数学が苦手、競争も嫌い。それでもファイナンスでコンサルやってます。
たまにはゆるくエッセイも書いてみます。
〜 競わない人間の仕事観 〜
私は、会計事務所に勤めている。
ファイナンスを専門にしている。
コンサルの仕事がメインだ。
たぶん、クライアントからは、
数学が得意で、どちらかというと理系で、
競争が好きな人だと思われている。
でも実際は、まったく違う。
数学は大の苦手だ。
センター試験の数学は、本当に苦手だった。
自分はいわゆる文系で、
世界史と、生物が好きだった。
理系ではない。
物理や化学は、ほとんどできなかった。
(文系と言っても国語もダメ)
不思議なことに、
生物の中でも、浸透圧や遺伝の計算みたいなものだけは、なぜかできた。
興味があると、そこだけは頭に入るらしい。
競争心も、あまりない。
誰かに勝ちたいとか、
順位を上げたいとか、
そういう気持ちは昔から薄かった。
競争するよりも、
独自路線で行くほうが、
自分にとっては価値があると思っている。
それなのに、
小学校からずっと野球をやってきた。
県でも有数の強豪チームで、
県大会優勝という明確な目標があって、
厳しい練習と、厳しい監督の指導の中で、
いわゆる体育会の世界にどっぷり浸かっていた。
今思い返すと、少し不思議だ。
小学校の頃、
将来の夢や、なりたい職業を書く機会が何度かあったと思う。
でも、
プロ野球選手なんて、どうせなれない。
そう思って、最初から選択肢に入れなかった。
じゃあ、自分は何になるんだろう。
そんなとき、
いろんな仕事が紹介されている本を、
パラパラとめくっていて、
ふと目に留まったのが「公認会計士」だった。
なりたいと思ったわけでも、
なりたいと決めたわけでもない。
ただ、
なんとなく気になった。
今、会計事務所にいるのは、
そう考えると、少し縁を感じなくもない。
新卒で金融機関に入ったのも、
強い理由があったわけじゃない。
大学は経済学部で、
周りの友人たちも、
ごく普通に金融機関を受けていた。
自分も、
なんとなく潰しがききそうだと思って、
そこに進んだだけだった。
金融機関に行きたかったわけでもない。
ファイナンスをやりたかったわけでもない。
ただ、
気づいたら、
今ここにいる。
会計事務所にいるし、
昔、公認会計士という仕事を、
かっこいいと思ったこともある。
でも今は公認会計士ではない。
資格試験の勉強をしよう、という気になれない。
気になれないというか、能力的に、そんな自信はない。
センター試験の数学のトラウマで
いつまでたっても、計算への苦手意識が強い。
そして、これは数学に限らずだか、
多分、試験というもの自体が、
自分は根本的に苦手なんだと思う。
何が何でも満点を取ってやろうとか、
何が何でも他の人より点を取ってやろうとか、
そういう意思が、どうしても湧いてこない。
センター試験も、大学入試も、
最後まで熱が入った感じはなかった。
人と競う、という構図そのものが、
あまり得意じゃないのだと思う。
一方で、MBAは楽しく学べた。
競う場ではなかったし、
点数を取り合う場でもなかった。
自分が何に興味を持っているのかを考えて、
それを言葉にして、
同じ時間を過ごしている仲間と話す。
それが、
純粋に楽しかった。
勝つための勉強は、
できないんだと思う。
その代わり、
考えることは、ずっと好きだった。
どう組み合わせるか。
どう工夫するか。
この先、どんな未来があり得るか。
正解を当てるより、
いくつかの可能性を並べて、
ああでもない、こうでもないと考える時間のほうが、
ずっと楽しい。
振り返ると、
野球も、きっと同じだった。
県大会で優勝すること自体が、
一番楽しかったわけではない。
9人のメンバーがいて、
それぞれに個性があって、
得意なことも、苦手なことも違う。
自分は、
その中のひとつのネジみたいなもので、
チームメイトは、
それ以外のネジや、部品で。
それらをどう組み合わせたら、
ちゃんと一つの形になるのか。
チームとして機能するのか。
そうやって、
いろんなピースを当てはめながら、
一つの作品を、少しずつ作り上げていく。
派手さはないし、
成果がすぐに出るわけでもない。
地道で、
長くて、
ときどき途方もなく感じるような活動。
でも、
たぶん自分は、
そういう時間が、ずっと好きだったんだと思う。
たぶん今も、
自分は何かを「勝ち取る」仕事より、
何かを「組み上げる」仕事のほうが、
向いているのだと思う。
