見出し画像

なぜあなたの「なぜなぜ分析」は浅いのか?"精神論"で終わらせず、真因にたどり着く技術


仕事でミスが起きたとき、上司からこう言われたことはありませんか? 「なぜ起きたんだ? なぜなぜ分析をして、対策を出しなさい」

そして、あなたは悩み抜いた末に、こんな対策を出していませんか?

  • 原因: 確認不足でした(不注意)。

  • 対策: 次からはダブルチェックを徹底し、気をつけるようにします(意識改革)。

はっきり言います。

 これは「分析」ではありません。
 ただの「反省文」です。

「気をつける」という精神論でミスがなくなるなら、警察も法律もいりません。人間はミスをする生き物だからです。

「なぜなぜ分析」の本質は、犯人探しではなく、「ミスをしようとしてもできない仕組み」を作ることです。

この記事では、製造業の現場で磨き上げられたこの手法を、オフィスワークでも使えるように噛み砕き、「真の原因(真因)」にたどり着くための具体的なテクニックを解説します。


「次は気をつけます」は対策ではない

なぜなぜ分析(5 Whys)は、トヨタ生産方式の生みの親、大野耐一氏が提唱したことで知られる、問題解決のフレームワークです。 「なぜ?」を5回繰り返すことで、表面的な原因ではなく、深い場所にある「真因」を突き止めます。

しかし、多くの人が「なぜ?」の向け先を間違えています。

 ❌ 間違い: なぜ「あの人」はミスをしたのか?(人に矢印が向く)
 ⭕️ 正解: なぜ「その行動」が起きてしまったのか?(仕組みに矢印が向く)

「忙しかったから」「疲れていたから」「慌てていたから」。 これらは全て「人の心理」であり、原因ではありません。これらを排除しようとすると、「忙しくても集中しろ!」という根性論に行き着いてしまいます。


失敗する人の共通点:「人」を責めている

浅い分析で終わる最大の理由は、主語が「人間(私、担当者)」になっているからです。

「(私が)ぼーっとしていた」
「(担当者が)ルールを知らなかった」

これでは、「その人を再教育する」か「その人を入れ替える」しか対策がなくなります。しかし、人が変わればまた同じミスが起きます。 目指すべきは、「誰がやってもミスが起きない状態」です。


【実践】真因にたどり着く「3つの鉄則」

精神論から脱却し、ロジカルに分析するための3つのルールを紹介します。

鉄則1:主語を「私」ではなく「仕組み」にする

「なぜ?」と問うとき、意識的に主語を変えてください。

❌「なぜ(私は)間違えたのか?」
⭕️「なぜ(システムは)間違った入力を受け付けたのか?」
⭕️「なぜ(マニュアルは)その手順を許可していたのか?」

主語を「物・仕組み・ルール」に置き換えるだけで、分析の深さが劇的に変わります。


鉄則2:「〜だから」と逆から読んで確認する

「なぜ?」で掘り下げていくと、論理が飛躍してしまうことがあります。 それを防ぐため、矢印を逆にして「〜だから、〇〇になった」と読み返してみてください。

順: 機械が止まった(なぜ?)→ ヒューズが切れた。
逆: ヒューズが切れた(だから)→ 機械が止まった。

これが自然に繋がらなければ、その分析は間違っています。


鉄則3:現場で「現物」を見てから考える

会議室で「あいつ、確かこうやってたよな?」と想像で分析してはいけません。 必ず現場に行き、実際の画面や書類(現物)を見て、「どの瞬間にミスが起きたのか」という事実(空)を確認してください。 想像で行う分析は、百害あって一利なしです。



ケーススタディ:「メールの誤送信」を防げ

よくある「重要ファイルを、間違った相手にメールで送ってしまった」というミスを例に、ダメな分析と良い分析を比較してみましょう。

ダメな分析例(精神論)


これでは、また忙しい時に同じミスが必ず起きます。

良い分析例(仕組みの改善)

いかがでしょうか? 前者は「人の注意力」に頼っていますが、後者は「システムの設定」を変えることで、注意力が散漫な人でもミスを防げるようになっています。これが「再発防止」です。


まとめ:再発防止策こそが、分析のゴール

「なぜなぜ分析」のゴールは、原因を見つけることではありません。 二度と同じことが起きない「再発防止策」を実行することです。

良い対策かどうかの見極め方はシンプルです。 「その対策を行えば、明日入社した新人でもミスをせずに済みますか?」

この問いに「Yes」と言えるまで、主語を「仕組み」に変えて「なぜ?」を繰り返してみてください。

あなたの職場から理不尽な「反省文」がなくなり、建設的な「業務改善」が始まるはずです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。 「これからは仕組みを疑ってみよう」と思えた方は、ぜひ「スキ」をお願いします!

このnote「ケースメソッド・ラボ」では、実際の仕事でも役立つ、実践的な課題解決手法を発信しています。

ぜひ「フォロー」して、次回の記事もお待ちください。

いいなと思ったら応援しよう!