デザインに「自分らしさ」は本当に必要なのか
前回の#09の投稿
【INFJの私が、デザインを仕事にして気づいたこと。】
では、昔は短所だと思っていた「考えすぎる性格」が、
人の気持ちを想像するデザインという仕事では、
自分の強みになっていたというお話をしました。
「相手は何を求めているんだろう。」
「どうすれば、もっと伝わるだろう。」
そんなふうに考え続けることが、
今の私のデザインにつながっています。
デザインの仕事を始めてから、
もう一つ大きな勘違いに気づきました。
学生の頃の私は、
デザインとは「自分の世界観を表現する仕事」
だと思っていたんです。
けれど実際に仕事をしてみると、
求められていたのはまったく違うことでした。
今回は、「デザインに「自分らしさ」は本当に必要なのか」をテーマに、
私が学生から社会人になって、
一番考え方が変わったことについてお話ししたいと思います。
株式会社COMMAのデザイナー「まり」です。
私のnoteでは現場から学んだ"よりリアル"な、
デザイン初心者のための、スキルアップ術をお届けしていきます。
技術やマインドなど、少しでも誰かの役にたてれば嬉しいです。

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01 / 「デザイナー=アーティスト」だと思っていました。
デザインを学び始めた頃の私は、
デザイナーとアーティストの違いを、あまり理解していませんでした。
どちらも、自分の感性や世界観を形にする仕事。
自分にしか作れないものを生み出し、それを世の中に発信する。
これが一番大切で活躍するためのモットーだと。
少し学生時代の話をしますが、
学生の課題では、コンセプトも、表現方法も、
作品のゴールも自分で決めます。
「私は何を作りたいのか。」
「どんな世界観を表現したいのか。」
一から考え、自分なりの答えを形にすることが求められていました。
そもそもそうやって想像力を養っていくのが、
学校の役目ですからね…!
だから当時の私は、個性的で、自分らしさがあり、
見た人の印象に残るデザインが重要であり、
求められていると思っていたのです。
でも、実際に会社に入り、
仕事としてデザインをするようになると、
それだけでは成立しないことに気づきました。
仕事のデザインには、
必ずその先にクライアントやユーザーがいます。
自分が何を表現したいかよりも、
まず考えるべきことがあったのです。
02 / 学生の課題と、仕事のデザインは違った。
会社に入って、一番ギャップを感じたこと。
それは、デザインの技術ではありません。
「何を作るか」は、自分で決めるものではなかったことです。
学生時代の課題では、
広告を作ろう、Webサイトを作ろうという
おおまかなテーマから、
自分で一から考え作り始めます。
必要な素材も資料もすべて、自分で撮影したり描いたりします。
「こんな世界観にしたい。」
「このキャッチコピーを入れてみよう」
「こういう構図の写真を入れる。」
そうやって自由に考え、形にすることができます。
使い勝手云々より、いかに独創的かが羨望の対象でした。
でも仕事では、そのすべてが変わります。
クライアントには、すでに「伝えたいこと」があります。
その先には、「届けたい相手」がいます。
役割分担ももっと複雑になっていきます。
営業、ディレクター、カメラマン、ライター、
デザイナー、コーダー…
自分一人で作り上げることはしません。
そうして集まった人、案件のゴール、資料、素材を
私たちデザイナーが、想いを受け取り、形にするのです。
つまり、仕事で求められるのは、
「何を作りたいか」ではなく、「何を求められているか」を考えること。
それを表現するために学んだ技術を活かす。
ここが、“学生の課題”と“仕事のデザイン”との
一番大きな違いでした。



私の経験談ですが、ファッション通販のLPを作成したとき、
私はいかに独創的であるか、真新しいデザインであるかに重きを置き
デザインを作っていました。
日本人向けサイトなのに、
海外のラグジュアリーサイトを参考にしてみたり…
そうして作って提出してみると、
「これは本当にユーザーさんを考えてデザインした?」
と先輩に聞かれました。
私はそこで自分の世界観を優先するあまり、
クライアントの希望やユーザーへの印象を
置き去りにしていたのに気づいたのです。
私のデザインを認められたい!という承認欲求と、
クライアント、ユーザーが求めているものを形にする。
その考え方の切り替えがとても難しかったことを
今でも覚えています。
03 / デザイナーの仕事は、「自分」ではなく「相手」を表現すること。
仕事としてデザインに関わり出してから、
私はデザインに対する考え方が大きく変わりました。
学生の頃は、「自分は何を作りたいか」を常に考えていました。
でも仕事では、最初に考えるべきなのは、
「クライアントは何を伝えたいのか。」
