星天は今日も通常営業。│シロクマ文芸部
星を見るのが日課だった。
というか、ぼくの職務であった。
「今日の星はT53」
星の状態をチェックし、事細かに記録に残す。
今日の星も問題なさそうだ。
「……ん?」
1つの星がぐんぐん近づいてくる。
パァンッ
星は眼の前で弾け、ノートに吸い込まれる。
「……!?」
きらきらと記録ノートが輝き始めた。
ノートから様々な植物が触手の蔓を伸ばし、1つの塊となった。
繭が開くように、ゆっくりと葉が拡がっていく。
光の中から、ほのかに紅色の女の子が孵化した。
「……ふぁぁぁぁ、よく寝た」
女の子はぐぅんと伸びをする。
パチ、とぼくと目があった。
「ここは何処なの?」
やっとのことで、言葉を紡ぐ。
「ここは第563番星、通称“月”」
女の子は不思議そうに、周りを見渡した。
「ふぅん…月、ね。この星のこと、教えてちょうだい」
ぼくは記録ノートに素早く記した。
訂正あり。
今日の星はET590。
宇宙人確認。
監察対象とする。
今日の星にちなみ、
便宜上、カグヤと呼ぶ。
しばらくして、監察対象となったカグヤとぼくは、ともに過ごすようになった。
その後、彼女が“月”の禁忌に触れ、辺境の星へ星流しされるのは、また、別の話。
カグヤの裏事情
小牧幸助さんのお題「星を見る」に参加させていただきました!
