るのは、
時間じゃないよ。
話している人。
🍪「話している人……。」
顔がいっぱいある
ラボの奥を見ると、
見慣れない装置が置いてあった。
小さな画面と、
いくつものボタン。
ボタンには、
😐 🤔 🤷 😤 💡 🙏
いろいろな顔がついている。
🍪「……なにこれ。」
とりあえず、
画面に文を入れてみる。
クッキーくんが来る
装置が光った。
[クッキーくんが来る]+ 😐
🍪「顔がついた。」
もう一つ、
🤔のボタンを押してみる。
ピッ。
[クッキーくんが来る]+ 🤔
画面に文が出た。
クッキーくんが来るだろう。
🍪「あれ?」
さっきと比べる。
クッキーくんが来る。
クッキーくんが来るだろう。
🍪「来ることは、
どっちも同じだ。」
変わったのは、
出来事ではない。
🍪「……話してる人?」
文の中身と、話し手の顔
研究ノートを開く。
命題
話し手が、
伝えようとする内容。
モダリティ
その内容に対する、
話し手の心的態度。
🍪「あ。」
前に見た図と、
いま目の前にある装置が
つながった。
[命題]+[モダリティ]
クッキーくんは、
ノートに書いた。
[クッキーくんが来る]
ここが、
伝えたい内容。
その外側に、
😐
🤔
🤷
😤
話し手の見方がつく。
🍪「モダリティって、
文についた顔みたいだ。」
同じ命題でも、
言い切ったり。
推し量ったり。
可能性を考えたり。
確信したり。
話し手が、
その内容をどう捉えているかで、
文の顔が変わる。
🍪「いまココくんが
『話している人』って言ったの、
これかぁ。」
顔は、相手にも向く
クッキーくんは、
装置をもっとよく見た。
顔のボタンの横に、
もう一つ小さな表示がある。
話し手 → 内容
🍪「これはわかる。」
話し手が、
内容をどう捉えるか。
ところが、
その下には別の表示があった。
話し手 → 聞き手
🍪「……聞き手?」
試しに、
🙏のボタンを押してみる。
画面に、
ちょっと待ってください。
と出た。
🍪「あ。」
これは、
出来事について
「こう思う」と言っているわけではない。
相手に向かって、
働きかけている。
装置に、
二つのラベルが光った。
対事的モダリティ
→ 内容に対する話し手の捉え方
対人的モダリティ
→ 聞き手に対する話し手の態度
🍪「モダリティって、
話し手の顔だけじゃないんだ。」
内容を見る顔と、
相手に向ける顔。
同じ「話し手」でも、
向いている方向が違う。
研究ノート
クッキーくんは、
今日わかったことをまとめた。
文 = 命題 + モダリティ
命題は、
話し手が伝えようとする内容。
モダリティは、
その内容に対する
話し手の心的態度。
そして、
モダリティには
大きく二つある。
対事的モダリティ
話し手 → 内容
対人的モダリティ
話し手 → 聞き手
クッキーくんは、
最後に絵を描いた。
[命題]+ 😐🤔🤷😤💡
その下に、
話し手 → 聞き手 🙏
🍪「……ほんとに顔だ。」
時間の旅では、
出来事をどこから見るかを
ずっと追いかけてきた。
今度は違う。
見るのは、
その文を、
誰が、どんな気持ちで言っているのか。
クッキーくんは、
顔の並んだ装置を見た。
まだ、
押していないボタンが
たくさんある。
🍪「……全部、
意味が違うんだよね。」
装置は、
何も答えなかった。
ただ、
🤔 🤷 😤 💡
いくつもの顔が、
静かに光っていた。
モダリティの観察は、
始まったばかりだ。
