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[WAIC2026]公式:総括、AIの次なるステージへ6つの視点

    世界人工知能大会(WAIC)運営公式は2026年7月21日、公式WeChatで、「WAIC 2026総括|仮想モデルから現実世界へ、人工知能の次なるステージを示す6つの視点」と題するレポートを配信した。

    展示会レポートが会場から見えた技術トレンドを整理したものだったのに対し、本稿はフォーラムで交わされた議論をもとに、中国AI業界が現在どのような方向へ進もうとしているのかを俯瞰した内容となっている。

    曰く、AI競争の焦点は単なる大規模モデルの性能向上から、世界モデル(World Model)、数学、Physical AI(物理世界AI)、AIエージェント、Token経済、AI for Scienceへと広がりつつある。

    モデル単体ではなく、「現実世界で継続的に機能するAIシステム」をいかに構築するか――中国AI産業が見据える次の発展段階を理解する上で興味深い資料と言える。


    WAIC 2026総括|仮想モデルから現実世界へ 人工知能の次なるステージを示す6つの視点

    この3年間、人工知能(AI)業界における最も顕著な進歩は、ほぼすべてモデルそのものの進化として現れてきた。

    パラメータ数は増加し、推論能力は向上し、テキスト、画像、動画は次々と一つのモデルへ統合された。数カ月ごとに新たな製品やランキングが登場し、「最強」の定義が塗り替えられてきた。

    しかし、2026世界人工知能大会(WAIC)のフォーラム会場を歩くと、議論の重心が変化していることに気付く。

    人々は依然としてモデルそのものに関心を寄せているものの、それだけを切り離して語る場面は確実に減っている。

    ワールドモデル(World Model)から産業向けAI、企業向けAIエージェント、AI Scientistまで――。

    産学双方の関係者が共通して問い始めているのは、「モデルをデータやツール、機械、組織、そして現実世界とどのようにつなぎ、継続的に理解し、行動し、フィードバックを受けながら進化するシステムへ発展させるのか」という点である。

    モデルの能力は今なお向上を続けている。

    しかし、次の時代の競争は、単にモデルをより賢くすることではない。

    今年のWAICフォーラムでは、議論を通じて6つの共通した方向性が浮かび上がった。


    判断1|ワールドモデル:AIは問いに答えるだけでなく、行動の結果まで予測する存在へ

    「具身AI向けワールドモデルは、画素(ピクセル)を忠実に再現するためのものではない。重要なのは、それによって行動を制御できることだ。画素の再現は人間に見せるためのものだが、物理シミュレーションはロボットのためにある。この二つは本質的に異なる。」 ―― 大晓机器人(Daxiao Robotics)チーフサイエンティスト、オーストラリア科学院フェロー 陶大程(Tao Dacheng) 「世界モデルが切り拓くPhysical AI――理解から実行へ」フォーラム内「世界モデル六小龍」ラウンドテーブルより

    この変化は、まずAIと現実世界との関係そのものに表れている。

    大規模言語モデル(LLM)が得意とするのは、人類がすでに文字として蓄積してきた知識を扱うことだ。しかし、現実世界は文字だけでは成り立っていない。

    ロボットは物体の位置や動き、接触関係を理解する必要がある。

    産業システムでは刻々と変化する設備の状態を把握しなければならず、自動運転では数秒後に自らの行動がどのような結果を生むのかを予測する必要がある。

    今年のWAICでワールドモデルが繰り返し議論された背景には、こうした課題がある。

    「世界モデル六小龍」と題したラウンドテーブルでは、陶大程氏のほか、アントグループ・霊波(Lingbo)の沈宇軍氏、極佳視界(BestVision)の朱政氏、無界動力(Infinity Dynamics)の夏中譜氏、智元机器人(AgiBot)の任広輝氏、自变量机器人(Variable Robot)の王昊氏らが登壇した。

    各社の技術アプローチは異なる。

    汎用ワールドモデルを開発する企業もあれば、動作世界モデルに取り組む企業、潜在空間表現を追究する企業、エンドツーエンド型統合世界モデルを目指す企業もある。

    しかし、彼らが共有した認識は一つだった。

    次世代ワールドモデルは、「どれだけリアルに生成できるか」ではなく、「どれだけ確実に実行できるか」で評価されるべきだということである。

    この一年、業界では映像のリアリティや長時間生成、一貫性が競われてきた。

    しかしロボットにとって重要なのは、「この扉を開けるにはどれほどの力が必要か」「コップを持ち上げたとき、隣の人にぶつからないか」「この行動を続けることで危険が生じないか」といった、現実世界における物理的な結果である。

