【四国108箇所歩き遍路1(阿波)】#01-2 別格1番大山寺(2025年11月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。
いちばん最初の記事で述べたとおり、わたしが別格をまわり始めたのは4番の鯖大師本坊からである。したがって、八十八ヶ所を結願した後で別格の1番から3番を順に参拝し、3番で別格を結願した。
なかでも1番札所の大山寺については、5番札所地蔵寺と6番札所安楽寺の間にあるので、88番札所大窪寺から真念ルートで10番札所切幡寺の参道入口まで下りてきた後、1番札所に戻る途中で、いわば逆打ちで参拝した。
順打ちの場合、大山寺へのルートは大きく分けて2つある。
ひとつは飛地蔵堂の入口を通る道で、車道と歩き遍路道が並行している。裾は野神社のところで二つに分れており、東側は神宅のまわり弁天から始まる上りルート、西側は安楽寺の少し手前の東原まで下るルート。
もうひとつはもっと西を通る観音道と呼ばれる遍路道で、安楽寺のすぐ手前まで続いている。黄色い地図で下りルートとして表示されている。
この区間逆打ちとなるわたしの場合、黄色い地図だけ見る分には観音道を登って、飛地蔵堂の入口を通る道を神宅のまわり弁天に向けて下るのが、もっとも効率が良さそうだった。
しかし、観音道はHenro Helperに掲載されていなかったので、念のため前者の飛地蔵堂の入口を通る道を西側から行くことにした。
6番札所安楽寺の山門を出ると、左へ進んで県道139号線に出る。右折して逆打ち方向となる東へ進み、白い『四国六番安楽寺』という四角柱の案内看板を目印に最初の信号を山の方へ左折して県道12号線に入る。
県道12号線も黒い『朝日音響(株)』という四角柱の案内看板を目印に最初の信号で左折して、最初の四つ角を右折する。あとは東へ東へと歩いていると、途中から大きく北へ逸れ、橋が見えてきた。

川原田橋を渡り、左に湾曲する道を道なりに進み、片側一車線の道を横断して山へ向かってただただ道なりまっすぐに進む。目印がないままどきどきしながら進んでいると、大きな銀杏の木の下に地蔵堂があり、その手前に遍路石がかたまって建っているのを認め、ようやく安心した。
ここまで1時間も歩いていないのに、別格逆打ちの難易度の高さを思い知った。

地蔵堂の先に梅ノ木橋があったので黄色い地図を確認する。この道で確かに合っている。ほっとする。
とにかく道なりに緩やかな坂道をまっすぐ進んでいると三叉路に突き当たったので、山に向かって左へ進むと、徳島自動車道の高架が見えた。合っている。ここまで来れば山道までもうあと少しだ。

藍住42(左中央)の通路には大山寺の案内看板(右下)もある
通路の脇には、少し大きめの大山寺を示す案内看板もある。車用だろう。
民家の間を抜けて山の中へ入っていくと、さっそく『飛地蔵堂まで60m』という遍路道の入口が現われたので、迷わず入った。

遍路みちを示す案内板もある
ところが、最初は良かったのだが、じき雑草が繁茂する藪になり、それをすぐに抜けると、少し先が小さい広場のようになっていて、前はもちろん、右も左も藪になってしまった。入口からここまで僅か5分の出来事だった。

