子どもが実際に食べている野菜トップ10、栄養面では何位?
「よく食べる」と「栄養が高い」のギャップを見える化
「うちの子、じゃがいもは食べるんですけど……」。子どもが好きな野菜と、栄養士がすすめる野菜は一致しないことが多いもの。消費量トップ10の野菜を栄養密度で並べ替えたら、どんな順番になるでしょうか?

ある日の夕食—「じゃがいもだけ食べてる…」
カレー、ポテトサラダ、フライドポテト——じゃがいもなら何でも食べるのに、ほうれん草やブロッコリーは見ただけで「いらない」。そんな偏食の悩みを抱える保護者は多いのではないでしょうか。
農林水産省の「食料需給表」(2022)によると、日本の子ども(3〜12歳)がよく食べている野菜のトップ3は、じゃがいも、たまねぎ、にんじんとされています。緑黄色野菜は上位に入りにくい傾向があります。
よくある誤解:「野菜を食べていれば大丈夫」
「野菜嫌いではないし、食べている方だと思う」——でも、食べている"量"だけでなく、食べている"種類"が重要です。Drewnowski(2005, American Journal of Clinical Nutrition)は、「栄養密度(Nutrient Density Score)」という指標を用いて、同じカロリーあたりの微量栄養素含有量を比較しました。
この指標で見ると、子どもがよく食べている野菜の中にも、栄養密度が高いものと低いものが混在していることがわかります。大事なのは「食べているかどうか」だけでなく「何を食べているか」です。
”「
野菜を食べない」は普通である”と以下の記事で紹介しました。
データで見る:子どもが食べている野菜トップ10と栄養密度

消費量1位のじゃがいもは、栄養密度スコアではかなり低い位置にあります。エネルギー(カロリー)は高い一方で、ビタミンA、ビタミンC(加熱で減少)、鉄、カルシウムなどの含有量は控えめです。
一方、消費量では下位に沈みがちなほうれん草やブロッコリーは、栄養密度スコアでは上位に入ります。厚生労働省が推進する「健康日本21(第二次)」でも、緑黄色野菜の摂取増加が目標に掲げられています。
ただし、これは「じゃがいもを食べるな」という話ではありません。じゃがいもにはビタミンCやカリウムが含まれており、食べること自体は良いことです。問題は「じゃがいもだけ」になりがちな点にあります。個人差がありますので、お子さんの好みに合わせて少しずつレパートリーを広げていくことが大切です。
「よく食べる野菜」と「栄養が高い野菜」の不一致

散布図を見ると、じゃがいもは右下(消費量トップだが栄養密度は低い)に位置し、ほうれん草は左上(消費量は少ないが栄養密度は高い)に位置します。にんじんは比較的バランスが取れたポジションにあり、トマトも栄養密度はそこそこ高い位置にいます。
理想は「右上」——つまり、よく食べていて、かつ栄養密度も高い野菜。しかし現実には、右上に位置する野菜はほとんどありません。これは、子どもの嗜好と栄養的価値の間にギャップが存在することを示唆しています。
Di Noia(2014, Preventing Chronic Disease)の研究でも、「パワーハウス野菜(栄養密度が最も高い野菜)」のリストに入る野菜は、子どもが好む野菜とは重なりにくいことが報告されています。この不一致は世界的な傾向であり、日本に限った話ではありません。
今日からできる3つのアクション
① じゃがいも料理に「ちょい足し」する。ポテトサラダにブロッコリーを混ぜる、カレーにほうれん草をペーストで加えるなど、好きな料理の中に栄養密度の高い野菜を忍ばせてみましょう。
② 週に1回「新しい野菜チャレンジ」を取り入れる。拒否されても繰り返し出すことが重要です。Wardle ら(2003, American Journal of Clinical Nutrition)の研究では、8〜15回の繰り返し提供で受容率が高まる傾向が報告されています。
③ 子どもと一緒にスーパーで野菜を選ぶ。「これ知ってる?」「触ってみる?」——関わる体験が食べる意欲につながる可能性があります。
おわりに——「食べている」を「良い食べ方」に近づける小さな一歩
子どもが野菜を食べていること自体は素晴らしいことです。そこからもう一歩、「どんな野菜を食べているか」に意識を向けるだけで、栄養の質はぐっと変わる可能性があります。焦らず、少しずつ、レパートリーを広げていきましょう。
皆さんのお子さんは、どんな野菜なら食べますか?
「これだけは食べる!」「逆に絶対ダメ…」という野菜や、野菜を食べやすくする工夫があれば、ぜひコメントで教えてください。
※個人差がありますので、食物アレルギーや持病のあるお子さまの場合は、医療従事者にご相談ください。
参考文献: 農林水産省「食料需給表」(2022) / Drewnowski (2005) Am J Clin Nutr / 厚生労働省「健康日本21(第二次)」/ Di Noia (2014) Prev Chronic Dis / Wardle et al. (2003) Am J Clin Nutr
本記事は上記文献に基づいて作成しています。個別の医療・栄養指導に代わるものではありません。
