★【序章】夕日 LEVEL9 ーSolid Bondー

金。
より多くあれば、
幸せになれると思っていた。
物。
少ない方がいい。
フットワークが軽くなる。
人。
つながらない。
人はトラブルを招く。
現実。
金が集まると
さらに金が必要になり、
物が増える。
人も増える。
金を手に入れて
俺は今、幸せなのか。
工場勤務の時の方が
幸せだったのかもしれない。
何もかもルールにして
作業するだけでよかった。
窓越しに夕日を見ながら
缶コーヒーをひと口飲んだ。
Solid Bond。
そう刻印されたZippoが乾いた音をたてる。
夕日のせいだ。
28年前。
この部屋に来た時
全て変わってしまった。
久保田。
お前に世界はどう見えた?
死んだ方が楽になると思ったんじゃあないのか?
まさか。
そう思って
あの日、わざと俺に――。
2026年12月24日クリスマスイブ。
クラブリッチは忙しい。
華やかな音楽。
大げさな笑い声。
めぐみも吉田も慌ただしく動いている。
俺は1人、カウンターだ。
ターキー12年をロックで飲む。
今夜は植木に迎えに来させよう。
ん?
仕事用の折りたたみ携帯電話に
ショートメールだ。
この番号を知る者は限られている。
「1998年のクリスマス。覚えているな。」
仕掛けてきた。
28年前のクリスマス。
久保田か?
ありえない。
久保田は処理された。
夕日が闇に変わるときに。
あの赤を知る者は少ない。
それなのに
俺の原点に踏み込んできた。
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◾️夕日 LEVEL9 ―Solid Bond―
週1回程度の更新を予定しています。
本作は公開後も、随時加筆・修正しています。
じわりと磨かれていく登場人物のセリフや、
表現の微妙な変化もお楽しみください。
◾️1998年、21歳の武井がここに。
『LEVEL9』へと続く、若き日の武井の物語です。
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夕日 ―魅惑の赤、覚醒の赤―

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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」
文体は「夕日」とは違います。
【第一章・失踪編】

【第二章・新聞配達編

