
WeRide、ADAS供給に切り替え、安全なOS強調も前途は多難か
BlackBerry QNXと中国の自動運転専業ベンダー文遠知行(WeRide)は2025年4月9日、高度運転支援システム(ADAS)分野における戦略的協業を発表した。
BlackBerry QNXの安全性とリアルタイム性に優れたOSを、WeRideが開発するWePilotソリューションに組み込むことで、市販車向けにより堅牢で高性能なスマートドライビング機能の提供を目指す。
この取り組みは、WeRideがこれまで得意としてきたL4レベルのロボタクシー技術から、より量産性と収益性を持つL2++レベルの都市型NOA(Navigate on Autopilot)へと軸足を移す動きの一環といえる。
搭載実績乏しく脆弱
実際、WeRideはこれまで独ボッシュとの連携を通じて、奇瑞(Chery)の星途(EXEED)において量産化を実現してきた。
しかし、それ以外の採用事例が目立たないのが実情であり、いくら技術的な完成度が高くても、市場での存在感はまだ限定的である。
一方で、自動車メーカー各社は自社でスマートドライビングスタックを開発・統合する傾向を強めており、例えばChery自身も独自のADASシステム「獵鷹(ファルコン)」の導入を発表している。
WeRideは今後もCheryとの連携を続ける可能性はあるものの、すでにその立場はかつてほど盤石ではない。
自動運転専業が足かせ
背景には、自動運転専業企業というビジネスモデルの変調がある。
バイドゥのApollo、AutoX、pony.aiなどと並び、WeRideもかつては中国ロボタクシー市場の先駆者として脚光を浴びていた。
しかし、現在では都市部NOAやエンドtoエンド(E2E)アーキテクチャを備えたスマートドライビングの量産化が主戦場となっている。
理想(Lixiang)やファーウェイ、小鵬(Xpeng)、蔚来(NIO)など、OEMが自社開発に注力し、同時にAIモデルの高度化を競い合う中で、独立系のソフトウェアベンダーが入り込む余地は急速に狭まっている。
ロボタク構想大転換
テスラがすでに販売している車の本家スマートドライビング「FSD」を活用したシェアリングロボタクシー構想を掲げている。
技術的に言えば、Liやファーウェイでも、中国ですでにこれは展開可能と思われる。
もちろん法規制が厳しく、また、タクシーや配車ドライバーの雇用問題などもあり、中国でも簡単にはいかない。
とはいえ、いわゆるロボタクシーの考え方はここ数年で、大きく変わったことは間違いない。
IPOが逆に命取り
加えて、WeRideは2024年に米ナスダックへのIPO(新規株式公開)を果たしたものの、収益構造は依然として脆弱である。
ロボタクシーによる収益化が見通せない以上、都市型NOAなど量産車向けの分野で明確な成果を出すことが生き残りの鍵となる。
QNXとの提携は、安全性や信頼性の強化という観点では重要な意味を持つが、OEMの採用を本格的に獲得するためには、技術力以上に実績と販路が問われる。
先端技術も色褪せ
中国では現在、スマートドライビングの成熟と共に、かつての夢を掲げた専業ベンダーが姿を消しつつある。
WeRideもまた、この激動の渦中にある。今後、ボッシュやQNXとの関係を活かし、都市型NOAへの技術シフトと量産モデルの拡充をどこまで進められるかが、会社の命運を左右する。
さもなければ、黎明期の象徴であった同社が、技術的には進んでいても市場に居場所を失うという、時代の皮肉な帰結が訪れる可能性もある。
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