【03】果物の果糖は太る?太らない?「血糖値が上がりにくい=太りにくい」を管理栄養士が調べてみた
「果糖は血糖値が上がりにくいから、太りにくい」
「果物は糖質が多いから、ダイエット中は避けた方がいい」
SNSで、こんな健康情報を見かけることがあります。
前回は、朝バナナと血糖値の関係を調べました。そこで気になったのが、**「果物に含まれる果糖は、ほかの糖と何が違うの?」**という疑問です。
果糖は血糖値が上がりにくいと言われますが、それは「体脂肪が増えにくい」という意味なのでしょうか?
今回は、果物に含まれる糖の種類から、体の中での代謝、研究で分かっていることまで調べてみました。
先に結論。「果糖だから太らない」とは言えません
果糖は、ブドウ糖とは体の中での処理のされ方が違い、食後の血糖値を直接上げる作用は比較的小さい糖です。
でも、「血糖値が上がりにくい=太りにくい」とは言えません。
果糖もエネルギーとして利用されますし、条件によっては脂肪の合成に回ることもあります。
一方で、「果物を食べる=太る」でもありません。
大切なのは、果糖だけを取り出して考えるのではなく、果物という食品全体や、食べる量、普段の食生活をふまえて考えることです。
① そもそも、果物にはどんな糖が入っているの?
まずは、果物の糖について整理してみます。
果物には、主にブドウ糖・果糖・ショ糖などが含まれています。
ブドウ糖は、体のエネルギー源として利用される糖です。血液中のブドウ糖の濃度が、私たちが普段「血糖値」と呼んでいるものです。
果糖は、果物などに含まれる糖で、ブドウ糖とは体の中での代謝のされ方が異なります。
ショ糖は、ブドウ糖と果糖が結びついた糖です。砂糖の主成分でもあります。
つまり、果物=果糖だけ、ではありません。
果物には複数の糖が含まれていて、その割合も果物の種類によって違います。
同じ果物でも、糖の中身は違う
たとえば、文部科学省の食品成分データベースを見ると、バナナとりんごでは糖の構成が異なります。
バナナにはショ糖が比較的多く含まれ、りんごには果糖が比較的多く含まれています。
また、果物には糖類だけでなく、でんぷんが含まれるものもあります。
このように、「果物の糖質」とひとまとめにしても、中身は同じではないのです。
② 果糖は、ほかの糖より太りやすい?太りにくい?
ここで、今回の中心となる疑問です。
「果糖は血糖値が上がりにくいから、太りにくいのでしょうか?」
この疑問を考えるには、まず「果糖を食べたとき、体重にどのような影響があるのか」を調べる必要があります。
🧪研究ではどうなの?
果糖と体重の関係を調べた研究をまとめた報告があります。
2012年のメタアナリシスでは、果糖をほかの炭水化物と置き換え、摂取エネルギーを同じにした試験では、体重への明確な影響は見られませんでした。
一方、果糖を追加して摂取エネルギーが増えた試験では、体重増加が見られました。
ただし、この研究では、果糖を追加したことと、摂取エネルギーが増えたことを切り離せません。
そのため、「果糖そのものが特別に太りやすい」とも、「果糖なら太らない」とも言い切れないのです。
また、こうした研究は、果糖を含む飲料などを用いたものが中心で、果物をそのまま食べることと同じではありません。
③ では、果物を食べると太るの?
果糖について調べると、今度は「果物そのものはどうなの?」という疑問が出てきます。
果物には糖質が含まれていますが、同時に水分や食物繊維、ビタミン、ミネラルなども含まれています。
そのため、果糖だけを取り出した研究の結果を、そのまま果物全体に当てはめることはできません。
🧪研究ではどうなの?
果物の摂取と体重の関係を調べた研究では、果物を食べることが体重増加につながるとは限らず、体重管理に役立つ可能性を示した報告もあります。
ただし、研究の条件や対象者、果物の種類、摂取量などによって結果は異なります。
また、果物ジュースなどは、果物をそのまま食べる場合とは異なる影響を示すこともあります。
そのため、「果物は食べれば食べるほど痩せる」とも言えません。
果物を怖がりすぎず、普段の食生活の中で適量を取り入れることが大切だと考えられます。
④ ブドウ糖と果糖、体の中でどう違う?
