エルフは川へ、ドワーフは山へ。水の音で動き出す村《シロクマ文芸部》 | ショートショート #02
※よければ音楽を聴きながら、本編をお読みください。
⛰️ ・ ⛰️ ・ ⛰️
水の音が、ハイランド奥地の村に静かに響き渡る。
村に住む人間やエルフ、ドワーフたちが、にわかに動き始める。
この村にある「Well of Calling(召命の泉)」からは、毎日決まった時間に、このように水の音が流れ始めるのだった。
それは日々、そして種族ごとに、異なる水の音に聞こえた。
「ぽとり、ぽとり」と水滴が石を打つ音を聞いた人間たちは、ナイフを持ち出し、研ぎ始めた。
「さらさら」という細い水の流れを聞いたエルフたちは、静かに川に向かって移動を始めた。
「ごうごう」という滝の音を聞いたドワーフたちは、斧を持って山へ入った。
⛰️ ・ ⛰️ ・ ⛰️
夜になると、村の人間、エルフ、ドワーフたちが一堂に会した。
皆が席につくと、長老が前に立ち、高々と盃をかかげる。
「召命の泉による采配と、それによってもたらされた村の平和に―― To Well of Calling!」
村の者たちも盃をかかげ、声を揃えて高らかに言う。
「To Well of Calling!」
この村で、毎晩行われる儀式である。
そして皆は、テーブルの上にある食事を食べ始めた。
部屋の壁には、一枚の羊皮紙が貼られている。
【炊事当番表】
召命の泉の令(水の音)に従い、各々速やかにその務めを果たすこと。
・ぽとり、ぽとり:調理・皿洗い
・さらさら:魚を獲る
・ごうごう:獣を狩り、木の実・きのこを採る
※サボり、無許可の役割交代は禁止。
※違反者は三日間、共同便所の清掃。
⛰️ ・ ⛰️ ・ ⛰️
おはようございます。
ファンタジーの設定にはまったく明るくない、ぽていとぽたあとです。
序盤から不自然だったらすみません。
前回の記事で紹介した『Echos of the Highlands』というアルバムに、ショートショートを掛け合わせるという荒技に挑戦してみました。
村を守るための厳かな風習?かと思いきや、人種間でケンカしないための炊事当番だった、というオチのつもりです。
コミュニティにおける役割分担や決め事は、大切ですよね。
以下のお題に参加しました。
お題:「水の音」からはじめるnote
冒頭で紹介した『Across Alba』を含む全10曲を収録した、『Echos of the Highlands』というアルバムのSpotifyリンクも掲載しておきます。
よければ聴いてみてくださいね。
※Apple MusicやAmazon Musicをはじめ、各種プラットフォームで配信中。
🥔・🥔・🥔
本記事をおもしろいと思っていただけた方には、以下もオススメです。
ぽてぽたの「よしな、仕事!」じゃないですよ。「由無し事」です。
