仕事が終わらないときに見直したい。「パレートの法則」で優先順位をつける方法
毎日忙しく働いているのに、なぜか仕事が終わらない。
次から次へとタスクが増えて、気づけば今日も残業している。
そんなとき、一度疑ってみたいのが、
「すべての仕事を、同じように扱っていないか?」
ということです。
仕事には、成果への影響が大きいものもあれば、時間をかけても結果がほとんど変わらないものもあります。
限られた時間の中ですべてを同じ優先順位、同じ完成度で処理しようとすれば、重要な仕事に使える時間まで失ってしまいます。
そこで役立つ考え方が、
「パレートの法則(80:20の法則)」です。
この記事では、パレートの法則を単に「8割と2割に分けるルール」として覚えるのではなく、成果への影響が大きい仕事を見つけ、限られた時間をどこへ使うか考える方法として紹介します。
「全部やる」前に、「何が重要か」を考える
仕事には、もちろん「やらなければならないこと」があります。
なので、「重要でない仕事は全部やめればいい」という話ではありません。
問題なのは、すべての仕事を、優先順位や必要な完成度を考えずに同じように扱ってしまうことです。
たとえば、
今日中に判断が必要な資料
数日後でも問題ない資料の体裁修正
今すぐ返さなくても支障のないメール
プロジェクトの方向性を左右する検討
が同時にあったとします。
これらを単純に「来た順」で処理してしまうと、本当に重要な仕事へ使う時間が足りなくなるかもしれません。
忙しいときほど、
「何をやるか」
だけでなく、
「どこに時間を多く使うか」
を考える必要があります。
パレートの法則(80:20の法則)とは?
パレートの法則は、「80:20の法則」とも呼ばれています。
簡単に言えば、
結果の大部分が、比較的少数の要因から生じることがある
という考え方です。
例えば、
一部の商品が、売上の大部分を占めている
一部の原因が、不良の多くを生み出している
一部の問い合わせ内容が、対応件数の多くを占めている
といった「偏り」が見られることがあります。
ただし、ここで一つ注意が必要です。
それは、必ず「80%と20%」に分かれるわけではない、ということです。
70:30になることもあれば、90:10に近くなることもあります。
つまり、
「20%を探せばいい」
というルールではありません。
大切なのは、
「結果は均等に分布しているとは限らない。では、どこに集中しているのか?」
と考えることです。

「全部を同じように扱う」と何が起きるのか
例えば、ある業務で15種類の問題が発生しているとします。
原因も影響もまだよく分からない状態で、
「問題なのだから、15種類すべてに同じように対策しよう」
とするとどうなるでしょうか。
使える時間も人員も限られています。
それなのに、15種類すべてを同時に詳しく調べようとすれば、一つひとつに使える時間は少なくなります。
その結果として、
本当に大きな影響を与えている問題にも、十分な調査時間を使えなくなる
という可能性が出てきてしまうのです。
ここでパレートの考え方を使います。
まず、「どこに問題が集中しているのか」を確認するのです。
【実践】影響が大きいところを見つける3ステップ
では、この考え方を実際の仕事にどう使えばよいのでしょうか。ここでは3つのステップで考えてみます。

