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地下にある秘密基地レストラン〜長崎のローカルチェーン『牛右衛門』をぜんぶめぐりたい vol.3 浜町店編〜


昭和生まれの筆者が今でも惹かれる長崎のレストランチェーン『牛右衛門(ぎゅうえもん)』。令和になっても感じるふんわりとした「良さ」を確かめる(噛みしめる)べく、県内9店舗を一軒一軒めぐる記録です。

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vol.1 大塔店編
vol.2 佐々店編


長崎市の繁華街・浜町アーケード内にある「牛右衛門 浜町店」は、おそらく唯一の地下店舗だ。階段を降り、薄暗くてせまい通路を奥まで進んでいくと琥珀色のあかりが見える。辿り着くまでが秘密基地のようで楽しい。

地上を味わいながら地下世界へ

「牛右衛門 浜町店」に行くのは2度目となる。

店までの道程の味わい深さは、「浜町アーケード」から始まっているのだ。

私の地元にあるアーケードは“直線距離日本一”をうたっているが、浜町アーケードはガラッと違う雰囲気。明るくて、通路が広くて、太い。

特に太い交差点+巨大モニターの組み合わせは都会的だ。歩いていてもつい立ち止まって見上げてしまう。

デカさに加え、天井部分など意匠がこまかい
老舗がとても元気だ

老舗や道ゆく人々の活気を浴びながら、「仲見世8番街」へ。

洋傘や婦人服など専門店が入る「仲見世8番街」。2階には120cmの巨大パフェで有名な「cafeオリンピック」がある
文字の太さと波打ってる感じがエネルギッシュでおしゃれ

この昭和が生きる空間の地下に、レストラン街があると考えただけでスキップしたくなる。

地下へいざなう看板。「牛右衛門」と「庄屋」、「那かむら」の3店舗がキュッと入っている。違う形態の店舗だけど、ルーツは同じみたい(育ての親がそれぞれ違う感じ?)
階段横に設置されているケース。以前は食品サンプルが並んでいたのだろうか。隙間を埋めるようにカラフルなPOPが並んでいる
往年の賑わいが空白に宿るフロアガイド

わたしが来たのはちょうど11時半頃。ランチタイムで賑わう少し前だ。

地下への階段を降りると、薄暗く静かだけど、料理を作る音や香りがする。開店してすぐはこんな雰囲気なのか。

人通りの多い地上とのギャップを感じたのも束の間、どやどやとランチ客が降りてきて、お目当ての店に続々と向かって行った。

まだ混む時間帯ではないので、通路の待合スペースは無人だ。ここぞとばかりに鑑賞する。

天井がプラネタリウムのようになっている、とてもムーディーな空間。「ホタルコージ」の名前が付いてるそうで、どうやらこのフロア全体がそういうコンセプトらしい。

ホタルの里よろしく、川のせせらぎまで聴こえてきそうで、待ち時間を心穏やかにしてくれそうだ。

この演出を最初見たときは驚いた。ディズニーランドのイッツアスモールワールドの中に入ったときのような顔になったのを覚えている。

このフロア全体が「ホタルコージ(蛍小路)」なのか

通路脇で、「庄屋」に行きたいご婦人と「那かむら」の天ぷらを食べたい旦那さんが話し合っているのを横目にフロアの奥へずんずん進む。牛右衛門の赤文字が見えた。

「また来たぞ!」と心の中でフランクに挨拶して、秘密基地のような薄暗い店内へ吸い込まれた。

牛右衛門 浜町店


長崎の夜景に浮かびあがるトルコライス

お冷のグラスが、あまり見たことのない濃いグリーン。長崎のガラス工芸品を思い浮かべた

店内の薄暗さに対して、店員さんの接客が明るい。とても気持ちのいいコントラストを味わいながら、あの分厚いメニューを手に取る。

照明の色でフィルターがかかっているせいだろうか、茶色い合皮の表紙のメニューがよりずっしりと格式高く感じられた。が、ぱらりとページをめくると、長崎の夜景にトルコライスが浮かび上がっていた。

「そうだった、ここは牛右衛門だった!」と我に返る。この遠近感のないデザインが、牛右衛門らしくてとても好きだ。

イメージ+料理という、遠近感を無視した力強さが牛右衛門メニューの魅力

トルコライスは長崎市のご当地グルメだ。カツレツ+ナポリタン+ピラフの3つが組み合わさった洋食メニューで、県内はじめ色んな飲食店がオリジナルの味を展開している。わたしの地元、佐世保市でも食べられるけど、提供しているお店は少ないかも。

同じ県であるにもかかわらず、佐世保市と長崎市は最短でも70kmほど離れている。

だから、長崎市にいると気分が“ホーム”というより“観光”になるのだ。だから今、とても楽しいぞ!

