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[2]おやつという武器で釣らない。私が愛犬と「目」で会話する理由

こんにちは、すももです。

小さなシニア犬と20キロを超える大きめの犬と暮らしています。2匹と暮らす中で、しつけに関する悩みを持ったことがほとんどありません。体格も性格もまったく違う2匹ですが、毎日大きなトラブルもなく、驚くほど静かで穏やかな時間が流れています。

前回は、「私は犬にも人にも、絶対に感情的に怒らない」という我が家のルールについて書きました。

記事を読んでくださった方は、「怒らないのはわかったけれど、じゃあどうやって言うことを聞かせているの?」 「おやつをたくさんあげて褒めて伸ばす、ポジティブ・トレーニングですか?」と思っているでしょう。

答えはノーです。 我が家では、しつけや日常の指示のためにおやつを使うことはありません

今回は、我が家のおやつを使わない犬との生活と、言葉を超えた目での対話について、お話しさせてください。

「おやつ」という報酬に感じる寂しさ

誤解のないように最初にお伝えすると、私はおやつそのものを完全に否定しているわけではありません。美味しいものを食べてうれしそうにしている犬の顔を見るのは幸せですし、たまのお楽しみや、栄養補給としておやつをあげることはあります。

私がやらないのは、人間の言うことを聞かせるための報酬として、おやつで釣ることです。

しつけ本などでは「犬が指示通りにできたら、1秒以内におやつをあげて褒めましょう」と書かれています。この方法は合理的です。犬はこの行動をすればおやつがもらえると学習し、お座りやお手をするようになります。

でも、考えてみてください。これは犬との信頼関係ではなく、ただの取引になっていませんか。

「おやつをくれるなら、言うことを聞いてあげる」 「おやつがないなら、私はあなたを見ません」。そんな関係はどこか寂しいように感じます。

私が求めているのは、おやつという報酬を介したつながりではなく、もっと根本的な、心と心で結ばれたパートナーシップです。おやつがなくても、どんなときでも、私と犬たちの間に変わらない信頼のパイプを通しておきたかったのです。

言葉をなくすと、見えてくるもの

おやつを使わない、しかも叱ることも、感情的に怒ることもしない。そうなると、人間に残された武器はゼロなのではと思う方もいらっしゃるでしょう。大声で「ダメ!」と制することもできなければ、「お座りしたら美味しいおやつをあげるよ」と誘惑することもできないからです。

そこで私がたどり着いたのが、言葉ではなく「目」で会話をするということです。

私たちは普段、犬に対してあまりにも多くの言葉を浴びせすぎています。 「コラ、待ちなさい」「お座りは?」「そっちに行っちゃダメ」「いい子ね、座って」……。 人間にとっては意味のある言葉でも、犬にとっては意味不明な雑音のようなものです。言葉が多すぎると、犬は何を聴き取ればいいのかわからず、かえって混乱してしまいます。

我が家では犬たちに声がけをあまりしません。 指示を出すのをやめ、言葉を減らし、ただ2匹の様子をじっと観察する。そうすると、不思議なことに、私が静かに佇んでいるだけで、2匹が「あれ? ママは何を考えているのかな?」と、自発的に私の様子を伺ってきます。

ただ「見つめ合う」という魔法

具体的に我が家の日常のひとコマをご紹介します。例えば、みんなが大好きなお散歩の時間。

玄関でリードを繋ぐと、2匹はしっぽをちぎれんばかりにブンブンと振ります。早く行こう!と、興奮が最高潮に達する瞬間です。

一般的なしつけでは、ここで「待て」と命じ、犬が落ち着いてお座りをするまでドアを開けないというトレーニングをします。

でも、私は「待て」とは一言も言いません。仁王立ちで怒ることもありません。 ただ、ドアの前に静かに立ち、お地蔵さんのように穏やかな表情で、2匹が自ら私の方を振り返るのを「待つ」のです。

犬たちは、早く外に出たくてドアをカリカリしたり、ソワソワしたりしています。しかし、私が声を荒らげることもなく、ただそこに静かに立っているのを見てふと我に返り、「ママ、どうしたの?」というように、2匹とも、動きを止めて私の顔を見上げてくる瞬間が必ず訪れます。

2匹の目と私の目がカチッと合う。

その瞬間に、私は初めて微笑み、行行こうね!優しく声をかけてドアを開けます。この間、時間にしてわずか数十秒。おやつも、厳しい命令も、一切登場しません。 犬たちの中では、次のような優しい学習が繰り返されています。

「ママの目をじっと見つめたらドアが開く」 「ママが穏やかに微笑んだら、進んでいい合図」

犬たちは、おやつという報酬のために動いているのではありません。私の表情や目の奥の光、そして心の動きを本当に細かく、丁寧に読み取ろうとしてくれているのです。

あなたと愛犬の間にある「静かなチャンネル」

こうした行動の積み重ねで、犬たちとの絆はより深く、より揺るぎないものになりました。

お散歩中、他の犬がやってきて少し緊張が走るような場面でも、私はリードを強く引っ張ることはしません。ただ立ち止まり、2匹が「ママ、どうする?」と視線を送ってくるのを待ちます。私が「大丈夫だよ」と目で合図を送ると、2匹はそれだけでふっと肩の力を抜き、静かに私の足元に寄り添って歩き出します。

この人の隣にいれば、世界で一番安全だと犬たちに心から信じてもらうために必要なのは、高級なおやつでも、厳格なしつけのテクニックでもありません。飼い主である私自身が、感情の波に振り回されず、常に静かな安心できるよりどころであり続けることです。

もし、しつけ本通りにいかなくて、おやつをあげるタイミングに悩んだり、言うことを聞かない愛犬にイライラしてしまったりしている飼い主さんがいたら、どうか一度、そのおやつを手放してみてください。

そして、言葉でコントロールしようとするのをやめて、ただ静かに、愛犬があなたを振り返るのを待ってみてほしいのです。

あなたと愛犬の間に、温かい目と信頼さえあれば、それだけで会話は十分に成り立つのですから。

今日も我が家は、言葉の少ない、静かな一日が始まります。

すもも

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