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【ショート】 信号機ぶどう味


「好きだ」


頭が真っ白になった。

いちご味だった。

口の中に甘さが広がる。
でも、望んでいた味じゃなかった。
視界が滲んだ。
なんて返せばいいのか言葉を探す。

だんだんレモンの酸味が混じる。

やっぱり、私は彼が好きなんだ。

「私も好き」

絞り出した声は小さかった。

彼は嬉しそうに微笑んだのに、いちご味だった。


それから、放課後は一緒に宿題をした。

帰り道、赤信号で止まると、必ずいちご味がした。
そっと、彼を横目で見る。
彼も私を見ていて、胸が跳ねた。

それなのに、視線を逸らしても、いちご味のままだった。

翌日、男子生徒たちの笑い声が聞こえた。

「お前、本当に付き合ってんの? 罰ゲームで告ったやつと」

いちご味の理由がわかった。

帰り道に、「別れよう」と伝えた。

彼の顔が曇った。
レモン味だった。

彼は私の顔を見て、少し目を見張った。

それから、泣きそうな声で言った。

「ありがとう」

ぶどう味だった。

私は肩の力が抜けた。


踵を返し、滲んだ信号機の下を一人で進んだ。


(410文字)






田原にかさんの企画に参加しています🌿
今回もお題を見てフリーズしました( ˙꒳˙ )?

いつも楽しいお題をありがとうございます☺️
よろしくお願いいたします。



お読みいただき、ありがとうございます💐
読んだ記念に、COBIToの庭をひとつ育てていってね🌿

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