The Smashing Pumpkins 『Machina』 (2000)

右『Machina II / The Friends & Enemies of Modern Music』
『Machina』とはThe Smashing Pumpkinsが生み出したアルバムコンセプトで、『Machina / The Machines Of God』と『Machina II / The Friends & Enemies Of Modern Music』という2000年のフルアルバム2枚によって構成されている。ただし正式にリリースされたのは前者のみ。後者は訳あってネット上で聴くことしか出来ない。
「私を構成する9枚」には『Mellon Collie and The Infinite Sadness』の方を選んだけど、全然それと入れ替えてもいいほど『Machina / The Machines Of God』のことを愛している。単純に本作の音だけ聴けば、完璧だった『Mellon Collie』すらここに至るまでの道中だったんだなと思えるほど。特に”This Time”とか”Age Of Innocence”とかはBilly Corgan(ボーカル)のやりたかった柔と剛の融合が完璧に表現し切れている頂点の音だし、これ以上はどう考えても存在しない。
──しかし決して有終の美を飾る解散が出来たわけではなく、むしろ真逆とも言える失意の中でThe Smashing Pumpkinsは解散していった。そこを振り返っていきたい。
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1998年にドラマーJimmy Chamberlin抜きの意欲作『Adore』をリリースしたが売上も評価も低迷。リベンジを果たすべく、ビリーは同年10月に彼を再招集。かつてのような良好な関係性や熱意はもはや存在せず解散以外に道は無いことを既に悟っていた各メンバーだったが、その前に集大成となるアルバムを作り上げることを決意。”「Zero」というフロントマン(=ビリーのロックスターとしてのペルソナ)が神の声を聞き結成したバンド「The Machines Of God」によるアルバム『Machina』”という大掛かりなコンセプトが構想され、1998年11月から1999年10月にかけて入魂のレコーディングが行われた。なお、ベーシストDarcy Wretzkyが1999年5月にバンドを脱退。
レコーディングした大量の曲をダブルアルバムにまとめ一度にリリースすることを望んだビリーだったが、商業的に失敗した『Adore』のトラウマがあるレーベルは拒否。仕方なく、15曲入りの『Machina / The Machines Of God』と25曲入り(本編14曲+アウトテイク11曲)の『Machina II / The Friends & Enemies of Modern Music』の二回に分けてリリースすることに。しかし2000年2月にリリースされた前者のセールスが予想より低迷したことを理由にレーベルは後者のCDリリースを拒否。無料ダウンロードならどうかというビリーの妥協案も却下。悩んだビリーはLPを25枚のみ自主生産し、2000年9月に友人やラジオ局に配布。『Machina I』に負けず劣らず素晴らしい『Machina II』だが、一般リスナーが聴ける手段はネットに出回ったLPリッピング音源だけとなった。
「集大成のダブルアルバム堂々リリース」という当初の目論見から大きく外れた、無惨な姿でのリリースとなってしまった『Machina』。忸怩たる思いを抱えながら、2000年末にバンドは解散。再起を見越して歌われた"Try, Try, Try"の歌詞、"Try to hold on, we are still alive. Try to hold on, we have survived"がただ虚しく響く結果となった。
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その後もビリーは『Machina』の本来あるべき完全な姿でのリリースに固執していたが、レーベルとの法的な問題も抱え難航。ようやく解決し日の目を浴びたのが、今月リリースされた25周年記念盤(リミックス+リマスター)。この記念盤には完全版LP(本編48曲+アウトテイク32曲)とCD/サブスク版(16曲)の2種類がある。
完全版の本編48曲は『Machina』の本来あるべき完全体の姿。そこに更にアウトテイク等が32曲も追加されている大ボリューム。ただしビリーのウェブサイトのみでの限定販売となっている。一方CD/サブスク版の16曲は『Machina I』原盤の15曲+"Speed Kills"(当時のボートラ)という構成で、"Speed Kills"を除くと『Machina II』の曲は入っていない。どうせならCDもLPと同じ48曲入りにするか、せめて当時のビリーのアイデアであった『Machina I』『II』2枚組セットでリリースしてほしかった。ネットで聴ける『II』は音質悪いから…。
サブスクだと “This Time”, “The Imploding Voice”, “Age Of Innocence”の3曲だけが”2025 Remix”と表記されている。2000年の原盤よりも背景のアンビエンスやギターなどの微妙なニュアンスが鮮明になっていて、切なさ・儚さがマシマシになっている。それ以外の数曲も微妙に違っているように聴こえるが(“Raindrops + Sunshowers”のアウトロとか)、リマスターだけなのかリミックスもされているのか私の駄耳では判別不可。
なお、原盤(15曲73分)の唯一の欠点は冗長なことだと思っているので、聴きにくい曲をカットした自分バージョン(12曲55分)で聴いている(添付)。アルバム終盤の風通しの良さ・切なさが倍増するのでおすすめ。本当は『Machina II』収録のスマパン史上最高の名曲”Let Me Give The World To You”を最終曲に追加したかったが、サブスクには無いので泣く泣く諦めた。
完全版48曲のトラックリスト。★は『Machina I』収録曲、⚫︎は『Machina II』収録曲。”Home”, “With Every Light”, “Age Of Innocence”, “Let Me Give The World To You”の4曲連打で終わる流れはロック史上最も美しいでしょこれ。これが当時『Machina I』として出てればなあ…。
Stand Inside Your Love★
I Of The Mourning★
God’s Promise
The Crying Tree Of Mercury★
Slow Dawn⚫︎
The Sacred And Profane★
The Everlasting Gaze★
Here’s To The Atom Bomb⚫︎
Wound★
Glass’ Theme⚫︎
Heavy Metal Machine★
Blue Skies Wrought Tears⚫︎
Pale Scales
Vanity⚫︎
Autumn
“Machina, Machina”
Raindrops + Sunshowers★
Glass And The Ghost Children★
Real Love⚫︎
The Imploding Voice★
One Moment
Speed Kills⚫︎
Here’s To The Atom Bomb, Too
Try, Try, Try★
Whyte Spyder⚫︎
Don’t Wanna Be Your Lover
Cash Car Star⚫︎
Dross⚫︎
Lucky 13⚫︎
Hmm
Without You
Winterlong
Laugh
If There Is A God⚫︎
This Time★
Blue Skies Bring Tears★
In My Body⚫︎
Innosense⚫︎
Try (Again)⚫︎
Drain
Yet Another Promise
Home⚫︎
With Every Light★
Age Of Innocence★
Let Me Give The World To You⚫︎
Soot + Stars
Machina Theme
