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また、日本におりました。_01

キャンプにも行きました。早池峰山という山があってその麓にあるタイマグラというキャンプ場です。タイマグラはアイヌ語で、森の奥へ続く道という意味だそうです。早池峰は岩手の山ですが、アイヌ語の地名なんですね。

キャンプは昔から好きなんです。ベッドではないところで寝るのが好き。あとね、私、子供の頃からお風呂に入るのがめんどくさくて。汚いことにある程度の耐性があったんですよね。キャンプに行くとお風呂に入らず寝られるのが好きでした。文明人ではなかったのかもしれません。(ちなみに名誉のために言いますが、お風呂に入るのは社会のマナーだと思ってますので、現在、家に帰るとすぐに入ります。すぐに入らないとめんどくさくなるからです)

中国に住むようになってからも同じくキャンプ好きの姉と家族を巻き込んでキャンプには来てました。3回くらいかな?3回目は雨がとにかくひどくて辟易しました。4回目の今回は、また別の問題があった。

キャンプといえば?
そう、くまです。

中国から姉と話してた時は、「大丈夫大丈夫」と言われましたが、晴れてキャンプ場について管理棟へ行ってみると、ドーンと何枚も熊の写真が飾ってあった。おいおい。

姉以外の義兄、甥、私、息子の4人は、クマについては大丈夫大丈夫と言われてきたが、一気に青ざめる。ガッツリクマさんがハローする場所ではないですか。これはもう詐欺罪に当たると言ってもいい罪。

姉と管理人さん曰く、現在、5組ほどのキャンパーがいて賑やかだし、調理場の電気は一晩中つけておくし、人間のいるところにくまはきませんと言います。

「つまり、最近のニュースでいうところのニュージェネレーションなクマではなく、昔ながらのクマだというわけですね?」
「はい」

ほんまかーい!と思いながらしぶしぶ我々は、キャンプの準備にかかる。

そして、雨が降った。降ってやんで降ってやんで、泣きたくなったが、耐えました。それから、蚊に刺された。黙々とムヒを塗る。私は蚊に刺されるのは大嫌いだが、でも、蚊に刺されるために自分の行動範囲を狭めることは、すなわち蚊に敗北したことになるので嫌なのである。蚊に刺されてもキャンプは好きである。

大量の虫除けスプレーとムヒを塗ったら、夜半とうとう蚊に刺されなくなった。やった!勝った!しかし、流石にベタベタするぞ!

今回は5人で、おっきいテント一つにした。テントは常設テントを借りたのだ。しかしだな、管理人さんには二つにしとけと散々言われた。

そして、夜になった。

思春期の男子二人、中年女性二人、中年男性一人、

狭いです……

床は痛いです。普段ベッドでふかふかと寝ている人間には、下にマットをひいても床は痛いです。狭いです。汗を吸わない寝具で寝ると、ベタベタマックス。

それに追い打ちをかけたのは、クマだった!
というのは嘘で、夜中中雨が凄くって、それで、テントから徒歩1分ほどのトイレへ行けなかったのです。電気もない中で懐中電灯の灯りで傘を出して、ぐちゃぐちゃの地面の上をトイレへゆくのはインポッシブル。

むしろもう、そこら辺でしてしまった方が良かったのでしょう。
しかし、文明人としての誇りが私にもあって、夜の闇に紛れて野で用を足すことはできなかった。くっ!

結局、雨が止むまで起きていたのです。4時前から小一時間ほどかしら?この時、私のキャンプへの愛が最高潮に揺らいだ!トイレのある家に住みたい!(いや、住んでるわけだが)

すると、奇跡的に雨が小降りになった。テントを這い出してみると、すでに辺りは明るい。

おお、神よ

地面の水はけも意外とできていて、そこまでベシャベシャにならずにトイレに辿りつけた。

そこからまた少し寝た。しばらくしてみなゾンビのように起きてくる。体はベタベタで、寝不足で、雨はまた降ったり止んだりだ。

流石の私も、風呂に入りたいと思った。私の不衛生に耐えるスキルも限界を超えた。

ここまで読んだらみなさん、このキャンプ行きは盛り上がらないまま終わったと思うでしょう?ところが、最後にいいことがあったんです。

雨が降ったり止んだりする中で、寝不足で重い体でノロノロと食器を洗ったり片付けをして、森の奥へと続く道を引き返し、このまま帰ったと思うではないですか?いんや、我々はさらに車で森の奥へと向かったのです。

