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6. ソロ演奏とアンサンブル、それぞれの成長

前回の記事の続きです。

前回は、ピアノ教室の発表会にバンド演奏を取り入れるまでのお話をしました。
今回は、ソロ演奏とアンサンブル、それぞれの経験が生徒の成長にどうつながるのかについて、書いてみたいと思います。

ピアノの発表会といえば、一人で舞台に立ち、一曲を弾き上げる姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
私の教室では、ピアノやエレクトーンのソロ演奏に加えて、バンドでの演奏も取り入れています。

一人で音楽をつくること。
誰かと一緒に音楽をつくること。
どちらにも大切な学びがあり、それぞれに違った成長の機会があると考えています。


♪1. 一人で弾くからこそ、育つ力

ソロ演奏では、曲の始まりから終わりまで、自分の手で音楽を届けます。

どんな速さで弾くのか。
メロディーをどのように歌わせるのか。
どこを大切に聴いてもらいたいのか。

楽譜の音を弾けるという段階から、少しずつ「自分はどう弾きたいのか」を考える段階へと進んでいきます。

そして本番では、どんなに緊張していても自分で最初の音を出さなければなりません。
途中で思うように弾けないところがあったときも、気持ちを立て直し、次の音へとつないでいく。
そうした経験も、ソロ演奏で大切にしたい学びの一つです。

もちろん、間違えずに弾けたらうれしいものです。
でも私は、演奏を振り返るとき、ミスの数だけで終わらせたくありません。
「最後まで、自分で弾き切った」
「緊張したけれど、舞台に立てた」
「練習してきたことを、ここで出せた」
その子にとっての一歩を、一緒に見つけたいと思っています。

♪2. 一緒に弾くと、「聴く」の意味が変わる

アンサンブルでは、自分のパートが弾けるようになることが出発点です。
そこから、ほかの人の音を聴きながら演奏する時間が始まります。

ドラムのリズムを聴く。
ベースの動きを感じる。
メロディーがよく聴こえるように、伴奏の音量を考える。

自分が正しい音を弾いていても、周りとテンポやタイミングが合わなければ、一つの音楽としてまとまりません。
「自分がどう弾くか」に加えて、
「みんなの音の中で、どう弾くか」を考える必要がある
のです。

今までの指導経験から言うと、初めてバンドアンサンブルを体験する生徒さんは、自分の演奏で精いっぱいなものです。
周りの音を聴く余裕はなく、リハーサルで初めて全体の音を聴き、それに圧倒されます。
でも、何度か経験していくうちに周りの音を聴いて演奏できるようになるので、経験が大事だと思います。

自分の音を出すことに一生懸命だったところから、少しずつ周りの音にも耳を向けていく。ここが大事です。
そんな学びを、実際の音のやり取りの中で経験できることが、アンサンブルの魅力だと思います。

♪3. 音数が少なくても、大切な役割がある

アンサンブルのパートは、必ずしも音数が多いものばかりではありません。
同じリズムを繰り返すパート。
長く音を伸ばすパート。
曲の途中で、ほんの数回だけ入るパート。
楽譜だけを見ると、簡単そうに感じることもあるかもしれません。
エレクトーンを弾いてきた生徒さんにはよくあることですが、すべてを自分が演奏することに慣れていると、片手だけだったり休みが長かったりすることに最初は戸惑いを覚えます。
すべて一人で担当するのが当たり前だったところから、パートを分けるという感覚に慣れてもらう必要があります。

決まったタイミングで音を出すには、自分が弾いていない間も音楽を聴き続ける必要があります。
一定のリズムを保つことも、周りに合わせて音を止めることも、大切な役割です。
「難しい音をたくさん弾けることだけが、演奏の価値ではない」
と気づいてもらえると嬉しく思います。

自分の音が、誰かの演奏を支えている。
その音が加わることで、曲の雰囲気が変わる。
生徒には、そうした自分のパートの意味も感じてほしいと思っています。

♪4. 「自分のための練習」に、仲間の存在が加わる

一人で弾く曲にも、一緒に演奏する曲にも、練習は必要です。
ただ、アンサンブルでは、練習の先に「一緒に演奏する人」がいます。
次に合わせるときまでに、ここを弾けるようにしておこう。
入り方が分からないところは、確認しておこう。
そうした目標を持つきっかけにもなります。

一方で、「みんなに迷惑をかけてはいけない」という気持ちが強くなりすぎると、演奏が苦しくなってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、講師の側には、一人ひとりに合った難しさや役割を考えることが求められると思います。
少し頑張れば手が届くこと。
無理なく参加できること。
そして、自分も音楽をつくる一員だと感じられること。
そのバランスを大切にしたいです。

♪5. ソロとアンサンブルの経験は、つながっている

ソロ演奏とアンサンブルは、別々の力を育てるだけではありません。
アンサンブルで周りの音を聴く経験は、ソロで弾くときに、メロディーと伴奏のバランスを意識するきっかけにもなると思います。
反対に、ソロの練習で身につけた、自分で曲を理解し、表現を考える姿勢は、アンサンブルで自分のパートを受け持つときにも大切です

一人で音楽をつくる力と、誰かと音楽をつくる力。
それぞれの経験を行き来しながら、演奏の楽しみ方が広がっていく。
そんな発表会にしていきたいと思っています。

♪6. その子なりの成長が見える発表会に

一人で舞台に立つことが好きな子もいれば、誰かと一緒なら挑戦してみたいと思える子もいるでしょう。
同じ生徒でも、その年によって気持ちや目標は変わります。
だから、成長を一つの物差しだけで見ないことを大切にしたいのです。

去年より難しい曲が弾けたこと。
周りの音を聴けるようになったこと。
自分の出番を落ち着いて待てたこと。
最後まで演奏を続けられたこと。

発表会には、いろいろな「できた」があります。
ソロで弾き切った達成感も、みんなで音が合ったときの喜びも、生徒がこれから音楽を続けていく支えになってくれたらうれしいです。

それではこの続きは次回に。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました♪

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