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やりたいことがあるのに、時間がない。50代の私が考え直した「大きな石」の話

10年くらい前。私は、自分で設計した家に住んでいるのに、

「なんだか快適じゃない」

と感じていました。家そのものは好きでした。
家族が自然とLDKに集まるように考えた間取りも、
窓から見える緑も好き。

それなのに、なぜか暮らしがしっくりこない。

見た目は一応きれいにしているけれど、収納の中はぐちゃぐちゃ。
片付けても、すぐ散らかる。

「これはここに置いてね」

と家族に言っても、自分がつくったルール通りにはなかなかいかない。
そしてまた、私がイライラする(笑)。

当時はbocoが単身赴任。

子どものことも、家のことも、仕事も、基本的には自分で回していました。

長男は中学受験を考えていて、塾の送迎もたくさんありました。

受験の時期は、夜10時半ごろの迎え。

車で片道30分くらい。

家に帰れば、また次の日が始まります。
今思えば、心にも体にも、ずいぶん余裕がなかったんだと思います。

時間をどう使いたいか。
そんなことを振り返る余裕すらありませんでした。

ただ目の前にあることを、ひとつずつこなしていく。

そんな毎日でした。

でもその頃から、少しずつ

「私は、どんな暮らしがしたいんだろう?」

と考えるようになりました。

そして出会った考え方のひとつが、

「大きな石」

でした。




「大きな石」って何だろう


「大きな石」という時間管理の考え方があります。

器の中に、大きな石、小石、砂などを入れるとします。
小さなものを先にいっぱい詰めてしまうと、あとから大きな石を入れる場所がなくなってしまう。



大きな石がはいらなくなってしまった瓶

だから、自分にとって本当に大切なものを先に考える。

Stephen R. Coveyの『7つの習慣』でも、重要なことを優先して時間を確保する考え方として「Big Rocks」が紹介されています。

自分たちにとって大切な”大きな石”を優先して入れる

私はこの考え方が、昔からとても好きです。

なぜなら当時の私は、

小石や砂を器いっぱいに入れて、毎日を回していた

ような気がするから。

やらなくてはいけない家事。

仕事。

送迎。

子どもの予定。

買い物。

片付け。

目の前のことを全部こなそうとしていたら、一日が終わる。

そして、

「本当は何がしたかったんだっけ?」

が分からなくなっていました。


10年前の私の「大きな石」


当時、一番大きかったのは、やっぱり子育てでした。

長男が受験に向けて頑張っていたので、できるだけ支えたい。

bocoが平日は家にいないことが多かったので、

「お父さんがいなくて寂しい」

にならないように、bocoが不在の休みの日はいろいろな場所にも連れて行きました。

この前、改めて子どもたちに聞いてみたら、

「そんなの覚えてない」

と言われましたけどね(笑)。

でも、あの頃の私にとっては大切な時間でした。

そしてもう一つ。

週末にbocoを含めた家族で過ごす時間。

これは今も変わっていません。

最近は「家族」というより、少しずつ「夫婦」の時間になってきました。

もう36年の付き合いですが、振り返ってみると、一緒に暮らしを楽しんできた時間は意外と多くありません。

単身赴任があり、今も平日は出張が多い。

帰ってきても深夜だったりするので、一緒に暮らしを楽しめるのはほぼ週末です。

一人で淡々とこなしていたことも、二人だと

「これやろうか」

「次これしよう」

と、楽しみながらできる。

同じことをしているのに、全然違うんですよね。

一緒にいると、私は少し余裕ができます。

そして、暮らしを楽しめるようになります。

だから今の私にとって、bocoと過ごす時間はかなり大きな石です。


「一級建築士だから」に縛られていた


もう一つ、当時の私にとって大きかったものがあります。

建築の仕事を続けること。

大学で建築を学び、一級建築士になった。

だから、

「どんな形でもいいから建築の仕事を続けなければ」

と思っていました。

今振り返ると、

建築学科卒業・一級建築士

というものに、自分自身が少し縛られていたのかもしれません。

もちろん建築は今も好きです。

でも、

「せっかく資格を取ったんだから」

「この道でやらなければ」

という気持ちが強すぎると、他の可能性が見えなくなることもある。

もしかしたら、自分が好きだと思える仕事は、もっと他にもあったのかもしれない。

そんなことを、50代になった今は思います。


まず変えたのは、時間ではなく「モノ」だった


暮らしを何とかしたいと思った私は、まずモノを整理することから始めました。

ただ捨てるのではなく、

「これから、どんな暮らしがしたい?」

を考えながら。

家の中で自分がどんな動きをしているのか。

どこで使うものなのか。

どこにあれば、一番スムーズなのか。

ひとつずつ考えて、モノの置き場所を決めていきました。

すると、探し物が減りました。

モノに住所ができると、片付けるのも早い。

散らかっても、戻す場所が決まっているから、すぐ元に戻せる。

これは、暮らしを整えることを学んだからこそ分かったことかもしれません。

片付けというと、

「どんな収納用品を使う?」

「どこに棚をつくる?」

と考えがちだけれど、その前に大切なのは、

自分自身を少し俯瞰して見ること。

私は何が苦手なんだろう。

どうしてここはいつも散らかるんだろう。

なぜこの収納方法だと戻せないんだろう。

散らかった場所には、

自分を知るための答え

が結構あります。

誰かにとって使いやすい収納が、自分にも使いやすいとは限りません。

自分に合わない仕組みなら、また散らかる。

だからこそ、

暮らしを整えることと、自分を知ることはつながっている

のだと思います。


ずっと残っていた「北欧とつながりたい」


子育てや仕事に追われていた頃も、心の中にずっと残っていたものがありました。

