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東風と長安の合併見送り、長安の単独中央企業化、中央3社体制

    2025年6月、重慶長安汽車(長安)の親会社である中国兵器装備集団有限公司(兵装集団)が、自動車事業を分離し、新たに独立した中央企業として再編することが発表された。

    これにより、長年にわたって軍需産業と密接に関係してきた長安汽車は、兵装集団から切り離され、国務院国有資産監督管理委員会(国資委)の直接管理下に入る。

    いわゆる独立した国有中央企業の自動車メーカーとして位置づけられることになる。

    一方で、これと関連して噂された、長安と東風の合弁は今回も破談となった。

    一汽、東風に次ぐ3社目

    この動きは、結果として長安汽車が、中国第一汽車集団有限公司(一汽)、東風汽車集団有限公司(東風)に続く、「三番目の国有中央自動車メーカー」として明確な地位を得ることを意味する。

    近年、中国政府は国有企業の集約化と合理化を強力に推し進めており、とりわけ自動車産業においては、EV・スマートカー時代への対応を見据えた大規模な構造改革が求められてきた。

    その中で、今回の長安の再編も、単なる資本構造の変更にとどまらず、国家戦略の一環と見るべき動きである。

    中国政府の強権と言えども

    一方で、ここ数年繰り返し噂されてきた「東風と長安の合併構想」は、結果として今回も実現には至らなかった。

    東風側も再編に向けた検討を進めていたとされるが、最終的に明確な合意には達せず、東風の自動車事業は現状維持のままという形に落ち着いた。

    これにより、長安と東風の統合による「巨大国有自動車グループ」の誕生は見送りとなり、それぞれが独立した形で今後も競合しつつ並立していく構図が続くことになる。

    中央企業の統合再編は数年来の課題だが、改めて中央企業による統合再編が一筋縄ではいかないものであることが浮き彫りになった。

    中央企業なのだから、中国政府が強権を発動すれば、と考えがちだが、そうはならないところに中国の複雑さがある。

    仮に3社統合すれば?

    とはいえ、長安・東風・一汽の三社をもし仮に統合することができれば、その合計販売台数は年間850万台を超え、トヨタ(約1050万台)、フォルクスワーゲン(約900万台)に次ぐ世界第三位の自動車グループに躍り出る計算になる。

    少なくとも今回、中央企業3社体制になったことにより、中国国内では中国政府が中国トップBYD(約400万台)を上回る、ということになる。

    実は今回の決定は、案外この点が大きいかもしれない。中国政府のメンツが保たれるからだ。

    現実的に統合は不可能

    技術力やブランドの多様性、国際的な合弁関係も含めて、統合グループは強大な競争力を持ち得るが、実際の3社の統合そのものは、現実的には極めて困難である。

    なぜなら、それぞれの企業が持つ歴史的経緯、地元政府との政治的関係、軍需との関わり、企業文化の違い、そして合弁先の外資メーカーとの契約上の制約など、多くの複雑な障壁が存在するからだ。

    時間が限られていたとはいえ、今回も長安と東風の調整がうまくいかなかったことに象徴されている。

    中国政府の狙いは明確

    それでも、中国政府がこの三つの中央企業を軸に、世界の自動車産業におけるプレゼンスを高めていこうとしている姿勢は明確である。

    国資委の幹部が公式の場で「世界一流の自動車グループの創出」を掲げ、技術・製造・販売を統合した形での競争力強化を打ち出している。

    今後も三社を中心とした再編・提携・機能分担といった形での動きが活発化することは間違いない。

    国の自動車戦略再起動

    中国の自動車産業は、EV・スマート化への転換という構造変化の真っただ中にある。

    そこにおいて、長安の独立は単なる1社の再編にとどまらず、国家としての自動車戦略の再起動を示す象徴的な出来事と位置づけられるべきであろう。

    今後も、東風や一汽との関係を含め、さらなる変化が水面下で進んでいくことが予想される。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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