したがって今回は、牛右衛門バージョンのトルコライスを食べることに決めた。ご当地感のパワフルさに惹かれたからだ。だってこのページだけで“長崎”のワードが8個もある。

さらに“長崎名物 甘めのナポリタン”というフレーズが追い討ちをかけ、“ゆでたて生パスタ”と書かれた丸いマークにトドメを刺された。

以前、友人が「肉ばかりが注目されがちだけど、パスタも実はうまい」と話していたのを思い出したのだ。わたし今パスタ寄りなのかい?と思ったけど、いやいや、トルコライスが食べたいのだ。

わたしは小さく頷いてオーダーした。

待ち時間でスマホをいじろうとしたとき、テーブルの隅に置いてあった紙ナプキン入れにWi-Fiの案内が貼ってあった。

よし!とパスワードをチェック。

「gy」の文字が見えたので、反射的に「gyuemon(牛右衛門)」と軽やかに打ち込んだがはじかれた。

じっと目を細めてもう一度確認すると「gyoumu(業務)」だった。自分の思い込みに笑いつつ、そうか、このWi-Fiはスタッフさんも使うのか、と納得しているうちにトルコライスがやってきた。

甘くておいしい長崎観光

“銀色の夜景”と評される長崎の夜景を飛び出し、銀色のプレートに乗ったトルコライスがやってきた。

カツレツ、ナポリタン、ピラフの3大メインは圧巻だ。野菜があるのもうれしい。

ボリューム満点なのに、あくまで「トルコライス」という、シュッとしたネーミングなのがやはり不思議だ。

「長崎トルコライス」(1463円税込)

三元豚のカツ、秘伝の甘いトマトソースを使った長崎流ナポリタン、カレーピラフが贅沢に乗った“大人のお子さまランチ”。誰にも気兼ねなく、わんぱくな食事を楽しもうじゃないか。

カツにデミグラスソースをたっぷり絡めて食べる。うまい
他の食材と程よくマッチングするピラフ。そういえば、カレー味っていろんな食材を美味してくれる気がする。このトルコライスでは、スパイス的な役割もこなしてくれる

洋食なんだけど、和のテイストを感じてしまうのは、やはり“長崎名物 甘めのナポリタン”のおかげだろうか。ヨーロッパから伝来した砂糖文化が根強い長崎は、いろんなものが甘い。

あぁ、長崎に来たなぁ、観光しているなあという気分がさらに盛り上がってきた。

この調子で、食後に「食べるミルクセーキ」もいただこう。

メニューに“長崎スイーツ”とラベリングされている通り、長崎のミルクセーキはシャリシャリとした食感で、スプーンで食べるのが特徴だ。

これも県内飲食店で色んなアレンジがあるので食べ歩きしてみてほしい。

「食べるミルクセーキ」(539円税込)

牛右衛門のミルクセーキは、みんな大好きパフェ容器に入ってやってくる。ごろっとしたアイス状で、頭のホイップと甘酸っぱいベリーと一緒にザクザクと味わう楽しい仕様だ。

お好みで、あたたかいホワイトソースで甘さを追っかけることもできる。

ワンランク上の甘さとなめらかなテクスチャーで味変だ

ありがたくも、4名掛けの席でゆったりと食事した。居心地のよさに任せて本を開きたくなる気分だ。

しかし、ちょうどランチタイムもピークに差し掛かり、お客さんが続々と入ってきた。入れ替わるように店を出る。

ふいに、入口に立つ牛と目があった。 シックな雰囲気のなか現れた、とても素朴なたたずまいに心がゆるむ。

大きく潤んだ瞳はブルーで、異国との交流を育んできた長崎らしさを感じずにはいられない……などと考える余裕ができた。満足したということだ。

スタッフさんの手作りだろうか。ビールもおすすめしている

今度はぜひカフェタイムで、この地下にある牛右衛門、“地下えもん”に浸りたい。本を片手にゆっくりと。

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