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#310: 「指示」より「意図」を。

毎日投稿310日目。 先日(#308)の記事で、僕はこう言いました。 「全員に同じサービスをするな。目の前の人に合わせてチューニングしろ」と。

▼まだ読んでいない方はこちら。
#308: 全員に「同じサービス」をするな。 ── 小さな会社だからできる「超・個別チューニング」


これを読んで、現場を知る経営者の方ならこう思ったはずです。

「自分がやるならできるよ。でも、スタッフ全員にそれをやってもらうのは、現実的に無理じゃないか?」

ごもっともです。

100人のお客さまがいれば、100通りの正解がある。
それをスタッフ全員が完璧に実行するなんて、正直、不可能です。

それでも僕が言い続ける理由。
それは、完璧にできるかどうかよりも、「そのくらいの気持ちでお客さまと接する姿勢」こそが、新しい価値を生むと信じているからです。

今日は、その姿勢をチームに根付かせるための、ものすごく難しくて、でも絶対に避けては通れない「教育」についてお話しします。

「これ、ダメ!」と言い続けていませんか?

多くのリーダーは、失敗させないために丁寧に「指示」を出します。
「Aのお客さんが来たら、Bをしてね」
「この作業は、この手順でやってね」

これは、管理する側からすれば楽です。
でも、これをやり続けるとどうなるか?

これ、子育てでも全く同じことが言えると思うんです。

ただ「指示」だけを出していると、どうしても口調が「こうしなさい!」という命令になりがちです。

そして、子供が少しでも違うことをしようものなら、 「違う、そうじゃない」 「それダメ、ダメ!」 という「否定」のコミュニケーションになってしまいます。

これでは、子供も嫌になりますよね。
「どうせ怒られるなら、言われたことだけやっておこう」となるのは当然です。

会社でも同じです。
これを続けると、「言われたことは完璧にやるけど、言われないと動かないロボット(指示待ち人間)」が完成してしまいます。

「How」ではなく、「Why」を渡す。

自走するチームを作るコツ。
それは、具体的なやり方(指示=How)ではなく、目指すべき状態(意図=Why)を伝えることです。

ガソリンスタンドの例で言えば、 「窓を拭いて(指示)」と言うのではなく、 「お客さまが気持ちよく出発できるようにして(意図)」と伝えるのです。

そうすれば、スタッフは考え始めます。
「今日は雨だから、窓拭きよりもワイパーの点検を提案しようかな」
「車内がゴミだらけだから、ゴミ捨てを提案しようかな」

もちろん、毎回完璧な正解が出せるわけではありません。
でも、「どうすれば喜んでもらえるか?」と考えた数(試行錯誤)だけ、そのスタッフは成長します。

正直、うまくいっていません。

……と、ここまで書くと「nobuさんの会社は全員が自走しているすごい組織なんだ」と思われるかもしれませんが、現実はそんなに甘くありません。

正直に言います。
僕のガソリンスタンドでも、この「意図を伝えて動いてもらう」ことは、完璧にはうまくいっていません。

意図を伝えたつもりでも、現場では伝わりきらない。
スタッフもどう動いていいか悩み、チームリーダーたちがその狭間で苦戦しているのも日々感じています。

意図を伝えるということは、指示の抽象度が上がるということです。
「思った通りのことをやってくれない」 「もっとこうして欲しかったのに」 そんなズレは往々にして起こります。

指示を出してロボットのように動いてもらった方が、経営者としてもリーダーとしても、精神的には楽な瞬間さえあります。

そのための「プロジェクト制度」。

では、ただ指をくわえて見ているのかといえば、そうではありません。
意図や課題が伝わりにくいなら、「意図や課題を議論する場」を作ればいい。

そのために導入したのが、「社内プロジェクト制度」です。

これは、お店の課題(=意図のズレが生じている部分)をプロジェクトとして切り出し、スタッフ自身に解決を任せる仕組みです。

「なぜこの課題に取り組むのか?」
「どうすれば解決できるのか?」

社長からのトップダウンではなく、チーム全員で膝を突き合わせて議論する。 そうやって「自分たちの言葉」で課題を語り合うプロセスこそが、最も深く「意図」を浸透させる方法だと思うからです。

それでも、「意図なし」で接客はしてほしくない。

プロジェクト制度があっても、まだ完璧ではありません。
日々、試行錯誤の連続です。

それでもなぜ、僕は「指示」ではなく「意図」にこだわるのか?
それは、「意図を分からずに、お客さまと接してもらうことだけは避けてほしい」からです。

意図を知らずに行う作業は、ただの「動作」です。
そこに心はありません。

現実的に100点満点のチューニングは難しいかもしれません。

でも、「目の前の人に喜んでもらいたい」という意図を持って接する姿勢さえあれば、たとえ不器用でも、その想いはお客さまに伝わります。

その「姿勢」の積み重ねだけが、マニュアルを超えた感動や満足を生み出し、将来彼らが自分の足で立つための「糧」になると信じているからです。

苦しみながら、進むしかない。

「意図」を渡すことは、リーダーにとってもスタッフにとっても、茨の道です。正解がない中で、考え続けなければならないからです。

でも、その苦労の先にしか、AIにもロボットにも代替できない「人間だけの仕事(価値)」はありません。

僕たちのチームも、まだまだ道半ばです。
リーダーたちも悩みながら進んでいます。

それでも、「優秀なロボット」ではなく「悩める人間」として、今日もお客さまに向き合いたいと思います。

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