ガチ配役なんかより面白い。チョイ役で映画に現れたロックスター10選。
最近、ちゃんとした映画が、
あまり得意じゃない。
アカデミー受賞作とか、世界的スターが主演するとか、興行収入が幾らを突破だとか——
まあ観る、、、観ますよォ。
ちゃんと感動だってする。
ような気がする、、、しなくもない。

でも、
翌朝になれば細部が霞んで、
残るのは「いい映画だったなァ」という——
巷のレビューに“右に倣え”したような、
毒にも薬にもならない感想だけだ…。

それよりも!
深夜にひとりで観たB級映画のワンシーンのほうが、10年後もくっきり覚えていたりしないですか??

映画の本筋と関係ないところで突然現れる、
あのモブキャラ!
一瞬だけ画面を占拠して、「俺はここにいるぞ!」とでも言うように、ミスキャストぎりぎりの異物感を放ち、
何ごともなかったかのようにフレームアウトしていくあの感じッ!
そう。
それが、ロックスターの*カメオ出演なのだ。
今回は、そんな偏った私的趣味の映画を10作品、ご紹介いたします!
ごめんあそばせ〜
*カメオ出演とは…
著名人がゲストとして短時間、出演する事。
■ウェインズ・ワールド × アリス・クーパー

Paramount Pictures
まずここから始めなければ、話にならない。
1992年公開、マイク・マイヤーズとダナ・カーヴィーが演じる「ウェイン」と「ガース」のふたり組が繰り広げるロック狂コメディ。
SNLの人気コーナーを映画化した、あの名作だ。

アリス・クーパーはミルウォーキー公演のコンサートシーンに登場し、「本人役」として出演する。

しかも、ウェインたちが楽屋に押しかけて握手を求める——という、
ファンが妄想する「憧れのロックスターに会いに行く」シナリオをそのまま映画にしたような場面だ。
「We’re not worthy(俺たちには値しない)」と、床にひれ伏すウェインとガース。
アリス・クーパーはそれを眺めながら、ミルウォーキーの歴史について淡々と語り始める。
その落差が、完璧だった(笑)
デトロイト出身のショック・ロック王が、
地元の歴史を語る“ウンチクおじさん”として機能するあのシーン。
笑いの構造としては完璧で、しかもアリス・クーパー自身がそれをわかって演じているのが滲み出ている。
「俺はどこに出ても俺だ」という、
アリスクーパー御大の余裕ったら…

※ウェインズ・ワールドについては、こちらの記事でもご紹介!
■バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 & 3 × フリー

Universal Pictures
「え、あの人が出てたの?」系のカメオで、
個人的に一番好きな部類がコレ。
レッチリのベーシスト、フリー。

BTTF PART2では、老けメイクを施した中年の“ニードルズ”役として登場し、
2015年のビデオフォン越しにマーティを違法な取引へと誘い込もうとする。
そのときの台詞が、「チキン(chicken)」だ。
「怖気づいてるのか」というあのスラングで、
マーティは判断を誤り、クビになる未来を自ら引き寄せてしまう…
PART3では、舞台が1985年に戻り、
17歳のパンクスなニードルズとして再登場。
仲間たちと連れ立ってマーティに絡み、
ドラッグレースを挑む。
そのときもまた、「チキン」と煽る——
「チキン」と言われると我を忘れる——
マーティのその弱点を、ニードルズはPART2とPART3をまたいで、異なる時間軸で二度突いてくる。
時間旅行映画の構造をそのまま使った、
ひとつの台詞の反復だ。
そしてその役を、
『世界で最も裸足でベースを弾く男』
(靴下の履き方を間違える系男子)
が演じている(笑)↓

「チキン」と言った人間の近しい未来だが、
アリーナ級の激辛スーパーチキンになったようで、“Can’t Stop”と世界へ羽ばたいていった。
■ポリスアカデミー6 バトルロイヤル × ヴィンス・ニール

Warner Bros
これは、出てすらいない(笑)
モトリー・クルーのヴォーカル、
ヴィンス・ニールは、ポリスアカデミー6に出演した“はず”だった。撮影も終わっていた…。

だが、
最終的にそのシーンは本編からカットされ、
劇場では一秒たりとも映らなかった。
世界一「出演した映画」に対して、
最も記憶に残らないカメオ出演俳優の爆誕である(笑)
とはいえ、
Youtubeの映像を観ると、
確かに撮影されたシーンが確認できる。
この映画の同年には、全米アルバムチャート第一位に輝く名盤「Dr.Feelgood」もリリースし、全盛期を迎えたモトリー・クルーのフロントマンが、どういうわけか…
史上最もバカげたコメディ映画に出演するという、世界線——

Elektra Records (1989)
オープニング曲の“T.n.T. (Terror 'n Tinseltown)”でのスリリングなパトカーSEとポリアカは、たしかに馴染むような気もするのだが…

