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苦しいけれど温かい涙だね

本音では、随分も前に諦めたかったコトがある。コトを目の前にぶら下げて走ってきただけのような約10年だった。

薬剤師になりたかった。できれば小児薬物臨床認定薬剤師と精神科薬物療法認定薬剤師になりたかった。子供の精神疾患。私のような思いをする子供を1人でも救いたかった。心がどんな状況であれ反射的に笑顔で毎日を過ごしてしまう子供、自分を守るために笑顔でいる子供を救いたかった。親にも生活環境にも恵まれているのに孤独を感じる子供を救いたかった。裕福であるというそれだけで、幸せだと勝手に決めつけられて誰にも心内を明かせない子供の拠り所になりたかった。

叶わなかった。成績も届かなかった、自分の精神状態も良くなかった。救う側の人間のもつ精神状態とはかなり離れている時期もあった。叶わない気は随分も前からしていた。けれど、物心ついた時には志してしまっていたが為に、諦めるという選択が自分自身の全否定のような気がして出来ずにいた。

叶わない事が決まった時には、温かい涙が目を覆った。ずっと怖かった。自分の知識が命を終わらせてしまうかもしれないこと、自分の言葉が命を終える決断材料になってしまうかもしれないこと、精神疾患に携わるとはそういった可能性と隣り合わせだということ。私にはその全責任を取ると宣言できるような責任感も知識もないということ。そして、その最悪の可能性が無くなったことにひどく安心した。

叶わない、そんな事は随分前から分かっていた。けれど、わたしの周りの優しい人たちが言う、あなたならできるよ。を言葉のまま受け取っていたかった。ピーターパンでスーパーヒーローになりたかった。

自分自身の学生時代を、ほとんど志していたコトに時間を費やしていたが為に苦しくて、けれど流れたのは温かい涙だった。

本日、大学に退学届を出してきた。
これからの動向もほとんど定まっている。けれど、私のような子供を救う機会はほとんどなさそう。

夢は叶わない時の方が多いというのは本当みたいですね。

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