北欧。

特にデンマークの住宅やデザインに関わる仕事です。

「今はできないけれど、いつか何かできたらいいな」

と思っていました。

何度か、北欧の建材を扱う輸入会社が工務店や設計事務所向けに開催していた集まりに参加させてもらったこともあります。

今の自宅のキッチンや窓を購入したご縁から、声をかけていただきました。

それはすごくうれしかった。

「やりたいと思い続けていたら、いつか何かにつながるかもしれない」
そんな気持ちを持ち続けるきっかけにもなりました。

でも、家を建てる仕事は一人ではできません。

私は「低品質の家をたくさん売りたい」わけではありませんでした。

高くても、そこにある価値を理解してくれるお客様。

同じ価値観で仕事をする施工者や職人。

そんな人たちとチームをつくらないと、本当にやりたい住宅の仕事はできない。

一人で自宅で仕事をしていると、そういう出会いは簡単ではありませんでした。

だから、その頃は実現できなかった。

でも、

できなかったから、諦めた

という感覚でもありませんでした。

「やりたいと思っていたら、いつか何かのご縁があるかもしれない」

そんなふうに、ずっと心の片隅に置いていました。


「大きな石」は、一生同じじゃない


10年前と今では、私の大きな石も変わってきました。

今、大切にしたいのは、

bocoと過ごす時間。

山で過ごす時間。

まだ行ったことのない、自分が「好き」と思える場所への旅。

日々の穏やかな暮らし。

数は多くなくても、一緒にいて心地いい友人たちとの時間。

そして、バケットリストに書いたような

「いつかやりたい」と思っていることを、実際にやってみる時間。

先日は、そのひとつだったLINEスタンプづくりにも挑戦しました。

小さなことだけれど、

「やってみたかったことを、ちゃんとやってみる」

という時間は、今の私にとって結構大切です。


大切なこと=たくさん時間を使うこと、ではない


そして最近思うのは、

「大きな石だから、たくさん時間を使わなければいけない」わけではない

ということです。

たとえば、家族の健康。

これは私にとって、とても大切です。

でも私は、料理が好きなわけではありません。

だから、料理そのものに何時間もかけたいとは思わない。

できるなら、

短時間で、ちゃんと栄養のあるものをつくりたい。

それが最高です。

料理に長時間かけることが目的なのではなく、

家族が元気に暮らせること

が大切だから。

大切にしたいものと、そのための手段は、分けて考えていいのだと思います。


「やりたい」が「やらなきゃ」に変わったら


最近、資格の勉強も一度手放しました。

始めた頃は、

「これを取ったら、こんなことができるかも」

と、未来の自分を想像してワクワクしていました。

でも、仕事や家庭、bocoとの時間との両立が難しくなるにつれて、

「やりたい」だったものが、

「やらなくてはいけない」

に変わっていきました。

だんだんストレスがたまってきた。

そこで、一度やめてみました。

すると、肩の力がふっと抜けました。
そして、時間も増えました。

またやりたくなったら、そのときにやればいい。

今はそう思っています。

買い物に行く回数も減らしました。
なんとなくネットショップを見ることも減りました。
掃除にかける時間も、できるだけ短くしたい。

減らしたいのは、

単に予定の数ではなく、

自分を「ねばならない」で縛っているもの

なのかもしれません。


私にとって「時間を上手に使えた日」


私にとって、

「時間を上手に使えた」と思える日は、
予定をたくさんこなした日ではありません。

やらなくてはいけないことを短時間で済ませられた。

犬の散歩ができた。

適度に体を動かせた。

家族のために食事を用意できた。

家の中もある程度整っている。

そして、

自分がやりたいことに使う時間もちゃんとあった。

そんな日です。

全部を完璧にする必要はない。

でも、

「今日は、自分が大切にしたいことにちゃんと時間を使えた」

と思える。

私は、そんな毎日を増やしたいのだと思います。


10年前、「大きな石」を考え始めてよかった


もし10年前の自分に何か言えるなら、

私はたぶん、

「あのとき『どんな暮らしがしたい?』と考え始めてくれて、ありがとう」

と言います。

子育てで忙しかった。

仕事も必死だった。

できなかったこともたくさんあります。

でも私は、

できなかったことにフォーカスするのではなく、今できることにフォーカスして、少しずつ行動してきました。

暮らしを整えることを学んだ。

モノを見直した。

仕事の形を模索した。

北欧への思いも持ち続けた。

夫婦で山の土地を買った。

久しぶりに海外にも行った。

バケットリストを書いて、今度はそこに書いたことを少しずつやってみている。

予定通りではなかったけれど、

今の私は、10年前よりずっと

「これからが楽しみ」

と思えています。

大きな石は、一生同じでなくていい。

子育てが中心の時期もある。

仕事が大切な時期もある。

健康が一番になるときもある。

夫婦の時間を大切にしたくなるときもある。

だから時々、

「今の私にとって、大きな石って何だろう?」

と考えてみる。

それだけでも、時間の使い方は少し変わるのかもしれません。

やりたいことがあるのに、時間がない。

そんなときは、

「もっと効率よく動くには?」

より先に、

「私は、本当は何に時間を使いたいんだろう?」

と考えてみる。

私にとっては、その問いが、

暮らしを変え始めるきっかけになりました。


※「大きな石(Big Rocks)」は、Stephen R. Coveyの『7つの習慣』などで知られる、重要なことを優先して時間を確保する考え方です。この記事では、その考え方をきっかけに、私自身の10年間の暮らしと時間の使い方について書きました。




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