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【原曲小説②・僕らの夜は、東から終わる】


世界が二つに分かれる夜。

君は僕に、傘を貸した。

「返せよ」

「どこで?」

「知らん」

「明日から地球違うぞ」

「じゃあ次に会った時」

僕は笑った。

「それ、いつだよ」

君も笑った。

「知らんよ」

午後十一時三十八分。

雨。

海沿いの町。

あと二十二分で、

僕と君は、

二つの地球に分かれる。


世界の終わりではなかった。

むしろ、

世界を増やす計画だった。

人類は、地球そのものを複製する技術を完成させた。

海。

山。

都市。

森。

道路。

建物。

土壌。

微生物。

そこにあるものをほぼ完全に再構成し、

遠く離れた恒星系へ、

もう一つの地球を作る。

ただし。

人間だけは複製しなかった。

正確には、

複製することを、人類自身が禁止した。

自分とまったく同じ記憶を持つ人間が、

同時に二人存在する。

その問題へ、

人類はまだ答えを出せなかった。

だから人間だけは選ぶ。

この太陽系に残るか。

新しい地球へ行くか。

《残る地球》

《旅立つ地球》

そう呼ばれた。

旅立つ地球へ移れる人間には、

限りがあった。

僕は、

旅立つ。

君は、

残る。

僕はずっと、

それを僕たち二人の選択だと思っていた。

その夜の途中までは。


「まだ変更できるぞ」

僕は言った。

君はコンビニの軒下でアイスを食べていた。

雨音。

「何を」

「移住申請」

「もう締め切ってる」

「緊急変更枠がある」

「なんでそんなの知ってんだよ」

「調べた」

君が笑う。

「お前、そういう時だけ異常に速いな」

「行こうよ」

「どこに」

「向こう」

僕は東の空を指した。

もちろん、

そこに新しい地球があるわけではない。

「新しい海もある」

「コピーだろ」

「新しい町も」

「コピー」

「新しい仕事も」

「それはあるかもな」

「じゃあ来ればいいじゃん」

君は最後の一口を食べた。

そして言った。

「お前さ」

「何」

「昔からそうだけど」

少し笑う。

「“行ける”と“行きたい”が、ほとんど同じなんだよ」

「悪い?」

「別に」

「じゃあ来いよ」

君は空になったカップをゴミ箱へ入れた。

「俺は残る」

それ以上、

言わなかった。


午後十一時五十五分。

海岸には人が集まっていた。

泣いている人。

抱き合っている人。

最後まで喧嘩している夫婦。

スマートフォンで動画を撮る人。

妙に楽しそうな子ども。

人類史上最大級の出来事なのに、

僕たちは少し離れた防波堤に座っていた。

君が言った。

「多いな」

「そりゃ来るだろ」

「明日も海あるのに」

「俺の海と君の海になる」

君は黙った。

僕はその時、

それを格好いい言葉だと思った。

今思えば、

何も分かっていなかった。


午前零時。

世界の電気が、

一瞬だけ消えた。

暗闇。

波の音だけが残る。

そして。

光が戻る。

君はまだ隣にいた。

「……失敗?」

僕が言った。

「さあ」

肩を叩こうとした。

僕の手が、

君を通り抜けた。

二人とも固まった。

君も僕へ手を伸ばす。

触れない。

数センチしか離れていない。

でも、

そこにはもう、

二つの宇宙があった。

僕。

「幽霊じゃん」

君。

「そっちもな」

二人で笑った。

少しだけ。


予定では、

二つの地球は即座に完全分離するはずだった。

だが障害が起きた。

午前零時八分。

全端末に緊急通知。

《位相分離遅延》

《夜間領域において視覚・音声干渉が継続》

《太陽光到達地点より完全分離が進行します》

君が三回読んだ。

「つまり?」

僕は東を見る。

真っ暗。

「朝が来たところから」

君を見る。

「向こうの地球が見えなくなる」

君も東を見る。

数秒。

「……朝って東からだよな」

「基本的には」

「嫌な基本だな」

僕たちには、

あと数時間あった。


何を話すか。

全然決まらなかった。