そこにあったのは、こんなところに温泉が?というような山奥に突如現れた鄙びた温泉宿。

横沢温泉静峰苑

私、鄙びた宿が大好き。世界の端っこで世界から忘れ去られたいと思いながら生きているところがどっかありましてね。ちなみに、あの源義経が平泉では死なずに実は生きていたという伝説があって、その際この辺りに滞在したと言われているそうですよ。ほほほ。

義経伝説

こんな山奥にコカコーラと書かれた自販機が、電気が通ってる!(キャンプ場にも電気はあったがな)などと感激しながら、受付で入浴代を払い、男と女に分かれて浴場に入る。時間がまだ早かったので、我々以外誰もいなかった。その時、心の底からこう思った。

こんな贅沢をしてしまっていいのだろうか。

文明からちょっと離れてみると、お風呂に入れることに大いに心が震えた。こんな文明人みたいなこと、私がしても許されるのかしら?

湯船は流石に写真がないが、とってもこじんまりとしたお風呂である。窓の外に緑が映える。それだけでよかった。それだけがよかった。

何も足さない、何も引かない……と昔のCMコピーを思い浮かべながら、片足突っ込んだ。

「アチィーーー」

こじんまりとしたお風呂だが、パンチの効いた温度だった。邪道ではあるが、水を足し、とりあえずアチいので足だけ浸かる。次に半身。最後に肩まで。

おー、極楽、極楽。

千と千尋の神隠しで、泥だらけになった神様がさまざまなゴミを吐き出し、元の名のある主様に戻った瞬間を思い浮かべつつ、湯に浸かる。フォッフォッフォ。

それからである。あまり長湯しない自分は、さっさと出て、休憩所の畳にごろっとした。チラチラと休憩所からあちらをみると、食堂がある。私は鄙びた温泉宿も、鄙びた食堂も大好きである。

そんなにお腹は減っていなかったけど、でも、軽く食べていこうとなる。ラーメンかカレーか、ラーメンかカレーか。かなり悩んだのであるが、ラーメンへ転ぶ。このラーメンという食べ物の幅広さ、奥深さ、度量の深さ、あとなんだ?とにかく、一生をかけて追い続けたい魅力のある食べ物である。

一杯のラーメン

さっきまで文明人ではなかった私は、いっぱいのラーメンを大事に食べた。ずるずる。ラーメンを食べながら観察していると、こんな山奥の鄙びた温泉宿にもちらほらと客が現れる。ガチャガチャ込まない。かといって客がいないわけではない。ちらほらとくる。これが実にいい。

こんな雰囲気のある温泉宿。小説が一本書けそうだぜ。
それはラブロマンかミステリか怪談か、はたまた?
などと考えながら横を見る。

「お前は、コショウで味変しないのか?」
「しない」

息子はまだまだど素人だ。ラーメンに胡椒はお約束なのだ。このアラビアンナイトなスパイシーさの魔法にいつもドキドキさ。胡椒にはこれくらいの賛辞を与えるべきである。

そして、その鄙びた食堂であるべきどこまでもあっさりとした鶏ガララーメンを平らげた。美味しゅうございました。それから、雨のために濡れたサンダルを再び履いて、とうとう帰路に着く。

そんな鄙びた温泉宿の玄関でふと横を向く。

「なんぢゃこりゃあ」

トリッキーなものが売られてました……。なんだと思います?

木の四角いブロックなのですが、きのこの苗床売ってました。なんってトリッキーな。きのこの苗床買って、家で生えたてきのことって食べるとか、最高じゃね?しばし、苗床からキノコをとる想像をして楽しんだ。

ちなみにその夜は、お布団に感謝しつつ爆睡したのはいうまでもない。

2026.08.17
汪海妹

⭐︎過去書いた旅行っぽい記事⭐︎


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