見出し画像

ショートショート『電脳天竺極楽往生v1.05』


電脳天竺極楽往生v1.05

「見えてきました!」

ろるこが叫んだ。

長い旅の果て。

天竺の中心には巨大な半導体大仏が立っていた。

全身が銀色の基板で覆われ、頭からは無数の配線が伸びている。

「ついに経典ですね!」

ろるこは目を輝かせた。

豚野郎も拳を握る。

「ここまで来たんだ! どんなありがたい教えが聞けるんだろう!」

ラビ爺は鼻を鳴らした。

「長いて」

2号は黙っていた。

すると半導体大仏が目を開いた。

「よく来ました」

低い声が響く。

「では経典を授けます」

大仏の胸が開いた。

現れたのは一枚の紙だった。

ろるこは震える手で受け取る。

「こ、これは……」

豚野郎が覗き込む。

ラビ爺も覗き込む。

紙には大きくこう書かれていた。

『再起動してください』

沈黙。

ラビ爺が眉をひそめる。

「何やこれ」

豚野郎が言った。

「それだけ?」

半導体大仏は頷いた。

「人類の不具合の九割は、それで直ります」

やがて2号が口を開いた。

「……スマホと一緒やな」


あとがき

毎週ショートショートnoteのお題『半導体大仏』に参加させていただきました。

お題を見た瞬間、

「これは書きたい!」

と思って筆を執ったものの……実は最初、バイナリの空の下を舞台にした同じ世界観のストーリーを書き始めていたんです。

でも、圧倒的に文字数が足りねえ!

ということで、初めからプロットを考え直しました(笑)。

半導体大仏と言ったら、そう、サイバーパンク!

でも、神様(厳密には仏様だけど笑)とコンピュータって、ある意味ですごく似てると思うんですよね。

で、仏様といえば西遊記のイメージが強かったので、気づけば西遊記パロディになっていました。

キャラクターは「ろるにご」でお馴染みの面々です。

ろるこを三蔵法師に、2号を孫悟空に、豚野郎をガリガリの猪八戒に、ラビを沙悟浄にしてみました。

西遊記って子供の頃から身近な物語ですけど、実は細かいプロットをよく知らないんですよね(笑)。

何となくみんなで天竺に行って、仏様からありがたい経典を貰う。

そんなふんわりしたイメージで書きました。

ただ、キャラクターを動かしていて、

「これはいつか連載にしたいな」

と欲が出てしまいまして……。

本当は一発バシッと決まる『電脳天竺極楽往生v1.09』というタイトルにする予定だったんですが、それは本連載のお楽しみにとっておくことにして、今回は読み切り版として「v1.05」にしてみました(笑)。

連載版の「v1.09」でお会いできる日を楽しみにしています!


✋ 宣伝パート 👌

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

もし人類の不具合を直すなら、あなたは何を再起動したいですか? そんなことを考えながら「スキ」を押していただけると嬉しいです。

もしまた一緒に妙な世界を旅してもいいと思っていただけたら、フォローしていただけると励みになります。

あなたなら半導体大仏からどんな経典を授かりたいですか? ぜひコメントで教えてください。

今回の舞台は電脳世界の天竺でしたが、普段はフードデリバリー配達員たちの日常を描く『配達員ろること2号』を連載しています。 巨大な半導体大仏は出てきませんが、なぜかそれに負けないくらい不思議な出来事は起きています(笑)。

Xでは僕の生存報告やAIイラスト、ボツ案や裏設定などをゆるく垂れ流しています。 興味があれば、ぜひ覗いてみてください。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するXユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、
特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

いいなと思ったら応援しよう!

2号 無理のない範囲で応援いただけたら嬉しいです。 チップはnote更新や資料費にあててます。 読んでもらえるだけでもありがたいっす。