[5]「リーダー」とは支配者ではない。犬が命を預けたくなる、静かな安心感の正体
こんにちは。すももです。
私は小さなシニア犬と大きめの犬と暮らしています。普段、愛犬と暮らす中で、しつけに関する悩みを持ったことがほとんどありません。
これまで、感情的に怒らないこと、おやつで釣らないこと、そして人間の動きをあえてスローにすることなど、犬に指示をしない暮らしについてお話ししてきました。
先日、熱心にドッグトレーニングの勉強をされている飼い主さんから、「人間が絶対的な群れのボスとして主導権を握らなければ犬が不幸になる」と言われました。
確かに、犬の先祖であるオオカミの習性をベースにしたアルファシンドローム(ボス理論)は有名です。現在この理論は否定されていますが、今でも根強く残っているように感じます
私も人間がリーダーシップを取るべきだとは思います。犬が人間社会という異文化の中で安全に心地よく暮らしていくためには、確固たるガイド役としてのリーダーが必要だからです。
しかし、私が考えるリーダーの定義は、世間のイメージとは少し違います。リーダーとは、力でねじ伏せる支配者ではありません。 大声も、威圧感も、おやつによる報酬も一切必要ない。犬がこの人といれば絶対に安全だと本能で察する、圧倒的な、静かな安心感の正体について、今日はお話しさせてください。
犬に「諦め」を植え付ける力での支配
かつては、犬が吠えたり言うことを聞かなかったりすると、仰向けにひっくり返してホールドしたり、低いダミ声で「コラ!」と凄んだりする方法が推奨されていました。主従関係を叩き込むという名の力による支配です。
この方法を使えば犬はピタッと問題行動をやめます。 でもそれは、人間を信頼して従っているのではなく、逆らうと痛い目に遭うからという、恐怖による諦めに過ぎません。
力で支配する関係は、常に緊張をはらみ、その張り詰めた糸が切れた瞬間に、犬の不安や反発が爆発してしまう危険性を秘めていると思います。
そもそも、大型犬と人間の腕力でまともに戦って勝てるはずがありません。小型犬だとしても、犬を恐怖で支配することに違和感を拭えませんでした。犬が本能的に求めているリーダーは、力で抑えつける怖いボスではないと考えるからです。
犬が求めているのは絶対に動じないリーダー
では、犬はどのようなリーダーを求めるのでしょうか。
それは、何が起きても絶対に動じない人です。目の前のできごとに過敏に反応し、すぐパニックになるような人物を私たちはリーダーとして認めるでしょうか。犬たちにとっても、全く同じだと考えています。
お散歩中に大きな破裂音がしたとします。その時、飼い主がキャッ!と飛び上がったり、慌てて犬を抱き上げたりすると、犬は「やっぱりこの音は恐ろしいものと関係しているんだ!」と不安が決定づけられ、パニックを引き起こします。
一方で、同じ音がしたときに、飼い主が眉ひとつ動かさず、「ただの風の音だよ」と言わんばかりに、平然とゆったりとした足取りで歩き続けたらどうでしょう。 犬は一瞬ビクッとしますが、「ママがこんなに落ち着いているなら、怖がる必要はないんだな」と察して、不安が拭われるはずです。
不安になる犬を励ます必要もありません。飼い主が静かに堂々としているだけで、不安は小さくなります。その静かなエネルギーこそが、犬にとっての絶対的なリーダーの証だと思います。
「この人と一緒なら大丈夫」という信頼の絆
我が家の2匹は、お散歩のとき私の少しだけ後ろを歩くのが大好きです。 特別なトレーニングをしたわけではありません。ただ、私の中にあなたたちの命を守るから安心してという静かな覚悟があるからだと思います。
例えば、曲がり角から急に自転車が飛び出してきたとき。 私は大声を出す代わりに、自分の体を2匹の前に滑り込ませて、自転車からの盾になります。 見知らぬ人が急に触ろうとしてきたとき。 2匹が少しでも嫌そうなサインを出したら、私は優しく「すみません、この子たちシャイなんです」と間に入って守ります。
困ったとき、怖いとき、ママの後ろにいれば100%守ってくれるという確信が犬たちの中に育ったとき、犬は主導権を人間に明け渡してくれます。人間社会の複雑なルールを自分で考えて警戒する必要がなくなり、この人に任せておけばいいと、心からのリラックスを得ることができるのです。
これこそが、支配ではなく、信頼による関係の完成形だと考えています。
あなたの心の静けさが、犬の心を安定させる
犬をコントロールしよう、従わせようと躍起になっているとき、人間の心には焦りやエゴという名のノイズが走っています。犬はそのノイズを敏感に察知し、かえって不安になって反抗的な態度をとってしまうのです。
リーダーとして犬を導くために必要なのは、特別なテクニックでも、強い力でもありません。 人間自身が感情の波に振り回されない穏やかな心を持つことです。何があっても感情的に怒らない。 おやつというモノで誤魔化さない。 どんなときも動きをスローに、堂々と。
大声を出して従わせる必要なんてどこにもありません。 あなたがただ、静かな安心感をまとって微笑むだけで、愛犬は喜んであなたの後ろをついてきてくれます。
すもも