    画素の再現は人間のためであり、物理世界の推論はロボットのためである――その違いが明確に示された。

    その結果、評価指標も変わろうとしている。

    映像品質を競うベンチマークではなく、実機での成功率、人間による介入率、タスクを最後まで完遂できるかどうかが、新たな評価軸になるという。

    ラウンドテーブルの最後に陶氏は、次のように語った。

    「違いは論文を生み出す。重なり合う部分こそが産業の基盤になる。」

    このラウンドテーブル最大の意義は、まさに業界全体の「ものさし」を変えようとしている点にある。

    こうした変化は、産業分野にも及び始めている。

    中国工程院院士の銭鋒氏は、AIを設備、製造工程、工場全体へ組み込み、「産業の頭脳(Industrial Brain)」を構築すべきだと提唱した。

    ここでいうAIは、単独のアルゴリズムが認識タスクをこなす存在ではない。

    生産プロセス全体を感知し、分析し、意思決定し、制御するシステムそのものを指している。

    そのためモデルは、設備の状態変化や製造条件、エネルギー消費、安全管理、さらには実験室では再現しきれない数多くの異常事象にも対応しなければならない。

    AIがチャット画面を離れ、工場やロボット、現実世界へ入り始めるにつれて、その評価基準も変わる。

    言葉をどれだけ自然に話せるかではなく、システムとして安定して稼働し、環境変化へ適応し、自らの行動結果に責任を持てるかどうか――。

    それこそが、次世代AIに求められる最も重要な能力となりつつある。


    判断2|AIの能力の限界を決めるのは、パラメータではなく数学である

    「データ駆動は現在のAI発展を支える重要な手法ではあるが、それが唯一の手法ではない。」 ―― 米国科学アカデミー会員、清華大学 新華卓越講席教授 劉軍(Liu Jun) 「スメール数学・計算研究院 数学と人工知能フォーラム」より

    米国科学アカデミー会員であり、清華大学講席教授を務める劉軍氏は、統計学の視点から現在のAIを次のように表現した。

    「今日のAIは巨大な航空機のようなものだ。エンジンは統計学と確率論、燃料はデータである。」

    そして、「AIに数学を『加える』のではなく、AIそのものを数学へと昇華させる必要がある」と指摘した。

    AIが現実世界を理解し、未来の状態を予測する段階へ進むと、単純にモデル規模を拡大するだけでは限界がある。

    Transformer、拡散モデル(Diffusion Model)、強化学習(Reinforcement Learning)といった現在の主要技術はいずれも、確率統計や最適化理論といった数学を土台として成り立っている。

    ワールドモデルや具身AI(Embodied AI)がさらに汎化性能や推論能力、信頼性を高めるためには、新たな数学的ブレークスルーが不可欠だというのが同氏の見方である。

    同じく統計学と機械学習の第一人者であり、米国科学アカデミー会員、ベルギー王立科学アカデミー外国人会員でもある范剣青(Fan Jianqing)氏は、さらに踏み込んだ見解を示した。

    現在のAIは依然として「予測(Prediction)」を中心としており、その恩恵はすでにかなり享受し尽くしたという。

    今後は「因果(Causality)」へ進まなければならない。

    機械が真に因果関係を理解するためには、多様な環境に共通する法則を数学によって記述する必要があるとした。

    さらに、スタンフォード大学と上海交通大学で教鞭を執り、「フォン・ノイマン理論賞」を受賞した初の中国系研究者である葉蔭宇(Yinyu Ye)氏は、より根本的な制約にも言及した。