ここまでで、「果糖だから太らないとは言えない」ということが分かりました。
でも、もう一つ疑問が残ります。
「では、なぜ果糖は血糖値が上がりにくいと言われるのでしょうか?」
その理由を、体の中での代謝から考えてみます。
ブドウ糖の場合🍚
⭐️ブドウ糖は小腸から吸収され、血液を通じて全身の組織へ運ばれます。
筋肉や脳などでエネルギーとして利用され、余った分はグリコーゲンとして蓄えられたり、条件によっては脂肪の合成に回ったりします。
果糖の場合🍎
⭐️果糖も小腸から吸収されますが、ブドウ糖とは異なり、主に小腸や肝臓で代謝されます。
その過程で、ブドウ糖や乳酸などに変わり、エネルギーとして利用されます。
また、摂取量や体の状態などによっては、脂肪の合成に回ることもあります。
つまり、果糖は「体に入っても使われない糖」ではありません。
ブドウ糖と果糖では、体の中での処理のされ方が違うのです。

⑤ 「血糖値が上がりにくい=太りにくい」ではない?
ここで、最初の疑問に戻ります。
果糖は、ブドウ糖と比べて、食後の血糖値を直接上げる作用が小さいという特徴があります。
でも、血糖値の上がり方と、体脂肪が増えるかどうかは別の話です。
血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を表しています。
一方、体脂肪が増えるかどうかは、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスなど、さまざまな要因が関係します。
果糖もエネルギーとして利用されるため、血糖値が上がりにくいからといって、エネルギーがなかったことになるわけではありません。
そのため、「果糖は血糖値が上がりにくい=太りにくい」とは言えないのです。
じゃあ、果物はどう食べればいい?
ここまで調べてみると、果物は「太る・太らない」で考えるより、普段の食生活にどう取り入れるかが大切だと分かります。
たとえば、こんな食べ方があります。
朝食にバナナ+ヨーグルト🍌
バナナにヨーグルトを組み合わせて、朝食の一品に。
間食にみかん🍊やりんご🍎
甘いものが食べたいときの選択肢として。
運動前の糖質補給にバナナ🍌
運動の時間や強度に合わせて、必要な量を考えながら。
甘いお菓子の代わりに果物を楽しむ🍇
普段のおやつの選択肢として、果物を取り入れるのも良いですね。
特別な食べ方にこだわるより、普段の食生活に無理なく取り入れることを大切にしたいと思います。
まとめ
* 果物には、果糖だけでなくブドウ糖やショ糖なども含まれる
* 果糖はブドウ糖とは代謝のされ方が違う
* 果糖は血糖値を直接上げる作用が比較的小さい
* でも、「血糖値が上がりにくい=太りにくい」ではない
* 果糖もエネルギーとして利用され、条件によっては脂肪の合成に回る
* 「果糖だから太らない」「果物を食べると太る」のどちらも言い切れない
* 果物は、量・食べ方・食事全体を考えて上手に取り入れたい
SNSの健康情報は、短い言葉で分かりやすく伝えられる一方で、「なぜそう言えるのか」が省略されていることもあります。
私自身も、管理栄養士だからといって、すべての健康情報を知っているわけではありません。だからこそ、気になったことを一つずつ調べて、根拠を確認していきたいと思っています。
私のInstagram
今回の内容を図解で分かりやすくまとめています。
「その健康情報、本当?」をテーマに、SNSで話題の健康情報を管理栄養士が根拠から調べて発信しています。
よかったら、覗いてみてください😊
Instagram:@pukupuku.eiyou
これからも、健康情報に振り回されず、自分で考えるための材料をお届けできたらうれしいです。
▶ 「管理栄養士なのに、私も分からない。だから『健康情報を根拠から調べる』Instagramを始めてみました」
よかったら、こちらも読んでいただけるとうれしいです😊
最後まで読んで頂き
ありがとうございました😊✨
⸻
参考文献
1. Sievenpiper JL, et al. Effect of fructose on body weight in controlled feeding trials: a systematic review and meta-analysis. Annals of Internal Medicine. 2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22351714/
2. Molecular Aspects of Fructose Metabolism and Metabolic Disease.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8665132/
3. Fructose drives de novo lipogenesis affecting metabolic health.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36753292/
4. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/
※この記事は一般的な健康情報をまとめたものであり、個別の治療や食事指導を目的としたものではありません。
