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なぜ、メンバーを集めてもプロジェクトは迷走するのか。「手段」の議論に埋もれ、すれ違い続ける要件定義の構造的処方箋

多額の予算と数多くのメンバーを投じ、全社を挙げて推進したはずのシステム刷新。それにもかかわらず、要件定義を終えても仕様変更が相次ぎ、現場と開発側の間で認識のズレが埋まらないまま手戻りが重なっていく。こうしたプロジェクトの停滞や消耗に、頭を痛めた経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。

関係者全員が事業を良くしようと誠心誠意取り組んでいるにもかかわらず、なぜこのようなすれ違いが起きてしまうのか。

その背景には、個々のメンバーの能力や熱意の問題ではなく、要件定義のプロセスにおいて「抽象化」が機能していないという構造的な要因があります。

プロジェクトの初期段階において、営業部門は日々の業務に即した具体的な入力画面を求め、開発部門はシステムの保守性や整合性を第一に考え、管理部門は内部統制や運用ルールを優先して主張します。それぞれの視点はどれも現場の課題に根ざした正当な意見です。しかし、全員が「具体的な手段」のレベルだけで会話を続けてしまうと、議論の軸が存在しないため、話はどこまでも平行線をたどってしまいます。

この状況を打開し、関係者の認識を一つに束ねるために欠かせないのが、「なぜ(Why)」を掘り下げて上位の目的に立ち返る「抽象化」の思考プロセスです。

たとえば、現場から「特定の検索条件を画面上に追加したい」という強い要望が出た場面を想定します。
単にそのボタンを追加する設計に進む前に、「なぜその検索条件が必要なのか」を丁寧に問いかけていきます。
「特定の取引先履歴をすぐに確認したいから」
「なぜすぐに確認する必要があるのか」
「問い合わせ対応の待ち時間を短縮し、顧客満足度を向上させたいから」

このように「なぜ」を繰り返して掘り下げていくと、個別具体的な機能要望の奥にある「顧客対応のスピード向上と解約防止」という、全社で共有すべき上位の目的が浮かび上がってきます。

この本質的な目的という背骨が定まって初めて、「では、手作業で検索する画面を作るのではなく、顧客からの連絡と同時に該当情報が自動表示される設計にした方が、より高い効果を得られるのではないか」といった、手段にとらわれない建設的な議論へと昇華させることができます。

違いに着目して手段を戦わせると対立が深まりますが、「なぜ」を重ねて共通の目的に立ち返れば、あらゆる要件は自然と一本の軸へと収束していきます。

国内外のプロジェクト調査でも示されている通り、目的の曖昧さや認識の齟齬は、手戻り率の上昇を招く最大の要因です。逆に、抽象化によって目的と手段が階層化されたプロジェクトでは、要件の粒度が美しく揃い、不要な開発や認識のズレを未然に防ぐことが可能になります。

AIを活用したシステム開発が加速するこれからの時代においても、「そもそも何を目的に据えるのか」という本質を見極める抽象化の力は、プロジェクトの成否を分ける極めて重要な礎となります。

現場の多様な要望をただ羅列するのではなく、真の目的に向けて要件を一本化し、迷走のない確かなシステム投資を実現するための伴走支援を行っています。

詳細につきましては、以下のページにてご紹介しております。
https://asuka-way.com/L300/

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