    AI競争は最終的には算力(コンピューティング能力)の競争であり、その算力競争はエネルギーや電力の競争でもある。

    その最適化を支えているのも、やはり数学なのである。

    ワールドモデルが「AIはどのように世界を理解するのか」という問いに答えるのであれば、数学は「AIはなぜ世界を理解できるのか」という問いに答える存在と言える。


    判断3|Embodied AI:Physical AIで重要なのはモデルの大きさではなく、現実世界でのデータ循環である

    「デジタルAIはインターネット上のデータで育てることができる。しかしPhysical AIは、現実世界の中で試行錯誤し、経験を積み、戦略を修正し続けることでしか進化できない。」 ―― 智元机器人(AgiBot)共同創業者・上級副総裁・具身AI事業部長 姚卯青(Yao Maoqing) 「智啓具身2026:Physical AIが切り拓く新たな知能フォーラム」より

    2026年、具身AIは「研究室でのデモンストレーション」から「実際の産業現場で働く技術」へと移行する歴史的な転換点を迎えている。

    今年、中国では具身AIが「第15次五カ年計画」における未来産業の重点戦略へ正式に組み込まれ、人型ロボット産業も本格的な量産段階へ入りつつある。

    「智啓具身2026」フォーラムでは、中国の具身AI産業チェーン全体が初めて包括的に紹介された。

    減速機や各種センサー、ロボットハンドなどの中核部品から、人型ロボット本体、シミュレーション基盤、量産・納入体制、さらには製造業、家庭サービス、防災・救助まで、多様な応用分野が示された。

    姚卯青氏は、Physical AIが「動作を見せるAI」から「大量に仕事をこなせるAI」へ進化するためには、三つの壁を突破する必要があると述べた。

    第一は「データの壁」。

    現実世界での相互作用データは希少であり、収集コストも極めて高い。

    第二は「表現の壁」。

    異なるタスクや環境、ロボット本体を横断して利用できる統一的な物理表現がまだ存在しない。

    第三は「閉ループ(フィードバック)の壁」である。

    現実世界では試行錯誤のコストが高く、フィードバックも遅いため、大規模な学習サイクルを構築することが難しい。

    智元机器人では、「汎化できること」「最適化できること」「進化し続けられること」を柱とする汎用具身AIシステムを構築している。

    事前学習モデルが共通認知を担い、その後の学習とオンライン強化学習によって、ロボットは現実世界のタスクを実行しながら継続的に能力を修正する。

    さらに、その実運用データを再び学習へ取り込むことで、次の世代へ能力を進化させていく。

    2026年6月末時点で、同社の汎用具身ロボットは累計1万5,000台が生産され、3C(コンピューター・通信・家電)製造ラインなど実際の産業現場で連続稼働する検証も完了している。

    一方、清華大学コンピューター学科の蘇航氏は、学術的な視点から、現実世界へ進出するAIこそが汎用人工知能(AGI)への重要な道筋になると述べた。

    具身AI向け大規模モデルは、言語モデルやマルチモーダルモデルを単純に拡張したものではない。

    長期的には、知覚、意思決定、行動、環境からのフィードバックまでを一つの閉ループへ統合する、「具身AIネイティブ」の基盤モデルが必要になるという。

    モデル、データ、ロボット本体、そして現実世界が一体となったとき、ロボットを評価する基準も変わる。

    一度の華やかなデモンストレーションではなく、異なる環境や異なるロボットでも安定して能力を発揮し続けられるかどうかが、新たな評価軸になるのである。


    判断4|モデルからAIエージェントへ ポストScaling時代、AIエージェントがインターネットを超える産業革命をもたらす

    「個人的には、この変革の規模やインパクトは、PCインターネットとモバイルインターネットを合わせた以上のものになると考えている。」 ―― 階躍星辰(StepFun)董事長、千里科技董事長 印奇(Yin Qi) 世界人工知能大会・AIグローバルガバナンスハイレベル会議より

    この発言は、ポストScaling時代におけるAI産業の本質的な変化を端的に表している。

    モデルのパラメータを増やし続けることで性能を高める「Scaling」の恩恵が次第に頭打ちとなる中、単純なモデル性能競争は一つの転換点を迎えつつある。

    汎用人工知能(AGI)へ向かう技術ルートも、一つではなく多様化し始めている。

    これまでのPCインターネットやモバイルインターネットが変革したのは、主に情報との接し方だった。

    一方、AIエージェントがもたらそうとしているのは、産業そのものの構造を根底から組み替えるパラダイムシフトであり、その影響は過去二度のインターネット革命を合わせたものを上回る可能性があるという。