“ハイタワー(ババ・スミス)”とヴィンス・ニール
デジタルタトゥーの予感が、カット判断を正当化している気もしなくない(笑)
まあ、公開されたら公開されたで、「なんでいるんだよ!」と言われた可能性が高いし、
カットされても「なんで消したんだよ!」と言われそう(笑)
何れにせよ、どちらに転んでも話題にはなれたのに…
惜しいことをしたもんだ。僕的には。
(ちなみに1番好きなポリアカのキャラクターといえば、ギャング頭の“Zed(ゼッド)”
好きなシーンは“ブルーオイスター・バー”のあのシーンです笑)
■エース・ベンチュラ × カンニバル・コープス

Warner Bros
これは本当に、ジム・キャリーが好きすぎる。
動物専門の私立探偵という荒唐無稽な設定で大ヒットしたコメディ映画に何故か、
デスメタルバンドのカンニバル・コープスが登場する(笑)

カンニバル・コープス
しかも理由がイイ。
ジム・キャリー自身が、カニコーの大ファンで「出演してほしい」と自らオファーしたというのだ(笑)
演奏されるのは ”Hammer Smashed Face”!
直訳すると「ハンマーで叩き潰された顔」…
コメディ映画のBGMとして機能するには、どう考えても不向きな曲名だ…(笑)
にもかかわらず、そのシーンが成立しているのは、ジム・キャリーが全身全霊でカンニバル・コープスを楽しんでいるからだ。(と思う)
「俺が楽しいから、お前らも楽しめ!」という、天才コメディアンの無茶な押しつけを是非。
(ナパームデスも好きとか…
ガチのヘッドバンガーなんですよねぇ笑)
■ダーティハリー5 × ガンズ・アンド・ローゼズ

Warner Bros
先ほどのジム・キャリーの話を引きずったまま、もう一本。
1988年公開の「ダーティハリー5/The Dead Pool」。
これもまた、ジム・キャリーが出ている。
ロックスター役で、ガンズの名曲
“Welcome to the Jungle”のMVを撮っているのだが、
既に中々のキャリーぶりとキレっぷりを発揮している(笑)
当時のガンズは、1987年に『Appetite for Destruction』でデビューしたばかりで、まだ全世界を爆破しきる前の状態だ。


(Appetite for Destruction)
Geffen Records (1987)
後に世界的ロックスターになる彼らが、
お情け程度にフィルムに映り込む葬儀のシーンは、刹那的に短時間過ぎて本当に笑ってしまうのだ。
特に、ロック界きっての暴れん坊であるアクセル・ローズが、お行儀良く——
しかも一瞬だけ画面に映って消える…
この雑な扱いは、中々に感慨深い(笑)

そしてジム・キャリーも、
まだ「エース・ベンチュラ」以前の、
世界的コメディアンになる前の姿だ。
1988年の「まだ何者でもなかった」スターの原石たちが、同じフレームに収まっている——。
その事実だけで、この映画 は観る価値がある。
■悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル × レミー・キルミスター

Troma Entertainment
タイトルからして、すでに正気じゃあない(笑)
「悪魔の毒々モンスター」シリーズの第4作目。
トロマ・エンターテインメントという、
ロイド・カウフマン率いる、B級カルト映画の特殊部隊ともいうべきスタジオが製作した作品で、
脚本・演出・倫理観のすべてが主流映画の対極にある。(素晴らしい)


そこに、レミー・キルミスターは何度も出演しているのだ。

Motörheadのベーシスト兼ヴォーカルにして、ジャック・ダニエルとタバコと轟音で70年を生きた男。
「ロック界で最も酒と音楽に正直だった人物」として、死後も神話が更新され続けているレジェンドだ。
(僕のレミー偏愛はこちらの記事で語っております)
その男が、
毒々モンスターの世界観に溶け込もうとしている——。
… いや、微妙に溶け込めていない(笑)
(⚠️上記映像にはグロ・暴力的な描写が含まれますので、ご注意ください)
どこに置いてもレミーはレミーで、それがこの映画においてはむしろ「神の登場」のような効果を発揮しているのだ。
B級のカオスに、
本物の怪物が紛れ込んだとき——
製作者の情熱は最大限の無駄遣いとなり、
観る者のツッコミは、より熱を帯びるのだ!
■ズーランダー × デヴィッド・ボウイ

Paramount Pictures
好きだった「ラビリンス」のことを思い出す。
1986年公開のあの映画で、ボウイが演じたジャレスは、ただの悪役ではなかった。

“魔王ジャレス”を演じる、デヴィッド・ボウイ
コッドピース(股袋)をぶら下げたタイツを履き、魔法の水晶玉を手に踊る「魔王」として、ティーンだった僕に理解不能な美しさを植えつけた——。
そして、
2001年公開のコメディ映画「ズーランダー」の話だ。
ボウイは、ウォークオフ(ファッションショーのモデルの勝負)の審判として登場する。