世界が永遠に分かれる前夜なんだから、

もっと大事な話があるはずだった。

でも僕たちが話したのは、

昔潰れたゲームセンター。

中学の時に好きだった女。

二人で無免許で原付を動かして怒られたこと。

君が貸した漫画を僕が一冊なくしたこと。

「まだ覚えてんの?」

「十四巻」

「何年前だよ」

「二十一年前」

「執念深いな」

「返せ」

「地球違うって」

「じゃあ傘と一緒に」

僕は黒い傘を見る。

「荷物増やすなよ」

そんなことばかり話した。

本当に言うべきことは、

たぶん二人とも分かっていた。

だから言わなかった。


午前二時十二分。

僕たちは堤防に座っていた。

雨は弱くなっていた。

月が見え始めていた。

僕が言った。

「なあ」

「何」

「なんで残るの?」

「また?」

「ちゃんと聞いてない」

君は海を見る。

「こっちには仕事あるし」

「向こうにもある」

「知ってる奴もいる」

「俺いるよ」

「お前一人じゃ足りない」

「ひどいな」

君は笑った。

でも、

すぐ笑わなくなった。

「向こう行ったらさ」

「うん」

「俺、何者でもなくなるだろ」

僕は君を見る。

「何者でも?」

「こっちなら」

君は指を折る。

「困ったら呼ばれる」

一本。

「壊れたら直す」

一本。

「段取り悪かったら俺がやる」

一本。

「誰が何できるかもだいたい分かる」

「うん」

「向こうじゃ全部ゼロだ」

君は月を見る。

「俺さ」

少し笑った。

「必要とされてないと、自分が何なのか分からないのかもしれない」

それは、

僕が期待していた答えではなかった。

もっと立派な答えだと思っていた。

この星を守りたい。

故郷が好きだ。

誰かのために残る。

そういうもの。

君は違った。

ただ、

怖かった。


君が僕を見る。

「じゃあお前は?」

「何が」

「なんで行く?」

「面白そうだから」

「それだけ?」

「十分だろ」

君は笑った。

「そうだな」

でも、

少しして。

「じゃあさ」

「何」

「なんでまだ俺と喋ってる?」

「は?」

「新しい世界行くんだろ」

「行くよ」

「新しい景色」

「うん」

「新しい人」

「うん」

「全部欲しかったんだろ」

「そうだよ」

君はまっすぐ僕を見る。

「じゃあ、俺はもう要らないじゃん」

腹が立った。

「そういう話じゃない」

「どういう話?」

「新しいものが欲しいのと」

言ってから、

少し迷った。

「今あるものを捨てたいのは、違うだろ」

君の顔が変わった。

「……そっか」

「何」

「お前」

君は小さく笑った。

「新しい世界へ行きたいだけで、今の世界を失いたいわけじゃなかったんだな」

僕は答えなかった。


午前三時四分。

君がトイレへ行くと言った。

もちろん、

同じ公衆トイレだった。

僕たちは違う世界の、

同じ場所へ入った。

僕はベンチで待った。

暇だったので、

移住管理アプリを開いた。

もう申請は確定。

変更不可。

僕の表示。

《旅立つ地球》

その下に、

見たことのない項目があった。

世界分離後、

情報公開範囲が変更されたのだろう。


移住枠種別:譲渡枠


僕は画面を見た。

何のことか分からなかった。

タップする。


当初選抜者:——

そこに。

君の識別番号があった。

僕は、

何度も見た。

名前ではない。

でも、

間違えようがない。

昔から君が使っている数字だった。

さらに下。

譲渡先:僕

譲渡確定:八か月前


君が戻ってきた。

「何見てんの?」

僕はスマートフォンを見せた。

君の顔が止まった。

「……あ」

僕は言った。

「何これ」

君は答えない。

「何これ」

もう一度。

「君」

君は海を見る。

「言ってなかったっけ」

「聞いてない」

「そうだっけ」

「ふざけんな」

君は黙った。

僕の声が大きくなる。

「君が選ばれてたの?」

「うん」

「俺は?」

「補欠」

「それで」

喉が乾いた。

「お前の枠、俺に譲ったの?」

君は、

小さく頷いた。


世界が二つに割れたあとで。

僕は初めて知った。

