3匹の子豚|つながる寓話「笑いの調べ」第6話
ある静かな森に、三匹の兄弟ブタがいました。彼らは自立して、それぞれ自分の家を建てることにしました。
一番上の長男は、とにかく今この瞬間を楽しみたい楽天家でした。
「家なんて、雨風がしのげれば十分さ。残った時間は昼寝にあてよう!」
彼はそこら中の藁をかき集め、半日でふわふわの家を完成させました。夕方にはハンモックに揺られ、鼻歌を歌いながら、遠くで泥まみれになって働く弟たちを眺めていました。
真ん中の次男は、誰にも負けたくない完璧主義者でした。
「自分にしかできない、究極の城を造ってやる。他人の手なんて借りるもんか」
彼は緻密な設計図を広げ、石の重さから柱の角度まで、すべて一人で計算し、運び、加工しようとしました。
しかし、あまりの重労働とこだわりゆえに、作業は一向に進みません。壁が一枚も立ち上がらないまま日は沈み、彼は疲労困憊で泥の中に座り込んでしまいました。
一方、末っ子の三男は、森の入り口で大きな影と向き合っていました。
それは、鋭い牙と鋭い目つきをしたオオカミでした。村の誰もが恐れる存在でしたが、三男は彼が倒れた木をどかしたり、道端の花を踏まないように歩く不器用な優しさを知っていました。
「オオカミさん、あなたの大きな力と知恵を貸してくれませんか。僕一人では到底、頑丈な家は建てられません」
オオカミは少し驚き、低く唸りました。
「……フン、俺を怖がらない奇特なやつだな。だが、俺は不器用だぞ」
「構いません。手伝ってくれたら、僕の畑で採れる最高のジャガイモと、冬の間のお菓子をお礼に持っていきます」
二人のやり取りを見て、通りがかったクマやキツツキも集まってきました。
「俺は丸太を運ぶのが得意だ」「私は細かい釘を打つのを手伝うよ」
三男は、それぞれの得意分野に合わせて作業を任せていきました。自分はみんなが疲れないように冷たい水を用意し、現場のムードを明るく保つことに専念しました。
その夜、森に冷たい嵐が吹き荒れました。長男の藁の家は一瞬で風にさらわれ、彼は震えながら闇を走りました。
次男は、未完成の石の土台の隙間で凍えていました。自分のこだわりが自分を追い詰めていることに気づき、涙がこぼれます。
二人が命からがら辿り着いたのは、暖かな光が漏れる大きなレンガの家でした。
ドアを開けると、そこには三男と、あの恐ろしいはずのオオカミ、そして森の仲間たちがテーブルを囲んで大笑いしていました。
「兄さんたち、こっちへおいで! ちょうどスープが煮えたところだよ」
オオカミが大きな手で次男に毛布をかけ、クマが長男に椅子を差し出します。
「一人で抱え込むには、この森は広すぎるからな」
オオカミが照れくさそうに笑うと、その顔はもう全く怖くありませんでした。
三男の家は、ただの建物ではありませんでした。それはみんなと作りあげた、一人では決して辿り着けない笑いの絶えない場所だったのです。
翌朝から、二人の兄たちも三男にならって、畑仕事や修理を仲間と分担するようになりました。森には、かつてないほど明るい歌声が響き渡ったといいます。
小さな問い
・信頼とはなんでしょう?
・どうして信頼は必要なのでしょう?
・どんな時に『この人は信頼できるな』って感じる?
