【風まかせ文芸部】『宿題の山』【コメディ】
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ようこそ、皆さま!セイウチです。
僕が淹れたコーヒーでも飲みながら、誰かの「重積」に耳を傾けてみませんか?
今回見つかったのは、あるオフィス街から漂ってきたと思われる『誰かの漂流記』です。
読者のアナタが「うちの職場よりはマシかも……」と、少しでもクスッと笑って心が軽くなってくれたなら、僕は何より嬉しいです。
それでは、ボトルの中身をどうぞ。
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「本日の議題は、給湯室のゴミ箱の分別ルールについて――」
会議室にだるそうな声が響く。
予定では、15分程度でサクッと終わるはずの雑務共有会議だった。
「だから! プラと可燃は明確に分けるべきだって言ってるだろ!」
「いやいや、そこまで細かくしたら誰も守りませんよ。大まかな運用でいいでしょ!」
だが、開始から二時間が経過しても会議は終わる気配を見せない。
社内の二大派閥――「几帳面派」と「大雑把派」の面々が正面から衝突し、議論はいつしか不毛な討論へと変貌していた。
ヒートアップした双方の声が飛び交い、パイプ椅子がガタガタと揺れる。
手がつけられない惨状に、ついに部長がパンパンと手を叩いて割って入った。
「はいはい! 本日はここまで! ◯◯君、今日の議事録をまとめて後で全員に送っておいてくれ。時間も時間だし、通常業務に戻ろう。決まらなかったこの議題は……まあ、次回までの『宿題』という事で」
部長の鶴の一声で、ようやく不毛な嵐が去った。
参加者たちがドッと疲れを出して息を吐く中、一番後ろの席からスーッと一本の手が上がった。
今年入社したばかりの新人が、メモ帳から顔を上げる。
「部長、質問です。これで未解決の『宿題』が1080件目になりましたが、これどうします?」
「うーーん……」
1080件。
積み上がった不毛な先送りの歴史に、室内が一瞬で静まり返る。
腕を組み、深刻な顔で唸る部長。
全員が息を呑み、頼れる上司の決断を固唾をのんで見守った。
やがて部長は何かを閃いたようにカッと目を見開くと、爽やかな笑顔で言い放った。
「……じゃあ、それも宿題で!」
「「「…………」」」
会議室に重苦しい沈黙が落ち、全員が深く、深くため息をついて肩を落とした。
「……1081件、っと」
新人は淡々とした手つきで手帳を開き、カリカリとペンを走らせた。
(了)
※この物語はフィクションです。
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最後まで読んでいただいてありがとうございます!
会議で結論を出さず、先送りを重ねる会社あるあるを1080件(煩悩の数の10倍!)という大げさな数字でコメディに昇華させました。
決断力のある風を装いつつ、速攻で「1081件目」を積み上げる部長の爽やかすぎるダメ上司っぷりと、それを淡々とカウントする新人の冷静なコントラストを楽しんでいただけたら幸いです。
【i】さん今回も素敵な企画をありがとうございます!
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