僕が選んだと思っていた未来は、

最初から、

僕だけの選択ではなかった。


「なんで」

君は黙る。

「なんでだよ」

「言ったら」

「何」

「お前、行かなかっただろ」

「当たり前だろ!」

「だから言わなかった」

僕は立ち上がった。

君へ近づく。

触れない。

それが、

余計に腹立たしかった。

「俺の人生だぞ」

「知ってる」

「勝手に決めんなよ」

「決めたのはお前だろ」

「何が!」

「申請したの」

僕は黙る。

君は言った。

「お前、ずっと行きたいって言ってた」

「だからって!」

「選ばれなかった時」

君は僕を見る。

「あの顔見て」

止まる。

「……俺、嫌だったんだよ」

「何が」

「お前が」

君は少し笑った。

でも、

笑えていなかった。

「行ける世界があるのに、行けないまま生きるの」

僕は何も言えなかった。


「じゃあお前は?」

僕は訊いた。

「何」

「行きたくなかったの?」

君は答えなかった。

「残りたかったの?」

沈黙。

「答えろよ」

君が、

ようやく言った。

「行きたかったよ」

その一言で。

さっきまでの怒りと、

別のものが混ざった。

「俺も」

君は言った。

「新しい星、見たかったよ」

「じゃあなんで」

「お前の方が」

一度、

言葉を切る。

「向こうで何かやりそうだったから」

「それ誰が決めたんだよ」

「俺」

「だから勝手に決めんなって!」

「分かってるよ!」

君も初めて声を荒らげた。

「分かってる!」

波の音。

雨。

二つの世界。

「格好つけたかったのもあるよ!」

君が言った。

「俺が残った方が、こっちは何とかできるって思った!」

「それも勝手だろ!」

「そうだよ!」

「俺に恩売りたかった?」

「少しは!」

「最低だな!」

「知ってる!」

二人とも黙った。

数秒。

君が小さく言った。

「あと」

「何」

「怖かった」

「何が」

「向こうで」

君は笑った。

「本当に何者でもなくなるのが」

そこだけは、

さっきと同じだった。

君は、

僕のためだけに残ったのではなかった。

僕を思った。

自分を守った。

格好もつけた。

逃げてもいた。

全部あった。

だから。

余計に、

何も単純ではなかった。


午前三時五十八分。

僕は言った。

「今から変えられないの?」

「無理」

「緊急変更」

「世界もう分かれてる」

「何かあるだろ」

「ないよ」

「探せよ」

君が笑う。

「お前、こういう時ほんとそれだな」

「何」

「方法ないって言われると、急に元気になる」

「笑ってる場合か」

「だって」

君は東を見る。

「もう朝来るぞ」

僕も見る。

空の端。

薄い青。


午前四時十一分。

ニュース。

北海道東部で、

最初の完全分離。

画面の中。

向かい合っていた家族が、

朝日の中で消えていく。

片方が、

空間へ向かって何度も手を振っている。

僕はスマートフォンを握った。

「西」

君が言った。

「何?」

「西へ行こう」

僕を見る。

「朝から逃げる」

数秒。

僕は笑った。

「天才」

君も笑う。

「最後くらい」

「何」

「お前のやり方で行こう」

その言葉が、

少し痛かった。


僕たちは車に乗った。

同じ型。

同じ傷。

昨日までは一台だった車。

今は、

二つの地球に一台ずつ。

高速道路へ入る。

西。

西。

東の空が追ってくる。

「もっと飛ばせ!」

僕が叫ぶ。

「事故る!」

「死んだら地球どころじゃないな!」

「だろ!」

「じゃあ安全運転で朝から逃げよう!」

「格好悪いな!」

二人で笑った。

涙が出るくらい。

何で笑っているのか、

自分でも分からなかった。


車を走らせながら、

僕は君へ言った。

「俺さ」

「何」

「向こう行くの、やめたくなってる」

君は黙った。

「今さら」

僕は言う。

「残ってもいいと思ってる」

君は少し怒った顔をした。

「それ、俺が枠譲ったって知ったからだろ」

「そうかもしれない」

「じゃあ駄目」

「なんで」

「罪悪感で残るの、俺が一番困る」