    両者の最も大きな違いは、その価値創出の仕組みにある。

    従来の大規模モデルは、人からの指示に応答する受動的なツールだった。

    既存の業務プロセスの一部を効率化することはできても、その役割はあくまで局所的な改善にとどまっていた。

    これに対しAIエージェントは、自律的な意思決定、タスクの分解、実行、結果の検証、継続的な改善という一連の能力を備えている。

    単なる技術競争から抜け出し、実際の産業現場を起点として業務全体をつなぎ直すことで、「仕事を支援するツール」から「自ら価値を生み出す生産主体」へと変化しつつある。

    世界各国でAGIへのアプローチが分かれる中、中国のAIエージェント産業は独自の発展ルートを歩み始めている。

    無制限にモデル規模を拡大することには固執せず、現実世界のデータ循環や産業実装を重視することで、実際の業務を通じて試行錯誤とフィードバックを積み重ねている。

    それによって、「知識は理解しているが、実際には仕事ができない」という従来の大規模モデルの弱点を補い、汎用AIを産業現場へ定着させようとしている。

    ポストScaling時代のAI競争は、もはやモデル単体の能力を競うものではない。

    競争の焦点は、AIエージェントを中心とした産業システムそのものへ移りつつある。

    モデルがAIの知能基盤である一方、AIエージェントは産業変革を動かすエンジンとなり、企業組織や生産方式、さらには価値創造の仕組みそのものを再構築し始めている。


    判断5|Token経済:AIインフラは、人だけでなくAIエージェントのためにも再設計される

    「未来のインフラは、人間だけではなく、ますます増えていくAIエージェントや『デジタル社員』のためにもサービスを提供することになる。」 ―― 無問芯穹(Infinigence AI)発起人、清華大学電子工程学科教授 汪玉(Wang Yu) 「Tokenが育む新たなAIエコシステム」フォーラムより

    企業活動へ参加するAIエージェントが増えるにつれ、新たな課題も浮かび上がってきた。

    それは、「AIエージェントが継続的に働くためには、どのようなインフラが必要なのか」という問いである。

    今年のWAICで開催された「無問芯穹・Tokenが育む新たなAIエコシステム」フォーラムでは、「Token経済」が一貫したテーマとなった。

    汪玉氏は、AIエージェントが自律的にツールを呼び出し、互いに連携しながらタスクを遂行する時代には、計算ネットワークやソフトウェア、さらには企業インフラそのものも、AIエージェントを中心として再設計する必要があると述べた。

    また、北京中関村学院院長の劉鉄岩(Liu Tieyan)氏は、AIエージェントの競争力はモデル性能だけでは決まらないと指摘した。

    重要なのは、継続的に行動し、その結果からフィードバックを受け、自ら改善し続けられる能力である。

    モデルの学習が終わったからといって、AIエージェントの成長も終わるわけではない。

    現実世界で経験を積み重ね、それを次の行動へ反映することで、「経験のフライホイール(Experience Flywheel)」を形成しながら進化していく。

    だからこそAIエージェントは、単なるツールの呼び出しから、業務プロセス全体の再構築へと役割を広げつつある。

    従業員の作業を一工程だけ補助するのではなく、目的を理解し、業務を分解し、必要なリソースを呼び出し、自ら実行し、その結果を踏まえて次の判断を下す。

    AIエージェントは、企業活動そのものを構成する主体へと変わり始めている。


    判断6|AI for Science:AIは材料を「予測する」だけでなく、「創り出し」、新たな法則を発見する時代へ

    「人工知能を『問いに答える存在』から、『科学的課題を解決する存在』へ。さらに『材料を予測する』段階から、『材料を創製し、新たな法則を発見する』段階へ進めていかなければならない。」 ―― 中国科学院院長、中国科学技術大学学長 常進(Chang Jin) 「AIによる材料科学フォーラム」開会あいさつより

    こうした「システム化」の流れは、AI for Science(科学AI)の分野で最も鮮明に現れている。

    初期の科学AIは、タンパク質構造予測や化合物探索、実験データ解析など、個別の研究課題を解決するためのツールとして活用されてきた。

    しかし現在では、研究機関や企業は、それぞれ独立していた機能を一つの流れとして統合し、AIを「研究そのもの」のプロセスへ組み込もうとしている。

    AIによる材料科学フォーラムでは、中国科学院は、AI for Scienceはすでに単一アルゴリズムによる支援の段階を超え、科学基盤モデル、研究データ、理論計算、自動化実験、そしてAI研究システムが連携する新たな段階へ入ったとの認識を示した。