ステップ1:何を改善したいのか決める
最初に、「何について優先順位をつけたいのか」を決めます。
たとえば、「仕事を効率化したい」だけでは対象が広すぎます。作業時間を減らしたいのか、手戻りを減らしたいのか、ミスを減らしたいのか、納期遅延を減らしたいのかによって、見るべき情報は変わります。
まずは、今回何を問題として扱うのかを明確にします。
そもそも「何を問題として扱えばよいか」が曖昧な場合は、原因や対策を考える前に、問題そのものを整理する必要があります。
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「その原因分析、本当にその『問題』を解いていますか? 答えを考える前に、まずは問いを決めよう!」
ステップ2:項目に分けて、偏りを確認する
次に、対象をいくつかの項目に分け、数字や事実を確認します。
たとえば「手戻りを減らしたい」のであれば、手戻りの内容を種類別に集計する。「問い合わせ対応を減らしたい」のであれば、問い合わせ内容を種類別に集計する、といった具合です。
そして、多い順に並べます。ここで初めて、どの項目に結果が集中しているのかが見えてきます。
最初から「上位20%」を作る必要はありません。データを見た結果として、少数の項目に大きな偏りがあるかどうかを確認します。
ステップ3:影響が集中しているところから詳しく調べる
偏りが見つかったら、影響の大きい項目から詳しく見ていきます。ただし、「多かったから、すぐ対策する」わけではありません。
たとえば、「キズによる不良が最も多かった」という事実が分かっても、なぜキズが多いのかまでは分かりません。設備、材料、作業方法、運搬、保管など、原因は別に確認する必要があります。
つまり、パレート分析によって分かるのは、**「まず、どこを詳しく調べる価値が高そうか」**というところまでです。
答えそのものを出すのではなく、限られた時間や人員をどこへ優先的に使うか絞り込む。それが、パレートの考え方です。
ケーススタディ:15種類の不良にどう対応する?
ここからは、説明のための架空ケースで考えてみます。
ある工場で、製品の不良が1か月に100件発生しました。不良を分類すると、全部で15種類あります。
① 15種類すべてを同時に調べるAさん
Aさんは、「不良なのだから、全部減らさなければならない」と考え、15種類すべてについて同時に原因調査を始めました。
しかし、調査できる人数も時間も限られています。15種類へ均等に時間を使った結果、一つひとつの原因を十分に調べることが難しくなりました。
Aさんの問題は、「全部に対応しようとしたこと」そのものではありません。どの不良の影響が大きいのか確認する前に、すべてへ同じようにリソースを配分したことです。
② まず偏りを確認するBさん
Bさんは、最初に不良件数を種類別に集計しました。すると15種類のうち、上位3種類は次の結果でした。
キズ:31件
寸法不良:24件
塗装ムラ:19件
この3種類だけで、100件中74件を占めています。15種類中3種類なので項目数では20%ですが、不良件数では74%です。

このケースでは結果的に80:20に近い偏りになりました。しかし重要なのは、最初から「20%を探した」のではないことです。データを整理した結果として、「この3種類に不良が大きく集中している」と分かりました。
そこでBさんは、まずこの3種類の原因調査へ多くの時間を使うことにしました。残りの12種類も記録や確認は続けますが、15種類すべてへ同じ量の時間を使うことはしません。

件数が少ないものは無視していい?
ここで注意したいのが、「件数が少ない=重要ではない」とは限らないことです。
たとえば、残り12種類の中に「発生件数は1件だけだが、発生すると重大な事故につながる不良」があれば、件数が少ないからといって後回しにはできません。
実際に優先順位を決めるときには、発生件数だけでなく、影響の大きさ、緊急性、安全性、法令や規格、顧客への影響なども考える必要があります。
つまり、パレート分析=件数の多いものだけやればいいではありません。「結果がどこに集中しているのか」を確認し、それを判断材料の一つとして優先順位を決めます。
日々の仕事にも使えるのか?
ここまでの例は、不良件数のように数字を集計できるケースでした。では、メール返信、会議、資料作成、データ分析、企画検討といった日常の仕事にも使えるのでしょうか。
考え方は応用できます。ただし、自分のタスクを機械的に「上位20%」「下位80%」へ分ける必要はありません。
たとえば、一週間の仕事を振り返って、
何に多くの時間を使ったか
何が多くの手戻りを生んだか
同じ種類の作業を繰り返していないか
成果への影響が小さいのに、時間を使いすぎていないか
を確認します。
すると、「資料の体裁修正に思った以上の時間を使っている」「特定の問い合わせ対応だけで時間の大部分を取られている」といった偏りが見つかるかもしれません。
そこで初めて、やり方を変えられないか、まとめて処理できないか、必要な完成度を見直せないか、他の人へ任せられないか、と考えます。
まとめ:「80:20」を探すのではなく、「偏り」を探す
パレートの法則で覚えておきたいのは、「成果の80%は、必ず仕事の20%から生まれる」という数字ではありません。
重要なのは、結果への影響は均等とは限らないということです。
実務で使うときは、
何を改善したいのか決める
項目に分け、数字や事実を確認する
影響が集中しているところから詳しく調べる
という順番で考えます。そして、最終的な優先順位は、件数だけでなく重大性や緊急性なども含めて判断します。
忙しいとき、「どうすれば全部こなせるか」だけを考える前に、一度こう問いかけてみてください。
「自分の時間や問題は、どこに集中しているだろう?」
その偏りが見つかれば、限られた時間をどこへ使うべきかを考えるための、具体的な手がかりになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。「80:20という数字ではなく、偏りを見ることが大切なんだ」と感じた方は、ぜひ「スキ」をお願いします。
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