本人役で、ごく自然に画面に現れ、ごく自然に判定を下す——
まあ、ボウイそのままだ。
ラビリンスの時と同様にクールでグラマラスなのだ!
しかし…
良くも悪くも、おバカが過ぎるこの映画については、シリアスに演じるほど、ボウイがシュールに映る…(笑)
ちなみにこの映画には、
レニー・クラヴィッツ、グウェン・ステファニー、リンプ・ビズキットのフレッド・ダーストなどの音楽アーティストの他、
著名俳優やドナルド・トランプまでもがカメオ出演し、大渋滞している。
全員、「あ、いるじゃん!」で
終わる出演時間ではあるが——(笑)
(ボウイは短いながらも印象的なこの出演でMTVムービー・アワードにノミネートされた)
■トリック・オア・トリート × オジー・オズボーン

De Laurentiis Entertainment Group
これが、この10選の中で最も構造的に
「美しい」カメオ出演だと思っている。
1986年公開のホラー/コメディ映画
「トリック・オア・トリート」。
ヘヴィメタルのレコードに吹き込まれた悪魔のメッセージが人々に取り憑く——
というプロットで、
当時のペアレンタル・アドバイザリー論争(「ロック音楽は子供を堕落させる」という一部保護者・宗教団体の主張)を題材にしている。
そのテレビのトーク番組のシーンに、オジー・オズボーンが登場する。

役柄は——
ヘヴィメタルなどの「悪魔の音楽」を激しく糾弾する神父…
「オジー・オズボーン、神父役」… ??(笑)
この配役を笑える人間とそうでない人間では、この映画から得られるものが全然違う。
生きた蛇を首に巻き、コウモリの頭を噛みちぎり、オーディエンス列の上から放尿するなどの、発狂パフォーマンスで世界を震え上がらせてきた男が、

カメラの前で「ロック音楽は悪だ」と説く。
しかも真顔で——
しかも、この映画にはKISSのジーン・シモンズもラジオDJ役でカメオ出演しており、

「80年代ヘヴィロックの悪魔たち」が、
善人面をして画面に収まるというお祭り状態になっているのだ(笑)
■ウェディング・シンガー × ビリー・アイドル

New Line Cinema
「本人役」のカメオとして、これほど文脈にハマったケースも珍しい。
1998年公開のロマンティック・コメディ
「ウェディング・シンガー」。
舞台は1985年。アダム・サンドラー演じる売れない結婚式の歌手が主役で、映画全体が80年代の音楽とファッションへのラブレターとして機能している。
そこへ、
ビリー・アイドルが本人として登場する。

「White Wedding」「Rebel Yell」——
80年代を代表するロックアイコンが、80年代を舞台にした映画に本人として出てくる。
当然すぎて、逆に完璧だ(笑)
カメオの快楽とは時にこういうもので、
「ここにいるべき人間が、ここにいる」という
必然という名の充足感がある。
■パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 × ポール・マッカートニー

(2017) Walt Disney Studios Motion Pictures
最後に、これを持ってくることにした。
2017年公開のシリーズ第5作、
「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」。
ポール・マッカートニーが登場する役は、
ジャック・スパロウの叔父——
「ジャックおじさん」だ。

ビートルズの天才的メロディメイカーで、
ポピュラー音楽史の半分を書き換えた男が、
ジョニー・デップの叔父役で牢獄のシーンに収まっている。
出演時間は、数分。
台詞があって、演じていて、
普通に叔父をやっている。
「ポール・マッカートニーがジャック・スパロウの叔父を演じている」という文章の意味が、
画面を観ながらも少しの間、頭に入ってこなかった(笑)
もしかすると、
これが「本物の異物」というものなのかもしれない。
因みにこの映画シリーズでは、過去にローリング・ストーンズのキース・リチャーズが、ジャック・スパロウの父親役で出演した事もある。


どんな脚本に入れても、その人の存在感が脚本を一瞬だけ塗り替える。
ポール・マッカートニーは
「ジャックおじさん」を演じながら、
「ポール・マッカートニー」自身で
あり続けていた——
「ロックスター」とは斯く有りたし。
脚本に完全に収まってしまったら、
「ロックスター」じゃない!
なーんて、そんな軽口を叩きながら、
僕はまた今夜も、
誰かのチョイ役を探して動画を漁るのだと思う。
これを「映画鑑賞」と呼んでいいのかどうかは、よくわからないが(笑)
でも、楽しいからいいのだ!

あなたが最後に「こんなところに出てたの?」と声に出して笑った映画は、いつだったか。
まだ見つけていないなら——
この10本の中に、今夜の一本があるのかも。
最後まで読んでいただき有難う!
「この世界観」が好きならフォロー・スキを頂ければ嬉しいです😎👍
いいなと思ったら応援しよう!
もし、少しでも「ロマン」を感じたらコーヒーを一杯奢っていただけたら。
カフェイン摂取が執筆エネルギーに変換されると思います。