    材料科学とAIの融合で重要なのは、単に予測精度の高いツールを追加することではない。

    研究課題の理解から仮説生成、実験計画、データ解析、さらには科学法則の発見までを一つの研究サイクルとして構築することにある。

    研究テーマが与えられると、システムは論文や特許を読み込み、仮説を立案し、候補材料を設計する。

    続いて計算ソフトウェアによるシミュレーションを実行し、その結果を自動化実験装置へ渡す。

    実験から得られたデータは再びモデルへ戻され、予測の修正や次の実験計画へ反映される。

    中国科学院が公開した科学技術基盤モデル「磐石(Panshi)2.0」は、「汎用と専門の統合(通専一体)」という技術思想を掲げている。

    汎用的な知識推論能力と専門科学モデルを融合し、一つのモデルで科学・工学双方の課題へ対応することを目指している。

    扱う情報もテキストだけではない。

    結晶構造、化学分子表現、タンパク質、スペクトルデータ、科学画像など、多様なモダリティを統合して処理する。

    また、深度原理(Deep Principle)が発表した材料開発向けAI Scientist「Mira」は、その考え方をさらに産業研究開発へ広げている。

    フォーラムで紹介された事例では、「より安全」「より安定」「より低コスト」といった曖昧な要求を、具体的な性能指標や制約条件へ分解し、文献調査、計算シミュレーション、特性予測、多目的最適化を経て候補材料を提案し、実験計画まで自動で設計する。

    さらに、実験結果が戻ると、その予測が妥当だったかどうかを自ら評価し、必要に応じてモデルを修正し、新たな科学的法則の可能性まで探索していく。

    これは、AIが科学者の「検索ツール」として働く段階ではない。

    AI自身が、新しい知識を生み出す研究プロセスへ参加し始めているのである。

    モデル、研究データ、計算ツール、自動化実験――。

    それらが一つのシステムとして結び付くことで、AI for Scienceが目指すものも、「一度だけ精度良く予測するAI」ではなく、「継続的に発見し、自ら学習・修正し続ける研究システム」へと変わりつつある。


    モデルは出発点であり、もはやゴールではない

    数学、ワールドモデル、AIエージェント、AIインフラ、AI Scientist――。

    今年のWAICフォーラムで示された6つの論点は、一見すると個別のテーマに見える。

    しかし、その根底には共通した技術思想が流れている。

    モデルは認識と推論を担い、数学はその能力の限界を決定する。

    データは現実世界を記述し、ツールやロボットはAIの判断を実際の行動へ変換する。

    TokenとAIインフラはシステム全体を継続的に稼働させ、現実世界から返ってくるフィードバックはAIをさらに学習・進化させる。

    そして、人間は目標を設定し、境界条件を定め、例外へ対応し、最終的な責任を負う。

    これこそが、「モデルの時代」よりも「システムの時代」の方がはるかに難しい理由でもある。

    モデル単体の性能は共通のベンチマークで比較できる。

    しかし、AIシステム全体が有効かどうかは、現実の環境へ投入して初めて評価できる。

    求められるのは標準的なタスクをこなすことだけではない。

    権限の競合、誤ったフィードバック、設備故障、組織運営、人間社会の不確実性など、多様な現実へ適応しなければならない。

    これまでのAI競争は、「より優れたモデルを誰が作るか」が中心だった。

    しかしこれから大きな差を生み出すのは、モデル、データ、ツール、現場、人間、そしてAIインフラを、一つの実際に機能するシステムとして組み上げられるかどうかである。

    もちろん、モデルの重要性が失われるわけではない。

    むしろモデルは、あらゆるAIシステムの知能中核として、これまで以上に重要な存在になっていく。

    ただし、AIが物理世界へ進出し、企業活動や科学研究へ深く入り込む時代には、モデル単体だけでは結果を決めることはできない。

    モデルの時代の次に訪れるのは、より複雑で、より現実社会に近い価値を生み出す「システムの時代」である。

     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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