ということ。
デザインは、自分の世界観を表現するものだけではありません。
クライアントの想いや商品の魅力を、
ユーザーにきちんと届けるための手段でもあるのです。
アーティストは、自分の想いを作品にします。
一方、デザイナーは、誰かの想いをデザインにします。
デザイナーとアーティストの一番大きな違いは、
ここにあると思っています。
もちろん、デザインには自分の経験や感性、技術が活かされます。
でも、それらは「自分を見せるため」に使うものではありません。
相手の想いを、より伝わる形にするために使うものです。
だからこそ、「私はこうしたい」という気持ちだけでは、
良いデザインは生まれません。
クライアントは何を求めているのか。
その先にいるユーザーは、何を感じ、何を知りたいのか。
その二人の間に立ち、想いをつなぐこと。
それが、デザイナーという仕事なのだと、私は思っています。
04 / 必要なのは、「作る力」ではなく、「汲み取る力」だった。
デザインの仕事を始めたばかりの頃は、
「もっとデザインが上手くなりたい。」
「もっと斬新なものを作れるようになりたい。」
そんなことばかり考えていました。
だから見ているのはすべてデザインの見た目だし、
判断基準もおしゃれかどうかになっていたのです。
もちろん、それも大切なことです。
でも仕事を続けるうちに、
それ以上に必要な力があることに気づきました。
それは、相手の想いを汲み取る力です。
クライアントは、必ずしも「こんなデザインにしたい」と
具体的に話してくれるわけではありません。
「高級感を出したい。」
「もっと楽しそうな感じにしたい。」
「なんとなくイメージと違う。」
そんな言葉の裏にある本当の想いを考え、
悩みや原因、ゴールを言語化し、
デザインとして形にしていくことが、私たちの仕事です。
そして、完成したデザインを
「なぜこのデザインにしたのか。」
「どうしてこのレイアウトなのか。」
と、相手に伝える力も必要になります。
つまり、デザイナーに求められるのは、
デザインを"作る力"だけではありません。
相手の想いを汲み取り、形にし、それを言葉で伝える力。
この3つが揃って、初めてデザインは仕事になるのだと思っています。
05 / デザインは、自分のためではなく、誰かのためにある。
完全に自分の世界観を捨てたのかというと、
そうではありません。
今でも、自分の好きなデザインを考えることは楽しいです。
新しい表現を考えたり、レイアウトを工夫したり。
「こういう表現好きだな。
いつか仕事で提案できる機会あるといいな」
そんなふうに自分だけの表現を考えたり、
試行錯誤することはとても大切な時間です。
まだ私の知らない世界を知ることで、
表現できる幅が広がりますので、インプットは止めません。
そして得た知識や経験、技術を使い、
クライアントが伝えたい想い。
ユーザーが知りたい情報。
その二つをつなぐ。
それが、デザイナーという仕事なのだと思っています。
だから私は、デザインは自己表現ではないと思うようになりました。
もちろん、自分らしさや感性は大切です。
でも、それは自分を目立たせるためではありません。
誰かの想いを、より伝わる形にするためにある。
私は、それこそがデザイナーの価値だと思っています。
もし今、学生だった頃の私のように、
「もっと自分らしいデザインを作らなきゃ。」
そう考えている人がいたら、一つだけ伝えたいことがあります。
良いデザインとは、自分が満足するデザインではありません。
誰かの想いが、きちんと伝わるデザインです。
その考え方に気づいてから、
私はデザインという仕事に対して、意味を持って取り組めています。
06 / 次回「「なんでこのデザインにしたの?」に答えられますか?」
デザインが完成し、先輩や上司から、
「どうしてこのデザインにしたの?」
そう聞かれたとき、あなたはすぐに答えられますか?
頭の中では考えて作ったはずなのに、
言葉にしようとすると意外と難しいものです。
次回は、
私がデザインで一番大切にしている「考え方」について
お話ししたいと思います。
──デザインで終わらせない。
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このnoteでお伝えしている【なぜ上手くいかないのかを言語化する】という考え方は、株式会社COMMAがお客様と向き合う上で大切にしている姿勢でもあります。
「どうしたらいいか分からない。」
そんな状態から一緒に考え、課題の原因を言語化し、
最適なデザイン・施策へ整理していくことが私たちの仕事です。
そして、私たちは作って終わりの制作会社ではありません。
公開して終わりではなく、その後のアフターケアまで含めて、
お客様と併走することを大切にしています。
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