「じゃあどうしろって」

「行けよ」

「君は?」

「残る」

「行きたかったんだろ」

「行きたかったよ」

君は前を見る。

「でも」

少し笑う。

「行きたかった人生と、これから生きる人生は、もう別だろ」

僕は、

その言葉を聞いた。

何も返せなかった。


君が言った。

「お前もさ」

「何」

「俺が譲ったからって」

少し間。

「向こうで生きる人生を、俺の人生にすんなよ」

胸に刺さった。

「俺が行けなかった分まで、とか」

「……」

「俺のために、とか」

「……」

「要らないから」

君は言った。

「お前の人生なんだから、お前が面白くしろよ」

僕はハンドルを握った。

「勝手だな」

「お互い様」

それは、

たぶん本当にそうだった。


午前五時三十六分。

ガソリンが減った。

僕たちは高速を降りた。

知らない町。

知らない海。

逃げ切れない朝。

東の空は赤い。

僕らは砂浜へ降りた。

同じ場所。

違う地球。

君が言った。

「結局、どこにも着かなかったな」

僕は言った。

「着いたじゃん」

「どこ」

「ここ」

君は笑う。

「それ、お前便利だよな」

「何が」

「行った先を目的地にするやつ」

「悪い?」

「別に」

少し間。

「ちょっと羨ましい」

僕は君を見る。

「俺は」

「何」

「どこにいても、そこを自分の場所にできる君が、ちょっと羨ましかった」

二人とも、

相手が持っているものばかり、

見ていた。


残り十分。

君の輪郭が薄くなる。

海も。

空も。

「なあ」

僕が言った。

「何」

「もしさ」

「うん」

「あの時、枠譲らなかったら」

「うん」

「君、行ってた?」

君は迷わなかった。

「行ってた」

僕は笑った。

「そっか」

「お前は?」

「何」

「選ばれてなかったら」

「どうしたかな」

僕は少し考える。

「腹立てて」

「うん」

「別の方法探してたと思う」

君が笑った。

「知ってる」


残り五分。

僕は傘を見た。

あの黒い傘。

世界が分かれる前、

君が貸したもの。

「これ」

「何」

「本当に返すから」

君が笑う。

「もういいよ」

「よくない」

「新しいのある」

「そういう問題じゃない」

君が僕を見る。

「じゃあ」

少し考える。

「持ってけ」

「何で」

「俺が行けなかった世界へ」

一瞬、

綺麗すぎる言葉だと思った。

君もそう思ったらしい。

すぐ続けた。

「……って言うと格好いいだろ」

僕は吹き出した。

「台無しだよ」

「本当は新しい傘買うの面倒だから」

「そっちの地球にも同じ店あるだろ」

「じゃあやっぱ返せ」

「どっちだよ」

二人で笑った。

そのまま、

少し泣いた。


残り一分。

東から、

光が来る。

君の身体が透ける。

もう、

目の形さえ分かりにくい。

僕には、

言いたいことがたくさんあった。

勝手に決めるな。

ありがとう。

許してない。

行きたかったなら言え。

また会おう。

元気で。

全部。

全部本当だった。

だから、

どれか一つにはできなかった。

君が言った。

「おい」

「何」

「向こう」

「うん」

「ちゃんと面白くしろよ」

僕は言った。

「こっちもな」

「任せろ」

「お前、残った方が全部何とかすると思うなよ」

「分かってる」

「人に任せろよ」

「努力する」

「努力じゃなくて任せろ」

「細かいな」

「最後だから言ってる」

君が笑った。

「じゃあ最後」

「何」

「俺が選んだお前の未来だと思うなよ」

僕は黙った。

君は続けた。

「最後に選ぶのは、お前だから」

残り十秒。

僕は、

初めて分かった気がした。

君は僕の未来を勝手に動かした。

それは、

たぶん許してはいけない部分だった。

でも。

そのあとを生きるのは、

僕だった。

残り五秒。

僕は言った。

「じゃあ、俺の未来にする」

君が笑った。

三。

二。

一。


朝日。

君が消えた。

そこには、

海だけがあった。


その日の夜。

旅立つ地球は、

太陽系を離れた。

