見出し画像

13歳母娘のリアル温度差警報⚠️誕生日ケーキはホールで2つ

目次

1. 🎒 いってらっしゃい、でもちょっと寂しい  
2. 🍰 いない日のモンブラン  
3. 🕯 持ち帰られた“おめでとう”たち  
4. 🎂 ふたつのケーキと、これから

---

🎒 1:いってらっしゃい、でもちょっと寂しい

長女が13歳の誕生日を迎えた日、彼女は家にいなかった。
学校の宿泊行事と、ちょうど重なっていた。

スケジュールが出たとき、
「あっ、今年は一緒に過ごせないんだ」
と気づいた。

特別なイベントにしたかったわけじゃないけれど、
突然、未知の領域に向き合う感覚だった。

プレゼントも特に欲しがらない。
「欲しいものができたら言うね」と言われたきり、何も聞いていない。

そんなふうに、なんとなく出発の日の朝を迎えた。

荷物が重すぎて、一緒に自転車で登校。
いつになくハイテンションでご機嫌。
いつになく写真も撮らせてくれた。

でも学校に近づくと、
「もうこの辺でいいよ」と、やんわり追い返される。
いってらっしゃい。楽しんで。

友達が近くにいると、彼女は急に無口になる。
目線がふわっと浮いたまま、こちらに戻ってこない。

「怪我しないでね」とか、
「誕生日おめでとう」とか、
いろんな言葉が喉のあたりに引っかかったまま、飲みこんだ。

彼女の後ろ姿が、校門の向こうに消えていった。


🍰 2:いない日のモンブラン

「誕生日に勝手にケーキ食べないでよね」
そう言い残して出かけていった。

でもその日、うちの母が謎のタイミングで、
モンブランを三つ、冷蔵庫に置いて帰っていった。
どういうつもりなのか、聞いても多分わからない。

結局そのモンブランを、彼女のいない誕生日に食べた。
夢の中で食べたケーキみたいで、現実感が薄かった。

親せきや家族から届く「おめでとう」のLINEに、
「ありがとう!(母代返)」と返しながら、ふと考える。

今ごろ、お友達に祝ってもらっているのかな。
どんな一日を過ごしてるんだろう。

いつもなら、夕飯のときに話してくれるその日の出来事。
今日は、聞けない。


🕯 3:持ち帰られた“おめでとう”たち

数日後、帰ってきた彼女は、
ひとつひとつ、大事な宝物を見せる時みたいに話し始めた。

「校長先生から、誕生日祝いをもらったんだよ」
「里親のお父さんとお母さんが、急きょケーキを用意してくれたの」
「吹き消したろうそく、記念にもらって帰って来たよ」
「同じ誕生日の子と会うたびに、“あ、おめでとうございます”って言い合ってた」

「自慢うざい」
と横からつぶやく次女。
この子もまた、絶妙に扱いが難しい年齢に入ってきた。

「帰ってきたくなかったなあ」
と、長女は言う。

そっかぁ、楽しかったんだね。
たくさん祝ってもらえて、よかったね。

……でも、帰ってきたくなかった、かぁ。

母は朝から牛すじカレーを煮込みながら、
きみの帰宅をずっと楽しみにしていたんだけどな。

心に、ほんの少し風が吹いた気がした。


🎂 4:ふたつのケーキと、これから

翌日、家でもお祝いをした。

都心に出る用事があったので、
「お気に入りのチョコレートケーキを買ってくる?」と聞いてみたけれど、
「ううん、シャトレーゼでいい」とのこと。

えっ、そうなの?

「じゃあ買いに行くけど、一緒に行く?」
とダメ元で誘ってみたら、いつになく、ついてきた。

ショーケースの前で、
「これ。お父さんが準備してくれたやつ。またこれがいい」
と言って選んだぶどうのケーキ。

彼女は今年、同じバースデーケーキを2回食べた。

キラキラの思い出を、もう一度口にしたかったのかもしれない。

二回目のケーキも、ゆっくり、大事に味わっていた。
結構大きいのに、四分の一ぺろっと。

「あっちでも四分の一個ずつだったの」
「ネームプレートのチョコも皆で分けたよ」
なんて教えてくれる。

食べ終わるころには、生クリームがだれていた。
そして、うっかり、とけたろうそくの“ろう”まで食べてしまっていた。

「気づいたときに口から出せばよかったじゃん」
と言ったら、
「そうだよね〜」と、丸い目をキラキラさせてクスクス笑った。

***

まさか、行事中にケーキまで用意していただけるなんて。
予想もしていなかった。

お礼状をと口にしたら、
「何度も伝えたから、大丈夫」
と彼女に止められてしまった。

家庭でバースデーソングを歌っても、はにかむようになってしまった。

私が寂しかったことを、彼女はたぶん想像もしていないと思う。
そっけないのも、ほんとは少し寂しい。

でも。これも、成長だよね。
このまま受け止めよう。
私も、少しずつ子離れしていかないと。

***

今年は、たくさんの人に囲まれて、
彼女にとって特別な誕生日になった。

そんな日のケーキは、どんな味がしたんだろう。

来年のケーキは、どんな味がするのかな。
楽しみだね。

……なんか、この経験に味をしめて、
パパみたいにバースデーアニマルになったら困るんだけどなぁ。

(☞「恋人はバースデーアニマル」の記事はこちら)

読んでくださってありがとうございました♡


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集