はた迷惑なジレと、私
体力の限界を迎え、すごすごと扶養内パートに戻って早幾月。
ちょっといい物に手を出す余裕のあった昔の面影はどこへやら、いまの財布はすっからかんだ。インテリア雑貨にキッチン道具、懲りずにちょこちょこ散財し続けた自業自得のせいで、今年の夏のセール予算は悲しくなるほどミニマムである。
だがしかし。ファッションが生きがいな私にとって、このお得な好機を見送るなど、ぬるいビールを飲むようなもの。低予算で新しい風を吹かせてくれる都合の良いアイテムはないかと、首がもげそうになるほど頭をひねった。
扶養内パートの財布と、クローゼットの住人
ぱんぱんのクローゼットを開ける。
断捨離も好きだが、買うのはもーーーっと好きな私の収納は、隙間があれば即座に塞がれる仕組みになっている。(主に私によって)
スカート、シャツ、ストール…。テトリスのように埋められたアイテムを眺めると、一昨年に私の中だけで勝手に巻き起こったノースリーブブームに一目惚れした「ジレたち」が目についた。
買ったは良いが、更年期の冷えに怯える私にとってクーラー政権下では政敵となり、またTシャツを合わせればせっかくのシックさがカジュアルダウンされてしまい解せない。一筋縄ではいかないアイテムNo. 1としての不動の地位を確立していた。

「別れても好きな人」を、再び腕の中に
それでもデザインはこの上なく好き。ロス・インディオス&シルビアの「別れても好きな人」状態の彼らを目にした途端、救済センサーがピコンと発動した。よし、この別れても好きな彼らを『やっぱり一緒にいて最高な人』へと、力技で惚れ直させる方法を発掘しよう。そう、心の中で高らかに宣誓した。
そうして財布を握りしめて購入したのが、こちらのシアーレースカットソー。

以前も長袖がすこぶる気に入って、着倒した結果、一年で繊維内のゴムがピロピロと飛び出してきたくらい、私の中でかなり使える実績のある相棒だ。これを中に着れば、ジレの都会的な雰囲気をキープできるに違いない!
鼻息荒く、高鳴る胸の鼓動をどうにか抑え込みながら、ファッションショーの開幕だ。
①麻の黒ジレ、黒レースカットソー、黒ラメタイトスカート

②黒ジレ、白カットソー、水色麻パンツ

③ベージュジレ、白カットソー、ブラウンロングスカート

④ベージュジレ、黒カットソー、黒パンツ

合わせれば合わせるほど無限にコーデが組めるではないか。あんなに合わせる物に悩んだジレがレースのカットソーを間に挟むことによって、不死鳥の如く生まれ変わった。
鏡の向こうに重なる、不器用な影
歓喜の中、ふと振り返ると脱ぎ散らかした服の山。重くのしかかる片付けという名の現実を眺めながら思った。
「ジレって私みたいだ。」
人とすれ違う瞬間の些細なざわめきに心は波立ち、誰かの気持ちを先回りしては勝手に右往左往してエネルギーを使い果たしてしまう私。
「変なことを言ったかも…」と帰りの電車でひとり反省会を開き、誰に咎められるでもなく、自らの繊細さに絡め取られて生身のメンタルを削っていく私。
そんな不器用で扱いにくい自分とジレが重なり、どこか愛おしい。
物語の続きを紡ぐヴェール
私には、直接冷たい風にさらされないための「レースカットソー」のような、優しく守ってくれるフィルターが、いつだって必要なのだ。正解の見えない世間の空気にそのままの素肌でぶつかっていっては、あっという間に心も財布も冷え切ってしまう。だからこそ、こうしてnoteに言葉を紡ぐことは、私にとって頭を静かに整える儀式であり、生身の心をそっと包み込むヴェールを編む時間でもあるのだ。
「新しい服を買う口実のために、持て余した過去の服をこじつけているだけでは?」という巨大な疑惑が頭をよぎるが、今日は華麗にスルーしておこう。
人生の制約や消えない不安が魔法のように消え去ることはないし、明日から劇的に根明に生まれ変われるわけでもない。
それでも不完全で、どこか扱いにくい自分のまま。
ほんの少しの工夫という名のワンクッションを挟んで、手元のカードをそっと着こなしていく。
今日も案外悪くない機嫌で、明日へつないでいけたらいい。
突然ですが、今回企画に参加させていただきました!
マイキーさんの #エッセイしりとり です。
タイトルでしりとりをするという、実にハードルの高い企画💦
もちさんの「ノスタルジックよ、こんにちは❇️」の「は」から受け継ぎ、「はた迷惑なジレと、私」というタイトルにしました☺️
参加してみての感想として、今まで安易なタイトルに甘んじていた自分に大いに反省。
皆さんの機知に富んだタイトルの数々を見ながら、次回からもっと考えよーって学ばせてもらいました❣️
もちさんの記事はこちら
マイキーさんの企画はこちら
もちさん、マイキーさん、楽しい上に、なかなかのハイレベルなお誘いありがとうございました❣️
そして、3人までエッセイストの方をお誘いできると言うことで、僭越ながらいつも大好きで楽しく読ませていただいている御三方をご紹介させてください✨
T.A.R.O.さん
いつも読後にエモーショナルな気持ちにさせてくださるT.A.R.O.さん。
固定記事にしてる「うんこ家族」と言うタイトルからも分かるように、センスは抜群です。
時々公開される「T.A.R.Oの似てない似顔絵道場 」では、日を追うごとに絵が上達されていて、あふれる才能を惜しまず世に放たれています。
ねこだまりキリコ|50代・おひとり様のリアルな日常さん
日々のやり取りや、仕事にまつわるリアルな日常をユーモラスに綴られているねこだまりキリコさん。
独特な切り口でライフスタイルを描かれていて、同世代の私には頷くことばかりです。
『「無防備ゾーン」隠すのをやめた日』では、「そんなことまで赤裸々に!」と思わずクリックしてしまいましたが、あるあるな内容でホッと一安心。
『私の「なつやすめ」。』という秀逸なタイトルの記事では、編み物作品も公開されていて、ポテンシャルの高さに脱帽でした!
あと、普通に食べ物も美味しそう😋
シン・東屋清酒本店さん
奥さん大好きで、趣味が奥さんを撮ることなのに、好きを認めないシン・東屋清酒本店さんは、お酒屋さんではありません。
こちらの『「ベイヴィー」を名乗った男』が面白すぎて、一瞬でファンになりました。
次男くんへのむき出しな愛を、卓越した言語化能力で表現されていて、お見事すぎてジェラシーさえも覚えました。
シン・東屋清酒本店さんの大好きな奥様の写真が満載の、質問箱の記事もおすすめです。
若干無茶振りなバトンを突然お渡ししてしまい、非常に恐縮です💦
強制ではありませんので、良かったら参加してみてください☺️
その場合は、私の「はた迷惑なジレと、私」の「し」から始まるタイトルのエッセイでつなげていただけると嬉しいです。
宜しくお願いします🙇
(因みに賞金もあるそうです✨)
