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自己紹介|店舗が止まった美容メーカーに、執行役員として入った話

── そこから「顧客資産化」に行き着くまで

店が、開かなくなりました。

コロナで、リアル店舗を販売チャネルにしていた美容メーカーです。商品は変わっていません。値段も変わっていません。売る場所だけが、消えました。

施策の良し悪しを議論する段階ではありませんでした。

私はそこに、デジタル執行役員として入りました。株式会社SaaTsuの永野陽平です。支援する側ではなく、経営の側で数字を持つ立場でした。


チャネルが消えたとき、代わりになったのは人でした

やったことは2つです。

1つは、デジタルマーケティングの組織をゼロからつくることでした。人を集め、役割を決め、判断が回る形にする。地味な仕事です。

もう1つのほうが、私の考え方を変えました。

集客を、人に載せ替えました。

エステのフランチャイズ先にいるエステティシャンの方。それに、商品の開発責任者の方。ご本人のアカウントを、立ち上げから一緒にやりました。

会社が「当社の商品は」と発信するのをやめて、施術する人が施術の話をし、つくる人がつくる話をする。それだけです。短い期間で、そちらが集客の主軸になりました。

このとき分かったことがあります。

顧客が戻ってくる先は、会社ではなく人でした。

広告は買えます。店舗も建てられます。でも、「あの人に相談したい」という状態は買えません。時間をかけて積むしかない。そのかわり、積んだあとは消えません。

店が閉まっても、その人のところには人が来ました。


広告は単利。CRMは複利。

広告は、出した分だけ返ってきます。止めれば止まります。

CRMは、積んだものが次の土台になります。今月増えた顧客は、来月の分母です。

どちらが正しいという話ではありません。単利には単利の速さがあります。ただ、単利だけで10年走ると、10年目にも1年目と同じ量の努力が必要になります。

私が「獲得したあと」だけをやっているのは、そういう理由です。


いま、ご相談をいただく会社で共通していること

支援する側に戻ってから、同じ景色を何度も見ています。

広告は回っています。LINEの友だちも、メールのリストも溜まっています。ツールも入っています。それでも、獲得したあとが数字になりません。

そうなると、だいたい担当者の話になります。文面が弱いのではないか。配信の頻度が足りないのではないか。もっと良いツールがあるのではないか。

私が見てきた限り、そこが原因だったことは、ほとんどありません。

決まっていないのは、たいていこの3つです。

  1. 誰に、どの順番で届けるか

  2. 何をもって「見込みがある」と判断するか

  3. 出し分けに使えるデータが、どこにあるか

この3つが決まっていない状態で配信を増やすと、送るほど疲れて、送るほど嫌われます。そして疲れた分は、現場の評価に乗ります。

これは運用の問題ではありません。設計が、そもそも存在していないだけです。


なぜ、施策より先に設計から入るのか

少し前の話をします。

もともとは、大学院でロケットエンジンのシミュレーションを研究していました。燃焼という現象を、過去の実測データから数式に落とし、次に何が起きるかを予測する。

同じ時期、イーロン・マスクに憧れていました。ロケットを飛ばすのは技術者です。でも、飛ばし続けられる状態をつくっているのは経営でした。技術そのものより、それを事業として回し切る力のほうが世界を動かしている。そう思って、研究をやめました。

その後、リクルートでSUUMOのCRMを担当しました。誰に、何を、いつ届けるか。仮説を立て、データで検証し、外れたら直す。メール経由のCVRは20%改善しました。

しばらくして、気づきました。

これは、ロケットエンジンのシミュレーションと同じです。

対象が燃焼から人の行動に変わっただけで、構造は変わっていません。過去のデータから未来を予測して、次の一手を決める。

だから私は、施策より先に設計を見ます。順番を変えられない性格になりました。


やっていること

2022年に、株式会社SaaTsuを創業しました。

やっているのは、獲得した顧客を次の売上を生む資産に変えることです。「顧客資産化」と呼んでいます。

設計だけを渡して帰ることはしません。実装まで入ります。提案した人間が、そのまま担当します。CRM戦略の設計から、LINEやBrazeの構築、出し分けに使うデータの開発まで、続きでやります。

リピーター数+280%(美容医療)、CV+198%(調剤薬局)、CV+300%(ゴルフ場・リゾート)。いずれも施策を足したのではなく、設計を入れた結果です。


ここに書くこと

このアカウントは法人名義ですが、書いているのは私個人です。会社のお知らせを置く場所にはしません。

コーポレートサイトにもコラムを書いています。ただ、役割を分けています。

コラムは、出典で守れる話です。海外の研究や公式の一次情報を引いて、読んだ人が確かめられる形にできるもの。

ここは、出典では守れない話です。

  • これからのマーケティングが、どう変わっていくと思っているか

  • 現場でうまくいったこと

  • 現場で失敗したこと

現場に入っている人間しか言えないことは、たいてい出典がありません。裏付けが取れないから書かない、という判断はしません。置く場所を変えます。

失敗も書きます。うまくいった話だけを並べても、いま困っている人の役には立たないからです。

読んでいて、一つでも「うちのことだ」と思う箇所があったら、そこはもう設計の話です。よかったら、状況を聞かせてください。


株式会社SaaTsu / 永野陽平

CRM・LTV最大化の支援 → https://saatsu.com

出典つきの記事 → https://saatsu.com/column/

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