星座が変わった。

月も変わった。

僕たちの地球は、

地球という名前のまま、

もう地球ではない場所へ向かった。

僕は、

何か特別な人間になったわけではない。

新しい世界へ行っても、

朝は眠い。

仕事は面倒だ。

人間関係もある。

失敗もする。

予想外のことばかり。

君が譲った一席で、

僕が壮大な使命を果たしたわけでもない。

それでよかった。


数年後。

雨の朝。

僕は玄関で、

一本の古い黒い傘を見つけた。

骨が少し曲がっている。

君の傘。

僕は開いた。

雨の中を歩く。

東の空は、

もう明るい。

君の地球でも、

雨ならいいと思った。

でも、

晴れていてもいい。

僕には分からない。

君が今、

誰を助けているのか。

何を直しているのか。

ちゃんと人に任せられるようになったのか。

一度くらい、

どこか遠くへ行ったのか。

何も分からない。

それでいい。

君は、

君の地球を生きている。

僕は、

僕の地球を生きる。


あの夜。

僕たちは、

朝から逃げた。

西へ。

西へ。

走れば、

少しだけ夜を延ばせると思った。

でも、

朝は来た。

世界は分かれた。

僕は旅立った。

君は残った。

本当は。

君も行きたかった。

そして。

僕の旅立ちは、

君が譲った席から始まっていた。

それでも。

今なら言える。

僕の人生は、

君がくれた人生ではない。

君が開けた扉を、

僕が歩いている人生だ。

それならきっと。

いつかまた、

どこかで会えた時。

僕は傘を返しながら、

こう言える。

「あのあと、ちゃんと僕が選んだよ」

君はたぶん、

いつもの顔で言う。

「遅いな」

僕は笑う。

そして、

また夜になる。

朝が来るまで、

今度は逃げずに話せばいい。

僕らの夜は、

いつも東から終わる。

だからこそ。

終わるまでの時間を、

誰と生きるのかは。

きっと、

自分で選べる。


SONG SEED|歌詞原型

【僕】

行ける場所なら行ってみたい
知らない朝なら見てみたい
選んだつもりの未来の切符
その裏に君の名前があった

新しい世界が欲しかった
今ある世界を捨てたいわけじゃない
君のいない明日まで欲しいなんて
一度も願ったことはなかった

【君】

本当は僕も行きたかった
知らない空を見てみたかった
だけど何者でもなくなることが
少しだけ怖かった

君が選ばれなかった夜
その顔を見ていられなかった
優しさだけじゃない
格好つけたかった僕もいた

【掛け合い】


なぜ言わなかった?


言えば君は行かなかった


僕の未来だ


分かってる


勝手に決めるな


分かってるよ


君だって行きたかったんだろ?


行きたかったよ


じゃあ代われよ


もう代われない


僕が残る


罪悪感で残るな


じゃあどうしろって?


君の未来にしろ


【疾走/夜明け】


東が明るくなる


西へ行こう


朝から逃げるの?


最後くらいいいだろ


もっと飛ばせ


事故るぞ


まだ夜だ


まだ君が見える


もうすぐ朝だ


もう少しだけ


【二人/ラスサビ原型】

僕らの夜は 東から終わる
だから西へ 西へ走った

僕が行きたかった未来
君も行きたかった未来

一つしかなかった切符を
君は黙って僕に渡した

ありがとうだけじゃ足りなくて
許せないだけでも足りなくて

二つの気持ちを抱いたまま
朝の海で君を見送った

君が選んだ僕にならない
君の代わりにもならない

開けられた扉のその先を
僕の足で選んで歩いていく

君は君の地球で生きて
僕は僕の地球で生きる

次の星まで待たなくていい
会える方法はまだ知らない

借りた傘を返すその日に
あの夜の続きを話そう

朝は何度でも東から来る
夜は何度でも終わっていく

それでも最後に残る未来を
誰かのためじゃなく選びたい

君が開けた扉の向こうで
僕は僕の明日を選んでいく。




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神原月見|言語化審神者(げんごかさにわ) 再び空を飛ぶ為の訓練費用に使わせていただきますm(_ _)m