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【ショート】 そこは、小さな境界にある図書館

―― short story ――


――森の入り口、大地の果て、空の切れ目、動かない海に映る夜空と月――


森の中に大きな木の家があった。
扉だけが白く金縁に囲われて、違和感しかない作りだった。

ここはどこなんだろう?

そう思いながらも、吸い寄せられるように木の家に近づいていた。
この扉を開けて中を覗くと、小さな生活の跡が見える。
その奥には、薄暗い光の中にたくさんの本が並んでいた。

「うわぁ……」

本だ、と胸が弾む。
一つずつ手に取って、近くの机と椅子を見つけると、
そこでずっと読み耽っていた。

そして、思った。

「なんだ、これ」

もやっとする。

この本たちは、どれも余韻はあるけど、
ちゃんと解決しないっていうか。
続きがめちゃくちゃ気になるのもあるし、
それで終わりかよって話も多かった。

悪くない物語もあるけど、

……好みじゃない。

「……」

登場人物の名前すら出てこない物語もたくさんある。
なにより、短すぎる。

もっと、最後まで読みたい。

ペラペラとめくっていると、後ろの方は、何も書いてなかった。

真っ白だ。


――よし!


僕は、小屋の中をうろうろと歩く。
すると、羽ペンとインクを見つける。

口元がにやける。


早速、最初に読んだ本を取り出してめくる。
そして、真っ白なページを確認すると羽ペンを動かす。

その時だった。

「ちょっと!何してるのよ!」

眩しい光の中に、扉を開け放ち仁王立ちしている女の子がいた。
呆然と見つめていると、ずんずんと歩いてくる。

「……あ、この本、読んで。」

眉を顰める。女の子は少し乱暴に本を取り上げると、
中をペラペラと見始める。

「……で?」

「いや、……途中っぽかったから、続き書こうかと。」

「何ですって!!」

大きな声に遮られる。

「一生懸命書いたのよ!」

「……これ、全部?」

「そうよ!」

……まずい。

「いや、すごいね」

苦笑いするものの、女の子の眉が吊り上がったまま。
でも、少しすると目が曇っていく。

「……でも、そうね。ちょっと、急いで書きすぎたかも。本当は、もっと伝えたいこと、まだまだあるんだよね。でも、なかなか時間も割けないしさ。」

椅子を引くと、ストンと腰掛ける。

「今なら、もう少し良い話が書けるかな。」

頬杖をついて、ため息を漏らす。

僕はその様子を見て、思った。

「一緒に、考えてみようよ!」

僕の言葉に女の子は目を丸くする。

「一人より、二人の方がいいアイディアが浮かぶかも」

少女は目を瞬かせる。

「……そうね」

僕たちは笑い合った。


それから、二人で最初、【短編小説】『君との思い出』を書いてみる。

【ショート】では、着物の女の子の視点が書かれていた。



「ここまでに、たくさんのことがあったはずだよね。その展開も含めて、この二人の今後を描くんだよ。」

「ねぇ、この場面入れよう」

「……読んでて思ったけどさ。いつも愛の展開お決まりじゃない?」

「好きなの」

「……ここ僕が書いてもいい?」

「……その方がいいかも……じゃ、こっちは私」

「うん。いい感じになると思う」

二人であぁでもない、こうでもないと話し合いながら、
羽ペンを走らせる。

『……できた!』


二人でそっと見つめ合って、お互いの名前を書き合った。


by.コウ

by.ビィ


コウとビィ。


ん~


コウビィと


COBITo。


「安易すぎない?」

「大丈夫。誰も見てやしないわよ」


僕たちは、また羽ペンを取った。

365本の物語を書くために——。




COBIToのショートショート100本目記念の物語🌿


Talesにも完全版を置いてきました。
(タイトルは違いますが、完全版と同内容となります。)

外部サイト:カクヨム版
(こちらも完全版と同内容となります。)



少しずつですが、物語を広げています。
お楽しみただけますと幸いです。

今回の物語の原点は、こちらから。
まだ、ご覧になってない方はぜひ。


今回の100本目を節目として、投稿時間を朝に変更します。
これまで通り、お好きな時間にご覧ください☺️

それでは、また、どこかの物語で🌿


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