【この一曲】【ショート】 1コール|大丈夫。あなたなら、きっと乗り越えられる。|#Nフェス2026コトバ
こんにちは。COBIToです🌿
コトバフェス。
2作品まで参加してよいとのことだったので、
また、参加させていただきます(,,>᎑<,,)
私の【この一曲】は、こちら!!
(Des'ree公式チャンネルより)
有名ですよね。世代の方、いるかなぁ?
デズリーさんのYou Gotta Be!
久しぶりだよ〜って方、知らなかったって方、
ぜひ、浸っていってください♡
私もこれまで、いろいろなことに挑戦して、
たくさん失敗して、泣いてきました。
そんな時、私を支えてくれた一曲です。
乗り越えるものは、どんなに小さなことだっていい。
泣いても、立ち止まってもいい。
—大丈夫。あなたなら、きっと乗り越えられる—
私には、そんな風に聞こえます。
今も大好きな曲です。
青春時代を思い返しつつ、小さな恋の物語をどうぞ。
―― short story ――
初めて見た時、胸が一つ鳴るのが聞こえた。
だんだんと鼓動が速くなって顔が紅潮しているのが分かった。
本当に、こんなことがあるのだと、すごく驚いた。
終業の音楽が流れる。
閉店の準備を進めながら、最後のお客様に頭を下げシャッターを閉める。
鍵を掛けて、レジ締めをしたら、展示を整える。
今日の遅番の仕事は、これで終わりだった。
チェック表に漏れがないか、再度、確認する。
責任のある仕事は、念入りにしておかないと不安が残る。
最後に、警備をかけて戸締りを確認する。
それから、肩の力を抜いて踵を返した。
でも、すぐに足を止める。
彼が携帯を見ながら、壁に寄りかかり立っていたから。
言葉にするのが、怖かった。
彼を目の前にすると、「お疲れさま」の一言すら、すぐに出てこない。
ただ、心臓の音がどんどん速くなる。
何か言わないと、そう思えば、思うほど、言葉にならなかった。
昔から変わらない――。
「蕪木さん、よろしく」
黒い前髪が焼けた肌をさらさらと撫でていた。
自然に笑う姿は優しくて、真っ直ぐな目が私を捉えていた。
『よろしくお願いします』
たった一言。
その言葉すら出てこなくて、頭が真っ白になる。
言わないと、と思うほど、体温が下がり、唇が震えた。
失礼のないようにしたいのに、ただ気持ちが焦る。
俯いたまま頷いて見せる。
そっと、上目遣いに見ると目が合う。
小鳥遊くんは、また、笑った。
「はい。これプリントもらってきた」
『ありがとう』の代わりに頷いて受け取る。
教授が教壇で話し始めると、みんな席に着く。
小鳥遊くんは私の横の席に座った。
午後の講義が終わって、宿題を済まそうと図書館に向かう。
五号棟の脇に、小鳥遊くんが男子生徒と喋っていた。
笑顔に目がいく。
でも、すぐに逸らした。
目が、合ったから。
私は昔から、好意を持った人に話しかけられない。
ドキドキしすぎて。
大学に入ってからも、ずっと見ているだけ。
「祥子~」
振り向くと、友達の美桜が駆けてくる。
腕を組まれると嬉しそうに顔を寄せてきた。
「小鳥遊、見てるよ」
とくん、と胸が鳴る。
気が焦って手汗が出る。
「ちょっと……」
「もう、付き合っちゃえばいいのに~」
「……話したこともないよ」
声が小さくなる。
「でも、小鳥遊のやつ。もう、ずっとだよ。あからさま。すっごいアピールしてんじゃん」
言われなくても、分かっていた。
大学三年の時に同じサークルに入って知り合ってから、なぜか、ずっと目が合う。
それでも、私の自意識過剰だと思っていた。
でも、一年以上続いている。
気持ちを確かめないと、そう前々から思っているのに、小鳥遊くんを前にすると声が出ない。
こんな反応をずっとしていたら、嫌われると思っていたのに、いつも優しい。
ため息が出る。
「祥子ったらぁ。あんた、いつまでも奥手だと逃げられちゃうわよ。せっかくのイケメンなんだから、捕まえちゃえばいいのに」
「……それ以前の問題だよ。緊張しちゃって声出ない」
また、ため息をつく。
こんなんじゃ、ダメなのにな。
空を仰いだ。
就職活動の面接を終えて、カフェでメモを取っていた時だった。
腕時計をした手が椅子に伸び、声がかかる。
「隣、いいですか?」
はっとして、隣の椅子に置いていた鞄をどかして席を開けた。
「どう……ぞ」
目の前に小鳥遊くんの顔があって息が止まる。
小さく笑いながらスーツ姿の小鳥遊くんが椅子を引いた。
「ありがとう」
トレーに載せたカップの中のコーヒーが揺れる。
もう、そこを見るしかなかった。
なんとなくメモを閉じて、ペンを置く。
「邪魔しちゃったかな?」
私は首を振った。
そして、頭をフル回転させる。
何か、話さないと。
やっぱり、ここは就活帰りか聞けばいいかな。
それとも、このカフェにはよく来るのか聞く?
……それより、他の席空いてる、よね。
小鳥遊くんと反対の方向を向いて確認する。
やっぱり……。
咄嗟に、冷えたコーヒーを掴むと一口飲んだ。
恐る恐る小鳥遊くんの方を伺う。
目が合う。
頬杖をついて、あからさまに私を見る。
顔から火が出そうなほど、熱くなって目を逸らす。
――なんで?
