『バーバリアン』ざらつきとしこりを残す映画
ザック・クレッガーが『WEAPONS/ウェポンズ』より以前に撮った作品。
『WEAPONS/ウェポンズ』は観ていて辛くなるものの、心に引っかかる映画だった。
監督の他の映画がとても気になり、『バーバリアン』を観た。
あらすじ
仕事の面接のためデトロイトに来た女性、
テス。彼女は宿泊先の住宅に着くも、ダブルブッキングにより、キースという男性がすでに家にいた。
ホテルがどこも満室で、2人は初対面ながらしかたなく住宅に泊まることに。
翌日、テスは家の地下室に隠し部屋を見つける。
以下ネタバレ注意。
(『WEAPONS/ウェポンズ』のネタバレもあり)
隠し部屋を調べに行ったキースがなかなか帰ってこないことで、テスはキースを探しに行く。
隠し部屋の先にはさらに地下へ向かう階段、地下道が広がっていた。
そこでキースを見つけるも、裸の奇形の女性が急に現れ、頭を破壊されキースは殺される。
ここから俳優のAJのパートに移る。
AJは所有する不動産を売るためデトロイトにやってくる。
その物件こそ、テスたちが襲われた住宅だった。
彼は地下室の隠し部屋を見つけ探索する。
暗闇の中、またしても裸の奇形の女性が急に現れ、AJは穴倉に囚われる。
そこにはテスがいた。
「彼女を刺激しないで」
裸の奇形の女性が再び現れ哺乳瓶をテスの口に持っていく。
テスはその哺乳瓶に口をつけミルクを飲む。
裸の奇形の女性は彼らを「子供」として育てようとしていた。
隙をつき、テスは脱出する。
テスの脱出に気づき裸の女は追いかける。
AJも逃げようとするが、地下道の部屋で寝たきりの老人フランクと大量のVHSを見つけ、この家で何が行われてきたのかを知る。
テスは家の外でホームレスの男性に出会う。
「他人なんかどうでもいい、はやく逃げろ。あの給水塔は安全だ」
と彼は言う。
テスは警察に助けを求めるが、まともに取り合ってもらえない。
自分の車でその場を去ろうとするテスの前に、
裸の奇形の女性が急に現れる。
テスは車で彼女を轢く。
しばらく暴れるものの、ついに動かなくなる。
家の中に入り、AJを探しに行くテスだったが、
裸の女と勘違いしたAJに腹を撃たれてしまう。
AJとテスは給水塔へ逃げる。
そこでホームレスは「あの女は近親相姦を繰り返した結果生まれた存在だ」と語る。
突然裸の女が現れ、ホームレスの男の腕を引きちぎり、その腕を使い男を撲殺。
AJとテスは給水塔を登る。しかし登った先で銃を誤って落としてしまう。
自分だけ助かろうと、AJはテスを給水塔から落とす。
テスを追って裸の女も給水塔から飛び降りる。
給水塔の上からのショット、地上には裸の女の上に横たわるテスの姿。
AJはテスのもとへ向かい、彼女がまだ生きていることを知る。そして自らの行動を言い訳し始める。
その瞬間、裸の女も起き上がり、AJの頭を真っ二つに引き裂く。
裸の女は横たわるテスに近づき、腹の銃創に気がつく。
心配そうな声をあげ、テスをどうにかしてあげようとするも方法がわからず困惑している。
テスはAJの銃を掴み裸の女の頭を撃ち抜く。
地下道でナイフと懐中電灯を向けるAJの主観のショットや、フランクが車に乗り込み、運転するショットなどはゲームのプレイ画面のようで斬新だった。
ザック・クレッガーの次作はゲーム『バイオハザード』の再実写化とのことで、またこのようなゲーム的なショットが観られるかもしれない。
また、パートが変わる構成は監督の次作『WEAPONS/ウェポンズ』にも受け継がれていたように感じた。
『WEAPONS/ウェポンズ』が『マグノリア』のような群像劇的な構成だったのに対し、本作の構成はアルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』を思わせた。
そして、大きな印象を残す真っ暗な地下道は、
H.P.ラヴクラフトの小説に出てくる地下の洞窟を想起させ、居心地の悪い閉塞感や緊張感を生んでいた。
『WEAPONS/ウェポンズ』では、
後半アレックスがかわいそうすぎて観ているのがとてもつらくなり、子供達に追いかけられ、派手に殺されるエイミー・マディガンを景気が良いなと楽しむことができなかった。
本作、『バーバリアン』も、
裸の奇形の女性が母性を植え込まれ、それを持て余していることがわかると、登場時、化け物だと思ってしまったことが申し訳なく感じ、とてもかわいそうで、またもや、かわいそうスイッチが入ってしまった。
今回は観てられないとまではいかないものの、
腹を撃たれたテスを心から心配する母親の顔、
そしてThe Ronettesの"Be My Baby"がかかるラストはなんだか涙が出そうになった。
わたしの心にざらつき、しこりを残す映画を作るザック・クレッガー。
今後の活躍がとても気になる監督だ。
『WEAPONS / ウェポンズ』の感想も書いています。
