遅くなった新婚旅行
※前のお話です。
長男の生活を整えに、付き添いで東京に来て三日目。
半日時間が空いた日に、長男の会社を見に行き、その帰りに夫は長男の住む街の理容室で散髪をした。
なんだか、どんどん東京に馴染んできた私たち夫婦。
四日目はなんと、丸一日、予定がなかった。
前日に軽い散策をした私たちは調子に乗り、「よし、観光してこよう!」とかなり「東京生活を満喫するぜ」感が増していた。
「でも、どこ行く?」
「観光地、多すぎて分からん」
「あ、でもあそこ行きたいかも。娘が去年修学旅行で行ってたし。母もよく行ってたから」
そんな理由で、私たちがマップアプリを駆使してたどり着いたのは、そう浅草寺だ。
いわずもがな、夫がおみくじでダブル凶をひき、私は大吉をひいたあのお寺。
初めての浅草寺は、かなり観光客が居て、外国人、日本人、どちらもわんさかほいだった。
「うわぁー、うれしい。あれ見たかった!」
「おぉ」
そう言って私たちは、代わりばんこで、雷門の前で写真を撮った。
真夏の暑い最中に、ほんとに大勢の観光客。
私たちは水を飲み飲み、参拝し、お守りを買い、おみくじをひき、写真を撮りまくって浅草寺をあとにした。
浅草寺から出て、少し歩いていると、
「お、あれ見てみ?」
夫が指差す方向を見上げると、なんとそこには、スカイツリーが!!!
「え?」
「え!!」
「えぇっ?」
「え~~~っ!」
こんな近くにスカイツリーさん、いたんですかっ。
私たちは東京観光を予定していなかったため、浅草寺の近くにスカイツリーがあるという予習さえしていなかったのだ。
「こんな近くにあったのか!」
「……」
「……」
「…行って、みる?」
そうして私たちは、歩き始めた。近いような気がしたから。
しかし、歩けど歩けど、近づいている気がしない。
マップアプリを開き、スカイツリーラインに乗った。
目の前に現れたスカイツリーに感動し、また写真をパシャパシャと撮りまくり、随時、子どもたちにラインで送りつけ自慢する私たち。
夏休み期間だったけれど、スカイツリーは長く待つことなく入場できた。
初めてスカイツリーの上から、眼下に広がる街並みを眺め、また感動する。
「あれは、墨田川?」
「そうだろうな」
そんな会話をしながら、まわっていると、カメラマンが撮影してくれる記念撮影のコーナーがあり、私と夫も「記念に撮っとくか」と列に並んだ。
「はい、旦那さまはもっと笑ってくださいねー」
などと、むさ苦しげな顔の夫はカメラマンに声をかけられた。
「ニコッ」
夫と二人でカメラマンに撮られた写真は、スカイツリーの記念写真用のフレームに入れられていた。
「ぶはっ、二人とも太ったなぁ……」
「……確かに」
スカイツリー内のショップを物色し、子どもたちへのお土産を少しばかり購入した。
スカイツリーを満喫した私たちは、スカイツリーと同じ建物に、すみだ水族館があるのを発見してしまう…。
「お?」
「おお?」
「行くか?」
「こうなりゃ行っとくか?」
こうして観光地三か所目は、すみだ水族館にあっさりと決定し、そこでもスムーズに入場できた。
「かわいい~」
「うおっ」
と、クラゲ祭りからの、かわいいペンギンたちまで、まるで童心に帰ったかのように、海の生き物を見て楽しんだ。
「お腹すいた~」
「なんか食べたいね」
私たちはソラマチへと移動して、飲食店を見て回り、「ここにしよう」と入店したのが、おぼんdeごはん。
お盆の中に、ごはんと汁物、主菜に副菜…と入っている。
「美味しいね~」
「うまいうまい」
朝から観光し、お腹ペコペコだった私たちは、それ以上会話することなく、一心不乱に食事した。
もぐもぐしながら、私は思った。
「でも、あれだね。二人でこんな観光してさ…」
もぐもぐ…
「なんか、新婚旅行みたいじゃない?」
もぐもぐ……
「ほら、うちらの新婚旅行って、リゾートホテルに宿泊しただけじゃん?だからこれが、新婚旅行みたいな?」
私はハイテンションでそう夫に言うと、「…だーるな」と夫はニヒルに笑った。
その頃、仕事を終えた長男は一人、コージーコーナーへと向かっていた……。
※次のお話です。