顔を覆ってしまいたかった。
「コーヒー美味しいね」
聞こえてきた小鳥遊くんの声は楽しそうだった。
私は気の利いたことも言えずに席を立つと、急いで鞄を持った。
顔も見ないまま、「じゃあ」とだけ小さく呟く。
踵を返そうとすると、「待って」と聞こえ、足を止める。
顔だけ振り返ると、小鳥遊くんはコーヒーを一息で飲んだ。
「暗くなってきたし、送るよ」
……は?
店の時計を見ても、まだ16時だ。
小鳥遊くんはトレーとカップを片付けると、鞄を持ち上げる。
「隣の駅だったよね」
そう笑って言いながら、私から鞄を取って先を歩いて行ってしまった。
帰り道は無言だったのに、小鳥遊くんは気にしていなかったみたいだった。
……家がバレた。
なんだろう。
あの有無を言わせない圧。
喋らない私が悪いんだけど。
何度目か分からないため息をついた。
翌日、大学に行くと、向かいから小鳥遊くんが歩いてきた。
また、何か言わないと、と身構えてしまう。
勇気を出して顔を上げたら、その日は目が合わなかった。
……あれ。
足が止まる。
急に心が冷えていく。
……とうとう、嫌われた。
わざわざ自宅まで鞄を持ってくれたのに、私は何も言わなかった。
目頭が熱くなる。
ここで泣き出すわけにもいかず、とぼとぼと歩き出す。
少しだけ振り返ると、小鳥遊くんは、壁に体を預け携帯を見ていた。
その日は、真っ直ぐに帰った。
ベッドに直行すると、ボスっと枕に顔を埋める。
……もう、一生、彼氏なんてできないかも。
携帯の音楽を無造作にかける。
昔から、私を励ましてくれる曲。
部屋着に着替えるとゴロンとベッドに横になる。
耳を傾けながら、ふと、思う。
このままじゃ、だめかも。
私は音楽を止めると、携帯の連絡先を開く。
サークルで電話番号は交換していた。
『小鳥遊くん』
表示させて、手が止まる。
大きく息を吸い込むと、吐く。
何度も繰り返した。
そして……そのまま、30分見つめ続けた。
大丈夫。
声が震えても、話せなくなっても。
指先で通話ボタンに触れる。
――押した。
1コール。
『はい』
早すぎる。
携帯を落としそうになり、手に汗が滲む。
唾を飲むと、携帯を耳につけた。
手が震える。
「……小鳥遊くん」
声が掠れた。
……あぁ、いきなり名前呼んじゃった。で、これ、あとどうすればよかったんだっけ?
『……やべぇ、声。蕪木さん、今、どこ』
いつもより、焦っている声に聞こえた。
「……家」
『今、行く』
……へ?
ツー、ツー。
携帯の音だけが部屋に響いた。
小鳥遊くんの言葉を考えていると、
気がつけば時間が経っていたようだった。
着信が鳴ってビクッと震える。
ゆっくりと出る。
「……はい」
『外にいる』
カーテンを開けると、息が止まる。
慌ててコートを羽織り、サンダルをつっかけてアパートの階段を降りた。
「……小鳥遊くん」
声が出てた。
小鳥遊くんは目を丸くして、私を見る。
……あれ、私、今、変な格好してる。
スウェット上下にきっちりしたコート。
サンダルを履いていることに気づく。
いろんな意味で頭を真っ白にしていると、小鳥遊くんが近づいて、急に頭を下げた。
「ごめん」
……はい?
何が起きたか分からず、キョトンとしていると、小鳥遊くんが顔を上げる。
「今日、目を逸らしたことを謝りたくて来た」
小鳥遊くんと目が合う。
「俺ばっかり蕪木さんを見てるのが悔しくて。蕪木さんからも話しかけてほしかった」
小鳥遊くんとの距離が近くなる。
「でも、傷つけたって気づいたら、じっとしてられなかった」
少し耳を赤くして、もう一度頭を下げる。
「こんなことする前に言えばよかった。俺と付き合ってください」
もう、何も考えられなかった。
ただ、嫌われたわけじゃないということだけが、私の心を満たした。
顔を上げた彼にそっと頷くと、小鳥遊くんは頬を染めて笑った。
あれから5年も経つのに、私は今も変わらない。
ううん。少しだけ変わった。
ちゃんと、あなたに言葉を伝えられてる。
すごく、小さな声だけど。
「お疲れさま」
律が顔を上げる。
「お疲れさま」
そう言って私の鞄を持つと、空いたほうの手を強く握った。
並んで歩き出す。
「祥子、夕飯何がいい?」
律の顔が近づく。
私はそっと背伸びすると、その耳元で小さく囁いた。
(了)
いかがでしたでしょうか。
基本、好きな人は遠くから眺めて切なくなったり、胸を温かくしているだけの🍄。
はい、好きな人とは、一言も喋れないで終わった私の若かりし頃。笑
今回は、小さな乗り越える勇気を描いてみました。
歌が教えてくれたことです。
あ、物語はCOBIToのお話じゃないですよ〜笑
そして、小説については、メスマニアさんの記事を参考に書かせていただきました(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)
恋愛に必要な要素がいっぱい(/ω\)
追って、逃げて、包み込んで……♡
その先は、長編で(⸝⸝- -⸝⸝)
今回の企画者、けじぶんさん🌿
ひろみさん🌿
ちぃさん🌿
ありがとうございました💐✨
次の記事も拝見しに参ります〜

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