強引に進みかけるが、とても道になる気配がないので戻る。あっちの藪、こっちの藪とつついてみるが、どれも進めそうになく、諦めて車道まで戻り、両脚にびっしりついたイノコヅチをむしり取っていたら、目の前に車が止まった。
運転席の窓から真っ白な笈摺に輪袈裟を着けた上品な女性が顔を出して、「どうぞ乗ってください」と声をかけてくださった。いきなりの藪ですっかり出鼻をくじかれていたわたしは、いそいそと乗り込みかけたが、大量のイノコヅチがついた自分の足もとが目に入り、止まった。
そして、ひっつき虫がたくさんついているので遠慮すると馬鹿正直に言ったら、「全然構いませんから遠慮なさらずどうぞ」と、その女性は仰ってくだった。しかし、ちらっと見るととても綺麗な車だったので、余計乗れないと思い、再度丁重にお断りした。それでも、重ねてすすめていただいたので、これも何かの御縁だと思い、乗せていただくことにした。
助手席に小さく縮こまって座ると、女性は公認先達さんで、時間ができると車で札所をまわっていらっしゃるとのことだった。木立の間を進む。途中フロントガラス越しに子猿が左の枝から右の枝へと飛び移るのが見えた。この辺りは猿だけでなく、猪、狸、ほかにも多くの種類の動物がいるとのことで、普段であれば猿が数匹群れで移動しているので子猿が一匹だけというのは珍しいとのことだった。
歩き遍路の間でも、別格1番大山寺のある大山は、別格13番仙龍寺から別格14番椿堂常福寺へ向かう堀切トンネル入口とならぶ猿山として有名だが、ほかの動物の話ははじめて聞いた。やはり何度も参拝していらっしゃる先達さんである。
車は仁王門のすぐ下を通り過ぎ、ぐるっと大きくまわって別格1番大山寺本坊前の駐車場に入った。
車を降りると先達さんがご親切に鐘楼門(鐘突堂)まで案内してくださったので、先達さんに続いて、表から鐘楼を撞いて境内に入り直した。
鐘楼門の下は長い石段で、その先には、さきほど駐車場に向かう前にちらっと見えた仁王門があるとのことだったが、石段の勾配があまりに急で、上からはまったく見えなかった。
鐘楼門から本堂へ向かう通路の右奥には紅白の幕が張られ、手前中央にヒノキの葉がうずたかく積まれている。火渡修行の護摩壇とのことだった。火が完全に消えた後に渡るので、駆け足で渡ればさほど熱くはないということだが、想像しただけで足の裏が熱くなる気がした。
この火渡修行の会場の周囲は綺麗に赤く紅葉していた。

写真ではわかりづらいが、天井から綱が下がっている

通路の正面には本堂があり、通路を挟んで護摩壇と反対側の広場の中央には樹齢数百年はありそうな枝垂銀杏の大木が黄金色に輝いており、広場はさながら黄色いカーペットを敷き詰めたかのようだった。



一部加工済
本堂と大師堂をお参りしたところで、先達さんとは納め札を交わして別れた。このとき先達さんがくださった納め札に『奉納四国別格二十霊場巡拝』とあるのを見てはじめて、別格用の納め札があることを知った。別格4番の鯖大師本坊から別格参りを始めたわたしは、既に別格霊場18ヶ所で八十八ヶ所用の納め札を納めていた。ほんとうに、ここまで来ても知らないことだらけだ。


屋根にブルーシートがかかっており、修復中
帰りは鐘楼門をくぐり、長い長い石段を下ってさらに仁王門をくぐった。
その後車道を下っていくと、『有害鳥獣駆除中』とか、『イノシシの捕獲用ワナを設置しています』といった掲示に続いて遍路道の出入口があったが、猪に遭うのはもう御免(別格二十番の帰りに猪の親子に遭った話は別途あらためて書きたい)と思ったのと、飛地蔵堂の遍路道と同じことになりそうだと思ったので、遍路道は封印し、終始車道を下った。上りで子猿を見かけた場所を通るときはさすがにドキドキしたが、幸い猿の群れには遭わなかったし、ほかの動物に遭うこともなかった。

イノシシの捕獲用ワナを設置しています






飛地蔵堂の入口前を通り過ぎ、野神社の分岐を左へ進み、突き当たりを左に折れてしばらく進むと、予定より2時間も早くまわり弁天の三叉路に着いた。先達さんのお接待のおかげだった。
【コースタイム(実際)】

注1)この区間のみ時計と反対回りの逆打ち
注2)前回記事のまわり弁天から安楽寺の区間と重複
